おはようございます。今朝のワンコとの散歩は、早朝にもかかわらず暑かったですね。どうやらここ1週間は、毎日猛暑日が続くようです。
コロちゃんは、熱中症にかからないように、家に籠ってポチポチすることとしたいと思っています。皆さんも熱中症にはお気を付けください。
今日は「最低賃金」について、ポチポチします。
1.都道府県の「最低賃金審議会」の答申が出そろいました
報道によりますと、先日の8月19日に全国の「地方最低賃金審議会」の「最低賃金」の答申が出そろった報じています。
その内容は、全国の24県で「中央最低賃金審議会」が示した「目安」を上回っており、すべての都道府県で過去最大の上げ幅となったとしています。
全国平均は1004円と、国が想定した1002円を上回ったとも記載しています。また、新しい基準額は10月から順次適用されるそうです。
2.「最低賃金」の決め方
日本における「最低賃金」の決め方は、まず「中央最低賃金審議会」(メンバーは「公益代表委員」「労働代表委員」「使用者代表委員」の各6名)が討議します。
そして、その「中央最低賃金審議会」で、全国をABCの3つのランクに分けて目安の金額を示します。
今年のABCランクの「目安」は、以下の通りです。
○Aランク 41円 東京、愛知、大阪など6都府県
○Bランク 40円 北海道、群馬など28道府県
○Cランク 39円 青森、鳥取、佐賀など13道府県
次は、その「目安」をそれぞれの都道府県の「地方最低賃金審議会」が議論し決定するシステムとなっています。
その「地方最低賃金審議会」のメンバーは「公益代表」「労働者代表」「使用者代表」の各5名の委員で構成されています。
3.「昨年の最低賃金」と「今年の最低賃金の目安」
昨年の「最低賃金」の全国平均は、961円です。最高額は東京都の1072円、最低額は沖縄県の853円となっています。
それが、先月の7月28日に「中央最低賃金審議会」が、2023年度の「最低賃金の目安」を全国平均で時給1002円とすると決定しました。
そして各都道府県のAクラスは41円、Bクラスは40円、Cクラスは39円を、それぞれが上げる「目安」とすると発表していたのです。
そして上記の「最低賃金の決め方」で分かるように、「中央最低賃金審議会」が決めた「目安」をさらに自治体ごとに検討する「地方最低賃金審議会」の答申が、今回出そろったという事になります。
4.すべての都道府県で、過去最大の上げ幅
報道では、全国各都道府県で大幅な引き上げとなっています。
最大の上乗せ額は「佐賀県」の8円で、「山形県」「鳥取県」「島根県」は7円と、7円以上の上乗せは、現行制度になった2002年以降で初めてと伝えられています。
「目安」越えのトップは鳥取県と島根県の7円で、厚生労働省によると、7円の「目安越え」は、過去にない最高額だとしています。
また、の最高額は、東京都(1113円)で、最最低額は岩手県(893円)と報じられています。
5.「最低賃金」引き上げを主張する知事も出てきた
この「都道府県の地方低賃金審議会」は、上記しましたようにそのメンバーは「公益代表」「労働者代表」「使用者代表」の各5名の委員で構成されています。
当然のこととして「労働者代表」は、「最低賃金」の引き上げを要求しますし、「使用者代表」は逆に現状維持か少ない上げ幅を主張します。
それが、今年は「労使の意見が一致せず中立の立場の委員が流れを決めた」と報じられています。
要するに「公益代表」が「最低賃金上げ賛成」にまわったのです。
また報道では、福井県知事や茨木県知事が「目安額を上回る積極的な引き上げ」を呼び掛けたと報じられています。
これは、新しい動きなのではないでしょうか。
労働人口が減少する中で「最低賃金が低い県」は、いずれ、より多い賃金を出している県へ人口が流出していくとの懸念が、県知事を動かしたと思われます。
6.国際的にみた日本の「最低賃金」
それでは、この日本の「最低賃金」は、国際的に見てどのような水準にあるのでしょうか。
下記のグラフをご覧ください。
「内閣府 最低賃金水準の国際比較」より
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/h05_hz030310.html
出典:内閣府 経済財政白書 平成23年度 年次経済財政報告 第3-3-10図 最低賃金水準の国際比較 より(8月19日利用)
上記のグラフは、「最低賃金」の国際比較です。このグラフにある「カイツ指標」とは、最低賃金の全国加重平均額を各企業の平均賃金で除した値です。
このグラフを見ると、「日本」よりも低い国は「アメリカ」のみです。日本の最低賃金は、世界的にみても非常に低いのです。
コロちゃんは、今回の今年の「最低賃金」が過去最大の上げ幅だったとしても、まだまだ低すぎると思っています。
「最低賃金」は、国民が健康で文化的な生活をできる金額にまで上げるべきと考えます。
7.「最低賃金」での生活とは
今年の「最低賃金」の最高額は、東京都の1113円です(全国加重平均額は1004円)。この賃金での生活は可能なのでしょうか。
そこで「最低賃金」の最高額である東京都の、時給1113円で、日8時間、週5日間働くとすれば、月の収入は1113円×8時間×5日×4週=月収17.81万円(年収213.7万円)となります。
この月収17.81万円で生活できるかを調べるために、総務省統計局の2022年の「家計調査」を見てみると、単身世帯の「消費支出」は、16.2万円となっています。
この「家計調査」は、下記のリンクをクリックすればご覧になれます。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2022.pdf
しかし、この16.2万円という数字は「消費支出」です。この中には「社会保険料」や「税金」などの「非消費支出」は含まれていません。
低所得の方の「税金」は非課税の場合もありますが、「社会保険料」は支払わなければなりません。
「社会保険」である「国民年金」は月16250円で、「国民健康保険料」は年収200万円ですと月約12000円となります。
上記で見てきました「最低賃金の月収17.81万円」から、「国民年金(月約1.6万円)」と「国民健康保険(月約1.2万円)」の「非消費支出」を引いてみましょう。
そうすると残りの生活費は、「約15.01万円」となります。
しかし、上記で見た「単身者世帯」の消費支出の平均は「約16.2万円」です。これでは毎月1万円の赤字となってしまいます。
この計算は、最低賃金が全国最高額の東京都の1113円で計算しています。その他の地域は、「最低賃金」がより低い金額となっているのです。
コロちゃんの目には、今回決まった「全国平均最低賃金1002円」では、単身者では食べていけないと映ります。
8.「最低賃金」雇用者は、全国で何人いるのだろう?
コロちゃんは、この「最低賃金」では働く雇用者が、全国で何人ほどいらっしゃるのかをポチポチと調べてみました。
そうしましたところ、情報が凄く少ないんです。
「雇用者数」とか「所得分布」とかのデータは、国の機関でも複数の調査データがすぐ出てきますし、民間や大学でもいろいろと調査してネットにアップしています。
しかし、この「最低賃金下で働く雇用者」については、非常に少ないんです。
①最低賃金近辺の労働者の実態
その中で、見つけたデータの一つが下記のものです。
「厚生労働省 最低賃金近傍の労働者の実態について(賃金構造基本統計調査に基づく分析)」より
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000101878.pdf
出典:厚生労働省 最低賃金近傍の労働者の実態について(賃金構造基本統計調査に基づく分析)より(8月18日利用)
上記のグラフを見ても、「最低賃金下で働く雇用者数」はわかりません。
しかし、グラフの上の部分に下記の小見出しがあります。
○ 地域別最低賃金額×1.15未満の賃金の労働者は全国で13.4%(平成26年)
○ 平成21年の9.2%から増加
この「地域別最低賃金額×1.15未満の賃金の労働者は全国で13.4%(平成26年)」を計算してみます
そして、次の「 平成21年の9.2%」を調べれば、この年の「最低賃金雇用者数」がわかると考えました。
その結果は、下記の通りとなりました。
平成21年(2009年)の「地域別最低賃金額×1.15未満の賃金の労働者」数は、雇用者総数6617万人の9.2%で、608.8万人。
平成26年(2014年)の「地域別最低賃金額×1.15未満の賃金の労働者」数は、雇用者総数6351万人の13.4%で、851.0万人。
この数値をみると、2009年から2014年にかけて、最低賃金以下の労働者数が242.2万人も増えています。
現在の2023年は、上記からさらに9年間経過しているところから、最低賃金未満の雇用者はさらに増大しているのではないでしょうか。
2023年6月の就業者数は6785万人となっています(総務省統計局労働力調査2023年6月分結果より)。
上記の2014年時点から、雇用者は434万人増えているのです。コロちゃんには、最低賃金未満の雇用者が1000万人近くになっていても不思議ではないと思っています。
②「未満率」と「影響率」
「最低賃金」には、その「未満率」と「影響率」を調査したデータがあります。
○「未満率」とは、最低賃金を改定する前に、最低賃金額を下回っている労働者の割合を示しています。
○「影響率」とは、最低賃金の改正後に、改正後の最低賃金額を下回ることになる労働者の割合を示しています。
下記のグラフをご覧ください。
「厚生労働省 地域別最低賃金、未満率及び影響率」より
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000800127.pdf
出典:厚生労働省 地域別最低賃金、未満率及び影響率 より(8月19日利用)
上記のグラフは、令和2年(2020年)の「地域別最低賃金の未満率と影響率」の全国のデータです。
下の欄の一番右側に、「未満率と影響率の全国平均」の数字が掲載されています。
上記で「影響率」とは、「最低賃金の改正後に、改正後の最低賃金額を下回ることになる労働者の割合」であると、ご紹介してきました。
その「影響率」は、全国平均で4.7%と記載されています。
令和2年(2020年)の全国の雇用者数は6676万人(総務省統計局 労働力調査 平均結果の概要より)とありますから、その4.7%は、313.8万人となります。
このように「最低賃金」近辺の雇用者数は、はっきりとはわかりませんでしたが、数百万人規模だということは間違いがないと思います。
上記のように、「最低賃金」近辺の雇用者数が、きちんと把握した発表がなかなか見つかりません。
その理由は、「最低賃金の制度」が各都道府県別になっていることが理由ではないかと、コロちゃんは考えています。
要するに、官公庁の縦割り組織の弊害によって、「最低賃金近辺の雇用者」は「見える化」されていないのではないかという懸念をもちます。
9.「最低賃金雇用者数」は何人?
様々なデータを見ても、「最低賃金」では働く人の割合が増えていることは確実なのですが、はっきりとした調査は、調べても見つかりません。
報道では、「最低賃金(最賃)に近い低賃金で働く人の割合が最近10年ほどで倍増している」と報じられています。
また「最賃の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14.2%となり、2009年の7.5%から急伸した」とも報じられてはいるんです。
とにかく増えているのは間違いないのですが、その実態があまり見えてきていないのです。
コロちゃんには「最低賃金雇用者」に対する社会的関心が非常に少ないと感じます。なぜなら、「最低賃金雇用者」は、全国に広く存在し纏まった存在ではないからです。
コロちゃんは、ここまで「最低賃金」についてあれこれをポチポチしていましたら、ある言葉が頭に浮かんできました。
10.「マルティン・ニーメラーの詩」
そのコロちゃんの頭に浮かんだ言葉というものは、ドイツの牧師だったマルティン・ニーメラーの詩です。
下記の引用をご覧ください。
「ウィキペディア 彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」より
「ナチスが共産主義者を連れさった[とき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。」
「彼らが社会民主主義者を牢獄に入れたとき、私は声をあげなかった。社会民主主義者ではなかったから。」
「彼らが労働組合員らを連れさったとき、私は声をあげなかった。労働組合員ではなかったから。」
「彼らが私を連れさったとき、私のために声をあげる者は誰一人残っていなかった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%88%9D%E5%85%B1%E7%94%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E8%80%85%E3%82%92%E6%94%BB%E6%92%83%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%8D#:~:text=%E3%80%8E%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%88%9D%E5%85%B1%E7%94%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9,%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%AB%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%81%99%E3%82%8B%E8%A9%A9%E3%80%82
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」最終更新 2023年7月30日 (日) 23:39
上記の引用は、1946年頃に語られたとされています。
基本的な内容は、ドイツのナチ党が迫害対象を徐々に拡大していく様に恐怖を感じつつも「自分は当該集団ではないから」と見てみぬふりをしていた。
その後に、己がいざ迫害対象になった際、社会には声を上げてくれる人はもう誰もいなかったというものです。
コロちゃんは、今日「最低賃金雇用者」について、いろいろ調べている内に、全国で数百万人の「最低賃金」で働く雇用者がいることを知りました。
そのほとんどがは「非正規雇用」の方なのではないでしょうか。
おそらく、この中の一部か、あるいはかなりの数の方は、配偶者が正規雇用でその妻がパート勤務といった方がいらっしゃるかと思います。
しかし、そうではない「最低賃金」で働いている方も相当多いと思われます。それも数百万人規模でしょう。
もっと、この方たちへにも関心を持って、社会政策として「最低賃金」の大幅アップと「正規雇用」への転換をしていくべきだとコロちゃんは考えています。
切り捨てられようとしている人たちを傍観することは、上記のマルティン・ニーメラー牧師の詩のとおり、次は自分の番となるからです。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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