【社会考】「金八先生の時代」と格差の拡大➁

社会

おはようございます。先日のお正月にコロちゃんちに「次男一家のパパさん」がすーくん(4歳)を連れて帰省してきました。

その時にコロちゃんちの車の後部座席に、「ベビーシート」を設置して移動していたのですが、昨日になってコロちゃんは、やっとこの「ベビーシート」を片付けましたよ。

コロちゃんちは2階建てなのですが、今のコロちゃんはほとんど2階には上がりません。

どの位2階に上がっていないかと言うと、前回いつ上がったのか全く記憶していないぐらいですよ。

それが「ベビーシート」を抱えて、久しぶりに2階に上がってみると・・・埃だらけの中にも、あちこち思い出の品が転がっていましたね。

それを見ていると、子どもたち2人が2階で騒いでいた風景が、頭の中をよぎりましたよ。それに「うるさい!」と叫ぶ今は亡き妻の声が、下の階から聞こえるようにも思いましたね。

いやいや、こんな気持ちになるのは、みんな当時のままの2階の様子のせいですよ。コロちゃんは、やはりもう2階には上がりたくないと思いましたね。

今のコロちゃんは、1階のみで充分広い生活空間となっています。明日からはセンチな気分を振り払って、元気にこの1階で生活していこうと思いましたよ。

今日は、先日の「金八先生の時代と格差拡大」の続きになります。「金八先生と格差の拡大➁」をカキコキしますね。

0.「今日の記事のポイント」

by<br><span class="bold-blue">コロちゃん</span>
by
コロちゃん

今日の記事は、下記のような内容になっていますよ。どうぞ最後まで楽しみながらお読みください。

☆「金八先生とリーガル・ハイSP1の二つのセリフと、世界で格差拡大が進行しているよ」

☆「なぜ所得再配分政策が支持されないのか?と、助けることの公正さ(正義)はどこにあるのか?」

☆「ほとんどの国民が平等と感じていた1980年代と、格差の拡大は高齢化と単身世帯の増加が一因か?」

☆「コロちゃんとアリとキリギリス論」

1.「金八先生とリーガル・ハイSP1の二つのセリフ」

コロちゃんは、つい先日に「日経新聞のやさしい経済学」の「松本朋子准教授」の論考をご紹介した投稿をしました。

「金八先生の時代と格差の拡大」と言うテーマの記事ですね。今日の記事は、その続きになります。

前回の記事の中で、1980年代に放映された「金八先生」と、2010年代に放映された「リーガル・ハイSP1」の二つのドラマの中のセリフと、その時代の社会背景がずれていることを指摘しています。

すなわち、以下のようになっているとしているのですよね。

➀「金八先生のセリフ:人と言う字は、人と人が支え合ってできている」
(努力が報われやすかった1980年代に『支え合い』が強調されている)

➁「リーガル・ハイSP1のセリフ:一人の人間が、両足を踏ん張って大地に立っている姿」
(努力が報われにくくなった2010年代に『自立』が説かれている)

上記のように「松本淳教授」は、二つのドラマの「時代背景」と「セリフ」が真逆となっていると指摘しているのです。

そして「現代社会」で、支え合いの重要性が増しているにもかかわらず、それへの「賛成と反対」の両方の声があることの背景を探っています。

なおコロちゃんは、前回の「金八先生の時代と格差拡大」の記事で、1980年代と2010年代の30年間に「格差がどのくらい進んだのか」の詳細を考察しています。

そちらの記事をまだお読みでない方は、下記のリンクのクリックをお願いします。本日の記事をより楽しくお読みできますよ。

【社会考】「金八先生の時代」と格差の拡大

2.「世界で格差拡大が進行しているよ」

この論考で「松本准教授」は、「格差の拡大と再配分政策の関係」を考察しています。

「経済発展が進めば、全ての人は等しくその恩恵を受けるのでしょうか?」との疑問ですね。

今では「格差の拡大」は、世界的に進んでいることが誰の目にもわかるようになりましたが、少し前までは違っていました。

過去の学者の論文では「成長が進むと格差が縮小する」との主張や、「1990年代には格差を拡大させずに成長できる」という主張も登場したとしています。

その見解が、2013年のフランスの経済学者「トマ・ピケティ」の登場以来、真逆に変わりました。

まだ10年程前の事ですから、「世界的に格差の拡大」が進んでいることがハッキリと分かったのはまだ最近なのですよ。

世界の各国は、どの国もある程度の「所得再配分政策」を導入していますから、その効果が見られないということになりますね。

「松本准教授」は、「日本は一貫して成長率に比べて賃金上昇率が低く、成長が賃金の上昇に繋がっていません」と指摘していますね。

日本においても「格差の拡大」が、誰の目にもわかるようになったのは、そんな昔の事ではないのですよ。

コロちゃんは、2006年に当時の小泉総理大臣が、国会で「格差が出るのは別に悪いこととは思っていない」とか「いままでは悪平等との批判が多かった」と答弁したことを憶えていますよ。

こんな答弁を、今「石破総理」が発言したならば、たちまち「炎上」するでしょうね。2006年当時は、まだ世の中に「格差拡大の認識」は広がっていなかったのですよ。

だから当時の小泉総理は、上記のような「国会答弁」を堂々とできたとコロちゃんは考えていますよ。

コロちゃんの記憶では、日本社会で広く「格差拡大」が意識されるようになったのは2010年代以降ですね。

「親ガチャ」と言う言葉が「流行語大賞」になったのは2021年ですから、「意識の変化」は実態より大分後になるのですよね。

「松本准教授」によると、この「格差拡大」は資本主義社会で1980年代から進行しており、「現代の所得再配分を巡る議論の背景となっている」としています。

この上記の内容は、「松本准教授の論考の➁」に記載されています。お読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

所得再分配を支える世論(2) 拡大を続ける国内所得格差 東京理科大学准教授 松本朋子 - 日本経済新聞
経済発展が進めば、すべての人は等しくその恩恵を受けるのでしょうか? 20世紀中ごろ、著名な経済学者のサイモン・クズネッツ氏は、経済発展の初期には所得格差が広がるものの、成長が進むと格差が縮小すると主張しました。この理論は「クズネッツ曲線」と呼ばれ、同時代の西側先進国に広く受け入れられました。経済成長に伴う格差の拡大は長...

3.「なぜ所得再配分政策が支持されないのか?」

ここから、いよいよ「格差拡大」が進行しているにもかかわらず、どこの国でも「所得再配分政策」はあまり支持されていない理由の考察に入ります。

次の「論考」で「松本准教授」は、「1981年に発表されたメルツァー・リチャード・モデル」を紹介しています。

コロちゃんは初めて知りましたよ。この「モデル」では、「民主主義国」では「有権者の過半数が平均所得未満なら(ほとんどの国が該当)、所得再配分政策が賛成多数で推進される」と論じたのです。

しかし、現実はそうはなっていないことぐらいコロちゃんにもわかりますよ。

「松本准教授」も、「ここ40年、所得格差の拡大ほどには再配分は拡大していません」と記載しています。

これはよく巷でも話される内容ですよね。日本の「賃金分布」は「平均以下の方」が明らかに多いのです。

それにもかかわらず、多くの方が、「貧困層への給付金」に反対したり、ごく一握りの「生活保護の違反者」を槍玉にあげたりしています。

現在の「日本社会」では、「増税」と共に「所得再配分政策」も反対意見の方が多いようですね。

この内容を言葉にすると多くの方は、「所得再配分政策」を「経済的合理性」で判断するのではなく、別の基準で判断しているからとなりますね。

この上記の内容は、「松本准教授の論考の➂」に記載されています。お読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

所得再分配を支える世論(3) 現実は理論通りに動かない 東京理科大学准教授 松本朋子 - 日本経済新聞
20世紀後半、経済学者が資本主義と格差の関係を議論していた一方で、政治学者は格差を民主主義と関連づけて論じました。アリストテレス以来、多くの政治学者は「民主主義は不平等を軽減する」としましたが、米国の政治学者シーモア・リプセット氏は、この議論を発展させます。彼は、19世紀から20世紀にかけて選挙権が富裕層から一般市民に...

4.「助けることの公正さ(正義)はどこにあるのか?」

さて、次にその「別の判断基準」の考察を見てみましょう。

ここで「松本准教授」は、多くの方の「所得再配分政策」の判断基準として、「助けることの公正さ(正義※)」を提示しています。

(※正義はコロちゃんが挿入)

なんかコロちゃんは、これを読んで「経済学」と言うよりも「心理学」のように感じましたよ。

この「助けることの公正さ(正義)」を考える前提として、「松本准教授」は「現在の所得は、生まれ持った初期条件(運)と積み重ねた努力で決定する」と言います。

そして多くの人は、前者の「運の多寡で生じる所得格差」は不当と受け止め、後者の「積み重ねた努力で生じる所得格差」は公正と判断するというのですよ。

「論考」では、ここで「アリとキリギリスの寓話」を紹介しています。すなわち以下ですね。

➀「どんな相手でも困っていたら助けるが、正しい」

➁「努力しないキリギリスを見放すことも、正しい」

上記の➀➁の「どちらも正しい」と言うのですよ。

何と「人間とは面倒くさい存在」であるかとコロちゃんは思いましたよ。だけど確かにそうですよね。一言で言うと「努力しないで困窮した人は助けたくない」と言う感情でしょう。

要するに「経済的に困窮化した方たち」を一律に助ける「所得再配分政策」は、この「助けることの公正さ」と言う価値観の下では支持されないということを示唆していますね。

この上記の内容は、「松本准教授の論考の➃」に記載されています。お読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

所得再分配を支える世論(4) 公正さを問う人々の判断軸 東京理科大学准教授 松本朋子 - 日本経済新聞
人々の所得再分配政策への賛否は、必ずしも自身の経済的合理性に即したものではありません。人がそうした選択をする答えのひとつが、助けることの公正さについての判断軸です。この連載の初回で、「人という字は、人と人が支え合ってできている」としたテレビドラマを紹介しましたが、世の中では人を助けることが常に正しいとは限らないようです...

5.「ほとんどの国民が平等と感じていた1980年代」

ちょっと長くなりましたので、「松本准教授の論考」の紹介は、あとは次に続くとします。そこでコロちゃんの感想をいくつか書いてみたいと思いますね。

コロちゃんは、「金八先生の時代(1981年)」の「ジニ係数(再配分前)」があまりに小さい(平等)ことにビックリしましたよ。

コロちゃんは、最近の「ジニ係数」は調べたことがありましたが、40年以上前の「ジニ係数」なんて知りませんでしたからね。

下に書き出しますね。

◎「1981年と2013年と2021年のジニ係数」

➀「金八先生の1981年」
・「再配分前:0.34」(ビフォー)
・「再配分後:0.31」(アフター)

(出典:厚生労働省:所得格差の推移より)

➁「直近のデータ:2021年」
・「再配分前:0.57」(ビフォー)
・「再配分後:0.38」(アフター)

(出典:厚生労働省:令和3年版:所得再配分調査報告書より)

上記を見ると、「➀金八先生の1981年」は、「再配分前:0.34」と「再配分後:0.31」とあまり変わっていません。

これは1981年(金八先生の時代)には「少ない再配分」でも充分なぐらい「平等な社会」だったと言えますね。

それが2021年には「再配分前:0.57」と、上記の1981年の「再配分前:0.34」と比べると0.23㌽も上昇しています。

再配分後には「2021年再配分後:0.38」まで格差が縮小していますが、それでも「再配分後」は1981年比で0.07㌽も「上昇(不平等)」しています。

これだけ「日本社会の格差拡大」が進んだのですよね。

内閣府の「国民生活に関する世論調査」で、「世間一般から見た自分の生活を「中の上・中の中・中の下」を合わせた「中流に属すると意識している人」が全体の9割を超えていた時代がありました。

国民の9割の人が「現実に中流生活」だったのではありません。当たり前ですよね。どんな社会でも、所得を5区分なり3区分に分けた調査はあります。

いつの時代も「上流・中流・下流」はあるのです。

しかしこの1980年代ごろには、少なくとも9割の国民が「自分の生活は中流だ」と自認していたのです。

これは「国民の大多数が幸せな時代」だったと思えませんか?

当然にしてこの時代でも「年収200万円の人や年収300万円の人」もいたことでしょう。しかし、それらの人の中でも、多くの方は「中流」だと信じ切っていたのです。

そもそも、国家と社会が目指すのは「国民の幸福」です。それを考えれば「一億総中流社会」などは立派な「多数の国民が幸福な時代」だったと言えるでしょう。

コロちゃんは、かつての1980年代のような「国民の9割が中流と信じられていた平等な社会」に、再び戻れたらいいなー、と思いましたよ。
(´罒*)いー(*´□)なー

6.「格差拡大は高齢化と単身世帯の増加が一因か?」

ここまで「格差拡大」について書いていて、コロちゃんは「その原因は何だろうか?」と思いましたね。

上記でも「松本准教授」は、「格差拡大は資本主義社会で1980年代から進行している」としていますが、その原因・理由については触れていません。

普通に考えると「企業が利益を増やしても賃金に反映していない」と考えるのですが、それは「ミクロ」の現象であって「マクロ」ではまた違った見方があるはずです。

コロちゃんは、あちこちを調べている時に、以下の「レポート」を読みました。

これは「独立行政法人:労働政策研究・研修機構」が発表した「労働政策レポート:日本の所得格差をどう見るか」です。全部で39ページありますので、結論部分だけをご紹介しますね。

◎「格差拡大をどう見るか:まとめ」

➀「全世帯の世帯あたり所得格差は、1980年代から90年代を通じて一見拡大する傾向にある」

➁「80~90年代に、それぞれの格差は12~16%程度上昇している」

➂「人口に占める高齢者比率の変化(高齢化要因)を除去すると、真の格差の上昇は観測値の1/4程度」

➃「世帯人員の変化を考慮した場合の上昇率は8%程度」

➄「格差拡大の多くは・・・高齢者が増したことと、若年者や高齢者に多い単身世帯の増加」

https://www.jil.go.jp/institute/rodo/documents/report3.pdf
(出典:独立行政法人:労働政策研究・研修機構:労働政策レポート:日本の所得格差をどう見るかより)

うーむ、上記の「レポート」によると「格差拡大の要因」は、「高齢化要因1/4」と「単身世帯増加要因8%」が大きいとしていますね。
( ̄へ ̄|||) ウーム

コロちゃんが、上記のレポートを読んでちょっとショックを受けましたよ。

もしこの「まとめ」にあるように、「格差拡大」の要因として「高齢化+単身世帯化」の影響が大きいならば、「賃上げ・非正規雇用の正規化」では格差拡大を防げないとなりますね。

コロちゃんは「非正規雇用の拡大」と「ベアゼロ」が、「格差の拡大」を招いたと考えていましたが、この「レポート」を読む限りは、その影響は限定的なのかも知れませんね。

だけど「ベア5%以上」や「雇用の正規化」は工夫とやる気次第で実現できるでしょうけど、「高齢化や単身世帯化」は防ぎようがないですね。

そうなると、やはり「格差の拡大」には、「所得再配分政策の強化」しか道はないとコロちゃんは受けとめましたよ。

7.「コロちゃんとアリとキリギリス論」

上記で「松本准教授」が「アリとキリギリスの寓話」を引用して、「二つの正義」があると書いていました。これについて、ちょっと詳しく書いてみたいと思います。

まず「二つの正義」とは、以下の二つですね。これを「所得再配分政策の賛成と反対」に対応してみますね。

そうすれば「所得再配分政策」への「賛成・反対」の背景が分かりやすくなりそうです。

◎「アリとキリギリス:それぞれの正義」

➀「アリの正義論」
・「現在の所得は、積み重ねた努力で決定される」=「努力しないキリギリスを見放すことも正しい」

➁「キリギリスの正義論」
・「現在の所得は、生まれ持った初期条件(運)で決定される」=「キリギリスは生まれた時からキリギリスだ。どんな相手でも困っていたら助けるが正しい」

いかがでしょうか、皆さんはどちらの正義を選択しますか?

コロちゃんは、人の人生には「運の要素」が必ず付きまといます。コロちゃんなんかは「父親のいない家庭」に生まれて育ちましたから、その後の人生には「ハンデ」がありましたよ。

これはコロちゃんにはどうしようもない事でしたよ。

幸い、その後の人生は「大きな山や谷」はありましたが、「妻と子どもたち」に恵まれて、幼少期のハンデを挽回することが出来ました。

その結果は、現在のような「清貧年金生活」でブログをカキコキしていますから、まずまずの「人生」に着地出来ましたけれど、コロちゃんの出発地点に「運」が無かったことは間違いない事実です。

そのような経験を持つコロちゃんは、現在の「所得再配分政策」には、「➁キリギリスの正義論」を支持しますね。

その政策は「どんな相手でも困っていたら助けるが正しい」となります。

さて、皆さんはどのような選択をなさるのでしょうか? ちょっとお考えになるのもまた面白いと思いますよ。

さて、「松本准教授の論考」も、➀➁➂④とご紹介してきました。あとは➄~⑨の5話になります。次回で書き終わる予定ですが、コロちゃんはいつも「途中で道草」が多いですからね。

なるべく簡単にしようと、いつも思っているのですけれど、いつの間にか1万字近くになってしまうことが多いのですよ。

今日のこの原稿の字数は・・・おー、7100字とまだ多かったかな。今日はこの辺でおしまいにしますね。

明日も是非、このブログにお立ち寄りくださいね。待っていますよ。
ლ(╹◡╹ლ)オイデオイデ♪

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

minka2507によるPixabayからの画像
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