【経済考】子どもの「教育費」とその周辺事情

経済

おはようございます。今朝は、朝から暑くなって来ました。真夏の太陽は、「ワンコの散歩の敵」ですね。

ちょっとでも時間が遅れると、たちまち強烈な太陽がギラギラと暑さをもたらして来ます。

今日は、あんまり暑くならないといいんですが、そうはいきませんよね。昨日同様暑くなりそうです。コロちゃんは、「熱中症」に気を付けて家の中に籠っています。

今日は、「大学の教育費」についてポチポチします。

1.大学も少子化の影響

コロちゃんは、今朝新聞をバサバサ読んでいましたら、「少子化加速、迫る大学淘汰」の記事を見つけました。

文部省は、2022年に63万人だった大学入学者数が、2040年に52万人、2050年に49万人になる推計を示したと報じています。

しかし、この推計値は、「国立社会保障・人口問題研究所」の推計値を使っています。

その推計値では、2040年の18歳人口の推計値を82万人としていますが、その時点の2040年に18歳なる人口は、もう決まっているんですよね。

そうです、昨年2022年に生まれた子どもは、2040年に18歳になるのです。昨年の出生数は79万人です。

既に2040年に82万人という出生数推計の数字は、2022年に誕生した79万人に下振れが確実となっているのです。

さらに大学進学率については、現在の50%台半ばから60%まで伸びるとしており、この数字も危ぶまれています。

大学の学費や生活費を考えると、今後大学進学率が上昇するかどうかは、ちょっとわかりません。

いずれにしろ少子化の進行で、大学へは入学しやすくなるか、一部の有名大学への競争が激しくなるかもしれません。

そして、地方の大学の中には廃校を考えるところも出てくるかもしれません。

下記のグラフをご覧ください。

「文部科学省 大学短期大学数の推移」より

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000245155.pdf
出典:文部科学省 中央教育審議会大学分科会(第174回)会議資料 参考資料集 大学・短期大学数の推移 より(7月15日利用) 

上記のグラフは、「大学・短期大学数」の推移です。

このグラフを見ると、「大学・短期大学数」がピークだったのは、2001年(平成13年)です。

2001年以降は、主に短期大学(ブルーの棒)が4年制大学化や廃止により減少し、2002年(平成14年)以降は、4年制大学・短大も減少となりました。

また、国立大学も2004年(平成16年)以降は減少しています。

このように見ていくと、少子化の後を追いかけて、大学数が減少しているようにも見えますね。

2.「大学全入時代」が来る?

コロちゃんは、「大学の定員」と「大学入学者数」の最新の数字をポチポチ調べてみましたが、今年の分は見つけられませんでした。

しかし、昨年2022年には「定員」と「入学者」の数は2万人差まで縮まっているとありました。今年2023年には、すでに逆転しているのかもしれません。

いよいよ「大学全入時代」の到来です。

コロちゃんは、子どもたちの大学進学は、できるだけ進めた方が良いと考えています。

コロちゃん自身は、事情があって大学進学はしませんでしたが、「教育は尽きることのない資産」だと考えているからです。

3.「教育とは、決して盗まれることのない財産である」

この小見出しの言葉「教育とは、決して盗まれることのない財産である」とは、池上彰さんの著作でよく見かける言葉です。

コロちゃんは、池上彰氏の著作は好きでずいぶん読んできましたが、その内容の中で、とりわけ印象に深く残っている言葉がこれです。

コロちゃんは、この言葉が大好きなのです。

「教育」という「資産」は、一度身に着けると奪われることがありません。

もちろん「教育」を身に着けても、十分生かせていない方もいると思いますが、それでも「教育」がなければ、人生の「ドア」を広く開けるチャンスを得られないことが多いと思っています。

しかし、現在の日本の社会では「高所得層」でなければ「教育」の扉を開くチャンスが限りなく小さくなってしまっているようです。

「格差」が進行している日本だからこそ、せめて「教育の場」だけは、「所得格差」が影響しないようにシステムを変えて欲しいと、コロちゃんは痛切に感じます。

4.大学進学率の推移

上記の文部科学省が出した推計では、2040年以降に大学への進学率が、現在の50%台半ばから60%まで伸びると発表しています。

この発表では、「低所得世帯向けの奨学金拡大」により進学率が上昇するとしています。

それでは、大学進学率の推移を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「文部科学省 18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移」より

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000245155.pdf
出典:文部科学省 中央教育審議会大学分科会(第174回)会議資料 参考資料集 18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移より(7月15日利用)

上記のグラフは、「18歳人口と高等教育機関への進学率等の推移」です。

白抜きの棒が18歳人口です。昭和41年(1966年)~43年(1968年)が飛びぬけて高いのをご確認ください。

これが「団塊の世代」の18歳の姿です。この時代の青年は激烈な競争の中で育っていったのです。

しかしこの時代の大学進学率は低く、10%台後半から20%そこそこです。

18歳人口(白抜きの棒)の二つ目の山が、1991年(平成3年)、1992年(平成4年)です。

これが「団塊ジュニア世代」です。

おりしも、バブルの崩壊は1991年です。

この「団塊ジュニア世代」を含んだ1970~1982年に生まれた世代は、「就職氷河期世代」と呼ばれました。

上記のグラフでみると、現在の2023年(令和5年)は、既に18歳人口が減少期に入っています。今後右肩下がりに18歳人口は減少していきます。

そして、大学進学率が(2022年・令和4年)には56.6%となっています。

「少子化」と「貧困化」が進行する中で、この56.6%が、60%にまで上向くとの文部省の推計は、ちょっと甘すぎるとコロちゃんは考えますね。

よほどの「経済的援助」でもなければ難しいでしょうね。

それでは、この進学率について男女別に詳しく見てみましょう。

男女の進学率

下記のグラフをご覧ください。

「文部科学省 男女別・18歳人口と大学進学率等の推移」より

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000245155.pdf
出典:文部科学省 中央教育審議会大学分科会(第174回)会議資料 参考資料集 男女別・18歳人口と大学進学率等の推移 より(7月15日利用)

上記のグラフは「女性の大学進学率」です。

一目見てもわかるように、女性の大学進学率(赤い線)は右肩上がりに上昇しています。女性の「大学進学率」は、2022年(令和4年)には53.4%まで上がってきています。

ただ、「大学入学者数」(黄色の棒)は、2012年(平成24年)以降、やや増加した程度です(2.6万人増)。

18歳人口の減少が、見かけ上「大学進学率」を上昇させている要素のほうが大きそうです。

上記のグラフの53.4%をを、60%に上げようとする文部科学省のお考えは、現在の「貧困化」の進行を考えると、大きな「経済的援助」でもなければ難しいと思います。

下記のグラフをご覧ください。

「文部科学省 男女別・18歳人口と大学進学率等の推移」より

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000245155.pdf
出典:文部科学省 中央教育審議会大学分科会(第174回)会議資料 参考資料集 男女別・18歳人口と大学進学率等の推移 より(7月15日利用

上記のグラフは「男性の大学進学率」ですが、「大学入学者数」(黄色の棒)は、2011年(平成23年)~2022年(令和4年)まで変化がありません。

こちらのグラフも、女性のグラフと同じように、18歳人口の減少で、見かけ上「進学率」が上昇した要素がありそうです。

しかし、大学進学率が上昇することは、どんな理由でも良いことだとコロちゃんは考えています。

上記のグラフの「大学進学率」59.7%は、あと一息で60%に届きます。

文部科学省が、18歳若者への大きな「経済的援助」を考えてくだされば、こちらの方は、目標とする60%に届く可能性があるかと思います。

次には、日本の若者の「大学進学率」が、国際的にはどのような位置にあるのかを見てみましょう。

5.「日本の高等教育」と「OECD諸国」

それでは、日本の高等教育の国際な位置を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「文部科学省 高等教育段階における進学率」より

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000245155.pdf
出典:文部科学省 中央教育審議会大学分科会(第174回)会議資料 参考資料集 高等教育段階における進学率 より(7月15日利用)

上記のグラフは、高等教育への進学率のOECD諸国のものです。

「短期大学」「専門学校」を含めた高等教育全般のランキングでは、日本はトップとなって立派なものです。もちろんここには「大学」も入っています。

それでは、次に「大学学士課程又は同等レベル」への進学率ランキングです。

下記のグラフをご覧ください。。

「文部科学省 高等教育段階における進学率」より

https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000245155.pdf
出典:文部科学省 中央教育審議会大学分科会(第174回)会議資料 参考資料集 高等教育段階における進学率 より(7月15日利用)

上記のグラフの「大学学士過程又は同等レベル」ランキングでは、日本はちょうどOECD諸国の平均に位置しています。

かつては、経済において世界第2位のランキングに位置したこともある「日本」としては、ちょっと物足りないランクです。

このOECD各国の「進学率」を見ると、韓国は60%台後半です。日本がせめて60%にはしたいという文部科学省の気持ちもよくわかります。

日本は、もっと大学進学を推し進める政策を行なうべきだと、コロちゃんは考えますね。

6.大学の教育費を調べてみる

高校卒業段階で、その後に就職するか大学進学を選択するのかの、岐路に立った時に、一番頭を占めるのは、大学教育の費用でしょう。

その「大学教育費用」がどのくらいかかるのかを、ちょっと調べてみました。

データは、「東京私大教連」の「2022年調査」です。調査名は「私立大学新入生の家計負担調査2022年度」となっていました。

この調査の冒頭には、「わが国では、大学生の75%、約226万人が私立大学・短期大学で学んでいます。学校数でも82%を占め」ていると冒頭に記しています。

調査対象は、「東京(7校)、埼玉(1校)、千葉(1校)、栃木(2校)」となっています。いずれも首都圏の大学ですね。

①「受験から入学までの費用」

○自宅外通学者は、225万5380円

○自宅通学者は、161万2280円

②「仕送り額」「家賃」「生活費」

○「仕送り額」の平均は、「5月」が10万2600円。「6月以降(月平均)」が 8万8600円

○「家賃」の平均は、6万7300円

○一日あたりの生活費を算出すると710円(2万1300 円÷30 日)

③次年度からの「授業料+施設整備費」

上記の調査は、初年度の調査を毎年行っている模様で、次年度以降の負担額は調査していませんでしたので、コロちゃんがポチポチと「1年間の授業料+施設整備費」をざっくりと調べてみました。

○国立・公立 55万円
○私立文系  90万円
○私立理系  130万円

ここまで調べながらポチポチして、がっくりと疲れました。いやいや、これは大変ですよ。

受験生もいろいろと苦労が大きいでしょうけど、お父さんお母さんもなお大変ですね。

④大学卒業までいくらかかるの?

1人の大学生の4年間の費用を計算しようとすると、「自宅通学」「自宅外通学」や大学の「国公立」「私立文系」「私立理系」など、いろいろとパラメーターが分かれます。

コロちゃんは、大学卒業までにお一人当たり、ざっくり見て400~700万円はかかりそうと、思いました。

「国立・公立」が比較的お安く済むのですが、そこはなかなか試験突破が難しい難関校ばかりです。

現在の社会状況では、「国立・公立」大学の学生は、親御さんの所得が高い層ばかりになっているようです。

ポチポチ簡単に調べただけで、以下の情報が出てきました。

「独立行政法人 日本学生支援機構の『令和2年度学生生活調査結果』にある家庭の年間収入別学生割合(大学昼間部)によると、国立大学に通う学生の家庭の年間平均収入額は856万円です」

何とも、世知辛い世の中になってしまったと、コロちゃんはため息をつきました。日本は、もっと大学進学へ大きな予算を投じるべきだと思います。

7.大学生への教育投資は成功するのか?

上記のように、大学への進学には多額の金銭が必要となります。それでは、その教育投資がその後どのように報われているのかを調べてみました。

下記のグラフをご覧ください。

「労働政策研究・研修機構  生涯賃金など生涯に関する指標」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf
出典:労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2019 21 生涯賃金など生涯に関する指標 より(7月15日利用)

上記のグラフは、男性の最終学歴別の「生涯賃金」の推計値ですが、高卒男性の2.54億円に対し、大学・大学院卒男性は3.28億万円と、大きく上回っています。

なんと、「大学・大学院卒男性」の方が、「高校卒の男性」よりも、7400万円も上回っているのです。

「女性」については、同じ「退職金を含む」グラフが見つかりませんでした。

しかし、「退職金を含まない」グラフがありましたので、下記に見てみましょう。

「労働政策研究・研修機構  生涯賃金など生涯に関する指標」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf
出典:労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2019 21 生涯賃金など生涯に関する指標 より(7月15日利用)

上記のグラフの棒グラフの内、右側の黒い方が「女性」です。

左側の灰色のグラフ(男性)に比べると、低いものの、女性の黒い棒グラフを比べると、「高校卒1.85億円」「高専・短大卒2.01億円」「大学卒2.47億円」と明らかな差が見られます。

「高校卒」の女性よりも、「大学卒」の女性の方が、生涯賃金では6100万円も上回っているのです。

やはり、将来の収入を考えると、チャンスがあれば「大学進学」は進めるべきだと思いますね。

8.学歴は将来も変えてしまう

長々と、子どもの教育費を巡るあれこれを見てきましたが、最後に「教育」が子どもたちの将来を変えてしまうというお話をします。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 男女共同参画白書 生涯未婚率の推移」より

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-20.html
出典:内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書 第1-特-20図 生涯未婚率の推移より(7月15日利用)

上記のグラフは男性の「生涯未婚率」の推移です。平成2年(1990年)、平成12年(2000年)、併催22年(2010年)と、グラフは10年ごとの数値が出ています。

いずれの年でも、学歴が高い方が「生涯未婚率」は低くなっています。

そして、学歴に関わらず「生涯未婚率」は、時の経過とともに、だんだん高くなっているのです。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 男女共同参画白書 生涯未婚率の推移」より

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-20.html
出典:内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書 第1-特-20図 生涯未婚率の推移より(7月15日利用)

上記のグラフは、女性の「生涯未婚率」の推移です。平成2年(1990年)、平成12年(2000年)、併催22年(2010年)と、グラフは10年ごとの数値が出ています。

こちらのグラフも、男性と同じように、いずれの年でも学歴が高い方が「生涯未婚率」は低くなっています。

そして、学歴に関わらず「生涯未婚率」は、時の経過とともに、だんだん高くなっているのです。ただ「男性」と比較すると、まだ上昇のカーブは緩いですね。

今の「日本社会」は、極めて残念なことに、学歴によって「生涯賃金」と「生涯未婚率」に、大きな差が出る社会なのです。

これを知っている方ならば、当然子育てをどう進めるかは明らかです。

9.子どもの教育費のあれこれでした

以上にわたって、子どもの教育費の周辺事情について、いろいろ見てきました。上記で見てきた風景は、知っているのと知らないで流されるのとでは、大きな違いが出てくると思います。

コロちゃんは、自分が高等教育を受けませんでしたから、子どもたちの時には何も知らないで右往左往していたように記憶しています。

これを読んでいる皆様には、ぜひいろいろ知っていただいて、迷いと過ちのない選択肢を選ばれることをお勧めします。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

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