【社会考】「賃上げ」は誰のおかげ?

社会

おはようございます。今朝は、朝から雲がほとんどないお天気でした。コロちゃんは、「今日も暑くなるぞー!」と、一人つぶやきながらワンコとの散歩を歩いてきました。

ワンコはお返事してくれませんからね。だけど、一人で声を出して歩いていたら、まるで「変なおじいちゃん」ですね。次は気を付けますね。

今日は、「賃上げが誰のおかげで実現したのか」についてポチポチします。

1.「春闘」の賃上げは30年ぶり

先日の7月5日に、労働組合の全国組織である「連合」(組合員数683.7万人)が、春闘の「(最終)回答集計結果」を発表しました。その内容は以下のとおりです。

第7回(最終)回答集計(2023年7月3日集計・7月5日公表)

定昇込み賃上げ計 3.58%

この結果は、1994年以来およそ30年ぶりの高い水準とだとされています。この結果は立派なものですけど、誰のおかげで実現したのでしょうか?

2.「春闘」での賃上げを望んでいた方々

「春闘」で賃上げを戦っていたのは「連合」(組合員数683.7万人)です。

「労働組合」としては、当たり前の活動です。「連合」も、そこに加盟している「組合員」の方々も、賃上げを切望していたと思います。

しかし、今年の「春闘」で、「賃上げ」を望んでいたのは、「連合」やそこの「組合員」たちだけではありません。

以下の方々も、本気で「賃上げ」を望んでいたのです。

①岸田総理の「賃上げ」発言

岸田総理は、1月4日の年頭の記者会見で、「物価上昇を超える賃上げの実現を」と発言なさっています。

その後の1月5日の経済3団体の新年祝賀会で、「インフレを超える賃上げの実現をお願いしたい」と要請なさっています。

また、4月29日の労働団体主催の「メーデー中央大会」で岸田総理は、以下のように挨拶をなさっています。

「今年の春闘は30年ぶりの賃上げ水準となった。このうねりを地方、中小企業へ広げるべく全力を尽くしていく」

そして、岸田総理は5月15日の経済財政諮問会議で、「構造的な賃上げの実現を政府の最重要課題とする」との考えを示しています。

この他にも、岸田総理は同じようなご発言をなさっているかと思われますね。

岸田総理は、本気で今年の「賃上げ」を望んでいたかと思われます。

②経団連会長の「賃上げ」発言

経団連の十倉会長は、1月19日には、記者会見で「継続的な賃上げは日本社会に必要。今年をその起点にするよう呼びかけていく」と話されています。

また、1月23日の定例記者会見において、「企業の社会的責務として、賃金引上げのモメンタムを維持・強化していく」ことを呼びかけています。

そして、5月22日には、賃上げは「今回1回で終わるものではない」と発言しています。

続けて「重要なことは来年以降もこの賃金引き上げのモメンタム(勢い)を継続させて、いわゆる構造的な賃金引き上げ、これを実現することだと思っています」と語られています。

その他にも、経団連十倉会長は、同じようなご発言をなさっているかと思われますね。

経団連十倉会長も、本気で今年の「賃上げ」を望んでいたかと思われます。

③政労使会議

政労使会議とは、政府(政)、労働界(労)、経済界(使)の代表者が総理大臣官邸に集まって開かれる会議のことです。2023年3月15日に開かれました。

過去には、2014年(平成26年)、2015年(平成27年)に開かれたことがあります。今年は8年ぶりの開催となります。

出席者は、政府からは岸田総理ほか7名、経済界からは十倉経団連会長ほか3名、労働界からは連合会長ほか1名となっています。

この会議で、岸田総理は「賃上げは新しい資本主義の最重要課題だ」とご発言なさっています。

また、中小・小規模企業の賃上げに向け「政府としても政策を総動員して、環境整備に取り組む」とも語られていました。

経団連十倉会長は、会議後に記者団に「今年は持続的な賃上げに向けた起点の年となる。これから本格的な交渉を迎える中小企業にも波及していってほしい」と述べたと伝えられています。

こうやって見ていくと、岸田総理も、経団連十倉会長も、友野連合会長も、そろって「賃上げ」をしたくてしょうがないように見受けられます。

「賃上げ」をすれば、日本経済の問題はみな解決するみたいな雰囲気が漂っていますよね。

だけど、コロちゃんは、「そーかーなー?」って思っているんですよね。

3.三者の考えることは「経済の好循環」」

岸田総理も十倉経団連会長も、そろって「経済の好循環」とおっしゃっています。

「経済の好循環」とは以下のことでしょう。

「賃金が上昇して消費が拡大する」→
「消費が拡大すれば物価が上昇する」→
「物価が上昇すれば、企業の売り上げが増加する」→
「企業の売り上げが増加すれば、企業の利益が上昇する」→
「企業の利益が上昇すれば、賃金が上昇する」→
一番上に戻り、そのループが繰り返される

しかしね、こんなにうまく回るのかなーって、コロちゃんは疑い深いから思っちゃうんですよね。「潜在成長率」も低いですしね。

4.過去の改革を振り返る

よく日本は「空気」の社会だって言われますよね。

皆一丸となって一つの方向に流れていく。そんな事例が日本の歴史を振り返ると何度も繰り返されています。

コロちゃんが、記憶に残っていることは、2005年の小泉政権時の「郵政民営化」選挙です。

当時の小泉総理が街頭演説で「自民党をぶっ壊す!」と獅子吼すると、周りを十重二十重に取りまいた群衆が「ウオー!」と、すごい歓声が上がったことがありました。

この時は、みんなが「郵政民営化」をしさえすれば、日本は改革されて成長するって思いこんでいたんですよね。

もちろん「郵政民営化」が実現した後も、日本は何も変わりませんでした。

また2012年に、安倍晋三氏が当時の民主党から政権を奪い返した時の選挙も、争点は「日銀の金融緩和」でした。

安倍自民党総裁は、いわゆるリフレ派の総元締めとして、「金融緩和をすれば日本は成長できる」と叫んで選挙で勝利し、アベノミクスで「異次元緩和」に突き進みました。

その結果が現在です。「金融緩和」をいくら進めても、日本は成長するように変わらなかったのです。

そして今、取り組んでいることは、「経済の好循環」です。

うまく行くのかなー。
また、以前と同じにダメじゃないのかなー。
なにがホントは悪いのかなー。

5.「賃上げ」の推移

上記で、今年の春闘は最終集計で3.58%の賃上げで、この結果は1994年以来およそ30年ぶりの高い水準だったと書きました。

しかしこの結果は、本来は「賃上げ」とは、あまり関係のないはずの政府や、「賃上げ」を忌避するはずの企業経営者の後押しを得て、やっといただいた3.58%です。

上記しました経緯を見るならば、「連合」は間違っても「勝ち取った」とは言えないでしょう。

そもそも「春闘」と名はついていますが、春に誰と「闘った」のでしょうか?

下記のグラフをご覧ください。

「独立行政法人労働政策研究・研修機構 主要企業春季賃上げ率」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0402.html
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構  統計情報 早わかり グラフで見る長期労働統計  図2 主要企業春季賃上げ率 より(7月12日利用)

上記のグラフは、1956~2022年の「主要企業春季賃上げ率」のグラフです。このグラフの下記の三つつの山を、よく覚えておいてください。

①「1974年(32.9%)」
②「1981年(7.68%)」
③「1990年(5.94%)」

今年の春闘は、5.58%で「30年ぶり」の高い水準でしたよね。上記のグラフで「30年ぶり」かどうか確認してみましょう。

①の山の1974年(32.9%)に、一段と飛び出して高い賃上げは、田中内閣時の「狂乱物価」と言われた時の賃上げです。

1974年の物価指数は23.2%でした。高度成長の最終年でしたから、物価上昇率も高かったのですが、賃上げ率(32.9%)も高かったのです。

②の山は、1981年(7.68%)です。この年前後は、日本が経済規模でアメリカに迫っていた「Japan as No.1」の時代です。

この時代に、アメリカは近くまで追いすがる日本を警戒し始めたと言われています。日本経済がイケイケで絶好調の時代でした。

その後の1985年に、プラザ合意でアメリカによる日本バッシングが始まり、日本は叩き落されます。

③の山の翌年の1991年が、バブル崩壊の年です。その後の日本が進んだ道は「失われた30年」となっています。

主要企業の春季賃上げ率は、1990年(5.94%)以降は、昨年の2022年(2.20%)までずーっと低迷しています。

なるほど、確かに今年2023年の賃上げ(3.58%)は30年ぶりですね。

6.「賃上げ率」が高い年は「争議」も多い

上記のように、「賃上げ」を巡る推移や、今年の「春闘」を見ていると「労組」のだらしなさが目につきます。

今年の「賃上げ」が30年ぶりに高い数字が出たと言って、「連合」が以前より厳しく戦ったとの話は聞きません。

これでは「岸田総理」と「十倉経団連会長」の後押しで、やっと3%以上の「賃上げを出していただいた」と言われてしまいます。

組合員が、高い組合費に見合った成果を得たと言えるのでしょうか。

「30年ぶりに高い賃上げ」だそうですが、それでは、この30年間「労組」は何をやっていたのでしょうか。

下記のグラフをご覧ください。

「独立行政法人労働政策研究・研修機構 労働争議件数の推移」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0702_01.html
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構  統計情報 早わかり グラフで見る長期労働統計 図2-1-1 労働争議件数の推移  より(7月12日利用)

上記のグラフは、1946~2021年の期間の「労働争議件数」の記録です。

これを見ると、争議件数が一番多かったのは1974年(10462件)ですね。もう一つの山は1981年(7660件)でしょうか。

あらら、「1974年」と「1981年」って、どっかで聞いた年だなと思ったら、一つ上の「主要企業春季賃上げ率」のグラフで山が大きな年(①②)と同じじゃあないですか。

一つ上の「主要企業春季賃上げ率グラフ」で、一番賃上げ率が高かった年が「①1974年(32.9%)」でした。この年は、労働争議件数(10462件)も一番多かったのですね。

そして、二番目に賃上げ率が高かった年が「②1981年(7.68%)」でした。この年は労働争議件数(7660件)も二番目に多かったのですね。

この結果は、論理的かつ整合性があります。

「争議が多い年は賃上げ率も高い」
「争議が少ない年は賃上げ率も低い」

そうなると、ここ30年間賃上げ率が低かったのは、闘っていなかっただけのことなのでしょう。

7.「賃上げ」よりも「雇用確保」を優先

日本経済の「バブル崩壊」が1991年です。

その後1997年の「アジア通貨危機」、2000年の「ITバブル崩壊」、2008年の「リーマン危機」、2020年「コロナ禍」と危機は続きました。

その中で、大企業を始めとする労働組合は、「賃上げ」よりも「雇用確保」を最優先事項としたのでしょう。

その本音が、上記のグラフ「主要企業春季賃上げ率」の、過去30年間の低いラインに伺えます。

そして企業経営者は、「賃上げ」をしない代わりに雇用確保を保証し、自然減の補充を正規雇用に切り替えることによって収益を確保したのでしょう。

その結果が、賃金が低位安定する社会を作り出してしまい、日本は成長が出来ない経済となってしまったのだと思われます。

それを変えようとするならば、「労働組合」の皆さんが、「岸田総理」や「経団連会長」のおぜん立ての下で「賃上げを頂く」ようなことをしてはいけません。

正面から「闘って賃上げを勝ち取って」いただきたいと、コロちゃんは考えます。

それが「健全な労使の姿」であり、長期的には「日本経済」のためにもなると思いますよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

🌼Christel🌼によるPixabayからの画像
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