【読書考】「高学歴親という病」を読んで

読書

コロちゃんは、高学歴ではありません。低学歴です。
ρ(´-_-`●)ショボーン

だけどね、いいんです。今になって、いっぱい本を読んでいますから。新しい知らない知識を得られるって、楽しいし、気持ちいいし、世界が広がりますよね。

今日は、本来は多くの知識を持って広い世界を知っているはずの、高学歴の親御さんが陥りがちな心理と生活に、鋭く切り込んだ本を読んでみました。

1.「高学歴親という病」(成田奈緒子 講談社新書 2023年)

①「高学歴親」の子育てリスク

まず「干渉」があると言います。子どもがやるべきことを先回りして、親がやってしまう。口出し、世話焼き。いかにもありそうですね。

そして、親が子に伝えたことと、実際のことが違う「矛盾」。

さらに猫かわいがりしてあまやかす「溺愛」があるといいます。

なんか、みんな、別に高学歴親ではなくとも、どこの家庭でもありそうなお話ですね。

それを、著者は、「育てられたように育てようとする高学歴親」と、ばっさりと切り捨てます。

②心配しすぎの高学歴親

親が子育てをする中で、心配するのは当然ですが、高学歴親は、「完璧主義」「虚栄心」「孤独」があり、子どもを信頼できないとしてます。

これを著者は、親に認められる子どものパワーは、はるかに大きいものなのだから、子どもを信頼しろと言うのです。

親が子を信頼すれば、善玉ストレスと主体性の力が子どもを成長させてくれるのだというのです。

本書は、とにかく徹底した「上から目線」の本ですね。

対象が「高学歴親」なのでしょうから、そのぐらいの強い態度で主張しないと、聞いてもらえないのかもしれませんが。

また、著者は「高学歴親」をこうだ!と決めつけるように類型化しています。

しかし、このような指摘の数々は「高学歴親」ならば、全部ではなくとも、いくつかは誰しもが当てはまるものかもしれません。

③傷つきやすい高学歴親

子育てを、自分の人生に対するリベンジのようにとらえている親がいると言います。

自分より良い学歴、良い人生をと、願うあまりに干渉・矛盾・溺愛を続けるというのです。

その「リベンジ型」は、すぐに燃え尽きると指摘しています。何かがうまくいかず、こころがポキッと折れた時だれにも頼れない、これではレジリエンス(回復力)を発揮できないというのです。

高学歴親子はレジリエンス(回復力)が低いのだとここでもバッサリと言い切ります。

読んでいると、思わず「あるある」と言いたくなりますし、ドラマの悪役を見ているかのように小気味よいのですが、言われる方はたまったものではないですね。

2.「中学受験」が背景にある

コロちゃんは、もう年齢的に当事者足りえないので、今の「子育て事情」はこうなっているのかと、興味を持って読みました。

しかし、そのくらいの年齢のお子さんをお持ちの方は、真剣に読むだろうなと思いました。

このように「高学歴親」がテーマの本が出るのは、現在の社会的背景があると思いました。

本書は、上記のような内容で、ひたすら「高学歴親」を批判的に書いている本なのですが、コロちゃんがこの本に興味をもったのは、次のような背景を知っていたからです。

小学校からの「中学受験」のお話です。

普通、小学生が自治体で決められた学区の中学校に上がる時は「試験」はありません。

ですから「中学受験」とは、「有名私立中学」を受験することです。

当然、親御さんは、子どものその後の「高校」「大学」を見据えての選択です。

その「中学受験」が、最近、受験熱がより高まっていると聞いています。

ある調査によると、東京の推定中学受験率は25%だと出ていました。

東京では、なんと4人に一人が「中学受験」にチャレンジしているそうです。

一方、全国平均では10%だということですから、東京を除く地方の「中学受験率」は20~40人に一人だと推定されているそうです。

この「中学受験」に関しては、東京と地方の間に、もの凄い「受験格差」が広がってきているのです。

「中学受験」を目指す親子は、当然にして、その後の「有名高校」「有名大学」「有名企業」を視野に入れての選択です。

なんか、韓国の受験熱を彷彿とさせますね。

3.四人に一人が中学受験では、親は病いにもなるよね

東京の「中学受験」が25%と、非常に高い数字が出る理由ですが、コロちゃんが考えるには、東京には大企業の本社が集中しています。

そこに勤務する方は「高学歴親」の方が多いことは、容易に推測できます。

現在の大学卒業者の割合は、男性で51%、女性が57%程度と言われています。そのかなりの部分の人たちが東京圏で就職なさっています。

そして、現在の「格差社会」です。

東京圏で生活している親御さんほど競争意識は強く、子どもたちにより良い未来を準備しようと奮闘なさるのでしょう。

本書は、最後の部分で「いつも明るくご機嫌に」「極太の軸を持つ」などの、個人ノウハウの方向に進み、コロちゃんの思考方向とは違ってきましたが、問題意識を持つという点では興味深い本でした。

4.「格差社会」の一断面が知れる本

本書は、現在の「格差社会」「低成長社会」「競争社会」の一断面を知ることができる本ですね。

このような社会からは、その反動として「高学歴親の病」が生まれてしまうのだと思います。

個人が強いストレスから不眠症にかかるようなものなのでしょう。

いずれにしろ根本的な解決には、社会が変わるしかないとコロちゃんは思いました。

本の性格上、著者の上から目線がバリバリですが、子育ての参考の一つにはなる本だと思いました。

5.社会的視点からの「高学歴親」

コロちゃんは、この「高学歴親」が子どもさんの教育に奔走する思いを否定するつもりは全くありません。

なにしろ、社会の中で「下層」がじわじわ増えているんですから、親として子どもの将来をできるだけ中層以上の生活ができるように押し上げたいという思いは理解できます。

下記の表をご覧ください。

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf
出典:労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2019 21 生涯賃金など生涯に関する指標 より(3月17日利用)

これは、男性の最終学歴別の「生涯賃金」の推計値ですが、高卒男性の2億5400万円に対し、大学・大学院卒男性は3億2800万円と、大きく上回っています。

なんと、大学・大学院卒男性の方が、7400万円も上回っているのです。

そして、下記の表もご覧ください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsukeizaigaku/47/0/47_129/_pdf
出典:国立研究開発法人 科学技術振興機構
女性の稼得能力は結婚を妨げるのか? より(3月17日利用)

この表は「学歴別生涯未婚率の推移」です。

30年前の1990年(バブル崩壊の年ですね)にも、生涯未婚率は差がありますが、その後急激に差が拡大しています。

2010年には、中卒男性(35.2%)と大卒男性(13.8%)の差は、非常に大きなものとなっているのです。

今の「日本社会」は、学歴によって「生涯賃金」と「生涯未婚率」に、大きな差が出る社会なのです。

これを知っている方ならば、当然子育てをどう進めるかは明らかです。

6.ただ、子どもの長い人生を考えると悩ましい

このような社会状況が背景にあるからこそ、高学歴親の皆さんは、「病い」になってしまうほど、入れ込んでしまうのでしょう。

しかし、それが本当に子どものためになるのかどうか・・・。
( ̄~ ̄;) ウーム・・・

コロちゃんが育った時代は、多くの選択肢がありました。もちろん勉強の得意の子どももいましたが、運動が得意な子、仲間と輪をつくるのがうまい子、新しいことを始める子。

そして、それぞれが、多くの経験を積み重ねてきました。

ちょっと「ワル」の行動なんかもありましたね。

そのような「多様性」があったんです。

しかし、今の子どもたちに、多くの体験をする「時間」が与えられるのかなと思ってしまうのです。

ただ、上記で見てきたように、この選択は仕方ないのかなという思いも同時に持ちます。

すっきりしない考えですみません。右左を断言できるような簡単な問題ではないと思うんです。

ただ、わからない時には、いろんな情報を知ることが大切だと思っています。

コロちゃんは、本書を読んで、今の時代に生きる親御さんはつくづく「大変だな」と思いました。

7.「反面教師」という概念

「反面教師」ということばがあります。これは中国の毛沢東の言葉です。下記の引用をご覧ください。

「反面教師」

反面教師とは、反省の材料となるような人や事例を指す。中国共産党中央委員会主席の毛沢東により発案された言葉で、中国語の原語では「反面教员」である」

「日本の似たような諺に「人のふり見て我がふり直せ」というものがあり、日本でも一般にはその意味で慣用される語句になっているが、毛沢東の原典ではさらに詳細な意図が語られている。「絶対に真似したくない」と思わせる教育方法指すこともある」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E9%9D%A2%E6%95%99%E5%B8%AB
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:最終更新 2022年8月12日 (金) 11:27 

この「反面教師」という言葉は、1957年に毛沢東が演説の中で、はじめて使われたそうです。

間違った指導者を排除するのではなく、間違った指導者がいたからこそ、正しい道が皆にわかるようになったという文脈で使ったそうです。

コロちゃんは、この言葉が好きです。

なにせコロちゃんの人生は、間違ったことばかりでしたからね。間違ったら、それを「反面教師」にして、正しい方向に修正すればいいんです。

今回の読書の「高学歴親の病」も、子育ては試行錯誤ですから、間違っていたら、それを「反面教師」にして、修正すればよいとポジティブに考えればよいと思いました。

コロちゃんは、子育て中の親御さんに心から「エール」をおくります。

「がんばれー!」(●o≧д≦)o頑張れェェェ♪

本書は興味深いですよ。ぜひ読むことをおすすめします

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

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