【社会考】「児童手当の多子加算効果」について

社会

コロちゃんは、子どもがいっぱい遊んでいる風景が好きですから、「少子化対策」とか「児童手当」についてのニュースを聞くと、すぐに耳を傾けたりします。

今日も、アイパッドをポチポチとサーフィンしていましたら、興味深いものを見つけました。それは「児童手当の多子加算効果は期待薄」だというのです。

この内容は、コロちゃんが少し前にこのブログで書きました内容と同じですよね。しかも、こちらは専門家のレポートで、データできちんと裏付けられています。

今日は、それを紹介するとともに、ちょっといろいろ考えてみたいと思います。

1.「たたき台」でコロちゃんが感じたこと

先日3月31日に、岸田総理が少子化対策の「たたき台」を発表しました。

コロちゃんは、報道で知って、その内容と感想をブログでポチポチしました。

そこで「ほとんどの政策が既婚者への子育て予算」で、「未婚・非婚者」への対策が見えないと指摘しました。

また、この政策は「高所得層」と「中所得層」への支援となり、婚姻率が低い「低所得層」が置き去りにされているとも指摘しています。

そのブログをお読みになりたい方は、下記のリンクをクリックお願いします。

【社会考】やっと出ました「たたき台」

そのコロちゃんの危惧を裏付けるような、データをしっかりと踏まえたレポートを出された専門家の方がいらっしゃるのです。

次にご紹介します。

2.「児童手当の多子加算効果は期待薄」のレポート

コロちゃんが読んだのは、日本総研の調査部の上席研究員の「藤波匠」氏の、「児童手当の多子加算効果は期待薄」という題のレポートです。

「児童手当の多子加算効果は期待薄」より

https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=104900

出典:日本総研 政策経済レポート 児童手当の多子加算強化の効果は期待薄 より(4月6日利用)

このレポートの内容は、「多子世帯(3子以上)の割合が低下している(一人っ子の割合が高まっている)」というのは、事実ではないと言います。

データを見ると、過去50年以上にわたり「出生順位別出生数」の構成比には、大きな変化はみられていません。

2015年以降は、第3子以上の比率が16.3%(2015年)から17.7%(2021年)に上昇しています。

むしろ、第1子の構成比率の低下が大きく、結婚・出産に至らない世帯が増えていることが最大の問題だというのです。

「低所得層」の結婚・出産に向けた意欲の低下が、少子化の最大の要因だというのです。

コロちゃんは、このレポートを読んだときに「やっぱり!」と思いました。

そうなんです。今必要なのは、既婚者の支援ではなく、未婚者・非婚者への支援なのではないでしょうか。

「中所得者」「高所得者」への支援を増やしても、出生率は大きく改善することはありません。それは上記のレポートを見ても明らかです。

「低所得者」が結婚できる環境を整えることが、少子化対策の本道であると思います。

3.若者の所得の現状

「少子化対策」には、「低所得者」が結婚できる環境が必要であることは、上記で分かりました。

それでは、以前の若者と現在の若者とで、「所得の状態」にどのような変化があったのでしょうか。

これだけ、少子化と婚姻率の低下が進んでいるのですから、若者の所得にも変化があったはずです。

それでは、若者の「収入別分布」の推移を見てみましょう。

①20代の「収入別分布の推移」

下記のグラフをご覧ください。婚姻適齢期の20代の若者の収入別分布の推移です。

「内閣府 第1-1-13図 20代・30代の所得分布」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版 少子化社会対策白書 第1部 少子化対策の現状(第1章 3)より(4月5日利用)

上記のグラフで、20代の所得分布を見ると、1997年の赤のラインでは、年収が300~399万円の方の割合が一番多くなっています。

それが、15年後の、2012年の青のラインになると、年収が200~249万円と300~300万円がほぼ同じにまで、落ちてきています。

20代の若者の所得は、1997~2012年の15年間に、大きく下落しているのです。

②30代の「収入別分布の推移」

それでは、次に、引き続き結婚適齢期である30代の若者の収入分布の推移を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 第1-1-13図 20代・30代の所得分布」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版 少子化社会対策白書 第1部 少子化対策の現状(第1章 3)より(4月5日利用)

上記のグラフを見ると、30代の所得分布では、1997年の赤のラインでは、年収が500~699万円の方が一番多かったのです。

それが15年後の、2012年の青のラインになると、300~399万円の方が最大のボリュームゾーンになります。

こちらの30代の若者の所得も、1997~2012年の15年間に、大きく下落しているのです。

二つのグラフを合わせて読むと、20代・30代の若者の所得は、1997~2007年の間に低所得層にシフトし、その後そのまま低所得層のまま、抜け出せていない状態であることがわかります。

この1997年~2007年の15年の間に、何があったのかというと、「ロストジェネレーション」とも言われている「就職氷河期」ですね。

下記の引用をご覧ください。

「就職氷河期」

就職氷河期は、日本において1991年(平成3年)のバブル崩壊の経済的な不景気(不況)以降に就職難となった時期を指す。」

「(1993-2000年卒)、(1993ー2005年卒)が該当すると考える専門家もいる。失われた世代、ロストジェネレーションと呼ばれることもある。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%B1%E8%81%B7%E6%B0%B7%E6%B2%B3%E6%9C%9Fウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「就職氷河期」2023年3月16日 (木) 12:07

20代、30代全体の所得が低下しているのは、この「就職氷河期」で下がった所得がそのまま現在まで続いているからなのです。

これは若者の責任ではないですよね。社会全体の動向なのですから。

社会が「就職氷河期」で被害を受けた若者たちへの対処を、その後も何もしなかったことが悪いのです。

この所得の低下が、若者に何をもたらしたのでしょうか。もうお分かりだと思います。次の項をご覧ください。

4.結婚率が低いのは若者の責任なのか

下記のグラフをご覧ください。「年収別の配偶者のいる割合(男性)」です。

「内閣府 年収別配偶者のいる割合(男性)

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状(第1章 3)より(4月5日日利用)

上記のグラフを見てもはっきりわかるように、25歳から39歳までの5年刻みのデータでも、所得が低いと配偶者のいる割合(男性)は、低くなっているのです。

若者は、結婚しないのではなく、結婚できないのです。

5.「たたき台」は、「低所得層」には届かない

岸田総理の今回の少子化対策の「たたき台」は、上記で分かるように「中所得層」「高所得層」の既婚者に、多くの子どもを産んでもらうための施策です。

未婚の「低所得層」には、今のところ何もありません。それでは、結婚率も出生率も上がらないのではないでしょうか。

そして、まだ「少子化対策」の財源については明らかにされていませんが、一部で社会保険から充当する案が出ていると聞きます。

社会保険には、多くの「低所得層」も加入しています。ここから財源を取り出すとなると、「低所得層」から「中所得層」「高所得層」への、お金の移転となります。

これでは、ますます「格差の拡大」が進むのではないかと、コロちゃんは懸念します。

この少子化対策は、「たたき台」以降に与党と協議し、月内にとりまとめ、6月の「骨太の方針」で大枠を示すとなっています。

今後、「低所得層」の未婚・非婚者に配慮した内容が追加されることを、コロちゃんは心から願います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい

Jill WellingtonによるPixabayからの画像

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