【社会考】「たたき台」から「希望出生率」が消えた

社会

コロちゃんは、毎朝コーヒーを飲みながら、新聞を読みます。そして、その後も時間があれば、アイパッドで、電子版のニュースをポチポチ読むんです。

電子版には、紙の新聞に載っていない記事が出ることが多いんですよね。紙の新聞はスペースに限りがありますからね。(その後、夕刊にこの記事が掲載されていました)

そうしたら、なんと「少子化対策」の「たたき台」から「希望出生率」が消えたとの記事があるじゃあないですか。

コロちゃんは、びっくりしましたよ。今日は、その辺をポチポチお話します。

1.政府の目標が、いつの間にか消えた

政府は、少子化対策白書で「希望出生率1.8」というのを掲げていました。

これは、2015年秋に、当時の安倍元首相が「少子化の流れに終止符を打つ」と明言し、打ち出した目標数値です。その内容は先月に、コロちゃんもブログで取り上げていました。

そのブログをお読みになりたい方は、下記のリンクをクリックして下さい。

【社会考】やっと「少子化対策」が出てきたの?

この今までに政府が目標としていた「希希望出生率1.8」が、今回の少子化対策「たたき台」からすっぽり消えてしまっていたのです。

これには驚きました。政府目標が新しく変わっていれば、すぐに気が付くんですが、いつの間にか消えているのはなかなか気が付きません。

そして、まったくその説明がないんです。

その「希望出生率1.8」について、もう一度下記に取り上げて、なぜ消えたのかを考えてみたいと思います。

2.政府目標だった「希望出生率1.8」とはこれです

以下の画面をご覧ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s2-2.html
出典:内閣府 内閣府の政策 平成28年度版 少子化対策白書 第1部 少子化対策の現状 より(3月20日利用)

上記の画面が、以前に内閣府が出していた「少子化対策白書」に、載っていたものです。

この画面にあるように、2015年の安倍政権時に、政府がめざしていたのは「希望出生率1.8」です。

人口を維持するために必要な「合計特殊出生率」は2.06といわれていますから、「希望出生率1.8」とは、日本の人口を維持することが目標ではありません。

「希望出生率1.8」とは、若い世代における、結婚や子育ての希望がかなうとした場合に想定した出生率なのです。

平成28年版の少子化対策白書では、「希望通りに結婚ができない状況や、希望通りの人数の子供を持てない状況を改善していく」ことを目標としていると書いています。

この表現が、いつの間にか消えてしまったのです。

3.なぜ、消えたんだろう?

それでは、どうしていつの間にか、こっそりと政府の「希望出生率1.8」が消えてしまったのでしょう。

当然にして、今回の「たたき台」には、その理由は載っていません。なにか説明できない理由があるんでしょうか。

今回のたたき台について、先日その内容をブログで書いていますので、ご確認されたい方は、下記のリンクをクリックお願いします。

【社会考】やっと出ました「たたき台」

コロちゃんが読んだ、電子版のニュース記事にも、「希望出生率1.8」が無くなったことの、はっきりした理由は載っていませんでしたが、その理由が何となくわかる「数値」が載っていました。

上記の「希望出生率1.8」の計算式を、もう一度見てみましょう。

上記の画面から、計算式だけを拡大してみます。下記の計算式をご覧ください。

「希望出世率1.8計算式」

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s2-2.html
出典:内閣府 内閣府の政策 平成28年度版 少子化対策白書 第1部 少子化対策の現状 より(4月6日日利用)

「有配偶者の割合」「夫婦の予定子ども数」「独身者の割合」「未婚者の結婚希望割合」「理想の子ども数」「離死別等の影響」の数値を使った計算式です。

コロちゃんは、思わず「何のことかわからん!」と叫んでしまいましたが、官僚の方が考えた、それなりに論理的な数字なのでしょう。

しかし、電子版のニュースによると、この計算式を、最新のデータで(23年3月末)計算しなおすと、この「希望出生率」は「1.8」から「1.58」に下がってしまうそうなのです。

コロちゃんが読んだこのニュースは、日経新聞電子版に掲載されていたものです。

お読みになりたい方は、以下のリンクをクリックして下さい。

消えた「希望出生率1.8」 若手の不安どう解消 - 日本経済新聞
「希望出生率1.8」を覚えているだろうか? 2015年に政府が掲げた政策目標だ。「結婚したい」「子どもを持ちたい」と願うすべての人の希望がかなったときに実現する出生率を、当時の統計データを基に算出した。ただ、その後も子どもを生み育てやすい社会は実現せず、最新データに置き換えて計算し直すと、希望出生率は今や1.6を下回る...

ここに『消えた「希望出生率1.8」 若手の不安どう解消』との見出しで、掲載されていたものです。ただし「有料会員限定記事」ですので、お読みになりたい方は、会員登録をお願いします。

このニュースにある「希望出生率要素内訳」の表を見ると、「有配偶者の割合」「夫婦の予定子ども数」「未婚者の結婚希望割合」「理想の子ども数」が、軒並み低下しています。

上昇しているのは、「独身者の割合」「離死別等の影響」です。

これでは、「希望出生率」は大きく低下してしまいます。

現在の若者の、結婚と子どもを持つことの意欲自体が、大きく低下していることが、よくわかる数値になっているのです。

繰り返しますが、この「希望出生率1.8」という目標は、現状を維持するための数字ではありません。

あくまでも「希望通りに結婚ができない状況や、希望通りの人数の子供を持てない状況を改善していく」ための目標です。

それでも、2015年の「希望出生率1.8」が、現在では「希望出生率1.58」に下がってしまっていては、関係者が「この数字では、目標にならない」と考えても不思議ではないと思いました。

あるいは「これまでの少子化対策の成果が上がっていない結果がわかってしまう数値」と考えたのかと思いましたね。

現状を維持するための数字は2.06といわれていますから、「1.58」では、低すぎて目標にはなりにくいこともあるかと思います。

4.検証・総括・評価を、まったくしない

少子化対策は、今になって始まったわけではありません。

1990年の「1.57ショック」で少子化現象が一般の注目を集めるようになり、1994年には、政府は「エンゼルプラン」を策定しています。

2007年には、少子化担当大臣が任命され、現在までに25人の方が務められています。

そのような息の長い対策にもかかわらず、現在まで、少子化には一向に歯止めがかかっていません。

過去の政策の内容の検証を一切しないまま、次の新しい方針が出てくることに、コロちゃんは思わず「大丈夫なの?」と思ってしまいます。

やはり、政策は、検証・総括・評価をきちんとしないと、次に生かせないと思うのです。

コロちゃんは、この作業は国の政策でも、個人の生活でも同じだと思うのですよね。

誰でも、失敗したり、成果が上がらない時には、原因を追究して、次に生かすのは当然だと思うのですが、いかがでしょうか。

しかし、この「希望出生率1.8が消えた」記事ですが、あまり大きくは全く取り上げられていません。

皆さんは、お気づきだったでしょうか。コロちゃんは、この記事を読むまで全く気が付きませんでした。

このようなことで今後「少子化対策」で成果が上がるのでしょうかと思わず心配してしまいました。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

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