【社会考】「原発」は大丈夫かなぁ

社会

コロちゃんは、あんまり政治問題はブログで取り上げたくないんですよね。どういう主張をしても、必ず反対の方はいますからねー。

特に、国民を二分するような問題は、必ずもめるんですもん。

だけど、よくわからないままに、なんとなイメージで、賛成や反対を言う方が大部分ですよね。

コロちゃんだって、専門家じゃあないんだから、そんなには知りませんが、一応ポチポチ調べるくらいはできます。今日は「原発」について、ちょっと思っていることをお話しします。

1.原発で思い切った「大転換」

最近になって、「原発」で岸田さんが思い切った「大転換」をしたことをご存じでしょうか。

 政府は昨年12月、原発のリプレース(建て替え)や運転期間の延長容認を盛り込んだ新方針を決め、今年2月に閣議決定しました。

政府は、最長60年とされている原発の運転期間を延長できるようにする法案を今の通常国会で成立させたいとしているそうです。

2011年の福島原発以後、ついに原発回帰へと、日本は舵を切ったのでしょうか。

2.経常収支の懐具合

この決定には、日本の原油輸入による「貿易収支」の悪化が背景にあるのでしょう。

下記の表をご覧ください。国の家計簿である「経常収支」です。一番右側の2022年にご注目ください。

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg202301.htm
出典:財務省  令和5年1月中 国際収支状況(速報)の概要より(3月14日利用)

「経常収支」とは、「貿易・サービス収支」「第一次所得収支」「第二次所得収支」の合計です。

国際通貨基金(IMF)が定めた国際収支マニュアルに従って作成していますので、国際比較が可能な仕組みになっています。

まあ、お国の「家計簿」ですね。

その「経常収支」の中で、下に伸びる水色の縞々が「貿易収支」です。原油等の高騰により、大幅な赤字となっています。

上に伸びる黄色の「第一次所得収支」が黒字を稼いでくれていなければ、「日本という家庭」は、他国から借金をしなければならなくなってしまいます。

この稼いでくれている「第一次所得収支」とは、海外投資から得た利子・配当などです。

今の日本は、モノの輸出で稼いでいる「貿易立国」ではなく、お金の投資で稼いでいる「所得立国」なのです。

ここには、輸出企業の海外現地法人からの利子や配当なども含まれています。

財務省は、先月2月8日に、2022年の国際収支統計(速報)を発表しています。

昨年の「経常収支」は11兆4432億円の黒字でした。しかし、その数字は前年比で47.0%減っています。前年2021年から、ほとんど半減したのです。

その理由は、原油高騰で輸入額が激増したことによります。

今年2023年1月の「経常収支」も2兆円近近い赤字でした。

このような日本経済のマクロの「家計簿」を見ると、やはり国の「家長」である総理大臣としては、大幅な出費となっている「エネルギー需要」に手を付けざるを得ないと、お考えになったのでしょう。

3.原発稼働でどのくらいの節約が

現在、以下の原子力規制委員会のサイトで、運転中の原発は6ヵ所で、停止中が26ヵ所と発表されています。

「原子力規制委員会」https://www.nra.go.jp/jimusho/unten_jokyo.html

この停止中の原発を運転できれば、現在輸入している高騰している原油が節約できるわけですね。そうすれば電気料金も下がるでしょうし。

ただ、どのくらいの金額が節約できるようになるのかは、ポチポチしても見つかりませんでした。原油料金などの不確定要素が多いからかもしれません。

原発を再稼働すれば、国の貿易収支も改善することは確かですし、co2の排出も少ないのは間違いないんですけど、懸念されることも、また多々あります。

4.福島は終わっていない

福島原発事故の避難者は、現在でもまだ2万人以上いらっしゃいます。

そして、事故後10年以上経っても、事故を起こした原発の後始末もできていません。

先日発表された、会計検査院の報告によると、「2021年度までに、約12兆円が賠償や除染、廃炉作業に措置された」とあります。

2011年の福島原発事故から、現在までに毎年1兆円規模の費用を投じてきているのです。

そして、これは今後も続く見込みです。

2023年度後半には、原発内のデブリ(溶けて固まった原発燃料)の取り出しが始まります。

政府は、このデブリ回収に6兆円、廃炉全体で8兆円の費用が掛かると、2016年に発表していますが、この金額は、さらに増える可能性が高いとされています。

この話を聞くと、これからの日本で原発を再稼働して、ホントに大丈夫かなと思うのは、コロちゃんだけではないと思うのです。

5.原発のエネルギーコスト

下記の表をご覧ください。政府が発表しているエネルギーコスの比較の表です。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.html
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 原発のコストを考えるより(3月14日利用)

この表を見ると、原発のコストが一番安くなります。「10円/kwh程度」となっています。

しかし、やはり別の計算をしている方もいらっしゃいますね。

京都大学の経済学研究科の試算が、以下のサイトで発表されています。

No.252 結局、原子力発電コストはいくらなのか?-モデル発電所方式に基づくコスト分析- - 京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座
再生可能エネルギーの普及・促進策と分散型エネルギーネットワークシステムのあり方と実現のための政策を研究しています。

ここでは、コストの計算方式の入力項目を、最新のデータにアップデートして計算しています。

その結果は、「損害想定額政府試算ケース」6コースの試算で、一番コストが高い例は「20円/kwh」になっています。

この結果では、「石炭火力・天然ガス火力発電」と「原子力発電」を比較すると、コスト逆転が見られる結果となっていますね。

国論を二分するような論争には、必ずそれぞれの説を支持する研究が出てくるものなのですが、賛成・反対にかかわらず、このような知見も、知っていた方がよいかと思うのです。

6.バックエンド

バックエンドとは、「放射性廃棄物の処理処分と原子力施設の廃止措置」のことです。

よく原発を「トイレのないマンション」にたとえられますが、放射性廃棄物の最終処分は決まっていません。

核のゴミは非常に放射能レベルが高く、できたばかりの時には近寄ると20秒ぐらいで人が死ぬと言われています。

これが安全なものになるには「10万年」かかると言われているそうです。

ヒトがアフリカから、外の世界に出てきた「出アフリカ」が、7万年前だと言われていますから、それを超える長い時間が、核のゴミの安全化には必要とされているそうです。

日本では、まだこの「最終処分地」の決定がされていません。どうするのでしょうね。これにも、今後お金がかかりそうです。

7.フリーランチは無い

下記の引用をご覧ください。

「ノーフリーランチ定理」

脚注 
「かつて酒場で「飲みに来た客には昼食を無料で振る舞う」という宣伝が行われたが、「無料の昼食」の代金は酒代に含まれていて実際には「無料の昼食」なんてものは有る訳がないだろう、という意味」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E5%AE%9A%E7%90%86
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「ノーフリーランチ定理」最終更新 2022年10月2日 (日) 02:54

「ノーフリーランチ定理」とは、もともとは物理学の定理なんですが、それを読み替えて「フリーランチは無い」(ただ飯はない)と、著名な経済学者のフリードマンがよく引用していたそうです。

上記の引用は、それが記載されている「脚注」です。

世の中のどんなことでも「タダ飯」はないんですよね。必ずコストはどこかでいずれ請求されてきます。

今日の話題の原発も、一見エネルギーコストが安いようですが、後の世代になってから負担が追いかけてくるということはないのでしょうか。

コロちゃんは、来月の電気代が安くなるならうれしいですよ。だけど、後から請求書が来るのは困ります。

ましてや、時間がたってから、孫の財布の中に請求書が届くのは、もっと嫌なんです。

8.世論調査は真っ二つ

この原発問題について、このブログで取り上げたのも、世論調査でこの問題は真っ二つに意見が割れているからです。

2022年12月の、「原発運転期間延長」についての世論調査では、賛成45%、反対37%(NHK調査)。

2023年1月の「原発政策大転換」についての世論調査では、賛成46%、反対40%(TBS調査)。

2023年2月の、「再稼働」についての世論調査では、賛成51%、反対42%(朝日新聞調査)。

このように、国民の意見が真っ二つに割れていると、どちらを進めても社会は不安定化します。それは、あまり、良いことではないとコロちゃんは考えるのです。

社会の不安定化が一番コストがかかるんです。

社会が二分するような問題は、まとめるのに苦労するよりは、思い切って「エイヤ!」って決めてスッキリしたくなりますよね。

しかし、その後の混乱を多くの歴史で振り返ってみると、やっぱりやめとけばよかったのにと思うことが多いんです。

まとめるのが大変でも、先延ばしで時間がかかっても、結果的には、その方がコストが安いことがほとんどです。

9.国の分断は高くつく

最近の日本では、多くの課題で意見が真っ二つに割れていることが多くみられます。

「年金」・「少子化対策」・「防衛費増額」等々。

年代別で意見が割れているものもありますし、子どもがいる・いないで意見が割れているものもあります。政治的立場で異なるものもあるでしょう。

しかし、どちらが正解なのか、なかなかはっきり早々に結論が出ないものばかりです。

コロちゃんは、そこで過去のことを思い起こします。

①ユーゴスラビアでは

かつてヨーロッパには「ユーゴスラビア」という国がありました。今はもうありません。

1990年代から2000年代にかけて、一つの国が解体されて、6つの国に分かれて、それぞれが独立したのです。

いまでは、「スロベニア」「クロアチア」「ボスニア・ヘルツェゴビナ」「セルビア」「モンテネグロ」「北マケドニア」とばらばらになっています。

この分裂の理由は、いろいろ複雑に絡み合っていると思います。

しかし、かつてあった「ユーゴスラビア」は「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を持つ、1つの国家」と言われていました。

もともと国民の分断が深かった上に、経済危機が引き金となって国家解体まで進んだのでしょう。

国民の分断は、このような悲劇も生むのですね。

もちろん、日本が分断するなんては、コロちゃんはちっとも思ってはいないですよ。

ただ、混乱するだけでも大変なことになると思っています。

②イギリスのブレグジット

イギリスは、2016年に欧州連合(EU)から離脱しました。下記の引用をご覧ください。

「イギリスの欧州連合離脱」

イギリスの欧州連合離脱、通称ブレグジットは、イギリスが欧州連合 (EU) から離脱すること、離脱したことを指す。Brexitは “British” と “exit” の混成語である」

「2016年6月23日の国民投票の結果、投票者の51.9%がEUを離脱することを選択したことにより行われたものであり、離脱は左右両翼を跨ぐ欧州懐疑派によって主張されていた一方、親欧州派は離脱を中止しEU加盟継続することを主張していた。3度も延期されたが、2020年1月31日、イギリスは正式にEUを離脱した」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E9%80%A3%E5%90%88%E9%9B%A2%E8%84%B1
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「イギリスの欧州離脱」最終更新 2023年2月28日 (火) 01:31

この「EU離脱」という政治決断は、国民投票の結果で決まったのですが、その投票結果は、賛成が51.9%、反対が48.1%です。

まさに、国民を二分した決定だったのです。

「EU離脱」の結果を、現在から振り返って判断すると、経済的には否定的な結果が出ているようですが、それも国家として受け入れなければならないことなのでしょう。

しかし、この経過で国内で大きな混乱が起こらなかったことは、まだよかったとコロちゃんは思いました。

次で取り上げるアメリカで、大混乱となった例があるのですから。

③アメリカ国会議事堂襲撃

下記の引用をご覧ください。2年前のことですから、まだ覚えておられる方も多いと思います。

「2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件」

2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件は、2021年1月6日にアメリカ合衆国で起きた政治的な暴動事件。当時の同国大統領であったドナルド・トランプの支持者らが、「2020年のアメリカ合衆国大統領選挙で選挙不正があった」と訴えて、アメリカ合衆国議会(連邦議会)が開かれていた議事堂を襲撃した」

https://ja.wikipedia.org/wiki/2021%E5%B9%B4%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E4%BA%8B%E5%A0%82%E8%A5%B2%E6%92%83%E4%BA%8B%E4%BB%B6
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件」最終更新 2023年3月1日 (水) 12:18 

皆さんご存じのように、アメリカは赤がシンボルマークの「共和党」と、青がシンボルマークの「民主党」に分かれて、国を二分する争いをしています。

上記の事件では、少なくとも5名の死者が報道されていますが、損害の金額まではわかりませんでした。

民主主義の先進国であるアメリカでさえ、国論を二分する問題による混乱と損害は、大きなものとなってしまっているのです。

④日本も分断は進んでいる

コロちゃんが、ちょっと気にしていたのは「沖縄」です。

沖縄県においては、現在県政は「辺野古基地建設反対」の「オール沖縄」の玉城デニー知事です。

しかし、昨年の選挙結果は、参院選と知事選の全県選挙では、「オール沖縄」が勝利で、市長選では自民党・公明党が擁立する候補が7つの市で勝利するなど、県民が二つに分かれているのです。

上記で取り上げました「原発」や「年金」「少子化」「防衛費」も、国民の考えが二つに分かれています

このことによる社会的な混乱が出てくるのではないかと、コロちゃんは懸念するのです。

10.大声を出すより知見を深めよう

このような時には、双方がヒートアップして、落ち着いた議論ができなくなることが多いと思うのです。

賛成と反対に、それぞれがこだわると、議論は「神学論争」になってきます。どこまで行っても交わらないのは、コロちゃんが若い時からよく見てきました。

専門的なことは、コロちゃんも知らないことが多いですから、イメージとかイデオロギー的傾向とかにこだわらずに、多くの知識を得る中から、より深い考察ができればいいと思っています。

よく、すぐに結論を求める方もいらっしゃいますけど、そんなに簡単に「正しい方針」が出るような問題ならば、国民を二分する議論になるはずがないんですよ。

ですから、この問題も、ゆっくり、じっくり、知識と知見を広げればよいとコロちゃんは考えています。

皆さんは、どうお考えでしょうか。あまり興味がないかもしれませんが、こういう問題もあるよと時々頭に浮かべてもらえれば良いかなと思います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Frauke RietherによるPixabayからの画像
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