【社会考】ブルータス(政府税調)お前もか!

社会

おはようございます。今朝も朝から蒸し暑い天気となっていますね。ワンコは最近散歩の後に、ぐったり寝てばかりいるようになってきました。これは、蒸し暑さのせいでしょうか。

そろそろワンコの「衣替え」の時期となってきました。いよいよワンコの全身カットを行ない「夏バージョン」に切り替えなければなりませんね。

今日は、蒸し暑い不快な気候と同じく、不愉快な話題です。「政府税調」のお話をポチポチします。

1.思わず「ブルータスお前もか!」と叫びたくなりました

コロちゃんがコーヒーを飲みながら、新聞をバサバサしていると、「政府税調が6月30日に中長期的な税制の在り方を示す中期答申をまとめた」という記事が目に入りました。

その記事をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

「税収確保十分に」政府税調 防衛・少子化の歳出増で - 日本経済新聞
政府税制調査会(首相の諮問機関)は30日、中長期的な税制のあり方を示す中期答申をまとめた。防衛費や少子化対策などで歳出が膨らむなか、支出に見合う十分な税収を確保すべきだと強調した。消費増税には踏み込まなかったものの、財源確保の重要性を指摘した。「働き方の多様化など経済構造の変化について幅広く網羅されており、中長期的な税...

この記事によりますと、この「政府税調の中期答申」は、「消費税増税」を含めた「増税」には、一切踏み込んでいないとあります。

現在「少子化対策」や「防衛費倍増」などで、兆円単位の予算が必要とされているなかで、「中長期の税制の在り方」を議論する「政府税調」が、「増税」を議論しないことはあり得ません。

岸田総理は、5月26日の参院予算委員会でのご発言でも、消費税増税は「今考えていない」とおっしゃっています。

しかし、「政府税調」は、中長期の税制の在り方を議論する「専門家」の集団です。そこで中長期的な税としての「増税」を議論しなければ、どこで議論・検討するのでしょうか。

コロちゃんは、思わず「ブルータスお前もか!」と叫びたくなりました。

昨今の「少子化対策」にしても「防衛費倍増」にしても、みなバラまくことには積極的ですが、財源については避けています。

内閣の諮問機関の学識経験者までも、それに迎合するとは全く世も末だと、コロちゃんは思いました。

なお、見出しの「ブルータスお前もか」について、皆さんご存じですよね。下記の引用をご覧ください。

「ウイキペディア ブルータスお前もか?」より

ブルータス、お前もか?は、信頼していた者の裏切りを表現する、ラテン語の詩的な格言。」

「共和制ローマ末期の独裁官であるガイウス・ユリウス・カエサルが議場で刺された今際の際に、腹心の1人であった元老院議員マルクス・ユニウス・ブルトゥス(英語読みでブルータスとも)に向かって叫んだとされる。」

「自身の暗殺にブルトゥスが加担していた事を知ったカエサルが「ブルトゥス、お前も私を裏切っていたのか」と非難したという伝承が起源となっており、劇作家ウィリアム・シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』の影響で”Et tu, Brute?”という言い回しで定着した。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%80%81%E3%81%8A%E5%89%8D%E3%82%82%E3%81%8B
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「ブルータスお前もか?」最終更新 2023年6月23日 (金) 23:15 

みなさんは、この上記のエピソードはご存じだとは思いますが、一応ご紹介をさせていただきました。

この言葉は、「期待していた若者が裏切ったことを知った時」の叫びです。

コロちゃんは、「政府税調」は学識経験者の専門家集団ですから、現在の借金だらけの日本の財政に対して、きちんと批判と増税の提言があると、ほんの少し期待をしていたのです。

それで、思わずカエサルの言葉を借りてしまいました。

2.「政府税調」とは何か?

「税調」は、政府と自民党の二つあります。

「政府税調」は、総理大臣の諮問機関です。メンバーは各界の代表者と学識経験者からなる30名の委員で構成されます。

今回の「税調」の名簿を見ると、委員20名と26名の特別委員の方がいらっしゃいました。

それぞれが各界の著名人なのでしょうが、コロちゃんが一目みてお名前と肩書がわかった方は、翁百合日本総研理事長と芳野友子連合会長でした。

この「税調」では、毎年度の税制改正に関する答申のほか、3年に一度「将来の税制改正の方向に関する中期答申」を作成しています。

現実には、この「政府税調」は、制度と組織はあっても、ほとんど影響力はありません。

実際の税制改正に力をふるうのは政府与党である「自民党税調」であるのが現実となっています。

しかし、それだからこそ、この「政府税調」は、財源がない中でバラマキ要素の強い「少子化対策」や、増税時期を先送りした「防衛費倍増」などに対し、きちんと「増税」の議論をするべきであったと思います。

3.今回の政府税調の「中期答申」

今回の答申は、全部で261ページもあります。前回答申の10倍あるそうです。

その答申は「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」というテーマが付いています。

この文書をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/5zen27kai1_toshinann.pdf

コロちゃんは、この文書を読み始めましたが、最初は「Ⅰ.租税の役割と基本的考え方」から始まります。

この文書は、まるで学校での「税制」の講義のような内容を、多岐にわたって展開しているのです。

ある新聞では「税制の原則や歴史、社会構造の変化、各税目の特徴や課題などをまとめた税の教科書のような答申」と伝えています。

コロちゃんは、この文書を全部読んで内容を理解しようとする方は、あまりいないのではないかと思いました。

なにせ、ページ数が多すぎます。冗長すぎます。そして、肝心の「増税」については、言及がないのです。

しかし、そうも言ってられませんから、いくつかポイントを探しました。

財政の持続可能性については、「現在世代と将来世代の間でバランスが確保できているのか普段の点検が求められる」と書き込んでいます。

これは、翻訳すると「現役世代にバラまいて、ツケは将来世代に回すのでは、バランスが確保できないでしょ」ということですよね。

はっきり言えよ!
щ(゚д゚щ)ゴラー!

そして消費税については、「消費税が果たす役割は重要だ」と書かれています。

そりゃ子どもでも、予算が足りなければどっかから引っ張ってこないとダメなのはわかるよね。徴税の基幹税は「消費税・法人税・所得税」なんだから、取るとしたらそこからしかないでしょ。

だから、これも翻訳すると「消費税増税とは口にはしないけど、それしかないくらい重要だよね」ということですよね。

重要だったらはっきり言えよ!
ヽ(#`Д´#)ノ

所々で、コロちゃんの心の声が漏れてしまっているのは、ご容赦ください。

4.新聞も批判一色

このような、世の中の注目を集めるような内容は、普通は新聞で賛成と反対の両論を併記します。賛成の専門家と反対の専門家のインタビューを並べることも、よく見かけます。

しかし、今回の「政府税調の中間答申」は、批判一色です。

コロちゃんが読んでいる新聞では、「社説」でも取り上げています。

その「社説」をお読みになりたい方は下記のリンクのクリックをお願いします。

[社説]政府税調まで消費税論議から逃げるのか - 日本経済新聞
中長期を見据えた税制の提言というには、看板倒れの内容だ。政府税制調査会(首相の諮問機関)が4年ぶりにまとめ、岸田文雄首相に提出した「中期答申」のことだ。前回の10倍の約260ページの分量ながら、増減税など具体的な改革の方向性を何ら示さなかった。答申を受け取る立場の岸田首相が少子化対策の財源を巡り、消費税などの議論を封印...

この社説では「政府税調まで消費税論議から逃げるのか」という見出しで、内容には「逃げ腰と言わざるを得ない」と辛口の批判を展開しています。

コロちゃんも、まったく同感の思いを持ちました。これでは、子どもたちや子孫に合す顔がないと思いましたね。

5.自民党の派閥と人事

現在の自民党には、「主要な派閥」が6つあります。以下をご覧ください。

①安倍派(清和政策研究会)101人
②茂木派(平成研究会)   55人
③麻生派(志公会)    55人
④岸田派(宏池会)     45人
⑤二階派(志帥派)  41人
⑥森山派(近未来政治研究会)8人
石破グループ        9人
旧谷垣グループ       12人
菅グループ          19人
無派閥           37人

このように岸田総理は第4派閥となりますから、人事もすべて思うようにはできませんし、やりたいことも制限されるだろうことは理解できます。

現在の「岸田内閣の大臣」の出身派閥別の内訳は、岸田首相を除き以下のようになっています。

安倍派 4人
茂木派 3人
麻生派 4人
岸田派 3人
二階派 2人
無派閥 2人
連立与党の公明党 1人

バランスをとっているのでしょうけれど、岸田派は3人しかいないのです。

また自民党の主要人事の、副総裁と党四役は、以下の通りです。

副総裁   「麻生太郎」(麻生派)
幹事長   「茂木敏充氏(茂木派)」
総務会長  「遠藤利明選対委員長(無派閥)」
政調会長  「萩生田光一経済産業相(安倍派)」
選対委員長 「森山裕総務会長代行(森山派)」

総理大臣をバックアップするはずの、「与党自民党」の主要役職に、岸田派は1人もいないのです。

自民党の派閥を見ますと、最大派閥は亡くなった安倍元総理が率いていた安倍派(101名)です。

この安倍派は、積極財政派(国家が積極的に歳出を増やして、経済を活性化すべきだとする立場)が多いという特徴があります。そして「アベノミクス」の否定を許しません。

安倍派は、借金をしてもいいけど、増税はダメよ、という立場をとる方が多いのです。

このような構成となっていますから、なかなか岸田総理は、自分も思う通りの政策が展開できないだろうなと、コロちゃんは考えています。

しかし、岸田総理は一国の総理大臣ですから、そんな言い訳は言えませんね。やはり、政治は結果が全てです。

6.国民の「意識調査」

それでは、現在多くの国民が、国の借金財政についてどのような意識を持っているのかを見てみましょう。

政府は毎年1度、「社会や国に対する国民の基本的意識の動向」を調査しています。全国3000人の18歳以上の日本国籍を持つ方々に、郵送で調査表を送り調査をしているのです。

調査項目は、以下のとおりです。

1 国や社会との関わりについて
2 社会の現状に対する認識について
3 国の政策に対する評価について

その中の、「日本が悪い方向に向かっていると思われる分野」という問いがあります。

下記の引用をご覧ください。

「内閣府 社会意識に関する世論調査」より

https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-shakai/gairyaku.pdf
出典:内閣府 社会意識に関する世論調査一覧(令和4年12月調査) より(7月1日利用)

上記の引用には、「悪い方向に向かっている分野」の項目と、前回調査の数字も記載されています。

多くの国民は「物価」「国の財政」「景気」「経済力」の全ての項目で、前年よりも不安の割合が大幅に増加しています。

とりわけ「国の財政」への不安は、第2位です。

多くの国民は、現状の借金漬けの国の財政を不安に思ってみているのです。政治はこの国民の不安に対して答えを出さなければならないと思います。

7.学者の「財源論議」

コロちゃんは、新聞をバサバサ読んでいる中で、「経済教室」の田中拓道一橋大学教授の論考に目を止めました。著者の専攻は「比較政治」となっています。

この「経済教室」の論考では、日本は公的福祉の水準が低く家族の役割が大きい。ただし職域ごとの社会保険を持つ点で、制度的には「保守主義レジーム」に近いと言います。

その「保守主義レジーム」では、長期雇用と家族を柱とするために、産業構造や家族の変化に脆弱だったというのです。

その結果、非正規雇用が増大し、ひとり親世帯や単身世帯に貧困リスクが集中し、人口の再生産を担う層に新しい社会的リスクが集中して、それへの対応が遅れてしまったとしています。

その結果である「少子化の進展」は、必然的な帰結だったというのです。

そして、現在進められている「全世代型の社会保障」について、例えば子育て支援のために社会保険料を引き上げた結果、企業が正規労働者を減らして、非正規を増やせば本末転倒になるとしています。

また、親の職業に関わらず子どもを社会全体で育てる普遍主義の理念に基づけば、本来財源をなるべきは保険料ではなく、税だろうとしています。

この論考をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

歳出削減、恒久財源たり得ず あるべき財源論議 - 日本経済新聞
ポイント○子育て支援と労働市場改革は一体で実施○本来財源とすべきは保険料でなく消費税○政党競争活発な国ほど両立支援策は進展岸田政権は「異次元の少子化対策」を掲げ、2024年度からの3年間の子育て支援を年3.5兆円規模で拡充すると発表した。現行の支援策と合わせると、子ども1人当たりの家族関係支出は経済協力開発機構(OEC...

コロちゃんは、この論考を読んで、まったく同感しました。そもそも「少子化対策」に新たに兆円規模の予算を計画しながら、あちこちから余った予算をかき集めようというのは無理があります。

だいたい、日本の行政機構に「無駄な予算」などは兆円規模で転がっていないと思うのです。

8.「増税」を言い出すのは誰になるか

日本の2000兆円をこえる借金を考えると、そう遠くない時期にはどなたかが「増税」を提案せざるを得ないと思います。

現在のところ、はっきり「増税」を提案しているのは、コロちゃんの知る限りは「経団連」と「令和臨調」です。

「経団連」の十倉会長は、4月7日に開催された政府の「こども未来戦略会議」でも、「少子化対策」の財源について「社会保険料の負担を増やすことには賛成できない」とご発言なさっています。

また、十倉会長は、4月25日の日経新聞のインタビューでも、「少子化対策」の財源について「中長期的なレンジでは、消費税も当然議論の対象になってくる」と、ご発言なさっています。

そして「令和臨調」は、4月25日に発表した「社会保障制度改革提言」で、「財源は原則として給付の恩恵を受ける現在世代で負担し」「将来世代につけを回さない制度設計」と書き込んでいます。

コロちゃんが世の中を見渡すと、「増税」に反対する世論調査は多いです。しかし、子どもたちや未来世代にツケ回しをせずに済む方法は、「増税」しかないのは明らかです。

そろそろ、「増税やむなし」と「少子化を前提とした制度改革」を打ち出す責任感を持った方が、表れてこないかなと、コロちゃんは思っています。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

RalphによるPixabayからの画像

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