【社会考】「私立大学」全入時代へ

社会

おはようございます。今朝のワンコとの散歩中に空を見上げると、空一面に「うろこ雲」が広がっていました。

「うろこ雲」は、俳句では秋の季語とされるように、秋の空に多くみられる雲です。コロちゃんは、空を見上げながら、「もう秋だなー」って思わずつぶやきました。

足もとでは、ワンコが知らん顔をしながら片足を上げて、オシッコしてましたけど。

今日は、「大学定員割れ5割超」についてポチポチします。

1.「私立大学」定員割れ

報道によりますと、今春入学者が定員割れした全国の4年制の「私立大学」は、全体の53.3%にあたる320校で、過去の調査開始以来初めて5割を超えたと報じられています。

この調査は、全国の私立大学600校を対象に「日本私立学校振興・共済事業団」が調査を行ない、発表したものです。

その発表は以下のようなものでした。

①入学者数        500599人
②入学定員充足率      99.59%
③入学定員充足率100%未満校 320校

「私立大学」全体の「定員充足率」が100%を下回ったのは、これで2021年(99.81%)と今年2023年(99.59%)の2回目となります。

そして今回は、調査対象600校に対して、定員割れの大学が320校(53.3%)と半分以上になったと報じています。。

この報道では、「定員割れ私大」の割合の増加は3年連続だと伝えています。

また、全国を21の地域別で分けた「入学定員充足率」が100%を超えた地域を見てみると、下記の4地域のみとなっています。

①「東京(118校)103.46%」
②「愛知(45校) 103.74%」
③「京都(26校) 101.37%」
④「大阪(53校) 101.38%」

一目見てわかるように、いずれも大都市部ですね。全国50万人強の大学入学者は、都市部に集まる傾向が強いようですね。

参考までに「入学定員充足率」が100%を下回った「ワースト3地域」も見てみましょう。

❶「中国(広島を除く)(21校)81.51%」
❷「東北(宮城を除く)(23校)84.00%」
❸「四国 ( 9校)84.43%」

こちらは、見事に「地方」ばかりとなっています。今年の受験生の入学希望校は、「都市部」に偏っているようです。

報道では、今後も18歳人口は減少が加速する見込みで、将来の「大学入学者数」は2040年に51万人、2050年に49万人になると、文部科学省が推計したと報じています。

「私立大学」の定員が現状のままだとすると、将来的には2割分が過剰となるとも報じています。

なお、この「日本私立学校振興・共済事業団」の調査報告書「令和5(2023)年度私立大学・短期大学等入学志願動向」をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.shigaku.go.jp/files/shigandoukouR5.pdf

2.「大学全入時代」の到来

上記の発表では、今年の「私立大学入学定員充足率」が99.59%だったと報じられています。ということは、大学を選ばなければ、必ずどこかには入学できるということになります。

もちろん、有名大学とその他大学との差はあるのでしょうけど、今の世の中では「大卒」と「高卒」との間には大きな谷が存在すると、コロちゃんは考えています。

コロちゃんは、自身が「低学歴」だっただけに、その悲哀をかみしめて生きてきましたから、今の若者たちにはできるだけ「大学」を目指して欲しいのです。

3.「高卒」と「大卒」の賃金格差

まず、大卒と高卒のわかり易い比較として「賃金格差」があります。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省  学歴、性、年齢階級別賃金 男性」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/dl/03.pdf
出典:厚生労働省 学歴別にみた賃金 より(9月3日利用)

上記のグラフは、男性の「学歴・年齢階級・性別の生涯賃金」の推移です。

生涯で賃金がピークとなる年齢は、「高卒男性」で50~54歳(353.7万円)、「大卒男性」で50~54歳(526.6万円)です。

「高卒男性」の平均賃金は、最大でも400万円には届かないのです(50代最大額353.7万円)。18~22歳に選択した「高卒」と「大卒」の学歴の違いは、このように生涯にわたって影響しています。

次に、女性のグラフを見てみましょう。

「厚生労働省  学歴、性、年齢階級別賃金 女性」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/dl/03.pdf
出典:厚生労働省 学歴別にみた賃金 より(9月3日利用)

上記のグラフは、女性の「学歴・年齢階級・性別の生涯賃金」の推移です。

男女の賃金格差が大きいことがハッキリ見て取れます。「高卒女性」の賃金は生涯にわたって200万円台にとどまります。

「高卒女性」の年収の、生涯の最大額は45~49歳(234.0万円)と55~59歳(234.0万円)です。

これでは生活することで精いっぱいの金額ではないでしょうか。

「大卒女性」は、最大額50~54歳(382.0万円)ですが、これでも余裕のある生活は望めないのではないかと、コロちゃんは思いますね。

4.「高卒」と「大卒」の生涯賃金

上記で、生涯にわたる「高卒」と「大卒」の「賃金格差」を見てきました。そうなると、当然のこととして一生涯の所得である「生涯賃金」も大きな差が出てきます。

次にその「生涯賃金」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「労働政策研究・研修機構  生涯賃金など生涯に関する指標」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf
出典:労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2019 21 生涯賃金など生涯に関する指標 より(9月3日利用)

上記のグラフは、男性の最終学歴別の「生涯賃金」の推計値ですが、以下のように大きな差があります

〇「中学卒     2.39億円」
〇「高校卒     2.54億円」
〇「高専・短大卒  2.63億円」 
〇「大学・大学院卒 3.28億円」

「高卒男性」の2.54億円に対し、「大学・大学院卒男性」は3.28億万円と、大きく上回っています。

なんとこの推計では「大学・大学院卒男性」の方が、「高校卒の男性」よりも、7400万円も上回っているのです。

「女性」については、上記と同じ「退職金を含む」グラフが見つかりませんでした。

しかし、「退職金を含まない」グラフがありましたので、下記に見てみましょう。

「労働政策研究・研修機構  生涯賃金など生涯に関する指標」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf
出典:労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2019 21 生涯賃金など生涯に関する指標 より(9月3日利用)

上記のグラフの棒グラフの内、右側の黒い方が「女性」です。

左側の灰色のグラフ(男性)に比べると、低いものの、女性の黒い棒グラフを比べると、以下の様に明らかな差が見られます。

〇「高校卒    1.85億円」
〇「高専・短大卒 2.01億円」
〇「大学卒    2.47億円」

「高卒女性」は、「大卒女性」に比べて、生涯賃金では6100万円も低いのです。

コロちゃんは、この大きな格差はひどいと思いますが、これが日本の現実なわけですから、できるだけ多くの皆さんに「大学」を目指して欲しいと思いますね。

5.「高卒」と「大卒」と非正規雇用

現在の日本では、「非正規雇用」の方が増えている事は皆さんもご存じの通りです。

2023年4~6月の役員を除く「雇用者数5733万人」のうち、「非正規雇用者は2090万人(36.5%)」となっています。
(総務省統計局労働力調査2023年8月8日発表)

「非正規雇用」の「低賃金」や「社会保障がない劣悪な労働条件」は、もう皆さんがご存じの通りです。

「高卒」と「大卒」で、その後の就職に「正社員雇用」と「非正規雇用」の大な差が生じているのです。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府  学歴別の若年非正規雇用者比率の推移」より

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/20150827_27zen17kai4.pdf
出典:内閣府 図6 学歴別の若年非正規雇用者比率の推移 より(9月3日利用)

上記のグラフは、内閣府のホームページにある「非正規雇用」の学歴別の割合です。

「中・高卒女性」の「非正規率」は60.0%近いんです。「大学・大学院卒女性」は20%台ですから、倍以上の差となっています。

「中・高卒男性」の「非正規率」も20.0%を超えています。「大学・大学院卒男性」は10.0%台ですから、こちらも大きな差があります。

このグラフの横に、以下の様な記載があります。

「非正規雇用比率を学歴別にみると、一貫して、低学歴の者ほど高い。」

「25-34歳層では、明らかに学歴間の差が広がっており、低学歴であるほど非正規雇用になりやすい傾向が強まっている。」

このような「社会の現実」を18歳の時点で知っていたならば、若者は無理をしても「大学入学」を目指そうとするのではないでしょうか。

コロちゃんは、このような現実はおかしいと思いますよ。高卒でも、結婚して子どもを持って家を建てて車をもって、「幸せな家庭を築ける社会」であってほしいですよ。

しかし、現実の日本社会は、そうではなくなってしまったようです。

最後に「結婚」について見てみましょう。

6.「高卒」と「大卒」と結婚

次は、内閣府がホームページで公表している「教育別生涯未婚率」のグラフを見てみましょう。このグラフには、「男性」と「女性」のグラフがあります。

〇「教育別生涯未婚率」男性

まずは「男性」の「教育別生涯未婚率」を見てみましょう。下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 男女共同参画白書 教育別生涯未婚率」より

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-20.html
出典:内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書 第1-特-20図 生涯未婚率の推移 教育別生涯未婚率 より(9月3日利用)

上記のグラフは、男性の「教育別生涯未婚率」の推移です。

このグラフは、以下の10年ごとの数値です。

〇平成2年 (1990年)
〇平成12年(2000年)
〇平成22年(2010年)

そのうちの平成22年(2010年)の数値を下記に書き出します。

●2010年「教育別生涯未婚率」
〇小学校・中学校卒 35.2%
〇高校・旧中卒   20.6%
〇短大・高専卒   17.2%
〇大学・大学院卒  13.8%

上記のように男性の「生涯未婚率」は、学歴が低いほど高くなる関係性にあるのです。

ただ、この数値は2010年発表ですから、現在ではもっと学歴の低い方の未婚率が高くなっているかもしれません。

〇「教育別生涯未婚率」女性

続いて「女性の教育別生涯未婚率」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 男女共同参画白書 教育別生涯未婚率」より

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-20.html
出典:内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書 第1-特-20図 生涯未婚率の推移 教育別生涯未婚率 より(9月3日利用)

上記のグラフは、女性の「教育別生涯未婚率」の推移です。

このグラフも、以下の10年ごとの数値が出ています。

〇平成2年 (1990年)
〇平成12年(2000年)
〇平成22年(2010年)

こちらのグラフも、男性と同じように、いずれの年でも学歴が高い方が「生涯未婚率」は低くなっています。

平成22年(2010年)の数値を下記に書き出します。

●2010年「教育別生涯未婚率」
〇小学校・中学校卒 15.5%
〇高校・旧中卒    8.6%
〇短大・高専卒    9.8%
〇大学・大学院卒  12.8%

上記の女性の「教育別生涯未婚率」は、やはり「男性」と同じく「小学校・中学校卒」が一番高くなっています。

ただ、「大学・大学院卒」の女性の「生涯未婚率」が、2番目に高いことには別の理由がありそうですね。

コロちゃんは、職場のキャリアを重視する女性が一定数いらっしゃるのかな、と考えましたがどうでしょうか?

そして、学歴に関わらず「生涯未婚率」の数値は、時の経過とともに、だんだん高くなっているのです。ただ「男性」と比較すると、まだ「女性」の方の上昇のカーブは緩いですね。

上記しましたように、現在の日本では、極めて残念なことに「結婚」という生涯の大切なイベントが、「学歴」によって決まってしまう「社会」となってしまっているのです。

「大学」へ進学することが、将来に「結婚」できるかどうかの第1歩となっているのが現実なのです。

このような社会なのですから、18歳の時点で将来の進む方向に迷っている方には、できるだけ「大学進学」することを、コロちゃんはお勧めします。

7.コロちゃんが「生きてきた年代」と「現在」

コロちゃんは、もうすぐ70歳になる年金生活者です。

コロちゃんが、青年として生きてきた時代は1970年代でした。その時代は今から思えば「高度成長」から「安定成長」と呼ばれた「低成長の時代」へと移行していった過程でした。

今から思えば、当時は大学進学率も今ほど高くはなく、女性は短期大学を目指す方も多く、その方たちの多くは、就職して数年後には結婚して家庭に入って「専業主婦」となっていきました。

そして、その時代は「高卒」でもそれなりの所得があり、やがてその多くは結婚して子どもを持ち、良き父母となっていきました。

今から、振り返れば「昭和」の古き良き時代だったのと感慨を持ちますが、その当時と現在の日本社会を比べると、その落差に愕然とします。

まず、職業が「正規雇用」と「非正規雇用」に、はっきりと分かれてしまっています。その両者の落差は、まるで貴族とその配下のようです。

2021年の「非正規雇用労働者」は、男性652万人(21.8%)、女性1413万人(53.6%)です(内閣府男女共同参画局)。

男性は5人に1人、女性は2人に1人が「非正規雇用」なのです。

そして「非正規雇用」の所得は著しく低いのです。男性が226万円、女性が152万円となっています。(国税庁民間給与実態統計調査令和元年)

これでは、結婚して子どもを持つという最低限の人間の生き方ができなくなっています。

昭和の時代にはそうではありませんでした。

記録を見てみると、未婚割合の差は以下の通りです。

「未婚割合(内閣府令和3年版少子化社会対策白書)」
〇1970年 男性 1.7%、女性3.3%
〇2015年 男性23.4%、女性14.1%

1970年代の若者は、上記の数字を見るとわかるように、ほとんどの若者が結婚はできていたのです。

上記のように考えていきますと、これからの若者が目指すべき着地点は「正規雇用」を確保することになると考えるのが自然の流れです。

「大学全入時代」が来たのならば、様々な困難があろうとも、借金(奨学金)してでも「大学」への入学と卒業を目指すべきだと、コロちゃんは考えます。

これからの若者はどんどん「大学」を目指してもらいたいものだと、コロちゃんは心から願います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

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