【社会考】「子ども予算」の果実はあるか?

社会

おはようございます。コロちゃん+ワンコのゴールデン・ウイークも終わり、いつもの静かな日々が戻ってきました。

あんなに子どもたちが、ワーワー騒がしかったのが夢みたいに思えますね。

しかし、コロちゃんが子どもの頃は、あちらこちらの空き地で、子どもたちがいっぱい遊んでいたことを思い出しました。

今は、そういう風景は見られなくなってしまいましたね。昭和は遠くなりにけりです。

今日は、その「子ども」のお話の、「子ども予算の効果」について、ポチポチしてみます。

1.「子ども予算20年で規模3倍」の記事

コロちゃんは、毎朝新聞をバサバサ読んでいますが、その後に「電子版」もチェックすることにしています。

紙媒体の方に載っていない記事で、「電子版」で報じていることが、けっこうあるのです。紙媒体はスペースが限られていますからね。

そうしましたら、5月7日の日経新聞の電子版に「子ども予算20年で規模3倍 出生率は横ばい、果実乏しく」という記事が目に止まりました。

その記事をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

子ども予算20年で規模3倍 出生率は横ばい、果実乏しく - 日本経済新聞
【この記事のポイント】・自治体の予算規模は21年度で10.7兆円と20年前の3.2倍に・合計特殊出生率はこの間横ばい圏 予算が出生率増加に「効果あり」は5%・福井県は大学と連携し人口減少の要因を調査 政策立案に生かす国が本腰を入れ始めた少子化対策に、浪費の懸念が出始めている。現場となる自治体で保育所整備などに費やされた...

この記事の内容は、子ども予算は大幅に増えたけど、効果はあまり上がっていないという検証記事です。

なお、この記事は翌日の5月8日の、紙の宅配版の「Inside Out」欄にも掲載されていました。

この記事の内容を、次に要約してみます。

2.子ども予算を3倍にしても、果実乏しい

普段の新聞記事では、国の「少子化対策」だけが報じられます。地方自治体の対策は、地方面で取り上げられることもありますが、全国の情勢まではわかりません。

「少子化対策」は、国だけではなく、地方自治体でも積極的に行われているのですが、自治体は数が多いですから、なかなか全容を知ることは難しいのです。

ところが、今回の上記でリンクした記事は、2021年度の全国の市町村の児童福祉費を調べて、その結果を報じているのです。

その内容は、全国の自治体で保育所整備などに費やされた全国の予算は20年前の3.2倍となったというものです。

市町村の児童福祉費10.7兆円を財源別にみると、国庫支出金が5.1兆円、都道府県の支出金は1.3兆円、市町村の独自負担が3.8兆円となっています。

確かにこれらの「少子化対策予算」は大きいのですが、その効果を検証すると、あまり結果が伴っていないようなのです。

政策効果を見てみると。「合計特殊出生率」は横ばい圏で、予算が出生率増加に「効果あり」は5%しかなかったというものでした。

国が「異次元の少子化対策」を進める中で、今後も各地方自治体では「少子化対策」予算の拡大がさらに続く可能性が高いと思います。

しかし、内閣府が自治体を対象とした21年度調査では、実際の効果は「住民の割合上昇」が25%、「出生数の増加」はわずか5%で、22%は「特にない」だったと報じています。

上記のこの新聞記事は、「予算が増えても子ども減少に歯止めがかからず」として、「少子化対策」を錦の御旗として膨張することが、後世のツケを重くすることに警鐘を鳴らしています。

そして、「効果は測定していない」自治体が20%もあることを指摘し、地方自治体法の「最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」を引用しています。

コロちゃんは、この記事を読んで、岸田総理が「少子化対策予算を倍増」とおっしゃっていますが、たとえそれが実現しても、効果は限定的な可能性が高いと思いましたね。

この検証結果をみても、やみくもに「少子化対策」に予算を投入しても、その方法が悪ければ、出生率の上昇という結果(果実)が伴わない可能性が高いようですね。

3.「国立社会保障・人口問題研究所」の発表とは?

次に、「国立社会保障・人口問題研究所」の「将来人口推計」の発表についてお話します。

この発表については、先日このブログでお伝えしています。

そのブログをお読みになりたい方は、以下のリンクのクリックをお願いします。

【社会考】「人口減少」を受け入れよう

この内容を簡単にもう一度下記で見てみます。

「国立社会保障・人口問題研究所」は、厚生労働省の研究機関となります。

今回発表された「将来人口推計」は、5年に一度発表されることになっているものですが、その内容は、何とも「見たくない真実」を、目の前に突き付けられたような気分になる推計でした。

①「将来人口推計」のポイント

この「将来人口推計」は、50年後の日本がどのような姿になるのかを推測しています。

2070年には、日本の総人口は現在の1億2600万人から、3割減の8700万人に減ります。

現在よりも、50年近く未来の2070年の世界は、現在から「少子化」がはるかに加速した世界になります。

当然現在とはだいぶ違った世界となることでしょう。

②「0~14歳は1割以下」

0~14 歳人口(年少人口)は、1980 年代初めの 2,700 万人から、一昨年の2020年には 1,503 万人まで減少しています。

未来の2070 年には 797万人と推計されます。この時点で全体の1割以下(9.2%)になると推計されています。

③「生産年齢人口は3000万減少」

15~64 歳人口(生産年齢人口)は、1995年の8,726 万人から、2020年に7,509 万人となっています。

これが、2070 年には 4,535 万人まで減少すると推計されています。

④「65歳以上人口は4割近くに」

65 歳以上人口(高齢者数)は、2020年の 3,603 万人から、 2043 年に3,953 万人でピークを迎えた後は減少に転じ、2070 年には 3,367 万人となると推計されています。

65 歳人口の割合は、2020年の 28.6%が、2070 年には38.7%となると推計されています。

他にもこの「推計」では、「外国人9人に1人」や「合計特殊出生率」や「平均寿命」などが発表されています。

この「日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要」全文をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.ipss.go.jp/ppzenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf

上記のような「減少する日本」が、今後私たちの未来に広がっています。これはいかなる「少子化対策」で防げるものではなく、すでにほぼ「確定した未来」なのです。

下記のグラフをご覧ください。

「日本の将来推計人口」より

https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf
出典:国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要 より(4月27日利用)

上記のグラフは、「日本の将来推計人口」に添付されているものです。この右肩下がりの、推計値の線の幅の枠の中に、必ず私たちの未来は着地するのです。

4.「出生率、透ける政治の楽観」の記事

コロちゃんは、「少子化対策」には興味を持って新聞などを見ていますから、その関係の記事にはすぐに反応します。

先日5月3日の日経新聞に、「出生率、透ける政治の楽観」の記事が載っていました。この記事をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

出生率、透ける政治の楽観 - 日本経済新聞
まず岸田文雄政権と与党責任者に問いたい。新しい将来推計人口の公表がなぜこんなに遅いのか。国勢調査や出生動向基本調査の結果をふまえて国立社会保障・人口問題研究所は5年ごとに推計人口を更新する。前回の公表は2017年4月。新推計は本来、22年4月公表のはずだった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で出生動向基...

この記事では、このブログで上記にあります「国立社会保障・人口問題研究所」が発表した「将来推計」について、編集委員名で厳しい指摘をしています。

その指摘を下記に整理してみます。

①発表がなぜ遅れたのか?

本来は「新しい将来推計人口」の公表は、5年ごとに行なうはずで、新推計は22年4月公表のはずだったと記しています。

それが新型コロナで出生動向調査の実施を遅らせたため、今年初めに先送りしていたそうです。

しかし、年が明けても公表せず、2023年4月9日 ~23日の統一地方選挙が終わるのを待っていましたとばかりに、4月26日になって発表となっています。

その点をこの記事では、万が一、年金問題が選挙の争点となるのを避けようとする政治的な意図がなかったのかと厳しく指摘しているのです。

②出生率の「中位推計」は甘すぎはしないか?

新しい「出生率の中位推計」は、前回の1.44から1.36に引き下げられています。

しかし、21年の実績値は1.30、22年は1.2台に下がったとみられています。

それなのに、この発表になった「出生率の中位推計」では、23年に1.23に一旦下がった後で、長期的には1.36への回復を想定しているのです。

その点を、記事は希望的観測を含んでいるのではないかと指摘しているのです。

コロちゃんも、まったく同意しますね。

少子化や人口問題の推計のような基礎データは、政治的な動向を配慮するべきではありません。

多くの政策は、その基礎データや基礎となる推測をもとにして行なわれるのですから、それを捻じ曲げてしまえば、政策の費用対効果が大きく低下してしまうでしょう。

④長期的出生率は、低位推計(1.13)を覚悟すべし

この記事では、長期的な出生率は、この推計値での「低位推計(1.13)」を前提として、日本の在り方を構想するのが理にかなっているとしています。

コロちゃんも同意します。

私たちには、もう「少子化対策」を進めれば、過去の日本に戻れるとか、今のままでいられるとかの幻想を持つ時間も余裕も、もうないと覚悟すべきです。

5.人口減少を受け入れよう

「少子化対策」を進めていけば、いずれ日本の人口が元に戻るわけではありません。

すでに、日本は人口が右肩上がりに上昇する時代は終わったのです。

今後の日本には、人口が減少する未来しかないのです。

「少子化対策」は、その減少スピードをやや緩やかにする効果しかありません。

もちろん急激な減少は、社会システムへ大きな負荷がかかりますから、「少子化対策」の意義は大きいと思いますが、それでかつての1970年代の高度成長の日本に戻るわけではありません。

私たちがいま目指すべきは「人口減少」を受け入れて、「人口増大時」につくられた社会システムを作り替えることだと思います。

新聞の「社説」というのは、その新聞社の「社論」を世の中に提案するところですが、日経新聞社も4月26日付に「社説 人口減を前提に社会を作り直そう」という内容を提起しています。

その「社説」をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

[社説]人口減を前提に社会を作り直そう - 日本経済新聞
日本の人口減少は着実に進み、社会のあちこちに深刻な影響を与える。労働力が急速に減る中で社会機能をどう維持し、増え続ける高齢者を支えていくのか。厳しい未来図を直視して社会全体の変革を急がなければならない。国立社会保障・人口問題研究所が26日公表した将来推計人口によると、外国人を含む日本の総人口は2070年に8700万人に...

未来の日本は、年々「少子化」が進行する社会となります。「縮減」する社会・経済の下では、今までとは違った社会システムが必要となります。

それに適合するように、社会システムを組み替える作業を行わなければなりません。

年々進行する人口減に合わせて、常に組織の無駄を省き、スリム化する作業が延々と続くこととなるでしょう。

それは、大きな軋轢と摩擦を組織にもたらすかと思われます。

しかし、抵抗が大きいからといって先送りを続ければ、いずれその歪みは、より大きな問題となって帰ってくると思われます。

常に新しい人口状況に合わせて、格差を縮小する方向に政策を展開する必要が、だんだん高まってくると、コロちゃんは考えています。

最後にもう一度言います。

「人口減少」を受け入れましょう。日本には、その未来しかないのです。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

NoName_13によるPixabayからの画像

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