【闘病考】コロちゃん妻、肺がんになる(その4)

闘病

残された時が少ないことは、妻もみんなもわかっていましたが、時間は否応なく流れていきました。コロちゃんと妻、そして子たちとの別れの時が近づいてきました。

19.自宅での緩和ケア体制の構築

妻の今後の生活は、訪問看護を受け入れての自宅での緩和ケアを選択しました。緩和ケア病院に入院すると、コロナ過の中では、面会が一切できない状況だったのです。

それ以上に、コロちゃんは自分で介護をしたかった。若い時からずっと一緒に長い道を歩いてきた妻と、最後までともに歩いていたかった。

自宅で最期の日々を過ごすために、みなが走り回ります。

病院の退院支援看護師とケアマネージャーと相談をして、訪問医師、訪問看護師、訪問薬剤師の手配を行い、入浴看護や生活リハビリもお願いしました。

この時の妻の状況は、立てない・歩けない・寝返りできない。トイレ・洗面も補助が必要でした。ただ、食事は自分でできてました。

コロちゃんは、親族とも連絡を取り、妻の姉妹と最後の面会の手配をしました。

20.息子たちの毎週の帰省とテレワーク

妻の上下肢麻痺は徐々に進行していきました。介護の内容がだんだん増える中、総力戦で皆が支えてくれます。

月金は「掃除介助」と「訪問リハビリ」、火木は「デイケア」でリハビリ、土は「シャワー浴介助」。病状が進行すると「訪問入浴」もお願いしました。夕食は「宅配弁当」です。

子どもふたりも、それぞれ毎週金曜日に帰省宿泊と、隔週のテレワーク帰省で支えてくれました。総力戦で戦う中で、コロちゃんの身体に異変が襲います。

21.コロちゃん圧迫骨折ふたたび

もう歩けなくなった妻の移動のために、持ち上げて室内車いすに移す行為を繰り返すことで、コロちゃんの腰の負担が限界を超えてしまったようでした。

妻が食事がとれなくなってから2週間が過ぎたころです。コロちゃんが妻をいつものように「よいしょ!」と持ち上げた時に、腰から「ごりっ‼」という響きと、鋭い痛みが走ります。

コロちゃんは、妻を抱えたまま一緒にベッドから転げ落ちました。何とか二人でベッドの上に戻り、コロちゃんは妻に謝りました。

「すまんな、もう持ち上げるのはできなくなっちゃった」。妻はもうその時には、ほとんどしゃべれなくなっていましたが、悲し気にうなずいていました。

それまでも、コロちゃんと妻のがんとの治療は戦いでしたが、さらに「闘病」の色彩を強めました。

コロちゃんは、この腰の痛みが全身を貫く中で介護を全うすることにすべてを賭けようと思いました。すべてを投入するのです。そのために生きるのです。その先にこそコロちゃんの人生があります。

22.最後は家族の見守る中で

どんなにつらくとも、どんなに苦しくとも、どんなに悲しくとも、いずれ最後は訪れます。

もう食事をとれなくなって3ヶ月が過ぎたある日のことでした。

朝いつものように、コロちゃんが妻の洗面を終えて、ほっと休んでいると、ゴーゴーと荒い息をし始めました。これはおかしいと医師に連絡しました。

すぐ来てくれた医師は「24時間持つとは思えない」との宣告です。

コロちゃんは、すぐに子どもたちに連絡を取り、二人がその夜には集まりました。妻はもう言葉はしゃべれませんが、声をかけると目にはまだ力があるかのように感じられました。

リビングルームに介護ベッドと布団を敷いて見守ります。夜10時頃に全員で就寝します。深夜1時ごろに長男が「息がおかしい!」と叫びます。

妻は、荒い息を深く繰り返していました。次男が二階からドドドッと駆け下りてきます。

ベッドの両脇に長男と次男が立ち、妻の両手を握ります。「ありがとう、ありがとう、幸せだったよ」皆で声をかけます。妻は一度目を見開いてから、静かに目を閉じました。

妻の息は、静かに止まりました。

コロちゃんは、声も出せずに、ただ滂沱の涙を流すことしかできませんでした。

23.妻の2年9ヶ月の闘病とコロちゃんの思い

あらためてこの文章を書いていて、妻の最後の日々となった2年9か月を追体験した思いです。コロちゃんは、何度も涙を流しながらキーをたたきました。

今でもいろいろ思いが高じると涙がにじむことがあります。しかし、生きている人間は未来があります。後ろを振り返らない。これはコロちゃんのポリシーです。

それに、なによりもくよくよ泣いていれば、妻にお尻をけ飛ばされてしまいます。

そういう心の強い女性でした。

学歴もなく、おとなしくもなく、知性もあまりなく(怒られるかな)、ざっぱくな性格でしたが、どんなことがあっても、くじけず、負けず、下を向かない、強い個性的な女性でした。

そのキャラをコロちゃんは大好きでした。

妻とコロちゃんは、性格は真逆でしたが、ともに歩いているとぴったり息が合っていたんです。

妻は、コロちゃんが一番尊敬した女性です。そして今でも大好きです。合掌。

24.「闘病記」をお読みの皆様へ

ここ10年近くにわたり戦われた「コロちゃんの闘病記」をお読みいただいた皆様、ありがとうございます。

拙い文章ですし、あまり皆様の興味のわかない話題かもしれませんが、同じような悩みを抱えていらっしゃる方に、いくらかでも情報と力を分けられればと思いながら、この文章をつづりました。

キーをたたきながら、感情に走って涙したことも何度もありました。うまく伝えられない己の未熟さにも呻吟する思いを抱いたことも多かったですが、いささかでも皆様のお力になれば幸いです。

まだ、いろいろ書くことはあるかもしれませんが、とりあえず「闘病記 本編」の筆をおきます。

ありがとうございました。


コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に触りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

本稿は以下からの続編になります。
【闘病考】コロちゃん妻、肺がんになる(その1)
【闘病考】コロちゃん妻、肺がんになる(その2)
【闘病考】コロちゃん妻、肺がんになる(その3)

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