【社会考】移民を入れて「経済成長」

社会

おはようございます。今日は朝から曇っています。日中はムシムシした暑さとなりそうです。

コロちゃんは、麦茶ガブガブで一日を過ごそうと思っています。皆さんも「熱中症」にはお気を付けください。

今日は、「経済成長」と「移民」のお話をポチポチします。

1.日本の「経済成長」

まずは最初に、日本の「経済成長率」を見てみましょう。賃上げや景気なんかも、この「経済成長率」が上向かないと良くなりませんからね。

下記のグラフをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/20/backdata/2-1-1-1.html
出典:厚生労働省 令和3年版 厚生労働白書 図表2-1-1-1 実質GDP成長率の推移(季節調整済前期比)より(7月9日利用)

上記のグラフは、2007年から2020年までの14年間の、四半期別の「実質GDP成長率」のデータです。

2008年の「リーマン危機」と2020年の「コロナ禍」で、大きく落ち込んでいるのが見て取れます。また、その間の期間は、0%を挟んで細かく上下していることが見て取れます。

資料を確認すると、1996~2015年の「実質経済成長率(2011年基準)」は、平均すると0.8%となっています。

まさに低迷の一言ですね。なにせ「失われた30年」って言いますものね。

次に下記のグラフをご覧ください。こちらのグラフは、上記のグラフ以降のデータと見通しが掲載されています。

「内閣府 2023年度政府経済見通しの概要」より

https://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2022/r050123mitoshi-gaiyo.pdf
出典:内閣府 令和5年度(2023年度)政府経済見通しの概要より(7月9日利用)

上記のグラフは、「年度単位」ですので、前のグラフとは厳密には連続していませんが、大きな流れはわかると思います。

コロナ禍の潤沢な政府支出の影響と、2020年のコロナ禍の落ち込みの反動による回復もあると思いますが、2022・2023年の実質GDP成長率は、1%台となっています。

2.「経済成長」の「成長会計」

「経済成長」を考える時に、その要因を分解して解析する「成長会計」という概念があります。

①「成長会計」とは?

下記の引用をご覧ください。

「財務省 成長会計に基づく日本経済の歩み」より

「供給サイドから見た経済成長の原動力は、労働・資本ストック・技術進歩の3つである。
実質 GDP 成長率の実績値を労働者数と労働時間、資本ストックの投入と技術進歩(全要素
生産性上昇)に分解して、それぞれの貢献を明らかにする分析手法が、「成長会計」の考え方である。」

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/research/fy2005tyousa/1708dankai_13.pdf
出典:財務省 成長会計に基づく日本経済の歩み より(7月9日利用)

上記の引用は、「経済成長」の中身を解析する「成長会計(Growth Accounting)」という概念を説明したものです。

「経済成長」の中身は、「資本投入」「労働投入」「TFP(Total Factor Productivity)」の三つの合計から成り立っているとされています。

「TFP」は「イノベーション」とも説明されますが、この数値を調べる手法はない模様です。「経済成長率」や「資本投入」「労働投入」はデータがあるんですけど。

ですから、「経済成長」から「労働投入」と「資本投入」のデータを控除することによって「TFP」の数字を算出するそうです。

しかし「TFP」は、直接計測することができないので「残差」であるとするエコノミストもいます。

②日本経済の「成長会計」を見る

それでは、日本経済を上記しました「成長会計」によって分解してみてみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 生産性低迷の原因と向上策」より

https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/20200415/shiryou1_1.pdf
出典:内閣府 生産性低迷の原因と向上策 より(7月9日利用)

上記のグラフが、日本の1955~2015年の「経済成長」の中身を解析した「成長会計」の推移です。

グラフの灰色が「労働投入」、茶色が「TFP(イノベーション)」、青色が「資本投入」、そして、このグラフには黄色の「労働の質の上昇」という項目があります。

順次見ていくと、1955年~1970年の期間は「高度成長期間」ですね。「TFP(イノベーション)」の寄与度が大きいです。キャッチアップが貢献したのでしょうか。

この期間は「資本投入」も「労働投入」も大きくて、さすが「高度成長」と言われるだけありますね。

それが、1970~1990年になると、打って変わって4%台の成長になってしまいます。中東戦争で原油が高騰した石油危機は1973年です。それ以降は原油の値段が10倍に膨れ上がりました。

この期間は、それ以前の期間に比べて、「成長会計」の「資本投入」「労働投入」「イノベーション」の全てにわたり低下しています。

そして、一週間の労働時間が、48時間から40時間に法規制が変わったのが1987年です。

上記のグラフでも、1990年以降の「労働投入」は、2010年まで大きなマイナスとなっています。1990~2010年にかけては、「労働投入」のマイナスが、「経済成長」の足を引っ張っています。

その後の2010~2015年の「労働投入」が、ゼロ付近にあるのは、アベノミクスで、高齢者と女性の非正規雇用の動員が成功したせいかもしれません。

このグラフを作成した深尾京司一橋大学教授は、この資料で、以下のように書いています。

「近年の経済成長率減速の主因は、労働時間の減少ではなく、労働生産性上昇の低迷である」

「労働生産性上昇の低迷は、①全要素生産性(TFP)上昇の減速、②労働の質上昇の減速、③資本装備率上昇の減速、すべてで引き起こされている」

このように、深尾先生は、非正規雇用の増大で、労働生産性が落ちたことを重視していますね。

ここまでを読んで、日本が今後成長するためには、「資本投入」「労働投入」「TF(イノベーション等)」の全てが上向かなければならないのは、ご理解いただけたでしょうか。

それでは、今見てきた「成長会計」のうちの「労働投入」を頭において、次のアメリカの例を見てみましょう。

3.「移民の国」アメリカ

アメリカの人口は、2021年現在で3.319億人です。日本の人口1.2億人の2.5倍以上の国家です。

もちろん経済的にも、GDPは、世界ナンバーワンの23.32兆㌦と、日本の4.94兆㌦と比べると、なんと5倍近い大きさです。

そのアメリカ国家の強みは、毎年の人口増にあります。移民の国だけあって毎年多くの移民を吸収し続けています。

アメリカ労働人口は、1995年の1.32億人から2022年の1.64億人と、7年で24%増加しました(年平均0.92%増)。その増加の7割が、移民とその子どもが占めています。

もし、移民がなかったとすると、この期間のアメリカの労働人口は24%ではなく、7.5%の伸びにとどまった計算となると言われています。

アメリカの1995年以降の実質GDPは、年平均2.4%も伸びていますが、もし移民がいなかったら「経済成長率」は2.4%から1.6%台に下がると言われているのです。

このように「経済成長」には、「労働投入」は重要な要素となるのです。

それでは、また最初に戻って、「成長会計」の要素の一つである、日本の「労働投入」についての「外国人労働者」について見てみましょう。

4.日本の「外国人労働者」

まず、現在日本に外国人労働者は、何人くらいいるのでしょうか。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況まとめ」より

https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044543.pdf
参照:厚生労働省 報道発表資料「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)より(6月10日利用) 

上記のグラフを見てもわかるように、2022年10月現在で、「外国人労働者」は182万2725人で、前年より9万5504人増加しています。

このグラフの推移をみると、コロナ禍の2020年と2021年は横ばいですが、それ以前の2015~2019年は、年間20万人規模で増加しています。

今回、「技能実習制度」が無くなり、「特定技能制度」が変わることによって、更に「外国人労働者」が増加すると思われます。

それでは、その「外国人労働者」はどこの国の方なんでしょうか。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況まとめ」より

https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044543.pdf
参照:厚生労働省 報道発表資料「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)より(6月10日利用)

上記のグラフ見ると、多い順に「ベトナム」「中国」「フィリピン」となります。ただ、「中国」は対前年比では、2.8%減少とありますから、今後は変わっていくかもしれません。

やっぱり「アジア圏」の方が多いですね。
(中国・韓国・フィリピン・ベトナム・ネパール・インドネシア・ミャンマー)

「アジア圏」を、全て合計しますと75%もなりますね。

上記のように、日本には既に182万人以上の「外国人労働者」が入ってきています。ざっと200万人ですね。もうこれだけ多くの外国人の方がいらっしゃるのです。

5.今後は「外国人労働者」が増えるよね

それでは、今後20年後の2040年までにどのくらいの数の「外国人労働者」が日本に入ってくるのでしょうか。

その数を推計している組織があります。「国立社会保障・人口問題研究所」です。

その「国立社会保障・人口問題研究所」が先日「日本の将来人口推計」(令和5年推計)を発表しています。

その全文をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf

この中では、日本の人口は「2070年には、総人口は現在の1億2600万人から、3割減の8700万人に減る」と推計を発表しています。

そして「100年後の2120年には、5000万人を割り込んで、4973万人になる」と推計しています。

そして、この発表では、今後の、外国人の日本への国際人口移動を「年間16万4千人」と推計しています。そのまま行けば、2060年代には総人口の1割になる規模です。

なお、コロちゃんが調べましたところ、2020年のドイツの移民人口が全体の18.8%に達しているとの記載がありました。

日本は、このままですと2060年代でも、ドイツの半分程度の移民人口ということになりそうです。

日本社会は、これから来たるべき日本社会の「国際化」に向けて、準備を進めなければならないと思います。

6.「経済成長」には「移民」が必要

現在の日本では「少子化問題」が、世の中の話題を集めています。人口が減れば、経済は成長できないのです。

もちろん「成長会計」を見ても、たとえ「労働投入」が減少しても、それ以上に「資本投入」と「TFP(イノベーション)」を増大させることができれば、経済成長は論理的には可能です。

しかし、どうやって「TFP(イノベーション)」を計画的に増加させることができるでしょうか。

アメリカのスタートアップや、IT企業の例を見ていると、多様な人的資源がイノベーションには効果的だということは、歴史からわかっています。

しかし「イノベーション」は、計画的に達成できるものではありません。

「資本投入」を増やすことは、これもまた困難です。「資本」は「経済」の論理で投入されます。日本国内において、魅力ある投資対象があるならば、とっくに「資本」は動いているでしょう。

やはり計画的に成長するための近道は、「労働投入」を増やすこと、すなわち「移民」の積極的受け入れなのではないでしょうか。

もちろん、「外国人労働力」の増大には、様々な文化の摩擦が起きる可能性は高いとは思いますが、それは対処可能かと思われます。

日本は、「経済成長」という果実を手にするためには、「移民」という苦いお薬を飲みこまなければならないというのが、コロちゃんの考えです。

皆さんは、どのようにお考えでしょうか。日本の進むべき道はそうは多くないと思いますよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

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