【経済考】「高所得国」への道とその後

経済

おはようございます。毎日ワンコとの散歩をしているコロちゃんは、その後にコーヒーを飲みながら、新聞を読むのが日課です。

今日は、その新聞で載っていた、中国が「高所得国」に届かなかったという話題を取り上げます。

1.中国が「高所得国」直前で足踏み

2月28日に中国国家統計局は、2022年の中国の一人当たり名目国民総所得(GNI)が、12608㌦だったと発表しました。前年比0.9%増という低い伸び率でした。

「世界銀行基準」で現在は、「高所得国」は13205㌦とされていますから、ちょっと足りません。

国の人口が多いほど、国家のGDPは大きくなりますが、国民の豊かさと生活実感はこの「一人当たり名目国民総所得(GNI)」で決まります。

この数字が大きいほど、「わが国の国民の生活は豊かである」といえるのです。

中国は14憶人以上も人口がありますから、国全体の経済規模は大きいのですが、人々の豊かさはまだまだだということがわかります。

日本と中国を比較します。

日本の一人当たり名目国民総所得(GNI) 41513㌦(2019年)。

中国の一人当たり名目国民総所得(GNI) 12608㌦(2022年)。

国全体のGDPでは、中国はすでに日本の3倍以上の大きさなのですが、一人当たりの豊かさでは、まだまだ日本の方がはるかに上なのです。

2.世界銀行基準とは何か?

世界銀行は、一人当たりGNIを「高所得国」「上位中所得国」「下位中所得国」「低所得国」の四つに分類しています。

この基準で各国を分類したものが下記の表です。日本は、「高所得国」の「G7諸国」の中に入っています。

https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2015/2015honbun/i1210000.html#:~:text=%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%A7%E3%80%81%E3%80%8C%E9%AB%98%E6%89%80%E5%BE%97%E5%9B%BD,%E3%82%82%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%AB%E5%90%AB%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82
出典:経済産業省 通商白書2015 第1節 新興諸国経済の類型化より(3月2日利用)

世界には、だいたい200以上の国や地域がありますから、そのうちの76ヵ国が「高所得国」に分類されます。

ここに、お隣の「中国」が、そろそろ、その中に仲間入りしそうなところまで来ているというわけです。

上記の76の「高所得国」には、産油国も含まれていますし、規模が小さな国もありますから、すべてがいわゆる「先進国」とは言えないと思いますが、一つの指標とはなりますね。

3.日本・中国・韓国・台湾のランキングを比較する

下記の表が、世界銀行が発表している一人当たり名目国民総所得(GNI)の世界ランキングです。

この中で、気になる東アジアのお隣さんである中国・韓国・台湾と日本のランキングを見てみましょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BA%BA%E5%BD%93%E3%81%9F%E3%82%8A%E5%90%8D%E7%9B%AEGDP%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「各国の一人当たり名目GDPリスト」最終更新 2022年9月22日 (木) 04:19 

このランキングで、日本・台湾・韓国・中国を比較してみます。

日本は40247㌦で27位です。

台湾はここには掲載されていませんが、33004㌦(2021年、台湾行政院主計処)と発表されていますから、この表で見ると29位ぐらいにランクされます。

韓国は31762㌦で31位。

中国は、この表に掲載されているのですが、10262㌦で、はるかに下の68位にランクされていました。

国民一人当たりの、豊かさの順番は、日本・台湾・韓国そして、ずーっと落ちて中国となります。

この上位の3ヶ国のうちの、韓国と台湾が、最近どうやら日本を追い越したようだというデータが複数出てきているようです。

4.高齢化と少子化

しかし、日本が韓国と台湾に追い越されたと言って、日本が焦ったりする必要はないと思います。

日本の長期停滞と経済低迷の大きな原因の一つに、高齢化と少子化があることは、多くの方が認める事実だと思います。

下記の表を見てもわかりますが、2020年では、日本の高齢化率はアジアで一番高いのです。

しかし、高齢化率は、いずれ中国に追い越されます。韓国も日本のあとを追って上がってきています。

「世界の高齢化率の推移」

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_2.html
出典:内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版) 2 高齢化の国際的動向より(3月2日利用)

日本は、高齢化率で世界のトップを走っている「高齢化最先進国」なのです。

そして、世界の先進国はみな日本のあとを追いかけてきているのです。

子どもの出生の数値の「合計特殊出生率」の低さも、日本が世界の先頭グループを走っています。

韓国や台湾の数値は、その日本よりもさらに低いのです。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2014/26webhonpen/html/b1_s1-1-5.html#:~:text=%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%85%A8%E5%9F%9F%E3%81%AE%E5%B9%B4%E5%B0%91%E4%BA%BA%E5%8F%A3,%E3%81%8C%E5%B0%8F%E3%81%95%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
出典:内閣府 平成26年版 少子化社会対策白書  5 諸外国との国際比較より(3月2日利用)

日本で皆が痛感しているように、「少子化」と「高齢化」は、経済成長の足を引っ張ります。

「少子化」と「高齢化」で日本を追いかけている韓国・台湾そして中国は、いずれ日本と同じように低成長にあえぐようになるのではないでしょうか。

5.中国は、老いる前に豊かになれるのか

日本は、東京オリンピックが開催された1964年にOECDに加盟しました。

この辺りが現在でいえば、日本が「高所得国」入りした時なのかもしれません。

中国は、来年2023年にも上段で記載した「高所得基準」13205㌦を超える可能性が高いと思いますが、それ以降の経済成長については、現在では予想できません。

ただ、よく言われていることは「老いる前に豊かになれるのか」という言葉です。

中国も、間違いなく日本と同じような「少子高齢化」の道を追いかけてきています。

おそらく中国は、自らの将来のために、現在の日本の「少子高齢化政策」を興味津々で見つめていると思います。

6.永遠の経済成長はできない

上記のように見ていくと、国家というものは「永遠の経済成長」などできないものではないのかと思ってしまいます。

「人口ボーナス」という言葉があります。下記の記載をご覧ください。

「人口ボーナス」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「人口ボーナス」最終更新 2023年1月3日 (火) 09:36 (

「人口ボーナス」とは、経済成長するための神様からのプレゼントなのです。(コロちゃんの解釈です)

日本は、1960年代に「人口ボーナス期」を迎えて、高度成長を成し遂げました。

そして2000年代に「人口オーナス期」に入り、経済が低迷したのです。

「人口オーナス」とは、経済成長はもう終わりよという神様からのメッセージなのです。(コロちゃんの解釈です)

「人口減少が先進国の必然」とするならば、「経済成長の低迷も必然」なのではないでしょうか。

7.成長から分配は無理筋

現在の為政者の多くは「経済成長してから分配」を主張しています。

予算は限られていますから、何かを増やそうとすると、どこかを削らざるを得ません。

それを行えば「削られる側」は黙っていません。

為政者はその「削られる側」の方たちと摩擦を起こしたくないので、「成長して、増えたものを分配する」と言いたがるのです。

しかし、コロちゃんは思うのです。

「少子高齢化の下では、もう成長できないよ」と。

これからの日本は、成長できないことを前提にして、分配を強化して、現在の豊かさを維持することに注力すべきと、コロちゃんは思っています。

もう一度言いますね。

「もう日本は、大きな成長はできません。そして、その道はどこの国もみんながいずれ通る道です」。

「日本は、世界の先駆者となりましょう。お手本になりましょう」。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Spencer WingによるPixabayからの画像
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