【経済考】「企業物価指数」をご存じですか?

経済

おはようございます。今朝は、朝からどんよりとした雲が厚く空を覆っていました。どうやら「梅雨」らしい天気が戻ってきたようです。

今日のワンコは、ご機嫌が悪かったらしく、一向に歩こうとしません。このワンコは、最近このように歩くのを嫌がることが、ちょくちょくあるんですよね。

まぁ、もう14歳の「お年」ですから、人間で言えば72~103歳になるそうです。あらら、コロちゃんは、もうすぐ70歳ですから、ワンコの方が年上ですね。

これからは、「ワンコ様」と呼ぼうかな?
(* ̄m ̄)プッ

きょうは、「企業物価指数」についてポチポチします。

1.「企業物価指数」とは何か?

「企業物価指数」とは、「日本銀行」が算出して毎月公表しているものです。

「企業物価指数」には、「国内企業物価指数」と「輸入物価指数」「輸出物価指数」の三つがあります。

通常「企業物価指数」と言われているものは、私たちに関係の深い「国内物価指数」です。

調査品目数は515品目で、企業間で取引される財の価格変動を測定しています。

この「企業物価指数」と「消費者物価指数」の数値を品目別に比較すると、企業が価格転嫁を進めているかを把握できるとされています。

コロちゃんは、そんなに深くこれらの数字の分析はできませんので、ざっくりと全体的傾向を見るだけです。

それでは、2023年の「企業物価指数」の上昇率を見てみましょう。

1月 プラス9.5%
2月 プラス8.2%
3月 プラス7.2%
4月 プラス5.8%
5月 プラス5.1%
6月 プラス4.1%

下記のグラフをご覧ください。

「労働政策研究・研修機構 物価指数の推移」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0107.html
出典:労働政策研究・研修機構 主要労働統計指標 物価指数の推移 より(7月13日利用)

上記のグラフをご覧ください。赤い■が「消費者物価」で、白抜きの□が「国内企業物価」です。

白抜き□(国内企業物価)が、2022年12月をピークとして、だんだんと白抜き□のグラフが下がってきているのが確認できます。

上記のグラフの白抜き□が、今年に入ってからの「企業物価指数」の動きですが、これの価格転嫁が進むと「消費者物価指数」が上昇します。

それでは、次に「消費者物価指数」を見てみましょう。

2.「消費者物価指数」の動き

先月の6月23日に、総務省統計局が「家計調査」に基づいて、「消費者物価指数」(CPI)を発表しています。

以下に今年の「消費者物価指数」(CPI)を記載します。「変動の大きい生鮮食品を除く総合指数」です。

1月 プラス4.2%
2月 プラス3.1%
3月 プラス3.4%
4月 プラス3.4%
5月 プラス3.2%

下記のグラフををご覧ください。

「総務省統計局 消費者物価指数5月分」より

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
参照:総務省統計局 報道資料(令和5年6月23日付け)2020年基準 消費者物価指数 全 国 2023年(令和5年)5月分より(7月13日利用)

一つ上のグラフの「企業物価指数」と比べると、今年2023年の「消費者物価指数」(太い黒の実線)の伸び率はだいぶ低くなっています。

コロちゃんは「消費者」の一人ですが、「消費者物価指数」が低い方が助かります。

しかし、「企業物価指数」に比べて「消費者物価指数」が低いということは、企業の「価格転嫁」が進んでいないことを示します。

「企業」としては、「価格転嫁」が進まなければ、企業収益が伸びずに「賃上げの原資」がないということに繋がります。

それでは「経済の好循環」の方程式をもう一度見てみましょう。

3.「経済の好循環」の方程式

「経済の好循環」は、以下のことだと思われます。これは、他のブログ記事でも出していますね。何度も出してすみません。

①「賃金が上昇して消費が拡大する」→
②「消費が拡大すれば物価が上昇する」→
③「物価が上昇すれば、企業の売り上げが増加する」→
④「企業の売り上げが増加すれば、企業の利益が上昇する」→
⑤「企業の利益が上昇すれば、賃金が上昇する」→
一番上に戻り、そのループが繰り返される

この方程式が、もし成立するならば、現在は③「物価が上昇すれば、企業の売り上げが増加する」のところです。

しかし、どうやら多くの「企業」は、売り上げの減少を恐れて「価格転嫁」を躊躇しているのではないかと思われます。

③「物価が上昇すれば、企業の売り上げが増加する」

この方程式は、「物価が上昇しても、消費者は以前と同じ消費行動をする」のが前提となっています。

しかし、現実には、消費者は物価上昇からの「生活防衛」の為に、消費活動を減少させています。

これでは、物価が上昇しても、企業の利益が増えずに「経済の好循環」が成立しません。

それでは次に、この「経済の好循環」の最初の①「賃金が上昇して消費が拡大する」が、成立しているのかを見てみましょう。

4.「実質賃金」の推移

厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」からの、今年2023年の「実質賃金」の推移は以下の通りです。

1月 マイナス4.1%
2月 マイナス2.6%
3月 マイナス2.9%
4月 マイナス3.0%
5月 マイナス1.2%

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 毎月勤労統計調査」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2305p/dl/pdf2305p.pdf
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年5月分結果速報  より(7月13日利用)

上記のグラフを見てもわかるように、実質賃金は、昨年中も今年に入ってからもマイナス域をジグザグしています。

これでは「経済の好循環」の方程式の、①「賃金が上昇して消費が拡大する」が成立しません。なにしろ「実質賃金」が上昇どころかマイナスなのですからね。

しかし、最後の2023年の5月の数値が、「マイナス1.2%」と、やや上向きの動きになっていることは期待できます。

4月以降は、春闘の「賃上げ」の結果が反映されてきます。その「賃上げ」がどのくらい「実質賃金」に影響するか、来月以降に期待するしかないですね。

5.「消費支出」は拡大しているの?

総務省は、7月7日に、5月の「家計調査」を発表しました。これを読むと、2人以上の世帯の「消費支出」がわかります。

「経済の好循環」の方程式は、①「賃金が上昇して消費が拡大する」です。それでは、その「消費が拡大」しているかどうかを見てみましょう。

今年に入ってからの毎月の「消費支出」は以下のとおりです。

1月 マイナス0.3%
2月 プラス 1.6%
3月 マイナス1.9%
4月 マイナス4.4%
5月 マイナス4.0%

下記のグラフをご覧ください。

「総務省統計局 家計調査」より

https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
出典:総務省統計局 家計調査報告 二人以上の世帯 2023年5月分より (7月13日利用)

上記のグラフで、「消費支出」の2月がプラス1.6%となった理由は、新型コロナの行動制限がなくなったことで、外出が増えたことのようです。

それ以外の月の「消費支出」がマイナス域で推移していることは、物価上昇の下で多くの方たちが「生活防衛」に入っていることを伺わせます。

この数字を見る限りは、①「賃金が上昇して消費が拡大する」は成立していません。「賃金」も「消費」もマイナス域です。

まあ、「実質賃金」がマイナス圏である以上は、当然「消費」もマイナス圏を上下するのも当然ともいえるのでしょう。

「消費支出」のマイナスは、高水準で続いています。この数字が上向かないと「経済の好循環」が成立しません。

6.「経済の好循環」どころか「インフレの入り口」

上記のように「企業物価指数」「消費者物価指数」「実質賃金」「消費支出」の4つの数値を見てきました。

これらの数値を見ていくと「日本経済」に「経済の好循環」が生まれているのかがわかるのです。

しかし、現在のところ「企業物価指数」の伸び率に比べると、「消費者物価指数」の伸び率は低く、企業側は、コスト上昇分を商品価格に転嫁できていません。

おそらく企業側としては、安易に価格転嫁すれば、企業間の競争に負けてしまう恐れから「価格転嫁」ができない状況なのでしょう。

その結果「企業物価指数」が上昇しても、「消費者物価指数」が上昇しないという現象となっているのでしょう。

しかしこれでは、企業収益が低下して、「賃上げ」の原資を得ることはできません。「経済の好循環」が成立しません。

ましてや「実質賃金」と「消費支出」が、両方ともにマイナス圏では、「経済の好循環」どころではなく、庶民にとっては「生活危機・生活防衛」の瀬戸際になってしまっています。

特に、コロちゃんが危機感を持って見つめたのは「企業物価指数」の大幅な上昇です。

「企業物価指数」は、「消費者物価指数」の先行指数と言われ、経済の体温計とも言われています。

その「企業物価指数」を見ていると、「デフレ脱却」どころか、「インフレの入り口」に立っているようにも見えてきます。

政府も日銀も、この「消費者物価指数」は、2023年度後半(9月以降)には下がると予想していますが、コロちゃんは、その予想が当たることを心から願っています。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい

Engin AkyurtによるPixabayからの画像

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました