【社会考】「医療費」が過去最大に

社会

おはようございます。今朝のワンコとの散歩は爽やかで、早朝はすっかり「秋」に気配を感じさせる天気でした。

今年の夏は、過去最高の平均気温だと聞きましたが、長い夏もやっと終わりが見えてきましたね。だけど日中はまだまだ暑そうです。

コロちゃんは、最近すっかり食欲が落ちてしまいました。これは「夏バテ」なのか、コロちゃんの手料理がまずいせいなのか・・・。あまり深く考えるのはやめときましょう。

コロちゃんは、食事は無理してでも食べないと、体力がおちてしまいますから、なんとか食べるようにしていますよ。皆さんも「夏バテ」にはお気を付けください。

今日は「医療費が過去最大」のお話しをポチポチします。

1.「医療費」46兆円

厚生労働省は、先日の9月1日に、2022年度に医療機関に支払われた「医療費」の概算を公表しました。

それによると、「医療費の総額」は46兆円で、前年よりも1.76兆円増加し過去最高となった報じられています。

また、その内の「75歳以上の医療費(後期高齢者医療費)」は、18兆円とこれも過去最高となったとあります。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 高齢者医療制度」より

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-35.html
出典:厚生労働省 高齢者医療制度  後期高齢者医療制度について より(9月2日利用)

上記のグラフは、厚生労働省が発表している「医療費の動向」です。

今から8年前のグラフなので数字は違っていますが、グラフの一番右側の棒グラフの、2014年の棒グラフをご注目ください。

グラフで見る「医療費全体」の部分の40.8兆円が、今回の発表では46兆円になり、橙色の棒グラフの「後期高齢者医療費」の部分がグラフの14.5兆円から18兆円になったのです。

この「医療費全体」に占める「後期高齢者医療費」の割合も、グラフで見る35.6%から、今回の発表では39.1%へと増加しています。

なお、この厚生労働省の発表した「令和4年度 医療費の動向」を読んでみたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/22/dl/iryouhi_data.pdf

2.なぜ「後期高齢者医療費」は増えたのか?

それでは、なぜ「医療費」と「後期高齢者医療費」は増えているのでしょうか。その増えた理由は、二つあります。

①一人当たり医療費の増加

その一つは、「一人当たり医療費」の増加です。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 厚生労働白書 年齢階級別1人当たり医療費」より

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-03-01-09.html
出典:厚生労働省 平成29年版 厚生労働白書  図表3-1-9 年齢階級別1人当たり医療費、自己負担額及び保険料の比較(公的医療保険)(年額)より(9月2日利用)

上記のグラフは「年齢階級別の医療費」です。

上記のグラフは2014年度実績ですが、「年間医療費」は一番少ない「15~19歳」の方の7.2万円に対し、一番多い「95~99歳」の方は116.7万円となっています。

「医療費」は、若い方は少なく、高齢者ほど高額になっているのです。

②「年齢階級人数」の増加

もう一つの理由は、「年齢階級人数」の増加です。

日本の人口ピラミッドには、歴史上最大のボリュームゾーンである「団塊の世代」がいらっしゃいます。

その方たちが、続々と「後期高齢者(75歳以上)」入りし始めたのです。

下記のグラフをご覧ください。

e-Stat 政府統計の総合窓口 人口ピラミッド統計ダッシュボード」より

https://dashboard.e-stat.go.jp/pyramidGraph?screenCode=00570&regionCode=00000&pyramidAreaType=2
出典: e-Stat 政府統計の総合窓口 人口ピラミッド統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/)より(9月2日利用)

上記のグラフは、日本の人口ピラミッドです。

「団塊の世代」とは、1947~1949年生まれの方たちのことです。各年の出生数が260万人以上となっており、3年間合わせると約806万人の赤ちゃんが生まれました。

現在2022年の出生数の80万人割れと比べると、3倍以上の出生数だったのです。

その「団塊の世代」は、2023年で74~76歳になります。上記のグラフでは、ピョコンと飛び出した「70~74歳」「75~79歳」の棒グラフにあたります。

この方たちが「医療費」の枠で「後期高齢者医療費入り」したことで、「医療費」が増加したのです。

なお、蛇足ですがこの「人口ピラミッド」には、「団塊世代」以外にも、もう一つ「ボリュームゾーン」があります。

それは「45~49歳」の男女です。これが「団塊ジュニア世代」です。この方たちの次の世代である「ポスト団塊ジュニア世代」の増加は見られませんでした。

上記の「人口ピラミッド」で見ても、その世代はすぼまったままです。その理由は「就職氷河期」にあると言われています。

これはホントに罪深いことだったと、コロちゃんは思いましたね。「就職氷河期」で人生を左右された方(団塊ジュニア世代)は、「人口ピラミッド」に飛び出して表示されるくらいに数が多いのです。

しかし、その「団塊ジュニア世代」の方々に、子どもを持てた方が少なかったことは、上記の「人口ピラミッド」を見ればハッキリとわかります。

その当時に、日本経済のかじ取りをしていた「政治」の責任だと思います。これは現在の「少子化」の一因ともなっているのです。

3.「医療費」の財源構成

上記で、「医療費全体」と「後期高齢者医療費」の増加を見てきました。

この増加は、上記のように「一人当たり医療費増加」と「団塊の世代の後期高齢者入り」の理由で増加しているのですから、今後もしばらく続きます。

それでは、その「医療費」の財源構成を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 我が国の医療保険」より

「厚生労働省 医療保険の財源構成」より

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html
出典:厚生労働省 医療保険 我が国の医療保険について より(9月2日利用)

上記のグラフを、一目見てもよくわからないほど入り組んでいます。

いろいろ歴史と経緯があるのでしょうけども、予算が不足してくると、つぎはぎしている内にこうなったのではないかと、コロちゃんは思いますね。

コロちゃんは、現在70歳間近の「高齢者」ですが、医療保険上は「前期高齢者(65~74歳)」にあたります。

本日は、テーマが「医療費全体」と「後期高齢者医療費(75歳以上)」なので、それを見てみます。

まず、「医療費全体」は、上記のグラフの全体の「医療費」が、2022年度は46.0兆円と前年2021年度よりも1.76兆円と大きく増加して、過去最大となりました。

そして、グラフの「後期高齢者(75歳以上)医療費」が、2022年度は18兆円と前年2021年度よりも0.91兆円増加しています。

〇「後期高齢者保険(75歳以上)の財源構成

上記のグラフをもう一度ご覧ください。

「後期高齢者保健」の財源構成は、以下の様になっています。

〇「税金」5割(国4:都道府県1:市町村1)

〇「高齢者本人」1割

〇「支援金」4割(国民健康保険1.4兆円、健保組合・共済3.1兆円、協会けんぽ2.5兆円)

上記のグラフを見ると、「後期高齢者」の医療費総額17.0兆円の内の、4割の6兆円が「支援金」として、若い方の社会保険から移転してきているのです。

4.どこまで上がる「高齢化率」

「健康保険組合」の場合には、上記の「後期高齢者支援金(75歳以上)」だけでなく、「前期高齢者納付金(65~74歳)」もありますから、負担は大きいです。

やはり、給料から天引きされる「社会保険」は、払っているという実感があまり感じないですから、どうしても「取りやすい所から取る」となってしまうのだと、コロちゃんは考えています。

上記のように、毎年増加して最高額を更新している「医療費総額」と「後期高齢者医療費」ですが、この増加はいつまで続くのでしょうか。

もちろん、今から予想することは難しいのですが、大体の動向はわかります。

①「厚生労働省」の予測

次に「高齢者人口」と「高齢化率」の予測を見てみましょう。下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 肩車社会へ」より

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link1-1.pdf
出典:厚生労働省 今後の高齢者人口の見通しについて(9月2日利用)

上記のグラフは、厚生労働省が発表している「今後の高齢者人口の見通し」についてです。

その内容によると、「 65歳以上の高齢者数」は、2025年には3.657万人となり、2042年には3.878万人でピークを迎えると予測しています。

また、2055年には「高齢化率」が39.4%(3626万人)となるとしています。

なんと、今から32年後の日本では、全国民の4割が「お年寄り」となるのです。

そして、社会は「騎馬戦型」から、1人の若者が一人の高齢者を支える「肩車型」になると予測しています。

②「内閣府」の予測

また別の予測もあります。下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 高齢化の状況」より

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_1_1.html
出典:内閣府  平成29年版高齢社会白書(全体版) 1 高齢化の現状と将来像 (9月2日利用)

上記のグラフは、「内閣府」の予測です。

こちらの予測では、「高齢者人口」は増加が続き、2042年に3,935万人でピークを迎えるとしています。

しかし「高齢化率」はそれ以降も上昇を続け、2036年に33.3%となり、2042年以降は、高齢者人口が減少に転じても高齢化率は上昇するとしています。

そして2065年には38.4%に達するとしていますが、「高齢化率」のピークには触れていません。

③「厚生労働省予測」と「内閣府予測」を比べてみる

それでは、上記の二つの予測「厚生労働省予測」と「内閣府予測」を比べてみましょう。

☆「高齢者人口予測」
〇厚生労働省「2042年には3.878万人でピーク」
●内閣府  「2042年に3,935万人でピーク」

☆「高齢化率予測 ピークの記載は無し」
〇厚生労働省 「2055年に高齢化率が39.4%(3626万人)」との記載
●内閣府   「2065年には38.4%」の記載

二つの予測共に、2042年に高齢者人口はピークを迎えるとしていますから、信頼度は高いと思います。今から20年後になりますね。そこまでは「高齢者人口」の増加が続くのでしょう。

「高齢化率」は、二つの予測では小さな違いがありますね。「内閣府予測」のグラフの2055年の高齢化率は38.0%ですから、1.4㌽ほど「厚生労働省予測」より低くなっています。

しかし、現在より30年以上未来のことですから、誤差の範囲内かもしれません。

5.「高齢人口の増加」と「高齢化率の上昇」は、もうデフォルト

これらの予測を見ると、日本の「高齢人口」の数と割合は、まだまだ長い期間増加し続け、2042~2065年のどこかでピークを迎えるように思えます。

ということは、「高齢人口のピーク」は今から20年後くらいで、「高齢化率のピーク」は今から30~40年後辺りになりそうです。

コロちゃんは、おそらく生きてそのピークを見ることはできないでしょうけど、どうやら今後の「少子高齢化」と「人口減少」」はしっかり目にするようですね。

これらの予測を前提に考えると、「医療費総額」と「後期高齢者医療費」の増加は今の「健保組合」等からの「支援金」頼みは、もう限界だと思いますよね。

また、「少子化対策」の財源の一つとして「社会保険」が候補に挙がっていますが、いくら「天引き」で国民の反発が少ないからといっても、こちらも、もう限界だとコロちゃんは考えます。

やはり「財源」は「増税」しかないと思いますね。

「国民皆保険制度」は、優れた頼りがいのある制度です。この制度が持続できるように内容を常にバージョンアップしていただきたいと、コロちゃんは考えます。

もうみんなが覚悟を決めましょう。「高齢人口の増加」と「高齢化率の上昇」は、もう避けられない現実なのです。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Michaela, at home in Germany • Thank you very much for a likeによるPixabayからの画像

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