おはようございます。今朝のワンコとの散歩は少し涼しく感じました。最近コロちゃんは、早朝5時過ぎにはもうお散歩に出ることにしました。
起床して、なるべく早い時間ですと、まだ少しは涼しいのです。
散歩時間が遅くなると灼熱の太陽ギラギラとなりますから、「早起きは三文の得」ですね。
だけど、「三文」を得しても使う所がないです。このことわざは「3円」と修正した方が良いのでは? などなど、つまらない話題をすみません。
今日はコロちゃんのような「高齢者の就業」についてポチポチします。
1.「高齢者の就業」
コロちゃんは、もうすぐ70歳になるおじいちゃんですけど、お仕事はこの「ブログポチポチ」以外は、なにもしていません。
だけど、同じ年代の方の中でも、大勢の方がお仕事に就いていることは承知しています。
ですから、「高齢者の就業」の話題はいつも注意して見ています。
このブログの皆さんは、お若い方も多いと思いますから「高齢者の就業」なんて興味がないという方も多いかと思いますが、お父さんとかお母さんが「高齢者」の方もいらっしゃるかと思います。
それに、今お若くとも、人間は必ずいずれは「高齢者」になるのです。
現在の「高齢者の就業」の動向を一般的な知識として知っておくことは、将来に役立つと思いますよ。
現在の若者は、明日の「高齢者」なのですから。
2.「就業構造基本調査」
日本の高齢化が進む中で、高齢者の「生涯現役」に向けて「働く高齢者」が増えています。その「高齢者の就業」を見るためには、「15歳以上人口の就業率」も見なければなりません。
総務省は、「国民の就業及び不就業の状態などの就業構造を明らかにする」ために、5年に一度、「全国調査」を行なっています。
直近の調査では、昨年2022年10月に全国の約54万世帯(15歳以上の世帯員108万人)を調査し、その結果を先日の7月21日に発表しました。
それでは、その発表された内容の「有業者数と有業率」、それと「高齢者の就業」についての部分を見て見ましょう。
①「有業者数」は、まだ増えているけど・・・
下記の表をご覧ください。
「総務省統計局 令和4年就業構造基本調査」より
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kall.pdf
出典:総務省統計局 令和4年就業構造基本調査 より(7月30日利用)
上記の表は、2022年と2017年の「有業者」と「無業者」の男女別の数です。この調査は、5年に一度行われますから、前回の調査結果との比較ができます。
最近は、マスコミやいろいろな方が、各方面の「人口減少」の話題を取り上げています。
しかし、この調査を見ると「就業状態」の「有業者総数」では、2017年(6621.3万人)から2022年(6706万人)と、ここ5年間で84.7万人増加しているのです。
しかし、その内容を男女別に見て見ると・・・。
女性は2017年(2913.9万人)が2022年(3035.4万人)には、121.5万人増えていますが、男性は2017年(3707.4万人)が2022年(3670.6万人)に、逆に36.8万人も減少しているのです。
この結果を見ると、日本の労働人口の減少は、まだ始まっていない(有業者総数は増加している)が、「男性労働者」については既に減少が始まっていると言えます。
そして、「女性労働者」は、男性の減少をカバーして大きく増えているが、いよいよ日本の「労働動員」のピークは近そうだということだと思います。
なお、このようなデータを扱う場合、日本の人口分布の最大のボリュームゾーンである「団塊の世代」の年齢を常に考慮しておく必要があります。
昨年の2022年現在で「団塊の世代」の年齢は、74~76歳です。この方たちがいよいよ労働人口から退出することが始まっているのです。
②「有業率」の推移
下記のグラフをご覧ください。
「総務省統計局 令和4年就業構造基本調査」より
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kall.pdf
出典:総務省統計局 令和4年就業構造基本調査 より(7月30日利用)
上記のグラフは、上記の『①「有業者数」は、まだ増えているけど・・・』で見てきた、「有業者数」の2002~2022年の推移です。
①では、2017年と2022年の「有業者数」を見ましたが、2002年以降の20年間を通してみてみましょう。
2002年から2007年にかけての「有業者数」は、ほぼ横ばいで推移し、2012年に低下したものの、その年以降は上昇しています。
(2013年から団塊の世代が65歳となってきています)
2012年は、民主党政権の最後の年ですね。2013年から安倍政権が始まります。2013年以降は、いわゆる「アベノミクス」の時期です。
この年から「高齢者」と「女性」の労働参加が増えました。
これを、「一億総活躍」として好意的に解釈するか、「女性と高齢者が生活苦」から働き始めたと否定的に解釈するか、二つの正反対の見方がありますね。
コロちゃんは、どちらかと言うと後者を支持しますが、また別の有力な理由もあります。これについては、この後の稿で触れます。
③「男女別・年齢別」の有業率
下記の表をご覧ください。
「総務省統計局 令和4年就業構造基本調査」より
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kall.pdf
出典:総務省統計局 令和4年就業構造基本調査 より(7月30利用)
上記の表は、2017年・2022年の「男女別・年齢別」の有業率の推移です。
この表を子細に見ると、「有業者総数」の推移で読み取れること以上の情報がわかります。
①2017年の「全体の有業率」は59.7%で、2022年には60.9%に、この5年間で1.2㌽増加している。
②「男女別の有業率」をみると、男性は2017年(69.2%)から2022年(69.1%)へ0.1㌽の減少となっているが、女性は2017年(50.7%)から2022年(53.2%)2.5㌽の増加となっている。
③「ポイント差」に着目すると、女性は全年齢で「有業率」が増加しているが、男性は59歳以下は全ての年齢層で減少しているのに、60歳以上の全年齢層で逆に増加している。
上記をまとめますと、2017~2022年の5年間の「有業率」の増加(+1.2㌽)についてみると、女性は全ての年齢層で増加(一番増加したのは60~64歳女性の7.1㌽)しました。
そして、男性は60歳以上の高齢者のみ増加し(+3.0、+4.8、+4.8+1.0㌽)、59歳以下の年齢層の全てにおいて減少しています。
正に、現在の日本の労働市場を人口減少から支えたのは、「女性」(特に60~64歳の女性、+7.1㌽)と「高齢者」(60歳以上の全年齢)だということが良くわかる調査結果となっています。
3.いつまで「高齢者就業」が続くのか
上記では、現在の日本の労働市場を「人口減少」から支えているのが、「女性」と「高齢者」の「労働動員」であることを見てきました。
日本の高齢者の多くは、いまだに「リタイヤ」していないのです。
それでは、この「労働動員」がいつまで続くでしょうか。
下記のグラフをご覧ください。
「総務省統計局 統計トピックス」より
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1322.html
出典:総務省統計局 統計トピックス 高齢者の就業 より(7月30日利用)
上記のグラフは、2022年(令和4年)9月18日に、総務省統計局が発表した「高齢就業者数の対前年増減の推移」です。
2021年の高齢就業者数は、2004年以降18年連続で増加しています。
(上記のグラフの全ての期間で0から上が大きくなっている)
この2011~2021年の間のグラフに、「団塊の世代」がハッキリと姿を現しているのです。
上記のグラフの2013~2016年の65~69歳の男性(青色の棒)と、女性(赤茶色の棒)の増加が「65歳を迎えた団塊の世代」です。大きく対前年比で増加しています。
そして2017~2021年の70歳以上の男性(薄青色縞の棒)と、女性(薄赤縞の棒)の増加が「70歳になり始めた団塊の世代」なのです。
こちらの棒も大きく増加しています。そして、2013~2016年に大きく増加した65~69歳の男性(青色の棒)と、女性(赤茶色の棒)が、2016年以降は、一転してみられなくなっています。
2013~2016年のグラフに60代後半で姿を現した「団塊の世代」が、2017年以降のグラフの70代に順次移っていったのです。
今年の2023年には「団塊の世代は」74~76歳になります。
日本の歴史上、最大の人口ボリュームゾーンとして、産業・学校・文化などに、多くの影響を与え続けてきた「団塊の世代」の労働市場からの退出が、いよいよ本格的に始まったのです。
4.「団塊の世代」とは何か?
さて、ここまで「就業構造」にまで大きな影響をもたらした「団塊の世代」とは、どのような存在なのでしょうか。
多くの皆さんは、「団塊の世代」という呼び名は聞いたことがあると思いますが、その詳細なデータまではご存じないかと思います。
下記の引用をご覧ください。
「ウィキペディア 団塊の世代」より
「団塊の世代とは、日本において第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代を指す。」
「第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)4月2日~1950年(昭和25年)4月1日に生まれて、文化的な面や思想的な面で共通している戦後世代のことであり、大学進学した人は、学生運動が最も盛んな時期に相当する。第一次ベビーブーム世代とも呼ばれる。」
「この用語は通商産業省の官僚であった堺屋太一による、オイルショック後の日本経済がこの世代によりどのように変わっていくかを描いた未来予測小説の題名 『団塊の世代』に由来している」
「この3年間の年間出生数は260万人を超えている。1947年(昭和22年)生まれは267万8792人、1948年(昭和23年)生まれは268万1624人、1949年(昭和24年)生まれは269万6638人であり、3年間の合計出生数は約806万人にのぼる。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%A3%E5%A1%8A%E3%81%AE%E4%B8%96%E4%BB%A3
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「団塊の世代」最終更新 2023年7月17日 (月)
上記の引用を見てもわかるように、「団塊の世代」とは、日本史上最大の人口のボリュームゾーンの方々です。
1947年(267.9万人出生)
1948年(268.2万人出生)
1949年(269.7万人出生)
上記の「団塊の世代」の出生数を、現在の出生数である昨年「2022年の出生数77万人」と比べると、毎年3倍以上の出生数だったのです。
これは、太平洋戦争の敗戦(1945年)後の「平和の配当」と言っても良いかと思いますね。
(戦争直後の1946年出生数157.6万人と比べても、団塊の世代の出生数は100万人以上多いのです)
高齢者の「労働参加」は、アベノミクスの成果なの?
ここで、上記の「②「有業率」の推移」の最後で書きました疑問点のコロちゃんの解答を書きたいと思います。
その疑問点とは、以下の内容でした。
2013年の安倍政権の「アベノミクス」から、「高齢者」と「女性」の労働参加が増えました。
これを、「一億総活躍」として好意的に解釈するか、「女性と高齢者が生活苦」から働き始めたと否定的に解釈するか、二つの正反対の見方があります。
コロちゃんは、2013年以降の「高齢者と女性の労働参加増加」については、「生活費補填」の理由も大きいと思いますが、同時に「団塊世代」の高齢化移行の影響も大きいと思っています。
2013年以降は、毎年100万人以上の「高齢者」が、続々と労働参加に加わってきていたのです。
(上記の「高齢就業者数の対前年増減の推移」のグラフでは、2013~2017年の「高齢者の就業」が大きく増加しています)
総務省の「令和2年国勢調査」(2020年)によると、団塊の世代(調査時71〜73歳)は、全国でまだ596万人もいらっしゃるそうです。
おっと、「まだ」なんて言ったら叱られてしまいますね。「今だ」に訂正します。
この方たちの内の、かなりの数の方たちが定年退職で「リタイア」することなく、労働現場で「現役」として頑張られている。
その結果が、上記で見てきた「高齢者の労働参加」の数字となっているのだと思います。
このように見ていくと、2013年以降の「高齢者」の労働参加は、「アベノミクスの成果」というよりは「団塊の世代」の人口動態による要素も大きいと、コロちゃんは考えています。
もちろん、生活や将来への不安のための蓄財の要素も、また大きいとは思いますけれど。
しかし、上記で見ました「2022年男女年齢階級別有業率」で、「女性の全年齢の有業率」が、2017年よりも2022年が増加しているデータは、「団塊の世代」とは関係がありません。
この「全年齢の女性」の労働参加率が増加した理由は、明らかに「生活苦」にあると思います。
5.年齢の経過と共に「団塊の世代」の退出は続く
以上のように、日本の「高齢者とリタイア」の風景を見てきました。
確かに日本では、欧米のような「老後はリタイアして優雅に暮らす」ような習慣はありません。
しかし2013年になってから、日本の高齢者が急に変化したようにも思えません。
(上記の「高齢就業者数の対前年増減の推移」のグラフでは、2013~2017年の「高齢者の就業」が大きく増加しています)
やはり、私たちが見てきた「高齢者」と「女性」の労働参加の一番大きな理由は、「人口動態の変化」と、「高齢者の貧困」の二つにあるのでしょう。
その「人口動態」の方で見ると、今後の労働力のひっ迫は加速度的に進むのではないかと思います。
下記の表をご覧ください。
「総務省統計局 令和4年就業構造基本調査」より
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kall.pdf
出典:総務省統計局 令和4年就業構造基本調査 より(7月30日)
上記の表は、前項の「③「男女別・年齢別」の有業率」で見た表の一部を拡大したものです。
この表では、2022年の年齢階級別の「有業率」が記載されています。この表で見ると「75歳以上の有業率11.4%」です。
その一つ若い「70~74歳の有業率33.3%」と比べると1/3となっています。
出生時点で806万人(1947~1949年生まれ)の「団塊の世代」は、2021年推計で598万人(総務省推計)いらっしゃるそうです。
2023年には「団塊の世代」は、74~76歳になります。
ちょっと計算すれば、現時点で70~74歳の「団塊世代」の高齢者(有業率33.3%)が、順次75歳以上(有業率11.1%)へと、「労働現場」から退出していく姿が見えるのではないでしょうか。
6.もうリタイアしても良いと思うよ
コロちゃんは、60歳の時に「大腸がん」に罹患し(その後完治)、治療の為に仕事を退職しました。
だからというわけではないのですが、高齢者の老後は「リタイア人生」として、気楽に生きる生活を皆さんがおくるものだと思っていました。
今日調べました「団塊世代」の退職後の生き方にしても、2010年代にはマスコミ等で「団塊世代がどんどん退職するから、労働需給がひっ迫する」との論調が盛んに言われていました。
ところが、実際に「団塊世代」が60代に入ると、多くの方々が「労働現場」に残る選択をしています。
現在の2022年でさえ、上記の「2022年男女別・年齢別の有業率の推移」を見て見ると、男性の60~64歳の有業率は72.5%、男性の65~69歳の有業率は50.9%と、極めて高い数値なのです。
コロちゃんは、全国の「高齢者のお仲間」に、「もうそろそろ、リタイアして好きなことやった方がいいんじゃないの?」と声をおかけしたいですね。
海外のリタイア
いろいろポチポチしましたけれど、「世界のリタイア年齢」という調査は見つけることができませんでした。
しかし、逆の「世界の高齢者の就業率」という調査がありました。
下記のグラフをご覧ください。
「内閣府 国際比較調査に見る日本の高齢者の意識」より
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_40/pdf/s7_1.pdf
出典:内閣府 国際比較調査に見る日本の高齢者の意識 より(7月30日利用)
上記のグラフを見ると、「高齢者の就業率」は、世界の中でも日本は一番高い(リタイアは一番遅い)数値なんですよね。
岸田総理は、一部の欧米諸国と、よく「価値観を共有する」とおっしゃられていますから、この高齢者の「リタイア」でも、ぜひ欧米諸国と「価値観を共有」していただきたいと、コロちゃんは思います。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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