【経済考】「少子化対策は所得向上だね」経済財政白書2023③

経済

おはようございます。今朝のワンコとの散歩は、爽快というかちょっと肌寒い気温でした。昨夜に雨が降ったせいかと思います。

いよいよ秋の到来ですね。「秋」は、春と並んで1年で一番過ごしやすい季節ですので、できればこのまま順調に秋に入って欲しいですね。

今日は、先日からの続きの「経済財政白書③」の最終版をポチポチします。①~③と長くなってすみません。

コロちゃんがポチポチ書いていましたら、結構突っ込みどころが多くて、ついつい長くなってしまいました。今日で「経済財政白書」は最終版となりますので、お許しください。

1.「経済財政白書2023」

この「経済財政白書2023」は、昨日と今日の2回にわたってコロちゃんの興味を引いたところだけをご紹介しています。

今日は「日曜日」ですので、「経済財政白書②③」の2話の投稿となっています。

昨日の「経済財政白書2023①」を、まだお読みでない方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

【経済考】「物価高とその背景」経済財政白書2023①

本日一緒に投稿した「経済財政白書2023②」を、まだお読みでない方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

【経済考】「高齢者と女性の就業」経済財政白書2023②

今日のブログでは、皆さんもご興味があるとおもいますが、「少子化問題」です。

2.「少子化傾向の反転に向けた課題」

まず「白書」では、「出生数が初めて100万人を割り込んだのが2016年だったが、2019年に90万人、2022年に80万人を割り込むなど急速な少子化が進んでいる。」としています。

そして「少子化が我が国のマクロ経済に及ぼす影響について分析すると共に、少子化の背景とその対策について考察する」と冒頭で書いています。

①少子化で起きること

日本社会で「少子化」が進行しつつあって、度重なる「少子化対策」を積み重ねても、一向に回復しないとは、既に皆さんもご承知のことと思います。

それでは、その状況を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 少子化と家計経済」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020002.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金-  家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題より(9月7日利用)

上記のグラフは、1947~2022年までの、「出生数」と「期間合計特殊出生率」の推移です。

緑の棒グラフが「出生数」ですが、1947~1949年の「団塊の世代」は、高い「出生数」でした。グラフの一番左側の高い棒が「団塊の世代」です。

それ以降は、1973年前後の「団塊ジュニア世代」が少し高い「出生数」でしたが、それ以降はひたすら減少しています。

グラフの赤線は「期間合計特殊出生率」です。これは「当該1年の15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものを指し」ます。

「合計特殊出生率」の一つと考えてよいと思います。

この「白書」では、「出生数」について、下記のように記載しています。

「2000年代入り後には幾分減少ペースが緩やかになっていたが、2015年以降は再び減少ペースが加速している」

そして、「期間合計特殊出生率」について下記のように記載しています。

「出生数同様に1973年以降は低下傾向にあり、その後2005年を底に幾分回復し、2015年以降は再び幾分低下する状況となっている。」

コロちゃんの目には、2005~2015年の間に回復しているようには見えないんですけど、おそらく数字上では横ばいなのでしょう。

政府のこれまでの「少子化対策」が、全く効果がなかったとは書きにくいでしょうからね。

そこで結論としては、以下の様に書かざるを得なかったようです。

「全体としては少子化の進行には歯止めがかかっているとは言い難い状況だろう」

何となく、歯切れが悪いというか、他人ごとみたいな書き方で危機感が感じられないと、コロちゃんは思いました。

〇労働投入量が減少

少子化が社会に及ぼす影響として、「労働投入量」の減少があります

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 少子化と家計経済」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020002.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金-  家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題より(9月7日利用)

上記のグラフは、「生産年齢人口、就業者数、労働投入量」の推移です。

赤線の労働投入量は、2010年代にやや上向きがありましたが、その後は急落しています。

「白書」では、以下の様に記載しています。

「我が国では生産年齢人口が減少する中にあっても、女性や高齢者の労働参加率の上昇により、就業者数や労働力人口は増加傾向を維持している」

「労働投入量(人数×時間)の減少を全てカバーできているわけではなく、長い目でみれば労働投入量は減少傾向で推移している」

そして、「社会保障制度」の持続性について、以下の様に記載しています。

「こうした人口動態は、賦課方式である社会保障制度の下で収支均衡を図ろうとすれば、給付を抑制しない限り現役世代の負担の増加につながる」

ちなみに「賦課方式」とは、下記のような内容です。

「年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式。現役世代から年金受給世代への仕送りに近いイメージ」

この「白書」で記載している「給付を抑制しない限り現役世代の負担の増加につながる」とは、全くごもっともな内容だと、コロちゃんは思いましたね。

しかし、「高齢者への給付削減」は抵抗が大きいでしょうね。なかなかできないと、コロちゃんは思いますね。

しかし、「給付削減」をしなければ、選択肢は「現役世代の負担増加」しかないですけど、果たして為政者はどちらを選択するのでしょうか。

コロちゃんは、身を削っても「高齢者の給付削減」をすべきと考えています。これからの日本を担う若い方を優先するべきだと考えるからです。

〇個人消費に下押し圧力

「子育て世帯」では、子育てのための追加的な支出が発生します。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 少子化と家計経済」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020002.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金-  家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題より(9月7日利用)

上記のグラフは、「子どもの人数による消費押し上げ効果」です。

見てもわかりますが、子どもの人数が増えれば増えるほど、毎月の支出は増加します。当たり前ですよね。

しかし「白書」では、「少子化対策を行なうことによって、短期的には家計消費支出の誘発が期待できることを示唆している」と記載しています。

その「短期的家計支出」を以下の様に推定しています。

●無子世帯比1か月あたりの消費支出額

〇子ども一人世帯 +3.3万円
〇子ども二人世帯 +5.1万円
〇子ども三人世帯 +6.2万円

なんか「少子化対策」の理由付けに官僚さんが、苦労しているように見えますね。コロちゃんは、ご苦労さんと言いたいです。

しかし、子どもを持つことには、何ともお金がかかるものだと嘆息しますね。

コロちゃんが子育てをしていた時代にも、こんなにかかったのかなー?

だって、子ども二人だったら、毎月+5.1万円ですよ。コロちゃんの当時の毎月のお小遣いがそのくらいでしたね。

コロちゃんのお小遣い5万円、それに「子育て費用」+5万円もかかるのでは、ぜったい生活できませんよ。

コロちゃんが子育てをしていた1990年代には、子育て支出がもっと少なかったのかもしれませんね。

②「人口減少」・「非婚化」・「夫婦の出生率低下」の三重苦

日本の少子化における「出生数の低下」は、どのような「要因」で起きているかを、この「白書」では「要因分解」を試みています。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 少子化と家計経済」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020002.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金-  家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題より(9月7日利用)

上記のグラフは、「出生数」を、下記の①~③で要因分解したものです。

①人口要因(女性数自体の減少)
②有配偶率要因(結婚の減少)
③有配偶出生率要因(夫婦の出産の減少)

上記の2005年以降のグラフでは、「①人口要因(薄茶色・女性数自体の減少)」の下押しが最も影響が大きくなっています。

また「②有配偶率要因(薄紺色・結婚の減少)」も、1995年以降一貫として下押し要因になっています。

そして「③有配偶出生率要因(濃茶色・夫婦の出産の減少)」は、2015年までは押上げ要因でした。

それが2020年には下押しとなってしまい、日本の「出生数の低下」の要因は三つの要因全てがマイナスとなる「三重苦」となってしまいました。

この「白書」では、上記の三重苦の内の「①人口要因(女性数自体の減少)」は、過去の少子化の結果なので「今後も下押し圧力となり続ける」と、どうしようもないことを認めています。

しかし「②有配偶率要因結婚の減少)」と「③有配偶出生率要因(夫婦の出産の減少)」は、反転も不可能ではないとしていますが、コロちゃんは無理じゃないかと考えていますね。

まあ、官僚さんとしては、「もうぜーったい無理!」とは、口が裂けても言えないでしょうからね。
ヾノ>д<。) ムリムリ

③若年期の「所得向上」が婚姻率向上の鍵

「少子化」の三重苦の一つの「①人口要因(女性数自体の減少)」は、いまさらどうしようもないことをみてきました。

それでは、「反転も不可能ではない」という「②有配偶率要因(結婚の減少)」について見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 少子化と家計経済」より

年収区分別未婚率

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020002.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金-  家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題より(9月7日利用)

上記のグラフは、「30代男性の年収区分別」の未婚率です。

このグラフを見てもわかるように、年収が高いほど未婚率が低い傾向にあり、この傾向は2012年からほとんど変わっていません。

「白書」では、以下の様に記載しています。

「男性の年収と婚姻率の関係からは、所得が高いほど未婚率が下がる傾向があり・・・この点で、若年層の所得向上は婚姻率を高める上で重要である」

そりゃそうだよね。じゃあどうやって所得を上げるんだよー!
オイッ⸜( ¯⌓¯ )⸝オイッ

コロちゃんは、思わずパソコン画面をみながら、声を出して突っ込みを入れてしまいました。

若者たちは、みんな所得を上げようとしても、それができないで苦労しているんですよ。

④年収区分別「完結出生子ども数」

「少子化」の三重苦の「①人口要因(女性数自体の減少)」と「②有配偶率要因(結婚の減少)」については、上記で見てきました。

それでは次に「白書」で「反転も不可能ではない」とする三重苦の最後の「③有配偶出生率要因(夫婦の出産の減少)について見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 少子化と家計経済」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020002.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金-  家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題より(9月7日利用)

上記のグラフは、「年収区分別にみた完結出生子ども数」です。

「完結出生子ども数」とは、「結婚からの経過期間15~19年の夫婦の平均出生子ども数」のことです。

上記のグラフを見ると、2002年の朱色線から2015年の赤色線まで、いずれの年収区分においても低下しています。

また、2005年からの変化を見ると「年収600万円」以下の世帯での減少が目立ちます。

「白書」では、その他の分析も行なって、以下の様に分析しています。

①「経済的な理由が出生行動に及ぼす程度が強まっており、1994年と比較すると特に中低所得層(夫の年収の中央値である550万円を下回る階級)で子どもを持つ割合が低下」

②「大都市部を中心に、所得が増えても子どもを持つ割合、特に第二子を持つ割合が高まりにくい傾向が観察される。大都市部では、子どもが増えることによる追加的な居住コストが高いことが背景の一つ」

その他に、いろいろな多方面の分析をしているのですが、最後に書いてあることは「所得の向上が求められる」です。

それでは、どのようにして「所得の向上」を計るか? ・・・それについての直接的な記載は見当たらないんですよ。

最後に「本章のまとめ」では、以下のような記載がありました。

「構造的な賃上げ環境を実現することは、少子化対策としても最も重要である」

その通りなんですが、それがここ30年間できないでいるから、現在の「少子化」になっているのですけどね。

コロちゃんは、読んで、あれこれと「期待される」で終わる文章が多い印象を持ちました。

まあ、そう簡単に「少子化」が反転するんならば、とっくに誰かがやっていますよね。

3.「経財白書」を読んで

この「経済財政白書2023」で、コロちゃんがまとめたのは、以下の2章です。

「第1章 マクロ経済の動向と課題」
「第2章 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題」

この「白書」には下記の、もう一つの章がありました。

「第3章 企業の収益性向上に向けた課題」

こちらは、コロちゃんがあまり興味がない部分なので言及しませんでした。

しかしこの「白書」は、現在の日本の「経済状況」や「少子化」の実態をわかり易く図形やグラフを使いながら見せてくれています。

このような「経済」や「社会」に興味がある方ならば、ぜひ一度は目を通していただくと、全体状況を俯瞰できると思いました。

これをお書きになったのは、たぶん日本の優秀な官僚さんだと思います。

これを書いた官僚さんは、問題点が明らかになっていても、それを解決する手段が政治的に提起できないで、ストレスがたまるだろうなと、ちょっと同情する気持ちを持ちました。

コロちゃんは、この「白書」を、読んでいてとても興味深かったです。

皆さんも、興味がありましたら、ぜひこの「令和5年度年次経済財政報告」をお読みください。

下記のリンクからお読みいただけますよ。

令和5年度 年次経済財政報告 - 内閣府
内閣府の政策(経済財政)、白書・年次報告...

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Jill WellingtonによるPixabayからの画像
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