【社会考】「専業主婦」の年金改革

社会

おはようございます。今朝のコロちゃんは、ワンコとの散歩で「寒いなー」と首を竦めて歩いていましたが、東の空がきれいな「朝焼け」が彩っていました。

寒さは辛いですけど、気持ちはスッキリと透明感が広がる感じを持ちましたね。

この「朝焼け」の様子を見ると、今日も快晴で日中は小春日和になるかもしれませんね。

下記にそのフォトを添付しますので、爽やかさのおすそ分けになればコロちゃんもうれしいですね。

今日は「専業主婦の年金制度の第3号被保険者の改革」についてカキコキします。

0.「今日の記事のポイント」

by<br><span class="bold-blue">コロちゃん</span>
by
コロちゃん

今日の記事は、下記のような内容になっていますよ。どうぞ最後まで楽しみながらお読みください。

☆「2024年年金検証と年金制度の不公平」

☆「第3号被保険者制度(専業主婦)改革案」

☆「帯に短したすきに長し 年金改革は難しい」

1.「年金制度検証は来年2024年」

日本の「公的年金」は、5年に一度「財政検証」を行なって、「制度の持続性」をチェックすることになっています。

この「5年に一度」と言う理由は、国勢調査が5年に一度行われていますから、その「将来人口推計」の更新に合わせるためとされています。

前回の「財政検証」は2019年でしたから、次は2024年になります。来年ですね。

その2024年の「財政検証」では、サラリーマンの妻の「専業主婦」の方の年金の「第3号被保険者制度」の改革が議論されるとされています。

この「第3号被保険者制度」は、「専業主婦層」の多くが該当していますので、不利益変更だった場合には、変更にかなりの批判と抵抗が予想されますから、先送りされる可能性も高いですね。

しかし、厚生労働省の「社会保障審議会年金部会」では、この問題を含む議論が始まっています。

コロちゃんは、先日9月21日に開かれた「社会保障審議会年金部会」の「資料」を基に、「第3号被保険者制度」の「改革案」を検討してみたいと思います。

2.「国民年金制度の不公平」

日本の「年金制度」の「被保険者」は、全員が同じ扱いではありません。下記をご覧ください。

「日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度」より

https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/20140710.html
出典:日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度 より(12月5日利用)

日本の「国民年金」は、上記の表の3つの「被保険者」に分かれています。見にくいので下記に書き出しますね。

①「第1号被保険者 国民年金 1431万人」

②「第2号被保険者 厚生年金 4535万人」

③「第3号被保険者 専業主婦 763万人」

「建前」上は、日本は「皆年金制度」ですから、国民全員が上記の3種類の「公的年金」のどれかには必ず入っていることとなっています。

①「第1号被保険者 国民年金 1431万人」

上記のイラストを見てわかりますが、第1号被保険者の「国民年金」は「基礎年金」のみです。

毎月1万6520円を20~60歳までの40年間支払いますと、満額で年間79.5万円(月6.6万円)が受給できます。

月額にすると6.6万円にしかならないんですよね。

現在では月6.6万円では生活が維持できません。

しかし、この「国民年金制度」が施行されたのは1961年と、現在より60年以上も前になります。

その当時の「国民年金」は自営業者を対象としていたのです。

ですから、高齢になったら自営業の後を継いだ子どもと一緒に暮らす生活を前提としていました。

しかし、最近では「自営業」だけではなく、「非正規雇用」の方や「フリーランス」の方の加入が増えていますが、制度はなかなか変えられずに現在に至っています。

すでにこの「国民年金」だけでは、生活が支えられないのは分かっているのですが、「厚生労働部会」の「次期改正に向けた主な検討事項(案)」には、「国民年金」は記載されていません。

ですから「国民年金」の受給金額を上げる予定はないと思われます。

下記にその「次期改正に向けた主な検討事項(案)」を添付しときますね。「専業主婦の第3号被保険者制度」は入っていますが、「国民年金」は入っていません。

「厚生労働省 次期制度改正に向けた主な検討事項(案」より

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001101665.pdf
出典:厚生労働省 厚生労働部会社会保障審議会年金部会 資料2 次期制度改正に向けた主な検討事項(案) より(12月5日利用)

②「第2号被保険者 厚生年金 4535万人」

上記の3つの「年金①②③制度」を一目見て、真ん中の「厚生年金」がピョコンと上に突き出ているのがわかります。これがサラリーマンが加入する「厚生年金」です。

ここで勘違いしやすいのですが、「厚生年金受給額」には「基礎年金分」は含まれているのです。

下記に同じイラストをまた添付しますね。もう一度ご覧ください。「①②③」を貫いているのが「基礎年金」です。

「日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度」より

https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/20140710.html
出典:日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度 より(12月5日利用)

「基礎年金」しかもらえないのが「①国民年金」と「③専業主婦」で、その「基礎年金」にプラスして「報酬比例部分」をもらえるのが「②厚生年金」だと思っていただければいいと思います。

なぜ、「②厚生年金」だけがそんなに優遇されているのかと言うと、「②厚生年金」の掛け金は半分は加入者が積み立てて、もう半分を会社で出しているのです。

2023年現在でこの「厚生年金」に40年間加入したサラリーマンは、65歳となると満額で「年間79.5万円(月6.6万円)+報酬比例部分」が受給できます。

「厚生年金」は、この「報酬比例部分」が付いている分だけ受給金額が高くなります。

その「報酬比例部分」は各人の毎年の所得によって増減しますのでみな違ってくるのですが、「平均受給額」は、男性が16.3万円、女性が10.5万円となっています。
(金額は基礎+報酬比例部分の合計額)

下記のイラストが「男性会社員+専業主婦」の「モデル年金」です。

「厚生労働省 様々な世帯類型でみた場合の現行制度の年金水準」より

https://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/s1214-4e1.html
出典:厚生労働省 標準的な年金(モデル年金)の考え方 様々な世帯類型でみた場合の現行制度の年金水準 より(9月14日利用)

また、一つ憶えていただきたいことは、上記イラストの「①②③」を貫いている「基礎年金」には50%を国が税金から拠出しています。

「基礎年金」には、50%と言う多額の「税金」が投入されているのです。

③「第3号被保険者 専業主婦 763万人」

ああ、やっと話が今日の主題の「専業主婦」まで来ました。上記の記載は全て「前段」の知識です。

現在の「年金制度」の「第3号被保険者(専業主婦)」は、パートに出ても一定の金額までは「負担ゼロ」で老後の受給を受けられます。

そうなんです。「専業主婦」は、夫が「厚生年金」に40年間加入さえしていれば、1円も出さずに65歳になると満額の「年間79.5万円(月6.6万円)」が受け取れるのです。

下記のイラストをもう一度見てみましょう。

「厚生労働省 様々な世帯類型でみた場合の現行制度の年金水準」より

https://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/s1214-4e1.html
出典:厚生労働省 標準的な年金(モデル年金)の考え方 様々な世帯類型でみた場合の現行制度の年金水準 より(9月14日利用)

このイラストの左側の「6.7万円」が専業主婦が1円も支払わずに受け取れる「年金」です。右側の「夫」の方は「厚生年金」です。

夫の分が「17.1万円」ありますから夫婦の年金受給額を合計すると「23.8万円」で、夫婦で老後を生活するには十分の年金額ですね。

掛け金を払わずとも受け取れる「年金」(専業主婦のみ)とは、なんとお得な制度でしょうか。

この負担は、税金と他の多くの年金加入者が払っているのです。

しかし、最近増えている結婚しない「単身者」や、毎月1万6520円を払っている「自営業者・フリーランス労働者・非正規雇用労働者」に比べると、なんかズルくないですか?

そこで、この「③第3号被保険者制度(専業主婦763万人)」の制度の見直しが、専門家の間で議論されているのです。

3.「第3号被保険者制度(専業主婦)改革案」

やっとここまでお話しが来ました。皆さんはもう冒頭に書いたことはすっかりお忘れになっていると思いますから、もう一度書きますね。

先日9月21日に開かれた「社会保障審議会年金部会」の「資料」を基に、「第3号被保険者制度」の「改革案」を検討してみたいと思います。

なにも、こんな不公平となった制度について、ほっぽってなにもしなかったわけではないんですよ。今までにも専門家を集めて、何回も検討したのだと思います。

今回の「社会保障審議会年金部会」に提出された「資料」では、「第3号被保険者制度(専業主婦)改革案」として、6つのプランを挙げています。

下記の表は読まなくていいですよ。眼をわるくしちゃいますからね。必要な部分は書き出します。

「厚生労働省 第3号被保険者制度の見直し案(6案)」より

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001148320.pdf
出典:厚生労働省 社会保障審議会年金部会 第3号被保険者制度について より(12月4日利用)

上記のこのプランは、平成12年(2000年)に開いた「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書」と書いてありました。

と言う事は、20年以上前に既にこの問題を議論したのに、結局は何もしなかったと言う事なのでしょう。

まあ、過ぎ去ったことは仕方がありませんので、この「たたき台」の6つのプランを簡単にご紹介しますね。

①「第Ⅰ案(妻が分割賃金で定率負担)」

では、改革案の第Ⅰ案を見てみましょう。下記のイラストをご覧ください。

「厚生労働省 第3号被保険者制度 第Ⅰ案」より

https://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/s1214-4e3.html
出典:厚生労働省 第3号被保険者制度 より(12月4日利用)

上記の第Ⅰ案は、「潜在的な持分権の具体化による賃金分割を行な」った上で、「専業主婦」からも、会社員の夫が会社から「天引き」されている保険料と同じ額(定率)を徴収するとしている案です。

コロちゃんは、この「潜在的な持分権の具体化による賃金分割」というフレーズがなかなか理解できませんでした。

この「案」では、以下の様に書いています。

「個人で負担し個人で給付を受けるという考え方を、応能負担の仕組みを維持しながら貫くことができ、片働き、共働きを通じて、夫と妻それぞれに給付と負担の連動が明確となる」

確かに「賃金分割して持分権を具体化して徴収」できれば、自営業者や非正規雇用者の「国民年金」との「不公平」は解消しますし、「夫」と「妻」それぞれに給付と負担の連動が明確になります。

しかし問題点は、「潜在的な持分権の具体化による賃金分割」という馴染みのない手法が受け入れられるか不明としています。

だって「専業主婦世帯」ですから、給料は「夫」の分しかありません。

企業だって「専業主婦」の保険料金を「夫」の給料から天引きすることを嫌がるでしょうね。

その「妻」の保険料金を「企業天引き」とするのか、「専業主婦」名義からの直接徴収にするのかは、「天引き」が可能かどうかと疑問形で記載しています。

また、「企業負担分」の財源をどうするのかも疑問形で記載しています。

そして「妻の天引き」が実現できない場合は、「未納の増加を招くおそれはないか」と懸念を記載していますね。

②「第Ⅱ案(妻が1号と同額を定額負担)」

イラストは省略します。

この第Ⅱ案を最初に見た時に、第Ⅰ案とどこが違うの? って思いました。よく見ると第Ⅰ案は「定率」で、第Ⅱ案は「定額」なのです。

それじゃ「定額」と「定率」って、どう違うのと思いますよね。

「国民年金」(自営業者等)は、毎月「定額」の保険料(月¥16250円)を自分で納めるのです。

そして、会社で「厚生年金」に加入している人は、毎月「定率」の保険料を会社などと折半して、給料から「天引き」されるのです。

要するに「定額」は「国民年金」のシステムで、「定率」は「厚生年金」のシステムなのです。

この第Ⅱ案の「妻が1号と同額負担」の1号とは「国民年金(月16250円負担)」のことです。

この案では「妻」が、「夫」とは別に、自営業者と同じように毎月16250円を支払うようになります。

「専業主婦」が、現在の「国民年金」に加入するのと同じ扱いにするわけです。これならば、「国民年金」加入者との不公平は無くなります。

こちらも「専業主婦世帯」ですから、給料は「夫」の分しかありません。

その「夫の給料」から、「妻の分の保険料」を「天引き」で徴収するなんて、無理でしょ。

しかし、現在の「専業主婦(第3号被保険者)」の年金には、国庫負担を除いた1/2には「事業主負担」も入っています。

この「事業主負担分」に「妻」の分も上乗せできるのか、できなければ財源はどうするのかの問題があるとしています。

③「Ⅲ案(夫が1号と同額を定額負担)」

これはわかり易い案です。この第Ⅲ案の「夫が1号と同額負担」の「1号」とは「国民年金(月16250円負担)」のことです。

すなわち「妻」の分を、「夫」の給与から全額から「天引き」する案です。

この案では「夫」が、「妻」の保険料を、自営業者と同じように毎月16250円を支払うようになります。

この案も「専業主婦」が、現在の「国民年金」に加入するのと同じ扱いにするわけです。

これならば、「国民年金」加入者との不公平は無くなります。

しかし、雇用関係のない「妻」の「自業主負担分」をどう考えるかと、「事業主負担」が求められない場合、これに代わる財源をどこに求めるかの問題は残ります。

そしてこの案ですと、片働き世帯の「夫」に課される保険料が、共働き世帯の「夫」と「妻」に課されるものよりも高くなることへの理解が得られるのかと指摘しています。

④「第Ⅳ案(3号世帯の夫全体で定率負担)」

この第Ⅳ案は、「専業主婦」のいる世帯の「夫」に、「専業主婦」の「拠出金負担」に要する費用を「専業主婦」のいる世帯の「夫の賃金総額」で割った率を加算した保険料負担を求めるという仕組みです。

前項の「第Ⅲ案」が、「国民年金保険料の定額(16250円)」としたところを、この第Ⅳ案では「定率負担」としています。

これも「国民年金」加入者との不公平は無くなります。

しかし、雇用関係のない「妻」の「企業主負担分」をどう考えるかと、「企業負担」が求められない場合、これに代わる財源をどこに求めるかの問題は残ります。

また、片働き世帯の「夫」に課される保険料が、共働き世帯の「夫」と「妻」に課されるものよりも高くなることについて、企業主の理解が得られるかの懸念を記載しています。

⑤「第Ⅴ案(高所得の夫全体で定率負担)」

この第Ⅴ案は、「高賃金者」について「保険料金」を引き上げて、「妻」の分も全額負担するという案です。

片働き世帯が、比較的高所得層に多い事に着目して、「専業主婦」の保険料負担についての不公平感を縮減できるとあります。

しかし、「賃金の高い者により多くの負担を求めることにより解決を図るという手法」が、現在の所得再配分施策の中で、どうなのかと疑問を呈しています。

コロちゃんの感想とししては、「そんな高所得層はごく一部にとどまり実効性が期待できないのではないか」と思いますね。

⑥「第Ⅵ案(3号の対象を育児・介護に限定)」

この第Ⅵ案は、「専業主婦(第3号被保険者)」としてのメリットを受けられる期間を、育児等の活動を行っている期間に限定することです。

「期間が限定」なので、保険料負担についての不公平感を縮減できるとあります。

育児・介護等の期間中にある者以外の「被扶養配偶者」の扱いをどうするかを論点として挙げています。

4.「帯に短したすきに長し」

コロちゃんが、上記の6案を読んだ感想を若干書きます。

ざっと読んでまとめましたので、誤解・曲解はあるかもしれません。何しろ「資料」では簡単に「1案に付き3行の説明分」しか載っていませんので、なかなか理解しにくいのです。

それでも、簡単な「改革の方向性」ぐらいは見当が付きます。

●「第3号被保険者(専業主婦)制度の見直し案」の6案の感想です。

○「第Ⅰ案~第Ⅲ案」は、「専業主婦(第3号被保険者)」の「年金保険料」を今までは払わなくとも「基礎年金」が受給できたのに、この案実現後は「年金保険料」を払うようになります。

いわゆる「不利益変更」となるわけですね。抵抗が大きそうですね。

○「第Ⅳ・Ⅴ案」は、「3号(専業主婦)の夫全体」か「高所得の夫全体」が「専業主婦」の「年金保険料」を払うようになります。

これも「不利益変更」ですが、対象者が限定されますから、抵抗は少ないかもしれませんが、効果も大きくないのではないでしょうか。

○「第Ⅵ案」は、「専業主婦(第3号被保険者)」としてのメリットを受けられる期間を「育児・介護等」に限定するのでは、対象者が少ない上に、「不利益変更」者の反発が大きいと思います。

なお、現在のこの「年金制度」の問題点として、よく指摘されているのは下記の4点です。

①「共働き・単身・母子家庭」と比べて専業主婦世帯を優遇している」

②「年収の壁(130万円)の原因となっている」

③「専業主婦は高所得世帯に多く、優遇措置は不公平」

④「働かない主婦を優遇するのは不公平」

ざっと、このような問題点があるとされていますね。

来年2024年には「年金財政検証」がありますから、制度のリニューアルがあるかもしれません。

しかし、この「第3号被保険者制度(専業主婦問題)」の、この「改革案第Ⅰ~Ⅵ案」は取り扱わないかもしれませんね。

どの案を出しても、多くの「国民の反発」は避けられないでしょうから。

最近の世論調査で、支持率が最低となっている岸田総理が、このような大きな改革を行なえるかどうか、コロちゃんは難しいと思いましたね。

コロちゃんが、この「改革案」を読んだ感じでは、当初の1961年の「年金制度発足」時の「制度設計」が悪かったと思いましたよ。

そして今にわたるまで小さな変更しかしなかったことも悪かったのでしょうね。

やはり、「増税」してその原資で「年金制度」を、「老後が安心な制度」に最初から作り直した方が良いように、コロちゃんは思いました。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

👀 Mabel Amber, who will one dayによるPixabayからの画像
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