【社会考】日本は安全になっているのか?

社会
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おはようございます。今朝のワンコとの散歩は、曇り空でところどころに青空がのぞいている天気でしたが、気温があまり高くなくさわやかな気候でした。

いよいよ、秋の気配がジワリと忍び寄ってきましたね。そういえば昨夜のワンコ散歩では、秋の虫の音がうるさいほど聞こえていましたね。

早く涼しくて過ごしやすい秋が訪れて欲しいですね。待ち遠しいです。

今日は「2023警察白書」についてポチポチします。

1.「2023警察白書」の発表

先日8月25日に、警察庁が「2023年版警察白書」を公表しました。

「警察白書」とは、警察活動に関する全般的な現状分析が掲載されており、どのような犯罪がどの程度発生しているのか等の情報もまとめられています。

この「警察白書」は毎年1回発行されています。

コロちゃんは、この「警察白書」を読むことで、日本社会の実情が立体的に見られると考えていますから、ざっと目を通してみました。

犯罪が増えるのは、悪い悪人がいるからなのか、社会の歪みの反映なのか、いろいろ見解はあるかと思いますが、現在の社会の一面だということは確かなことです。

ちょっと、現在の日本社会の姿を見てみましょう。

2.「刑法犯認知件数」は前年より増加

「警察」というと、やはり最初にイメージするのは「犯罪の検挙」ですね。「刑法犯」とは、窃盗や詐欺、横領などや、殺人、傷害などを言います。

その「刑法犯認知件数」ですが、多くの方のイメージとは違って、過去の推移をみると令和3年(2021年)までは、激減していたのです。

下記のグラフをご覧ください。

「警察庁 令和5年版警察白書」より

https://www.npa.go.jp/hakusyo/r05/pdf/05_dai2sho.pdf
出典:令和5年版警察白書 生活安全の確保と犯罪捜査活動 刑法犯の認知・検挙活動の推移 より(8月27日利用)

上記のグラフを見てもわかるように、「刑法犯認知件数」のピークは、平成14年(2002年)の285万件強です。

その後は、毎年「刑法犯認知件数」は右肩下がりに減少していますが、令和3年(2021年)に56.8万人でボトムとなり、その後の令和4年(2022年)では60.1万人に増加となっています。

2002年というと、バブル崩壊(1991年)後の長いバランスシート不況が続いた後で、1990年代末には銀行が倒産するという金融危機が起きた「就職氷河期」の真っただ中の時期です。

今後も「刑法犯認知件数」が、増加し続けるかどうは不明ですが、ちょっと気になりますね。

コロちゃんは、この「刑法認知件数」の推移のグラフを見て、直ぐに「就職氷河期」とのシンクロを考えました。

「就職氷河期」とは、バブル崩壊後に過剰となった「資本・設備・人員」を、企業が一気に削減したことで起こりました。

典型的な「バランスシート不況」だと言われましたが、その「就職氷河期」は、1993(平成5年)~2005年(平成17年)にわたって続きました。

上記の「刑法認知件数」のグラフのピークラインと「経済の不況期」が一致しているのは、偶然ではないと思いますね。

そして、その「刑法認知件数」が、令和3年(2021年)以降、再び増加に転じたことは気になります。

3.「重要犯罪」も増加

「刑法事案」の中で「重要犯罪」と位置付けられている事案があります。

「殺人、強盗、放火、強制性交等、略取誘拐、強制わいせつ」の6罪種です。

下記のグラフをごらんください。

「警察庁 令和5年版警察白書」より

https://www.npa.go.jp/hakusyo/r05/pdf/05_dai2sho.pdf
出典:令和5年版警察白書 生活安全の確保と犯罪捜査活動 需要犯罪の認知・検挙活動の推移 より(8月27日利用)

上記の「重要犯罪」件数の推移をみると、平成25年(2013年)以降、毎年減少していた件数が、令和3年(2021年)に8821件とボトムを記録しています。

その後は、昨年令和4年(2022年)には9535件と前年比で8.1%増加しています。

まあ「重要犯罪」は、「刑法認知件数」の一部ですから、同じ傾向を示すのは当たり前かもしれません。

しかし、コロちゃんは「日本社会」の安全が悪い方に向かっているように思えて、ちょっと気になる数値だと思いました。

4.「特殊詐欺」も増加

コロちゃんたちのような高齢者を狙った犯罪である、いわゆる「オレオレ詐欺」の「特殊詐欺」は、とても気になる犯罪です。

「特殊詐欺」とは、「被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪」とされています。

下記のグラフをご覧ください。

「警察庁 令和5年版警察白書」より

https://www.npa.go.jp/hakusyo/r05/pdf/05_dai2sho.pdf
出典:令和5年版警察白書 生活安全の確保と犯罪捜査活動 特殊詐欺の認知件数・被害額の推移 より(8月27日利用)

上記のグラフを見てもわかるように、「特殊詐欺」は全く減っていません。

犯罪件数は、平成29年(2017年)に1.8万件でピークをつけた後に、令和2年(2020年)で1.35万件と減少しましたが、翌年から再び増加に転じ、令和4年(2022年)には1.75万件となっています。

また被害額でも、過去最高だった平成26年(2014年)の565.5億円から、令和3年(2021年)には282億円まで低下していましたが、令和4年(2022年)には、370.9億円と再び増加に転じています。

このような数値を見ていると、犯罪は許せないのですが、日本社会の「預貯金」という富が、高齢者に偏在しているという社会状況を反映していると、コロちゃんには思えてきます。

「警察」と「銀行」と「政府・自治体」が、真にホンキで取り締まって、対策を積み重ねても、一向に「特殊詐欺」の件数は減っていないのです。

犯罪現場という川下での対策は、もちろん強化する必要があるのでしょう。

しかし、「一部の高齢者」に偏在している「預貯金」と、高齢者の不安心理を無くするような「社会政策」が必要と、コロちゃんは考えますが、いかがでしょうか。

5.内閣府の「国民の意識調査」

下記の「犯罪に関する国民意識の推移」のグラフは、内閣府が調査して発表したものを「警察白書」で引用しているものです。

下記のグラフをご覧ください。

「警察庁 令和5年版警察白書」より

https://www.npa.go.jp/hakusyo/r05/pdf/02_tokushu.pdf
出典:令和5年版警察白書 複雑化する警察の課題と治安に関する国民意識の変化 より(8月27日利用)

上記の内閣府の調査によると、「日本は安全・安心な国だと思う」と回答した人の割合は、令和3年(2021年)には、85.1%と、高い数値になっています。

平成16年(2004年)の調査での同じ質問への答えは42.5%ですから、この「警察白書」では「国民の『体感治安』は一定の改善が見られる」と、自賛しています。

果たして、そう安心してよいのでしょうか。

下記のグラフをご覧ください。

「警察庁 令和5年版警察白書」より

出典:令和5年版警察白書 複雑化する警察の課題と治安に関する国民意識の変化 より(8月27日利用)

上記のグラフは、「ここ10年で日本の治安は良くなったのか、悪くなったのか?」という設問への回答です。

「ここ10年で日本の治安は悪くなった」と回答した者の割合は54.6%と半数を超えています。

ただ平成16年(2004年)の調査では、「治安が悪くなった」との回答は、86.6%ですから、以前よりは改善したとも言えます。

この内閣府の調査を勝手に読み解くと、「日本は安全・安心な国」だけど「10年前より治安は悪くなっている」という、一見矛盾した結論となっています。

その理由としてコロちゃんは、令和に入ってから「刑法犯・重大犯罪・特殊詐欺」が増加に転じていることが理由の一つなのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

6.法務省「令和4年版犯罪白書」

下記のグラフは、法務省が発表している「令和4年版犯罪白書」の中のグラフです。

「警察白書」で添付されている「刑法犯」のグラフと、ほとんど同じなのですが、内訳が記載されて見やすいので参考にご覧ください。

「法務省 刑法犯 認知件数・検挙人員・検挙率の推移」より

https://www.moj.go.jp/content/001338444.pdf
出典:法務省 法務総合研究所 令和4年版犯罪白書 犯罪の動向 刑法犯 認知件数・検挙人員・検挙率の推移 より(8月27日利用)

上記の棒グラフの黄色が「刑法犯」の内の「窃盗犯」です。

一目見ても、「窃盗犯」が、「刑法犯」の大部分を占めているのがわかります。

下記のグラフをご覧ください。

「法務省 刑法犯 認知件数の罪名別構成比」より

https://www.moj.go.jp/content/001338444.pdf
出典:法務省 法務総合研究所 令和4年版犯罪白書犯罪の動向 刑法犯 認知件数の罪名別構成比 より(8月27日利用)

上記のグラフは「刑法犯」の内訳です。なんと「刑法犯」の67.2%が「窃盗」なのです。

要するに、「刑法犯認知件数」のピークだだった平成14年(2002年)の数値も、いったん減少していた「刑法犯認知件数」が令和4年(2022年)に増加に転じたのも、「窃盗犯」の増減によるのです。

7.「刑法犯」の減少は「窃盗犯」の減少

上記で見てきたように「刑法犯認知件数」のピークは、平成14年(2002年)の285万件です。

その後19年連続して減少した後に、令和4年(2022年)に増加に転じました。

この19年連続の減少の理由は「窃盗犯」の減少です。その理由としてはいろいろ挙げられています。

ちょっと調べてみるだけでいくつもの理由が考えられています。

「少子化による犯罪率の高い少年の減少」

「防犯カメラの普及」

「警察の対応の変化」

また令和4年(2022年)の「刑法犯」の増加にしても、コロナ禍の行動制限が緩和され人流が増えたことなどが理由に挙げられています。

この「刑法犯」の減少や増加については、いろいろな方が、いろいろなご意見を繰り広げていて、はっきりした結論は出ていないように思われます。

しかし、昨年2022年は「刑法犯・重要犯罪・特殊詐欺」などの犯罪が前年よりも増加したのは間違いありません。

この増加のトレンドが今後続くかどうかは、現段階では分かりませんが、日本社会が先の見えにくい経済状況に突入していることを考えると、憂慮してしまいますね。

8.「不安」の時代の到来で「刑法犯」は増加?

2002年(平成14年)の「刑法犯認知件数」のピーク(285万件)を、当時の日本社会の経済的風景から見てみましょう。

2000年代前半は、バブル崩壊(1991年)以降の「バランスシート不況」が進行して「社会不安」が高まっていた時期です。

「窃盗犯」の増加は、そのような社会状況を反映したものと考えられます。

その「バランスシート不況」は、当時の小泉政権時の銀行への資本注入などの荒業によって、2000年代半ばには解消したと言われています。

しかし、その後の日本経済は「バランスシート」が改善したにも関わらず浮上せずに、低い成長率が20年続きました。

その「低成長の時代」」は、「社会不安」という観点からは、「小康状態」が続いたと言えるのではないでしょうか。それが、「窃盗犯」の減少に表れたというのが、コロちゃんの見解です。

しかし、徐々に進行した雇用者の「所得の低下」は、ついに「臨界点」に達して、再び「社会不安」が広がってきたのではないでしょうか。

現在の日本社会では「格差」がじわじわと拡大してきています。

コロちゃんは、これからの日本は「不安の時代」が長く続くのではないかと考えています。

この「2023年版警察白書」を読むのも、社会を知るためです。「犯罪」とか「刑法犯」とかは、社会の一番下層の姿を露わに見せてくれるものだと思うのです。

その姿を見ることにより、日本の将来が垣間見えてくるとコロちゃんは考えています。できれば、明るい未来が見えてくれるといいのですけど。それは、なかなか難しそうだと思っています。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

MonfocusによるPixabayからの画像
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