【社会考】「児童手当」の大盤振る舞いは効果があるか?

社会
小学生 ランドセル-05

おはようございます。今朝は、霧雨が降ったりやんだりしていました。いよいよ梅雨入りが間近なのでしょうか。

雨が降ると、ワンコとの散歩ができないで困りますね。なるべく雨の少ない梅雨であってほしいです。

先日、新聞を読んでいましたら、岸田総理の「少子化対策」の内容がだんだん明らかになってきました。

今日は、その「児童手当」の大盤振る舞いについて、ポチポチします。

1.現在の「児童手当」は?

まず、現在の「児童手当」がどのように支給されているのか見てみましょう。

下記の引用をご覧ください。

「内閣府 児童手当制度のご案内」より

 https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html
参照:内閣府 子ども・子育て支援新制度 児童手当制度のご案内 より(5月27日利用)

上記の引用の通り、現在は0~2歳に、一律で月1万5千円。

3歳から小学生までは、第1~2子が1万円、第3子以降は1万5千円。

中学生は一律1万円となっています。

現在では「所得制限限度額」と「所得制限上限額」があり、その枠内の場合は「特例給付」で一律5千円支給となり、「所得制限上限額」を超えた場合は、支給されません。

夫婦と子供二人の場合、世帯主の年収が960万円以上なら、月5千円に減額され、1200万円を超えたら支給されていません。

この現行の制度が、以下のように変わるようです。

2.「児童手当」がこう変わるみたい

まず 、「児童手当」の「所得制限」をなくすようです。いくら所得が高くとも、支給されるようになります。

そして、第3子以降の3歳~小学生の1万5千円を、対象を0歳~高校生に拡大し、金額も3万円とする案を検討していると報道されています

また、高校生には月1万円を支給するという案も出ているそうです。これは、どの年齢が対象なのか、この記事には明記していませんので、お子さんが1~2人の方は気になりますよね。

その新聞記事は、以下の通りです。お読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

第3子以降の児童手当「0歳〜高校生まで」 政府検討 - 日本経済新聞
政府が第3子以降の3歳〜小学生に増額している児童手当の多子加算について、対象を0歳〜高校生に拡大する案を検討していることが分かった。額も月1万5千円から3万円に倍増する。今後与党との調整を進める。児童手当は現在は0〜2歳に一律で月1万5000円給付している。3歳から小学生までは第1〜2子が1万円、第3子以降は1万500...

この記事によると、少子化対策の事業費は、3年間で年3兆円規模が想定されていて、児童手当の拡充には、このうちの1兆2千億円をみこんでいるそうです。

3.「児童手当」増額で喜ぶ方たち

来月6月に出てくる「骨太の方針」で最終的に決まるのでしょうけど、この「児童手当」増額に喜ぶ世帯も多いかと思います。

それでは、その方の数はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 グラフで見る世帯の状況」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h29.pdf
参照:厚生労働省 令和3年国民生活基礎調査(令和元年)の結果から グラフでみる世帯の状況 児童のいる世帯より(5月27日利用)

上記のグラフをみると、2019年現在で、児童のいる世帯は21.7%です。

現在の日本の全世帯数は、5170万世帯ぐらいですから、ざっと1100万世帯ぐらいがお子さんがいるということになりますね。

やはり、子ども(児童)のいない世帯の方が多いですね。2019年の調査では、全世帯の8割近くは、子ども(児童)がいません。

なお、「児童福祉法」による「児童」とは、18歳未満の者となっています。

今回の「児童手当」の増額の影響が一番大きいのは、第3子のいらっしゃる世帯です。では、その世帯はどのくらいあるのでしょうか。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 グラフで見る世帯の状況」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h29.pdf
参照:厚生労働省 令和3年国民生活基礎調査(令和元年)の結果から グラフでみる世帯の状況 3児童のいる世帯より(5月27日利用)

上記のグラフは、1986年以降の子どものいない世帯と、子どもの人数別世帯のグラフです。

今回の「児童手当」の増額の影響が一番大きい「第3子以上」がいる世帯は、2019年で2.8%です。世帯数では、ざっと、144万世帯ぐらいでしょうか。

それにしても、このグラフの1986年の表示では、ほぼ半数の世帯で子どもがいたのに、25年後の2019年には、21.7%まで減少しています。

このグラフは、1986~2019年ですが、この間に「児童のいる世帯」の帯は、一貫して減少しています。この子どもの減少のトレンドが、今後変わることがあるのでしょうか。

4.「第3子世帯優遇」よりも、独身者が結婚できる社会を

今回の「少子化対策」では、どうやら「子ども3人世帯」を優遇しているように見受けられます。

コロちゃんは、子どもの数を増やすよりも「婚姻数」を増やす方が、効果的な「少子化対策」になると思っていますので、ちょっと違和感を持ちました。

そこで、第3子世帯優遇とは、どのようなことを意味するのかを、あちこちポチポチ調べていて、興味深いレポートを見つけました。

それは「東京大学」名で、発表しているレポートで「我が国における子供の数と学歴・収入の関係」というテーマがついていました。

このレポートの執筆者は、以下の3人の方です。

ピーター 上田氏(東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際保健政策学分野客員研究員)

坂元 晴香氏(東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際保健政策学分野特任研究員)

野村 周平氏(東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 国際保健政策学分野特任助教)

このレポートをお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400187301.pdf

この発表のポイントは、以下のとおりです。

「子供を持たない人の数は、男女とも過去30年の間に3倍近くに増えていた」

「男性では高学歴・高収入であるほど子供を持つ割合が多いことが明らかになった」

そして、「子供の数と社会経済的要因の関係」について、以下のようにまとめています。

「子どもの有無・もしくは3人以上子どもがいるかどうかは、高収入の人ほど子どもを持っている割合が多い」。

また「非正規・パートタイムの人では、子どもを持っている人の割合や3人以上の子どもがいる割合が、正規雇用に比べて少ない」としています。

コロちゃんは、このレポートを読んで、「そうだろうな」と納得できる研究だと思いました。

現実に「第3子」の世帯は、高所得の世帯がほとんどなのでしょう。

今回の、「児童手当増額」の財源の一つは、「社会保険料」から召し上げるそうですから、「低所得」の方も数多くいらっしゃいます。

そこから財源を吸い上げて、高所得者がほとんどを占める「第3子世帯」に児童手当を増額することは、「低所得者」から「高所得者」への所得移転となるとコロちゃんは思います。

5.「児童手当」増額の前にやるべきこと

今回、岸田総理は「異次元の少子化対策」として、「児童手当増額」を打ち出してきました。

しかし、ちょっと待ってください。「少子化」の前に、若い方は「結婚ができない」と悩んでいるんですよ。

日本の場合は、まず結婚しなければ、子どもが生まれません。それでは、未婚の方たちに「結婚できない理由」を聞いてみましょう。

下記の引用をご覧ください。

「内閣府 少子化社会対策に関する調査等 結婚していない理由」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_riyousha/html/2_8_4.html
参照:内閣府 子ども子育て本部 少子化社会対策に関する調査等 平成21年度インターネット等による少子化対策の点検・評価のための利用者以降調査 最終報告書 第2章 8(4)結婚していない理由 より(5月27日利用)

上記の引用をみてもわかりますが、男女とも年代にかかわらず「適当な相手にめぐり合わないから」が第1位にあげられています。

そして、第2位から第5位までに、「結婚資金が足りないから」と「結婚後の生活資金が足りないから」が、40代女性以外の全ての年代でランクインしています。

若者は、未婚の理由として、第1には「めぐり逢わない」、そして、次の第2~第5位に「経済的理由」を上げているのです。

「児童手当」を増額して、第3子にお金を配る前に、若者に、まずは「結婚資金」と「結婚後の生活資金」を配分することが、最大の「少子化対策」となるのではないでしょうか。

6.「結婚」には年収アップが必要

それでは、次に「年収」と「結婚」の関係を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。「年収別の配偶者のいる割合(男性)」です。

「内閣府 年収別配偶者のいる割合(男性)

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状(第1章 3)より(5月27日日利用)

上記のグラフを見てもはっきりわかるように、25歳から39歳までの5年刻みのデータでも、所得が低いと配偶者のいる割合(男性)は、低くなっているのです。

若者は、結婚しないのではなく、結婚できないのです。

「少子化問題」に、本気で取り組むのならば、「未婚・非婚者対策」は欠かせないと思います。

下記のグラフをご覧ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状(第1章 3)より(3月28日利用)

上記のグラフを見てもわかりますが、「非典型雇用」の男性の「配偶者のいる割合」は、「正社員」の半分以下なんです。

「非典型雇用」男性が「正社員」男性になるだけで、結婚数は大きく増えるのではないでしょうか。

結婚数が増えれば、当然にして子どもも生まれてきます。

7.「児童手当」増額では「少子化対策」にはならないと思う

岸田総理の今回の少子化対策の「児童手当増額」は、「高所得層」の既婚者に、多くの子どもを産んでもらうための施策です。

未婚の「低所得層」には、今のところ何もありません。それでは、結婚率も出生率も上がらないのではないでしょうか。

そして、「少子化対策」の財源については、1兆円程を「社会保険」から召し上げて調達するようです。

「社会保険」には、多くの「低所得層」も加入しています。ここから財源を召し上げるとなると、「低所得層」から「高所得層」への、お金の移転となります。

これでは、ますます「格差の拡大」が進むのではないかと、コロちゃんは懸念します。

この「少子化対策」は、6月の「骨太の方針」で大枠を示すこととなっています。

今後、「低所得層」の未婚者に配慮した内容が含まれることを、コロちゃんは心から願います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい

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