【経済考】今年の年金は実質減少なの?

経済
Gerd AltmannによるPixabayからの画像

今年の年金支給額が、1/20に厚生労働省から発表されました。コロちゃんは、年金生活者だからこの話題には、直ぐに食い付くんです。なにしろ、生活がかかっていますからね。

翌日に新聞で発表されましたが、報道によると、年金支給金額は増額されるが、物価上昇率には及ばないため、実質的には減額となるとありました。

1.夫婦ふたりのモデル世帯で月¥4889円増

改定率は、68歳以上は+1.9%増で、67歳以下は+2.2%増。後者の67歳以下の夫婦ふたりのモデル世帯の場合は、月¥4889円増の月額22万4482円になるそうです。

コロちゃんは、68歳以上のおひとりさまですから、月10数万円の年金支給額の+1.9%増で、ざっくり月¥3000円くらい上がると考えていればいいのかな。

2.マクロ経済スライドが3年ぶりに発動される

年金支給額は、「物価変動率」と「賃金改定率」で計算されます。

22年の「物価上昇率」(2.5%)と19~21度の「賃金変動率の平均」(2.8%)を考慮すると、本来なら68歳以上は2.5%増、67歳以下は2.8%増になる計算だったそうです。

しかし、ここで「マクロ経済スライド」と言う年金額抑制策が発動されます。過去のキャリーオーバー分を含めた-0.6%が適用され、前段の金額となったそうです。

要するに、今年6月からの年金額は3年ぶりに「マクロ経済スライド」を発動して年金支給金額を減額した訳ですね。

その結果、おふたりさまの年金受給者は月¥5000円弱増額で、おひとりさまは月¥3000円程度の増額となった模様です。あくまでも標準のモデル世帯の場合ですが。

しかし物価が上昇すれば、実質支給額はマイナスとなります。では次に物価上昇を見てみましょう。

3.物価上昇の勢いを見る

同じ1/20に総務省から昨年の物価上昇率のデータが発表されました。

下記のグラフはその一部ですが、物価上昇率は昨年4月には+2%を上回り、10月には+3.7%、12月には+4%に達しました。その結果、昨年1年間通年の物価上昇率は+2.5%となったそうです。

下記のグラフの2022年の線は、それ以前と比べて急激に右肩上がりに伸びています。

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
参照:総務省統計局 報道資料(令和5年1月20日付け)2020年基準 消費者物価指数 全 国 2022年(令和4年)12月分及び2022年(令和4年)平均 より(1月23日利用)

4.今年の年金支給金額の実質は?

上記で、今年の年金支給金額と昨年の物価上昇率をみてきました。

今年のコロちゃんの年金支給金額は+1.9%増です。物価上昇率が現状から抑えられるならば、生活はやや苦しくなるぐらいで済むでしょう。

しかし、物価上昇の数値の動きにはトレンドというものがあります。

右肩上がりの上記のグラフをみると、今年は昨年12年の+4%を超える可能性が高いのではないでしょうか。

今年の1月のコロちゃんちの電気料金料金が、前年同時期比で+9300円という驚きの急増をみても、今年の年金支給金額は実質では相当低下すると思いますね。(´Д`)ハァ…

5.経済の好循環に必要なもの

政治家や識者から、最近よく「賃上げと物価上昇の好循環」と言う言葉をよく聞きます。おそらく、賃上げ→消費増→物価上昇→景気上昇という循環を想定しているのだと思います。

昨今は、政府や経団連からも賃上げの要請が出されています。

しかし、現在の日本の重複のない公的年金の実受給権者数は、令和元年度末現在で4,040万人いらっしゃいます。下記の引用をご覧ください。

何と、国民の3人に1人が公的年金の受給者なのです。

「(2)給付状況
公的年金受給者数(延人数)は、令和3年度末現在で 7,698 万人となっており、前年度末に比べて 33 万人(0.4%)増加している。
重複のない公的年金の実受給権者数は、令和3年度末現在で 4,023 万人であり、前年度末に比べて 28 万人(0.7%)減少している。」

https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf参照:厚生労働省 年金局 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 令和4年12月より(1月23日利用)

物価の上昇によって国民の1/3の方の年金受給額が実質的に減額となる事は、社会に「賃下げ」と同じ効果をもたらすのではないでしょうか。

経済の好循環のために「物価上昇を超える賃上げを」と考えるのならば、年金支給額の改定にあたっても、同じ配慮をすべきだったと思います。

「マクロ経済スライド」という年金額抑制策の今年の発動は誤りだったとコロちゃんは思います。

6.過去の日本と現在の日本

コロちゃんは、1970年代の「狂乱物価」の時代を覚えています。物価が急激に上がって庶民がとても苦しんだのです。ただ当時は賃上げも大幅に行われました。

下記のグラフをご覧ください。上の段が過去の物価指数の推移です。1974年の消費者物価指数は23.2%増を記録しています。

現在私たちは、昨年12月の物価が4%上がったといって大騒ぎしているのですから、1974年の日本で大騒動となったのも無理はありません。

しかし、もう一つ下のグラフをご覧ください。その時期の春闘での賃上げ率です。何と32.9%増です。

現在の政府と経団連が呼びかけている春闘での賃上げ率が3%ですから、当時の賃上げ率の大きさが分かります。

こう言うのを「異次元」とでも形容出来そうですね(笑)。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h30pdf/201816902.pdf
参照: 参議院 消費者物価指数半世紀の推移とその課題より(1月23日利用)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0402.html
参照:労働政策研究・研修機構 統計情報 グラフでみる長期労働統計 図2 主要企業春季賃上げ率より(1月23日利用)

現在では、1970年代のような、大幅賃上げも大幅年金アップも難しいでしょう。

インフレは、低所得者層を集中して痛め付けます。

非正規労働者には「ベア」はありませんし、年金生活者も受給額は急には上がりませんからね。

7.暮らしを守って欲しい

物価上昇による年金支給金額の実質的減額は、賃下げと同じ効果をもたらします。

そして日銀の金融緩和は、物価を上げようとする政策です。その一方で、政府は企業に賃上げを呼びかけています。

コロちゃんには、政府は物価を上げたいのか下げたいのか、チグハグに見えます。

コロちゃんの様な年金生活者の立場からは、今回の電気料金の様に、物価が急騰するインフレが起こらない様にしてもらいたいです。

そして、私たち皆んなの暮らしを守っていただきたいと思います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に触りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい

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