【経済考】「経済成長」再び?

経済

おはようございます。今朝コロちゃんは、いつものように散歩を終えるとポストを覗き、新聞を取り出そうとしたところ、何も入っていません。

あー、今日は「新聞休刊日だ!」。コロちゃんは、がっかりです。コロちゃんは、毎日が日曜日のリタイア生活ですから、すっかり、新聞休刊を忘れていました。
(この原稿は、5/15の新聞休刊日に書いています)

じゃー、今日は何を書こうかな?と、ストックをガサゴソと探してみましたところ、以前の新聞記事で「危機克服へ成長を取り戻せ」という、切り抜きを見つけました。

今日は、このお話をポチポチします。

1.記事の切り抜きは「経済成長」のお話

コロちゃんは、毎朝新聞をバサバサ読んでいて、気になった記事には赤ペンで印をつけて、しばらく保管しています。

それで、その後にブログ記事を書く参考にしているのです。そのストックは、「社会」ネタや「経済」ネタがほとんどです。

今日参考にするのは、5月10に日経新聞の「経済教室」に掲載された「危機克服へ成長力を取り戻せ」と題した、吉川洋東京大学名誉教授の論考です。

この論考をお読みなりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

危機克服へ成長力取り戻せ G7サミットと世界経済 - 日本経済新聞
ポイント○財政・金融の制約強く、政策に手詰まり感○国際的な金融システムの安定性維持必須○技術革新へAIなど国際ルール作り課題広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、歴史の大きな節目に開催される。冷戦終結により過去のものとなったはずの核の脅威すら漂うウクライナ戦争に、終わりの兆しは見えない。戦争により多くの国がエネ...

この論考で、吉川先生は「激化する日米欧と中ロの対立はサプライチェーン(供給網)の分断をもたらし、深刻な影響を与えている」としていますが、このようなことは過去にもあったと言います。

1975年の石油危機です。その時に、激動の70年代を最もうまく乗り越えたのが日本だったというのです。

第一次石油危機と第二次石油危機(78~82年)も、物価と経済成長いずれの面でも、日本経済は国際的に見て良好だったと言います。

そして、現在世界が直面している問題は「ウクライナの戦争」だけではなく、「資本主義国が長期停滞と格差の拡大で悩む中で生じた政界経済の混乱とインフレ」があると指摘します。

その直面する諸課題へ対応する、日本の財政・金融政策は、ゼロ金利制約という70年代比べてはるかに強い制約下にあり、機動的な金融政策は今や「夢物語」なのだと指摘します。

そのための対処として、本稿は「先進諸国はなぜ長期停滞に陥っているのか」との疑問を提示しています。

答えとしては「低成長は究極的にはイノベーションの欠如に起因する」として「地球温暖化・高齢化社会」へのイノベーションを切望しているのです。

そして1990年以降の日本は、他の先進国(G6)より低い経済パフォーマンスしか得られていないことを指摘します。

その原因が「高い貯蓄率の一方で設備・研究開発投資が他の先進国と比べて著しく低迷している」ことにあるというのです。

コロちゃんは、この「経済教室」の論考を読んで、何となく違和感を持ちました。

「大変だ、大変だ!」と叫んではいるのですが、どうすれば良いのかの答えが弱いと思ったのです。

確かに、現在の日本に「イノベーション」は欠如しているのでしょうけど、「イノベーション」とは、そう簡単に作り出すことができるものなのでしょうか?

2.「成長会計」という考え方

コロちゃんは、リタイヤ生活のおじいちゃんですから、「経済」のことについては、まったくの素人です。

ただ「趣味」で、やさしい「経済の本」を少し読書している程度ですが、それでもいくつかはわかることがあります。

経済成長の中身を分析するのに「成長会計」という概念があるそうです。

下記の引用をご覧ください。

「財務省 成長会計に基づく日本経済成長の歩み」より

「供給サイドから見た経済成長の原動力は、労働・資本ストック・技術進歩の3つである」


「実質 GDP 成長率の実績値を労働者数と労働時間、資本ストックの投入と技術進歩(全要素
生産性上昇)に分解して、それぞれの貢献を明らかにする分析手法が、「成長会計(Growth
Accounting)」の考え方である」

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/research/fy2005tyousa/1708dankai_13.pdf
出典:財務省  成長会計に基づく日本経済成長の歩み より(5月15日利用)

上記の引用で読む通り、「経済成長率」は、「資本」と「労働」と「全要素生産性」の三つの部分に分けられます。

その一つの「全要素生産性」(Total Factor Productivity、TFP)は、「イノベーション等」とされています。

上記のグラフで、1960年代の高度成長時期の棒グラフを見ると、「全要素生産性」の緑色の棒の割合が大きくなっています。

それは、経済成長の要素の中で、当時の先進国へのキャッチアップの要素が大きかったからだと思われます。

また、1986年以降は、「労働」の寄与度がマイナスに低下しています。

週40時間労働制の施行が1993年ですから、その影響もあるのかと思われますね。

このグラフの推移をみると、これからの日本で「労働」が増えるとは思えませんよね。

むしろ「少子高齢化」と「人口減少」で、「労働」の項目は減少し続けるでしょう。

そうすると、日本経済が成長するためには、「資本」と「イノベーション」を増やすしかないわけです。

しかし「イノベーション」は、成熟経済の日本で、事前に予定を組んだり計算して達成できるものではないのではないでしょうか。

そして、最後の「資本」は、日本は資本主義社会ですから、政府が強制して増やせるようなものではないでしょう。

それぞれの企業家は、あくまでも自身の経済合理性で判断なさると思います。

吉川先生は「イノベーションが切望される」とおっしゃっていますが、コロちゃんは、そう簡単に増やせるものではないと思います。

3.過去30年間を振り返る

日本経済の過去30年間の経済成長を、振り返ることのできるグラフがあります。

下記のグラフをご覧ください。。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000173082_1.pdf

 出典:厚生労働省 近年の経済成長率と賃金上昇率の動向
ー バブル崩壊後の直近20年間の動向を中心に ー より(5月15日利用)

上記のグラフでは、バブル崩壊(1990年)以降の、過去20年間の「成長会計」が、その構成要素別に分けて記載されています。

グラフの左下の部分をご覧ください「過去20年間の平均伸び率(1996~2015年)」の「潜在成長率の寄与」という部分です。

茶色の棒グラフ 「TFP(イノベーション他)0.9%」
緑色の棒グラフ 「資本投入0.2%」
紺色の棒グラフ 「労働投入マイナス0.32%」
  

このグラフの意味は、ここ20年間(1996~2015年)の間は、わずか0.9%しか成長できなかったのですが、その要素を分解してみると、資本投入はわずか0.2%でしかなく、労働投入はマイナス0.3%で、成長の要素は、TFP(イノベーション等)0.9%しかなかったことを表しています。

今後の日本経済は、「労働投入」は大きく減少すると思われますから、それを上書きするだけの「資本投入」と「TFP(イノベーション他)」が無ければ、経済成長ができないこととなります。

それには、過去20年間(1996~2015年)に、0.9%の伸び率だったTFP(イノベーション他)を、さらに大きく増やさなければならないのですが、そのようなことが可能なのでしょうか。

4.成長できるかなぁ

最初に紹介しました、吉川洋東京大学名誉教授の論考では、G7広島サミットにむけて、今できることとして、以下のことを提言しています。

①国際協調により、グローバルな金融システムの安定性を維持すること

②人工知能(AI)などの国際的なルール作り

この2点とを挙げた上で、「日本経済が高い貯蓄率の一方で設備・研究開発投資が、他の先進国と比べて著しく低迷している」と指摘しています。

要するに「資本投入が足りない」と言っているのですね。

そして最後の言葉として「G7が世界経済のリーダーであるためには・・・7ヶ国が力強い経済を持たなければならない、とりわけ日本はこのことを銘記すべきだ」と締めています。

コロちゃんは、これを読んで、意気込みと決意はわからないでもないのですが、その力強い経済をどうやって達成するのかの方法論が弱いと感じました。

この筆者は、著名な経済学者です。

それでも、日本経済を成長させる効果的な処方箋は難しい、書けていないのかと、コロちゃんは思いましたね。

やはり、日本はもう大きな成長はできないことを前提として、政策・施策を考えなければならないと、コロちゃんは思います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

JamesDeMersによるPixabayからの画像

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