【社会考】「高齢年金世帯」と「格差」

社会

おはようございます。今朝いつものように5時に起きて、シャワーを浴びてからワンコとの散歩に出ましたら、天気は曇っていましたが、まだお外は薄暗い世界でした。

あらら・・・、と日の出の時間を「アマゾンエコードット」に尋ねてみたら「日の出は5時35分です」と教えてくれました。

コロちゃんが、散歩に出た時間は、ちょうどお日様が出たばかりだったようです。少し前の夏の日々には日の出の時間は早かったのですけどね。

コロちゃんは薄暗い街中をワンコと散歩しながら、「秋の気配」を全身で受け止めていましたよ。

今日は「コロちゃんの年金清貧生活と格差指数のジニ係数」についてポチポチします。

1.社会の格差が一目でわかる「ジニ係数」

「ジニ係数」とは、社会における所得の不平等さを測る指標です。下記にその数字の定義を書きます。

「0から1で表され、各人の所得が均一で格差が全くない状態を0、たった一人が全ての所得を独占している状態を1とする。」

ね、わかり易いでしょう? 「0」が「完全平等」で、「1」が「完全不平等」です。

もちろん「0」や「1」の世界は、現実にはあり得ません。しかし、すべての社会はその「0」と「1」の間に着地します。

だいたい0.3以上は、「格差が大きい」とされ、0.4を超えると「社会騒乱」の警戒ライン、0.6を超えると「革命」が起きると言われることもあるそうです。

この「ジニ係数」は、「厚生労働省」が3年ごとに「所得再配分調査」という表題で発表しています。

直近の調査は、2021年に行なわれて、その発表が先日の2023年8月22日に行なわれています。

コロちゃんは、その発表の後の8月27日にこのブログで、その内容をご紹介しています。そのブログをお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

【社会考】日本の「ジニ係数」

 上記のブログ記事では、「ジニ係数」の全体像の紹介を主に書きました。今日は、その「ジニ係数」を「年金高齢生活者」の視点から見てみたいと思います。

2.「当初所得」と「再配分所得」

「資本主義社会」では、生産力が上昇する反面、「所得格差」や「資産格差」が拡大するという欠点があります。

歴史を見ると、社会の安定性を確保するために、国家がその格差を強制的に縮小させるために多くの施策を試みてきています。

格差が大きい「当初所得」を、国家が強制的に「再配分」することによって縮小を図ることは、現在では国家の大切な役目となっています。

ここで「当初所得」と「再配分所得」の概念図を見てみましょう。

下記の図をご覧ください。

「厚生労働省 所得再配分調査報告書」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/96-1/R03hou.pdf
出典:厚生労働省 令和3年 所得再配分調査報告書 所得再配分によるジニ係数の変化 より(9月27日利用)

上記のグラフは、「当初所得423.4万円」と「再配分所得504.2万円」の関係を表した図です。

字が小さいので、下記に書き出します。

〇図の上の部分に書かれている「当初所得423.4万円」には、下記の項目があります。

「①税金     52.4万円」+
「②社会保険料  56.7万円」+
「③所得     314.3万円」=
 計「④当初所得 423.4万円」

上記の「④当初所得423.4万円」が、いわゆる「税込みの所得」です。

この「税込み当初所得423.4万円」から「①税金52.4万円」と「②社会保険料56.7万円」を引いた「③所得314.3万円」が皆さんが受け取る「手取りの所得」となっています。

〇そして、「再配分所得504.2万円」は、以下の項目となります。

「❶所得    314.3万円」+
「❷年金    120.5万円」+
「❸医療    43.8万円」+
「❹その他 25.5万円」=
 計「❺再配分所得 504.2万円」

この図は無作為抽出された2021年の調査による数値ですので、若い世帯や高齢者世帯が含まれた全世帯の数値となります。

しかし、当初の受け取った「③所得314.3万円(手取り所得)」以外に、お国から「❷年金120.5万円」と「❸医療43.8万円」と「❹その他25.5万円」が受給されたことにより、「格差」が小さくなったことがわかります。

なにしろ「④当初所得423.4万円(税込み所得)」が、他からいろいろ受け取ることによって「❺再配分所得504.2万円」になったのですからね。

これを見るだけで、「所得」の再配分機能がしっかりと働いていることがわかります。

しかし、その「再配分機能」はどのくらい有効に働いているのでしょうか。

次に、その「再配分機能」の働き具合を見てみましょう。

3.「高齢年金世帯の格差は大きい」

それでは、コロちゃんのような「高齢年金生活者」の「ジニ係数(格差)」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 所得再配分調査報告書」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/96-1/R03hou.pdf
出典:厚生労働省 令和3年 所得再配分調査報告書 所得再配分によるジニ係数の変化 より(9月27日利用)

上記のグラフは、年齢階級別の「ジニ係数」です。

コロちゃんが注目するのは、このグラフの60歳以上の「高齢生活者」ですね。

上記のグラフのうちの「黒点線」が「等価当初所得」で、「黒実線」が「等価再配分所得」です。

「等価」とついているのは、世帯人数を調整するためですから、あまり気にしなくともよいです。

このグラフを見ると、「黒点線(当初所得)」が、60歳以降に急激に上昇しています。これは、「高齢者内の格差」が年齢が高くなるほど大きくなっていることを示しています。

そして、「黒実線(再配分所得)」では、「60~74歳」までは横ばいになりつつも、「75歳以上」で大きく上昇しています。

これは「再配分所得」において、「高齢者60~74歳」の時には「格差」が抑えられていますが、「75歳以上」になると再び「格差」が拡大してきたことを示します。

下記詳細な数値を書き出します。

上側が「〇当初所得ジニ係数」で、下側が「●再配分所得ジニ係数」です。

「〇当初所得ジニ係数」
「●再配分所得ジニ係数」

「◎60~64歳」
「〇0.4707」→
「●0.4107」

「◎65~69歳」
「〇0.5513」→
「●0.3714」

「◎70~74歳」
「〇0.6372」→
「●0.3781」

「◎75歳以上」
「〇0.7411」→
「●0.4060」
(世帯主の年齢階級別所得再配分状況より)

この数値を見る前に、「ジニ係数」について一般に語られていることを、もう一度確認しておきましょう。

「だいたい0.3以上は『格差が大きい』とされ、0.4を超えると『社会騒乱の警戒ライン』、0.6を超えると『革命』が起きると言われることもあるそうです」

上記の内容を頭において、「高齢者のジニ係数」の「●再配分所得」を見ると、「●60~64歳(0.4107)」は「警戒ライン」となります。

この年齢(60~64歳)では、まだ年金支給が始まっていませんから、「年金受給」による「再配分」が行なわれていないために、格差が拡大しているのが理由かと思われます。

そして「●65~69歳(0.3714)」「●70~74歳(0.3781)」は「格差が大きい」、そして「●75歳以上(0.4060)は、再び「警戒ライン」となりますね。

このように「ジニ係数」を見ると、「高齢生活者」の格差は、下記のようになりました。

❶「●60~64歳(0.4107)」格差警戒ライン

②「●65~69歳(0.3714)」格差が大きい

③「●70~74歳(0.3781)」格差が大きい

❹「●75歳以上 (0.4060)」格差警戒ライン
(世帯主の年齢階級別所得再配分状況より)

4.「高齢年金世帯の所得分布」

上記で「年金高齢者の格差」が大きいことを見てきました。

それでは「高齢者世帯」の所得の分布はどうなっているのでしょうか。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 高齢者世帯の所得分布」より

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/html/zenbun/s1_2_1.html#:~:text=%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E4%B8%96%E5%B8%AF%EF%BC%8865%E6%AD%B3,%E5%89%B2%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
出典:内閣府 令和3年版高齢社会白書  1 就業・所得(9月27日利用)

上記のグラフは「高齢者世帯の所得分布」です。

このグラフの赤い棒が「全ての世帯」で、青い棒が「高齢者世帯」です。

「高齢者世帯」の所得の「ボリュームゾーン」は「年収150~200万円(12.3%)」ですね。月収にしますと「12.5~16.7万円」となります。

この数字は「単身高齢者世帯」ではなく、「高齢者世帯全体」ですから、「月収12.5~16.7万円では、「単身世帯」でも「貧窮生活」、「老夫婦世帯(2人)」では「貯蓄取り崩し生活」になりそうです。

そして、この「高齢者世帯所得のボリュームゾーン年収150~200万円(12.3%)」以下の年収の方が、下記のようにいらっしゃいます。

「100~150万円(12.0%)」+
「50~100万円 (10.7%)」+
「50万円未満 (2.0%)」=24.7%

なんと年収150万円(月収12.5万円)以下の「高齢者世帯」が全世帯の1/4(631万世帯)もいらっしゃるのです。

その一方で、600万円以上の所得(月収50万円以上)の「高齢者世帯」方も、4.4%(113万世帯)いらっしゃいます。

このように「高齢者世帯」の「所得」は、下記のように大きな「格差」があるのです。

〇「月収12.5万円以下 631万世帯」
〇「月収50万円以上  113万世帯」

5.「高齢年金世帯の資産分布」

上記の「高齢年金世帯」で、たとえ「所得が少ないあるいはゼロ」であっても「数億円の資産」がある方がいらっしゃるかもしれません。

あるいは「数億円の資産」を積み上げられた方で、高齢からリタイアしたために「所得がゼロになった方」もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そのような方はいらっしゃったとしても、ごく少数でしょう。ほとんどの方は「所得が少ない方は資産も少ない」と思われます。

高齢になればなるほど、新たに資産を築き上げることが困難になってきます。

ほとんどの場合、高齢者の「貧困」は、それ以降ずっと固定されてしまう「貧困」なのです。

それでは、「金融資産」が高齢者の中で、どのように分布しているかを見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「国立国会図書館 調査と情報 高齢者の保有金融資産の現状及び課題」より

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11510900_po_1103.pdf?contentNo=1
出典:国立国会図書館 調査と情報 高齢者の保有金融資産の現状及び課題 より(9月27日利用)

上記のグラフは、総務省統計局「全国消費実態調査」(平成 26年(2014)調査)のデータから作成されたものです。

このグラフは、「2人以上の世帯」のものですから、コロちゃんのような「単身高齢者」は入っていません。しかし、高齢者の全体的傾向はわかると思います。

このグラフは、左から右にかけて、きっちり階段状で下降しています。

高齢者世帯の金融資産の「中央値」は1394万円ですから、この位の金額を貯蓄できていて、「年金受給金」が平均ほどあれば、とりあえず老後を安心して暮らせると思います。

しかし、このグラフでは「金融資産450万円以下の世帯」が「6.4%+6.1%+7.3%=19.8%」もいらっしゃいます。

「世帯主年齢 65 歳以上の 2 人以上の世帯」の大体20%は、5世帯に1世帯です。

日本の「65歳以上の世帯数」は約2558万世帯です。その内の「2人以上の世帯数」は約1820万世帯となっています。

その20%と言うと、ざっと364万世帯になります。

それだけ多い数の「高齢世帯」の方が将来の不安を抱えて生活しているものと思われます。

一方で「金融資産3000万円以上の世帯」が「8.5%+15.7%=24.2%」もいらっしゃいます。

ほぼ1/4の方ですね。「高齢世帯」で多くの金融資産を抱えている方も数多くいらっしゃるのです。

こちらもざっと計算すると、440万世帯でしょうか。

このように「高齢年金世帯」の「金融資産」の実態は、2極分化しています。

もう一度、この「高齢年金世帯」の「金融資産」の、2極分化の様子を下記に見てみましょう。

〇「金融資産450万円以下の世帯 364万世帯」
〇「金融資産3000万円以上の世帯 440万世帯」

上記のグラフを引用した「調査と情報」では、この実態を次のように記載しています。

「高齢者が保有する金融資産保有状況は、世代内において格差が著しく、特に近年の傾向として保有する金融資産が少ない世帯が増加している。」

このように、「高齢者」の「金融資産」においては既に大きな「格差」があり、その「格差」は今後も拡大していくものと思われます。

6.「再分配機能は働いているけど、それでも格差は拡大している」

今日のブログテーマは「高齢年金世帯」と「格差」です。

日本の国家としての「再配分機能」には、「年金・医療・介護保険」などがあります。

それらの中でも「年金」は一番ボリュームの大きな「再配分機能」です(56.1兆円2021年現在)。

若い方から集めた年金を高齢になった方へ配分しますが、その「年金」は高齢者の主な「生活原資」となっています。

その「再配分機能」をチェックできるのが「ジニ係数」です。

上記で、その「ジニ係数」をみると、「再配分機能」がある程度有効に働いていることと、それにもかかわらず「高齢者」の中で「格差」が拡大していることを見てきました。

上記で記載した当初所得と再配分所得を、もう一度見てみましょう。

❶「●60~64歳(0.4107)」格差警戒ライン

②「●65~69歳(0.3714)」格差が大きい

③「●70~74歳(0.3781)」格差が大きい

❹「●75歳以上 (0.4060)」格差警戒ライン
(世帯主の年齢階級別所得再配分状況より)

この「ジニ係数」の数値の評価も、再び見てみましょう。

「だいたい0.3以上は『格差が大きい』とされ、0.4を超えると『社会騒乱の警戒ライン』、0.6を超えると『革命』が起きると言われることもあるそうです」

この上記の内容から、コロちゃんは「高齢者世帯」の「所得・資産」を総体的に把握し、もう一段の「格差是正」を行なった方が、社会の為に良いことだと考えています。

決して、コロちゃんが懐にお金を入れて欲しいから言っているのではないですよ。
ヾノ´゚д゚`)ナイナイ

さて、皆さんはいかがお考えでしょうか。

コロちゃんは、もともと「資本主義経済」というものは、ほっとけば自然に「格差」が「際限なく拡大していく経済システム」だと思います。

それを人間の優れた知恵で人為的に「再配分」を定期的に行うことが、社会の安定性を保証すると、コロちゃんは考えていますよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

AdamNirによるPixabayからの画像

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