【経済考】「物価」に負けてる「賃金」

経済

おはようございます。今朝のコロちゃんは元気がないんです。どうしてかって言うと「腰が痛ーい!」のです。

まいったなー、痛いなー、なんとかならないかなー。ならないから辛いんだよなー。
(。>_<。)アイタタタ

こんなに痛いのは、7月に「腰痛が軽減」して以来ですね。この「腰痛の悪化」の原因に心当たりは以下の三つです。

①「温水プール」で頑張りすぎた。
②「痛み止めのトリプタノールを6→5錠に減らした」
③数日前から寒くなった。

何が原因なのかわかりませんが、取り敢えずは、「痛みをガマンする」しかないですね。あっ、痛み止めの「トリプタノール」は、今日から元の1日6錠に戻して様子を見てみましょう。

今日は、痛みをこらえながら「物価と賃金」のお話しをポチポチします。

1.「8月の実質賃金は減った」

先日の10月6日に、厚生労働省が8月の「毎月勤労統計調査」を発表しました。

その内容によると、8月の一人当たりの「実質賃金」は、前年同月比でマイナス2.5%と、16ヶ月連続の減少となっています。

以下のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 毎月勤労統計調査」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2306p/dl/pdf2306p.pdf
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年6月分結果速報  より(8月8日利用)

上記のグラフの上の「太い黒の実線」は、実際に支給された「名目賃金」です。

こちらは、プラス圏にあるのですが、物価上昇率を加味した「実質賃金」(下の細い黒の実線)は、依然としてマイナス圏にあります。

今年2023年の1月以降の「実質賃金」の数値を見てみましょう。下記をご覧ください。

1月 マイナス4.1%
2月 マイナス2.6%
3月 マイナス2.9%
4月 マイナス3.0%
5月 マイナス1.2%
6月 マイナス1.6%
7月 マイナス2.7%
8月 マイナス2.5%(この数値が今回発表されました)

7月5日に労働組合のナショナルセンターである「連合」が発表した春闘の「最終集計」の賃上げ率は、正社員の平均で3.58%だったと報じられています。

また8月4日に「経団連」が2023年の「春季労使交渉の最終集計結果」を3.99%と発表しています。

それにもかかわらず、上記のグラフを見ると4~8月の「実質賃金」は、マイナス圏を低迷しています。

どうやら、この程度の「大企業」の賃上げでは、「経済の好循環」を巻き起こすには力不足の模様です。

コロちゃんは、大手企業の賃上げ率が少々高くとも、日本には数多くの「年金生活者」と「非正規雇用者」がいますから、国全体の「実質賃金」を動かすのは難しいと思っていたんですよ。

上記の「実質賃金の推移」を見ると、その懸念通りの結果となっていますね。

2.「8月の家計消費も減った」

上記の「実質賃金」が厚生労働省から発表された同じ8月6日に、総務省からも「8月の家計調査」が発表されています。

この「賃金」と「家計」の二つの発表は、前者は「厚生労働省」で後者は「総務省」ですが、同じ日に発表されています。

「賃金」と「消費」が、同じ日に発表となっていますから、世の中の動きが見やすいですね。

総務省が発表しました、この「8月の家計調査」の「二人以上の世帯の消費支出」は、1世帯当たり293161円で、実質では、前年同月比2.5%の減少でした。

下記のグラフをご覧ください。

「総務省統計局 家計調査報告」より

https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
出典:総務省統計局 家計調査報告 -2023年(令和5年)8月分-より(10月6日利用)

上記のグラフは、「二人以上の世帯の家計調査報告」です。3月以降の「消費支出」がマイナス圏に沈んでいることが見て取れます。

それでは、今年に入ってからの「二人以上の世帯の家計調査」を見てみましょう。

1月 マイナス0.3%
2月  プラス1.6%
3月 マイナス1.9%
4月 マイナス4.4%
5月 マイナス4.0%
6月 マイナス4.2%
7月 マイナス5.6%
8月 マイナス2.5%(この数値が今回発表されました)

「消費支出」が回復している様子は見受けられません。春闘での「賃上げ」の波及効果も見えません。

あえて楽観的な要素を探すと、マイナスの率が7月(マイナス5.6%)が、8月(マイナス2.5%)に低下していることぐらいでしょうか。

やはり、多くの皆さんは、物価高の中で消費支出を抑えて「生活防衛」に走っていると思われます。

コロちゃんだって、スーパーの商品の値札を気にしながら買い物をしていますもんね。

3.「なぜ物価は上がるのか?」

コロちゃんは、素人のおじいちゃんですから、「経済」についてさほど詳しいわけではありません。

しかし、「消費が減少している」ならば「物価は下がる」のじゃないかと思っていましたけれど、どうやらそうではない模様です。

いろいろ調べてみると、どうやら「物価が上がっている理由」は、下記の①②が主要な理由のようです。

①「ロシアのウクライナ戦争で、原油や穀物の値段が高騰した影響」

②「進む円安の影響」

そして、円安は下記の理由によって進んでいます。

③「日本とアメリカの金利差により、円を売ってドルを購入する資金が増えた。また、日本が輸入する原油や食料品の値段の高騰により、支払いに円を売りドルを購入する金額が増えた」

また「円安」が「物価上昇」に至る経路は、以下の経路とされています。

④「6月の輸入物価は前年比で46%増加、その要因の4割以上は円安要因」

要するに「原油や穀物価格の高騰」+「日米金利差による円安」=「国内物価上昇」という経路となっているわけですね。

それでは、現在の「日米の金利差」を見てみましょう。

一般的に国の「金利差」を見る場合は、「10年もの国債の金利(長期金利)」をみます。

〇「日本  0.803%」(10月7日現在)
〇「アメリカ4.795%」(10月7日現在)

計算してみると、アメリカの金利は日本よりも「3.992%」も高くなっています。

これだけの金利差があると、円で資金を調達して、ドルを購入して投資しようとする動きが加速しますね。

現在の物価上昇には、「清貧ライフ」のコロちゃんだけではなく、多くの国民の皆さんがお困りになっているのですから、早く「物価の安定化」をしてほしいと思います。

しかし、上記の理由の内の「①ウクライナ戦争」については、日本がどうこうできるものではありませんから、「物価対策」をするとなると「②円安」対策しかありません。

4.「円安を転換できないのか?」

それでは、どうすれば「円安」を「円高」に転換できるのでしょうか?

「経済学的」には「金利を上げる」ことをすれば「円安」は止まります。

アメリカ(4.795%・10月7日現在)と同じとまではいかなくとも、差が小さくなるほど、現在の「円安」とは逆に「円高」となっていきます。

その「金利の上げ下げ」は、「日本銀行」のお仕事となっています。

現在の「日銀」は、黒田前総裁が推し進めてきた「異次元の金融緩和」を継続していますから、その結果として為替は「円安」となっているのです。

過去の2013年の「日銀」がなぜ「異次元金融緩和」を行なったのかというと、言うまでもなく「日本経済」が陥った「デフレ脱却」のためです。

「デフレ」とは、一般に2年間以上「物価の下落」が続いたときとされています。

したがって、「消費者物価指数」(総合指数)からみると、2001~2012年までの時期を「デフレの時代」と言っています。

しかし、その後の「日本経済」は、まだ完全には「デフレ」から抜けきっていないとされています。

そこで現在の「日銀」は、「デフレ」に再び戻ることが無いように、今だに「金融緩和」を続けているというわけです。

アメリカのFRB(米連邦準備制度理事会)は、日本の「金融緩和」とは真逆の「金融引き締め」をしていますから、アメリカの長期金利は高く(4.795%・10月7日現在)なっているわけです。

上記でも触れましたように、「金融緩和」を進めると金利は低下(0.803%・10月7日現在)します。

ですから、アメリカ金利(4.795%・10月7日現在)との金利差によって、結果的に「円安」となる構図となっています。

このように「金融政策」を担当している「日銀」は、現在のところは「金融緩和維持」が原因の「円安」も許容しているのです。

5.「政府も円安を許容」

それでは、「国民生活の維持・向上」を担当している「政府」の方々は、現在の「物価上昇」と「円安」について、どのように考えているのでしょうか。

岸田総理は、先月9月25日の記者会見で、「円安」について以下の様に発言されています。

「引き続き高い緊張感を持って注視していきたい」

「為替相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は望ましくない」

これを翻訳すると、「円安」を否定したり是正したりする考えはないと言う事なのでしょうね。「過度な変動」でなければ「円安」でもよいとも聞こえますね。

そもそも「政治の世界」では、「金利が低い」ほど歓迎されるのです。

金利が低ければ、事業資金が低利で借りられますから「企業経営者」には歓迎されます。

そして何よりも、金利が低いと「株価が上昇する」のです。

その反面「低金利」は、現在のような「物価上昇」も同時に招来しますから、多くの「庶民」にとって歓迎されない関係にあるのです。

その「金融緩和歓迎の企業経営者・株主」と「物価上昇反対の国民」とを、天秤に掛けて比較して判断するのが「政治家」です。

今のところ「政治家の方々」は、前者の「金融緩和歓迎の企業経営者・株主」の方々に天秤を傾けているのでしょう。

6.「物価に負けない賃金にするためには」

今日のテーマは「物価に負けてる賃金」です。

この命題を反転させて「物価に勝つ賃金」にするためには、下記の二つの選択肢しかありません

①「賃金を上げる」
②「物価を下げる」

それでは、上記の二つの選択肢を次に検討してみましょう。

①「賃金を上げることができるか?」

まず、①「賃金を上げる」について考えます。

今年の春闘における賃上げは、過去30年ぶりの高い数字となりました。その賃上げ率は下記のとおりです。

①「連合最終集計」 3.58%
②「経団連集計」  3.99%
③「厚生労働省推計」3.60%

「春闘」の賃上げ率の最終集計は、調査する団体・機関によって多少の違いがありますが、どれも3%台後半と高い数字が出ています。

しかし、この数字はみな「大企業」のものばかりです。この程度の数字では「日本全体」を動かすほどではなかったとコロちゃんは思いました。

何しろ、日本には「非正規雇用者」という「巨大な雇用者集団」が存在します。

2023年8月の厚生労働省の発表した「労働力調査」によると、「役員を除く雇用者5751万人」に対して、「非正規雇用2114万人」となっています。

なんとその割合は36.8%にもなります。

これらの「非正規雇用者」の方がたの賃上げは、上記の「大企業の春闘賃上げ」を大幅に下回っているでしょう。

また「年金生活者」の存在も忘れてはいけません。

「重複のない公的年金の実受給権者数」は、令和3年度(2021年度)末現在で 4023 万人とされています。
(厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況」より)

2021年(令和3年)10月1日現在の総人口は1億2550.2万人ですから、「重複のない年金受給者数」の割合は、33.7%となります。
(総務省統計局 人口推計より)

「現在の日本」においては、全国民の3人に1人が「年金受給者」なのです。

そして、この「年金受給者」の今年2023年の「賃上げ(改定額)」は、67歳以下の方で2.2%。68歳以上の方では1.9%の引き上げでしかないのです。

コロちゃんは、70代の「年金生活者」ですから、今年の「賃上げ(改定額)」は1.9%となって、月3000円程上がりました。

しかし、月3000円の「賃上げ(改定額)」では、現在の物価高では焼け石に水です。

コロちゃんと同じ全国4023万人の「年金生活者」は、コロちゃんと同じ様に出費を切り詰めて生活をしていると思いますね。

このように見ていくと、「①賃金を上げる」と言う事で、日本全体の「賃金を底上げする」ことが如何に難しいのかがわかってきます。

「賃上げ」は、一部の「大企業」ではできるでしょう。しかし多くの「中小零細企業」では低くなることでしょう。

そして「非正規雇用者」や「年金生活者」の賃上げは、到底3%台には届きません。

コロちゃんは、そう見ていくと「全国の雇用者の大幅な賃上げ」はできないとみています。

②「物価を下げることができるか?

物価を上げ下げすることは「政府」のお仕事ではありません。

それは「日銀」のお仕事です。

「日本銀行」は、「物価の安定」を目的として、「金融政策」を策定・実行しているのです。

物価が上がると言う事は、お金の価値が下がると言う事ですから、「日銀」はお金の価値が上がったり下がったりしないように、「金融政策」を行なっているのです。

現在の「日銀」の「金融政策」は、ゼロ金利(短期金利)、1%上限(長期金利)を目途とした「金融緩和」です。

「金融緩和」は、お金を市場に供給する政策ですから、「物価上昇」を進める政策です。

「日銀」の現在の目標は、以下の通りです。

「『物価安定の目標』を中心的な物価指標である消費者物価の前年比上昇率で2%とすること」
(日銀ホームページ金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について)より

現在の物価上昇率は、「8月3.1%上昇」(総務省統計局消費者物価指数)となっていますが、これでもまだ「日銀」の考える「2%を安定的に達成」とはなっていないようです。

このように見ていくと、この稿の小見出しの「物価を下げることができるか?」という問いは、そもそも間違っていることがわかります。

「日銀」は物価を下げる気は全くない!が正しいのです。

7.「異次元緩和の出口が物価上昇」

今日のテーマは「物価に負けてる賃金」です。

この二つの要素の「賃上げ」と「物価」について考察してきました。

その結果としては「全国民に波及する賃上げ」は、まず出来ないと、コロちゃんは断言しますね。

そしていずれは「日銀」が「金融政策」を転換して金利上昇を許容する方の可能性が高いです。

こちらはおそらく来年2024年のことになるでしょう。

それまでは「物価上昇」で困窮する人々への短期的な対応は「政府」のお仕事です。

岸田総理は、先日の10月8日の記者会見で、以下の様にご発言なさっています。

「国民は物価高に苦しんでおり、国民生活を守らなければいけない」

これを聞いた限りでは、今後「政府」は、「金融緩和」は続けて欲しいけど、「物価上昇」が続くことによる「国民の困窮を軽減する政策」も、合わせて行うことになると思われます。

それは、「日本経済」のブレーキとアクセルを、同時に踏む「政策展開」になると思われます。

そもそも「物価上昇」は、「日銀」の「異次元緩和の出口」に必ず付きまとうコストなのです。

その「コスト」で一番被害を被るのは「低所得」の方々であることは言うまでもありません。コロちゃんのような「年金生活者」もその一員ですね。

この「物価に負けない賃上げの結果」は、来年の夏までにははっきりします。

コロちゃんは、残念ながら「無理筋ですよ」と、今から言っておきますね。

そして当然にして、岸田総理が進めようとする「経済の好循環」は実現しないと思います。

最後にその「経済の好循環」をもう一度見ておきましょう。

①「賃金が上昇して消費が拡大する」→

②「消費が拡大すれば物価が上昇する」→

③「物価が上昇すれば、企業の売り上げが増加する」→

④「企業の売り上げが増加すれば、企業の利益が上昇する」→

⑤「企業の利益が上昇すれば、賃金が上昇する」→
一番上に戻り、そのループが繰り返される

この「経済の循環」の最初の①「賃金が上昇して消費が拡大する」に既に失敗していると、コロちゃんはハッキリと断言します。

できますれば、今回の「物価上昇」による多くの「低所得の方々の被害」が少なく収まることを願いますね。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Ylanite KoppensによるPixabayからの画像
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