【社会考】やっと出ました「たたき台」

社会

先日3月31日に、岸田総理が少子化対策の「たたき台」を発表しました。

やっとですよ、岸田総理が年頭の1月4日に、記者会見で「異次元の少子化対策をやります」とおっしゃってから、もう3ヶ月ですよ。

コロちゃんは、期待満々でその報道を読みました。

1.どれどれ、何をするのかな?

ふむふむ、大きなのは3つですね。「経済的支援」「保育」「働き方改革」ですか。それではその内容を簡単に見てみしょう。

①経済的支援

●児童手当の拡充

〇所得制限の撤廃

 現在今一番興味を引いているのがこれではないでしょうか。現在一定以上の所得がある世帯では、支給しないとしていた「所得制限」を撤廃しました。

これで、現在では児童手当を支給されていなかった所得層の方も、支給を受けられるようになります。

〇対象年齢を高校卒業までに延長する

これも良いと思いますよ。現在子どもを持つと教育費を含めて大変お金がかかります。

鈴木亘学習院大学教授の、新聞での論考には、「ひとりの子どもにかかる教育費や生活費は1300万円~3000万円程度とされる」と発表されています。

〇多子世帯への加算

子どもが3人以上の多子世帯への支給額を諸外国の制度も参考に見直し、増額する方針だそうです。

◎だけど、大丈夫なの?

支給対象年齢を、今の中学卒業までから高校卒業までに拡大し、月額1万円を支給すると仮定すれば、4000億円程度の追加の財源が必要になるともいわれています。

また、第2子には月額最大3万円、第3子以降は月額最大6万円支給するとすれば、数兆円規模が必要と言われています。金額を下げるのかなー。はっきり言ってないし。

できるのかなー。ここまで言い切った以上、やるしかないとは思いますけど、財源が心配ですね。

今のところ、社会保険料を上げて1兆円程度を賄おうという動きが出ているようですよ。

②保育

〇保育士の保育基準の見直し

・1歳児 今の制度では、保育士一人に対し子ども6人だったのを5人にすれば、運営費を加算する。

・4・5歳児 今の基準では、保育士一人につき子ども30人だったのを、25人にすれば、運営費を加算する。

〇「子ども誰でも通園制度」新設

親が働いていなくても、子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」の創設するそうです。

◎保育士不足は大丈夫なのかな。この改革を進めると、保育士が足りない保育園が出てきそうだけど、その対策はどうするのかな。

保育士の所得が、他の産業よりも低いから、定着しないとも聞いているけど、そのあたりの対策はまた別なのかもしれないけど、総合的に考えてほしいですね。

③働き方改革

〇男性の育休取得の促進

・出産後の一定期間内に、両親が「産後パパ育休」制度などで共に育休を取得した場合、最長4週間は給付額を引き上げ手取り収入が変わらないようにする。

〇育休を支える体制整備を行う中小企業への助成措置を大幅強化

〇自営業・フリーランス等の育児期間中の国民傾向保険料を免除

◎男性の育休取得促進は、給付額の引き上げが、わずか1ヵ月では、どれだけ役に立つのかと思いますね。

自営業・フリーランス支援にしても、育休制度自体がないのですから、創設しないと支援にはならないと思いますね。

他にも、いろいろありましたが、主要なポイントはこれかと、コロちゃんが勝手に決めて書いてみました。お読みの皆さんが関係する政策はありましたでしょうか。

2.財源はどうするんだろう?

普通、このような大きな予算を伴う政策を発表する時には、当然にして財源をセットで明らかにするのが当たり前ですが、この「たたき台」にはそれが書いていません。

「たたき台」全部を実行するとなると10兆円規模になると、自民党の代議士も言っていたとの報道もありましたので、今後詰めるのでしょうが、なんともわかりにくいですね。

岸田総理は、2月15日の衆院予算員会で「家族関係社会支出は2020年度で国内総生産(GDP)比2%を実現している。それをさらに倍増しようと言っている」と発言しています。

はっきりと「家族関係支出」とお言葉にしているのですね。下記を見てください。「家族関係支出」が倍だったら21.6兆円です。

●「家族関係支出」2020年度10.8兆円×2=21.6兆円

●「少子化対策関連予算」2022年度6.1兆円×2=12.2兆円

●「こども家庭庁予算」2023年度4.8兆円×2=9.6兆円

10兆円から21兆円まで、ずいぶん幅がありますね。

ただ、今回発表された「たたき台」を実行するとなると、「子ども家庭庁予算」の2023年度予算4.8兆円では、とても不足なのははっきりしていると思います。

3.対象者が既婚者ばかりの対策

今回の「たたき台」の内容を見ると、ほとんどの政策が「既婚者」への子育て支援です。

「経済的支援」「保育」「働き方改革」すべてが、既婚者と子どもに対するものです。もちろん、子育てしやすくなる環境と雰囲気を社会に醸成する効果はあるかもしれませんが。

しかし、今の日本社会の所得の構造を見ていると、この政策は「高所得層」と「中所得層」への支援となり、婚姻率が低い「低所得層」が置き去りにされているとも見えます。

4.結婚している夫婦の子どもの数を増やす政策

少子化と言われてずいぶん経ちますが、では今、結婚されている夫婦は何人の子どもを持っているのでしょうか。

①「完結出生児数」は1.94

下記のグラフをご覧ください。

https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/gaiyou15html/NFS15G_html07.html
出典:国立社会保障人口問題研究所 出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)第15回出生動向基本調査 より(3月20日利用)

上記のグラフをご覧ください。「完結出生児数」という数値があります。

これは、結婚持続期間(結婚からの経過期間)15~19年の夫婦の、最終的な平均的な出生子ども数とみなされています。

現在結婚しているご夫婦(結婚15~19年)は、すでに1.94人のお子さんをお持ちなんです。

「たたき台」の政策は、この一番下の◇の線の、結婚0~4年夫婦の 2015年の数値0.8人をいくらかは引き上げる効果があるかもしれません。

しかし、全体の数値の大幅な上昇はあまり望めないのではないでしょうか。

②「理想の子ども数」は「2人」が多数

下記のグラフをご覧ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_riyousha/html/2_1_1.html
出典:内閣府 少子化社会対策に関する調査等 平成21年度インターネット等による少子化施策の点検・評価のための利用者以降調査 最終報告書 第2章 1.(1)理想と予定の子ども数 より(4月2日利用)

上記のグラフは、内閣府の「理想的な子ども数」と「実際に持つつもりの子どもの人数」のアンケートによる調査です。

グラフによりますと、「理想的な子ども数」は「2人」(55.1%)が最も多く、「予定の子ども数」も「2人」が(44.8%)と最も多くなっています。

まとめると、現在の夫婦は、平均ですでに1.94人の子どもを持っており、希望する子どもの数も2人が多数だということなのです。

この既婚者の子どもをさらに増やそうとする「少子化対策」は、効果が限定的なのではないでしょうか。

「少子化対策」という観点からは、すでに結婚している夫婦よりも、まだ結婚していない、できていない、できない若者への対策が必要だと思います。

5.「未婚・非婚対策」が見当たらない

この「たたき台」を、コロちゃんが報道で読んだ限りでは、少子化対策での「未婚・非婚者対策」があるように見えませんでした。

まあ、子育てに支援がいっぱいあるという雰囲気になれば、結婚しようかと思わせる効果はあるかもしれませんが、それでは力不足でしょう。

「少子化問題」に、本気で取り組むのならば、「未婚・非婚者対策」は欠かせないと思います。

下記のグラフをご覧ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状(第1章 3)より(3月28日利用)

上記のグラフを見てもわかりますが、「非典型雇用」の男性の「配偶者のいる割合」は、「正社員」の半分以下なんです。

「非典型雇用」男性が「正社員」男性になるだけで、結婚数は大きく増えるのではないでしょうか。結婚数が増えれば、当然にして子どもも生まれてきます。

6.社会保険料アップしてステルス増税

この兆円規模の予算増大について、社会保険料を上げて1兆円程度を賄おうという動きが出ているようです。

社会保険料とは何でしょうか。その種類を見てみます。

「年金」「健康保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」と、このような種類があります。

皆さんご存じの通り、給与明細でよく見ますよね。税込み給与から、この「社会保険料」と税金が引かれて「手取り額」になります。

その「手取り額」が「等価可処分所得」です。

その「等価可処分所得」の推移を見てみしょう。

下記のグラフをご覧ください。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2018/0125nk/n18_2_1.html
出典:内閣府 経済財政政策 白書等 日本経済2-18-2019  第1節 家計の所得・資産面の変化 より(4月2日利用)

上記のグラフは「二人以上の勤労者世帯」ですから、もうお子さんもいらっしゃる家庭も多いでしょうね。

1990年代は上昇して、2000年代以降は低下しています。「~39歳」の方の最後の5年間はやや上向いています。

下記のグラフをご覧ください。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2018/0125nk/n18_2_1.html
出典:内閣府 経済財政政策 白書等 日本経済2-18-2019  第1節 家計の所得・資産面の変化 より(4月2日利用)

上記のグラフは、「単身勤労者世帯」です。「二人以上の勤労者世帯」と同じく、1990年代は上昇していますが、2000年代は下降し続けています。

この点が「二人以上の勤労者世帯」との違いですね。これでは、なかなか結婚しようとはならないのではないでしょうか。

この「等価可処分所得」は、給与の総額から、社会保険料と税金を引いた「手取り額」です。

今回の「たたき台」の財源は、どうやらこの「社会保険料」を増額することによって一部を賄う模様です。

当然、皆さんの受け取る「等価可処分所得」はその分低くなります。

せっかく「賃上げ」で、給料が上がっても、「手取り額」はあまり変わらないか、下がることだってあるかもしれません。

岸田総理は、増税をなるべくやりたくないのでしょう。

そうすると、このような、目立たない「ステルス増税」という選択肢になりますね。

7.結論は「骨太の方針」

今後はこの「たたき台」をもとに、詳しい施策の内容や予算の規模の財源を具体化し、6月の「骨太の方針」の策定までに将来的な「子ども予算倍増」に向けた大枠を示すとなっています。

1月の岸田総理の年頭あいさつの「異次元の少子化対策」から、半年もかけないと内容がはっきりしないことに、コロちゃんは、いら立ちを持ちます。

なんとも、悠長な「小出し戦略」ですが、おそらく与党の自民党内の事情があるのでしょうね。

せめて、今後に「未婚・非婚者対策」が追加されて、しっかりした「少子化対策」となることを期待したいです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

G.C.によるPixabayからの画像

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