【社会考】変貌(へんぼう)した日本

社会

コロちゃんは、おじいちゃんです。周りにいる方も、おじいちゃんやおばあちゃんが多いですね。

だけど、昔からそうだったわけではありません。ちょっと昔と比較すると、日本には、ずいぶん変わってしまったところもあるんですよ。

コロちゃんが若いころは、周りにも若い人がいっぱいいたような記憶がありますよ。

そういえば、あの頃は、かーちゃんも若かったなー(もう亡くなってます)。
(  ̄- ̄)トオイメ

今日は、昔は低かった日本の「平均年齢」についてポチポチとお話をしようと思います。

1.「変わらない日本」

ちょっとちょっとコロちゃん、今日のテーマの「変貌」ってなに? 

今まで「変わらない日本」って、言ってたよね。ほら、そうコロちゃんが言っていたブログ記事があるよ。

その「変わらない日本」の記事をお読みになりたい方は、下記のリンクをクリックお願いします。

【社会考】変わらない日本、変われない日本

最近の日本では、「改革」とか「変革」とか「チャレンジ」とか言いつつ、終わってみれば、何も変わっていないことがたくさんあるんですよね。

そこで、その「変わらない理由」「変われない理由」を考察したのが上記のブログ記事です。

だけど、ものすごく変わったこともあるんですよ。それを、これから取り上げます。

2.「変貌」したのは「平均年齢」

日本社会で変わったこと、それは「平均年齢」です。

日本人の「平均年齢」が、右肩上がりに上がったのです。

冒頭で、コロちゃんの周りに、おじいちゃんとおばあちゃんが多いって書きましたよね。これはコロちゃんのまわりだけではないのです。

日本全国で、お年寄りが増えています。

それは、日本人全員の「平均年齢」が上がってきているからなのです。それでは風景も「変貌」しますよね。

①1960年の日本

下記のグラフをご覧ください。

https://dashboard.e-stat.go.jp/pyramidGraph?screenCode=00570&regionCode=00000&pyramidAreaType=2
出典: e-Stat 政府統計の総合窓口 人口ピラミッド統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/

上記の表は、1960年の日本の人口ピラミッドです。一目見でわかるように、人口のボリュームゾーンは、10~14歳の「団塊の世代」です。

「団塊の世代」とは、1947~1949年生まれで、各年260万人を超える人数が産まれてきました。

昨年2022年の出生数が80万人を割り込んだことを考えると、まるで別の国のようです。

この1960年当時の日本人の「平均年齢」は、約29歳です。

●「高度成長」の時代

それでは、この1960年ごろとは、どんな時代だったんでしょう。

「東京オリンピック」が開催されたのが1964年です。2020年のオリンピックではないですよ、その前に行なわれた大会です。

皆さんは「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年公開 原作:西岸良平 監督:山崎貴)という映画を覚えていらっしゃるでしょうか。

この映画の舞台が1958年(昭和33年)の東京の下町です。何となくイメージが頭に浮かぶと思います。

コロちゃんが子どもの頃は、外に遊びに行くと子どもたちがウジャウジャいました。

「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋元治 集英社 週刊少年ジャンプ 1976~2016年)のコミックに、主人公の両津勘吉が「子どもが佃煮になるくらいウジャウジャ遊んでいた」と語る場面があったことを憶えています。

下記の引用をご覧ください。

「高度経済成長」

高度経済成長または、高度成長、高成長とは、飛躍的に経済規模が継続して拡大することである。日本においては、実質経済成長率が年平均で10%前後を記録した1955年頃から1973年頃までを高度経済成長期と呼び」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%BA%A6%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%88%90%E9%95%B7
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「高度経済成長」最終更新 2023年3月14日 (火) 10:04 

日本経済は、1955〜73年の約20年にわたり,経済成長率(実質)年平均10%前後の高い水準で成長を続けていたのです。

上記の1960年という時代は、「高度成長」の真っただ中だったのです。

②2020年の日本

次に、下記のグラフをご覧ください。

https://dashboard.e-stat.go.jp/pyramidGraph?screenCode=00570&regionCode=00000&pyramidAreaType=2
出典: e-Stat 政府統計の総合窓口 人口ピラミッド統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/

上記の表は、2020年の日本の人口ピラミッドです。

一目見てわかるように、人口のボリュームゾーンは、男性は45~49歳、女性は70~74歳です。

この方たちは、上記でも出てきた「団塊の世代」なんですよね。

男性は「団塊ジュニア世代」45~49歳の方々が、「団塊世代」75~79歳の方たちより少し数多くいらっしゃいます。

一つ上の1960年の人口ピラミッドで、ボリュームゾーンだった10~14歳の方たちが、そのまま60年たってもボリュームゾーンなのです。

現在の2020年の日本人の「平均年齢」は、47.2歳です。

なお、2000年代の、過去20年間のGDP成長率は、1%を下回ります。

3.変貌した「平均年齢」

上記の「平均年齢」をもう一度確認しましょう。

1960年の「平均年齢」は、29歳です。
2020年の「平均年齢」は、47.2歳です。

ほら、「変貌」してるでしょ。

そりゃ、これだけ「平均年齢」が上がれば、「日本社会」が変わりますよ。

この点では、日本はものすごく「変貌」しているのです。この影響は、今の日本社会のいろいろなところに出てきています。

4.平均年齢の上昇がもたらすもの

それでは、この「平均年齢」の上昇は、日本社会にどういう影響をもたらしているのでしょうか。

コロちゃんが、素人考えでちょっと思いついただけでも、以下のことはすぐに思い浮かびます。

①少子化

下記のグラフをご覧ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2021/r03webhonpen/html/b1_s1-1-2.html
出典:内閣府 子ども・子育て本部  令和3年版 少子化対策白書より(1月24日利用)

上記のグラフを見ても、出生数は1973年をピークとして右肩下がりに減少しています。

日本の平均年齢が、1960年の29歳から2020年の47歳まで上がることによって、年々出産適齢期の男女数が減少してきているのです。

当然、出生数には大きな減少圧力がかかります。子どもを産む若い方が年々減少するのですから。

この出生数を、今後増加に転じさせることができるのでしょうか。

②結婚の減少

下記のグラフをご覧ください。「婚姻件数」と「婚姻率の推移」です。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2022/r04webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 子ども・子育て本部 令和4年版 少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状 より(3月21日利用)

上記のグラフを見ても、「婚姻件数」は1972年をピークとして、90年代にやや持ち直しましたが、2000年代にはいってからは右肩下がりに減少しています。

この「婚姻件数」を、今後増加させることはできるのでしょうか。

③生産性の低下

下記の引用をご覧ください。

「内閣府 経済財政白書」より

「第1は経済成長への影響である。少子化による生産年齢人口の減少により、経済成長に対する労働投入の寄与は低下していくと考えられる」

「また、人口に占める高齢者の比率の高まるなかで、国全体としての貯蓄率が低下すれば、資本投入による経済成長への寄与も小さくなっていく可能性がある」

「このように、高齢化・人口減少は、長期的に経済成長を決定する主要な生産要素である労働、資本の伸びの減少等を通じ、経済成長を鈍化させる懸念がある」

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je03/03-00302.html
出典:内閣府 経済財政白書/経済白書 平成15年度 年次経済財政報告 第2節 高齢化・人口減少の下での経済成長の展望 より(3月21日利用)

この文章は「内閣府」が発表している、「高齢化の経済成長への影響」についての見解です。

上記のように「労働投入」「貯蓄率」の二点についての懸念を公表しています。

現に、ここ30年間にわたって、日本経済の生産性は停滞したままの横ばいの数値となっています。

下記のグラフで、ご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000173082_1.pdf

 出典:厚生労働省 近年の経済成長率と賃金上昇率の動向
ー バブル崩壊後の直近20年間の動向を中心に ー より(11月19日利用)

この生産性を、1970年代や1980年代のような上向きに上げることが、今後できるのでしょうか。

④所得の低下

下記のグラフをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-01.html
出典:厚生労働省 令和2年版 厚生労働白書ー令和時代の社会保障と働き方を考えるー より(3月21日利用)

●上記のグラフの青い○のラインは、「世帯当たりの平均所得」です。

●黄土色の□のラインは、「雇用者世帯平均所得」です。

●黄土色の○のラインは「等価可処分所得」(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)です。

全ての数値が右肩下がりになっています。

もちろん、この右肩下がりの理由が、すべて「高齢化」「平均年齢の上昇」にあるかはわかりません。

しかし、田中聡一郎関東学院大学経済学部准教授の実証研究では、「低所得層」の増加の「要因分解」で、2000ー2015年は「高齢化要因」が大きいと発表されています。

その内容を、コロちゃんは先日ブログにまとめていますので、ご興味のある方は以下のリンクをクリックしてください。

【社会考】「中間層」は細っているのか

上記しましたように、日本の平均年齢が、1960年の29歳から2020年の47歳まで上がった「高齢化」は、所得の低下をもたらしている可能性が強いのです。

この所得の低下を、今後上向きにすることができるのでしょうか。

5.未来の「平均年齢」推移

このように「少子化」「結婚の減少」「生産性の低下」「所得の低下」などに、大きな影響を及ぼしている「平均年齢」の推移は、今後どのように進行するのでしょうか。

下記の表をご覧ください。表が大きいので、一部を抜き出して引用しています。左が「年次」で右が「平均年齢」です。

表4 人口の平均年齢,中位数年齢および年齢構造指数:中位推計

https://www.ipss.go.jp/pp-newest/j/newest02/3/t_4.html
出典:国立社会保障・人口問題研究所 表4 人口の平均年齢、中位数年齢および年齢構造指数 より(3月21日利用)

2020年の47.2歳から、今後は、2050年の51.3歳まで上がり続けます。

この表では、2050年までの数値しか出ていませんが、少なくとも今後30年ほどは、日本の「平均年齢」は上がり続けるようです。

この「平均年齢」の上昇の圧力に、日本はどう対処すべきなのでしょうか。

6.世界の国の「平均年齢」は?

このようなことを、いろいろ考察していくと、世界の他の国はどうなっているんだろうなと思いますよね。

下記のグラフをご覧ください。

「世界の平均年齢 国別ランキング・推移」

https://www.globalnote.jp/post-14077.html
出典:グローバルノート 

日本は、国別の「平均年齢ランキング」で、堂々の第3位です。

しかも、10位までに入っているのは、日本とイタリア以外は、人口の少ない小国ですね。

日本は、世界の「平均年齢ランキング」で、トップグループを走っている国なのです。

「平均年齢」の上昇と「高齢化」には、どの先進国も同じ悩みを持っています。日本の対処を、世界の国は注目して学ぼうとしていると思います。

7.GAFAやBATが日本から生まれるかな

日本の生産性が一気に上がる「魔法の杖」があれば、いいんですが、そのようなものはありません。

世界を見渡せば、アメリカにはGAFA(Google、Apple)、Facebook、Amazon)が生まれ、中国にはBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の巨大IT企業が勃興しています。

しかし、日本から、そのようなビジネスが生まれてくるとは、コロちゃんにはとても思えません。

「高齢化」と「平均年齢の上昇」は、とどめることはできないのですから、日本はその前提を受け入れて、社会の混乱を最小限にすることに注力すべきと、コロちゃんは考えます。

8.「平均年齢の上昇」を前提とした施策を

「平均年齢の上昇」「高齢化」を防ぐ方策はありません。

「少子化」「結婚の減少」「生産性の低下」「所得の低下」は、今後も進行する「平均年齢の上昇」の影響を否応なく受け続けます。

この継続する低下圧力を跳ね返したうえで、それぞれの数値を上昇させることがいかに困難なのかはお分かりになると思います。

そう考えると、必要なのは「ダメージコントロール」なのではないでしょうか。

「ダメージコントロール」

ダメージコントロールとは、物理的な攻撃・衝撃を受けた際に、そのダメージや被害を必要最小限に留める「事後処置」を指す。通称「ダメコン」などと呼ばれる」

「自動車分野、医療分野、格闘技などのスポーツ、軍事分野などで使われる」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「ダメージコントロール」最終更新 2022年9月9日 (金) 21:35 

そのために何を、どのように行なったらよいのかは、また次の機会に考察してみたいと思います。

いろいろできること、やれることは、まだまだ数多くあると思うのです。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

For commercial use, some photos need attention.によるPixabayからの画像


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