【社会考】生涯子なし「42%」の衝撃

社会

おはようございます。昨日は雨が降ったりやんだりでしたが、余り気温が下がらずにむし暑い夜でした。

今朝は、さわやかな青空と涼しい空気で、そろそろ夏の終わりの雰囲気が漂ってきましたね。コロちゃんとワンコも気持ちよい散歩をしてきましたよ。

今日は「生涯子なし」についてポチポチします。

1.「生涯子なし42%」の衝撃

報道によりますと、「生涯にわたって子どもを持たない人が、2005年生まれの女性(2023年に18歳)の場合で、最大42%に達すると推計される」と報じられていました。

「人口学」では、50歳時点で子どもを持たない女性を「生涯無子(チャイルドレス)」というそうです。

この「生涯無子」は「生涯未婚率」と違って、あまりネットでは情報が非常に少ないですね。コロちゃんも初めて「生涯無子」という用語を知りました。

いろいろポチポチしてみたら、OECDによれば「1970年生まれの女性の場合、日本の『生涯子無し率』は27%だった」とのデータを見つけました。

今回の報道では、「2005年生まれの女性(2023年に18歳)の場合で、最大42%に達すると推計」しています。

そうだとすると、日本は1970~2005年の35年間の間に「生涯無子率」が「27%→42%」に上昇したことになります。

日本において、「生涯子無し率」よりも「生涯未婚率」が、良く取り上げられる理由があります。日本の子どもたちは、そのほとんどが「結婚」したカップルから生まれてくるのです。

それでは、「生涯未婚率」を見る前に、結婚していないカップルから生まれてくる「婚外子」を見てみましょう。

2.「婚外子」とは?

「婚外子」とは、婚姻関係にないカップルから生まれた子のことです。「非摘出子」とも言います。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 男女共同参画白書」より

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyoc02-02.html
出典:内閣府 男女共同参画局  男女共同参画白書 令和4年版 コラム2 (図2)婚外子の割合の推移 より(8月10日利用)

上記のグラフは「婚外子割合」の推移です。

いくら何でも「明治時代」からグラフを作らなくともよいと思いますが、手ごろなグラフが見つからなかったので、このグラフをご紹介しました。

日本で「家長制度」が法律に書き込まれていた戦前ならいざ知らず、戦後の「婚外子」の割合は大きく低下しています。

このグラフによると、「婚外子」は2020年のデータで2.4%となっています。

この「婚外子」の割合の低さが、統計データを扱う上で「生涯無子率」よりも「生涯未婚率」が使われる理由かと思われます。

3.「生涯未婚率」とは?

コロちゃんは「生涯無子率」は、今回初めて聞きましたが、「生涯未婚率」という指標はよく聞きます。

これは、「50歳までに一度も結婚したことのない女性」の割合を指す統計指標です。

50歳までに一度も結婚していない女性は、将来も結婚しない可能性が高いとして、「45~49歳」の方と「50~54歳」の未婚率の平均値として算出します。

その「生涯未婚率」の推移を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 男女共同参画白書」より

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-20.html
出典:内閣府 男女共同参画局  男女共同参画白書 平成25年版  第1-特-20図 生涯未婚率の推移(男女別)より(8月10日利用)

上記は、昭和25年(1950年)から、平成22年(2010年)までの「生涯未婚率」の推移のグラフです。

「昭和」の間は緩やかだった上昇カーブが、平成元年(1989年)以降に急激に上昇しています。

1989年というと「バブルの最盛期」ですね。そのバブルの崩壊が1991年です。

その頃から、「生涯未婚率」の急上昇が始まっています。

数字をみると、1950年(昭和25年)には、男女共に1.5%だった「生涯未婚率」が、グラフの最後の2010年(平成22年)には、男性20.1%、女性10.6%と大きく上昇しています。

「生涯未婚率」は、このグラフ(1950~2010年)以降も増え続け、2020年には男性28.3%、女性17.8%まで増加しています。

ということは、現在では男性では4人に1人以上、女性は5人に1人近くが「生涯未婚」の道を選択しているのです。

4.「雇用」に手を付けなきゃダメ

それでは、どうしたら多くの人たちが結婚できるようになるのでしょうか。

コロちゃんは、現在雇用者総数の36.9%を占めている「非正規雇用」を禁止して「正規雇用」に変えるのが一番効果のある対策だと思います。

「非正規雇用」は1984年の604万人(15.3%)から、2022年には2101万人(36.9%)へと4倍近く増加しています。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 平成28年版少子化対策白書」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状より(8月10日利用)

上記のグラフは、「雇用形態別配偶者のいる割合(男性)」です。赤線が「正社員」で、黄色線が「非正規雇用」です。

「20~24歳」「25~29歳」「30~34歳」の全ての年代において、「配偶者」のいる割合は「非正規雇用」よりも「正社員」の方が上回っており、しかも年代が進むにつれて、その「格差」が広がっているのです。

つまり「非正規雇用」の男性の婚姻率は、「正社員」に比べて大幅に低いのです。

ということは「非正規雇用」を禁止して、その全員を「正規雇用」にすれば「婚姻率」は大幅に上昇すると思います。

5.「所得」に手を付けなきゃダメ

もう一つ指摘します。それでは、どうしたら多くの人たちが結婚できるようになるのでしょうか。

コロちゃんは、若い方がもっと多くの「所得」を得ることができるようにするのが、一番効果のある対策だと思います。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 平成28年版少子化対策白書」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状より(8月10日利用)

上記のグラフは「年収別の配偶者のいる割合(男性)」です。

赤い線が「25~29歳」、黄色線が「30~34歳」、青い線が「35~39歳」の「年収別」の「配偶者のいる割合(男性)」です。

「配偶者のいる割合(男性)」は、年収が高くなるほど上昇しているのです。

つまり、若い方の婚姻率を上げるためには、若い方の「所得」を上げればよいのです。

6.「所得分布」は低下している

上記で、若い方の婚姻率を上げるためには、「所得」を上げればいいと記載しました。

それでは、20代の若者の「収入階級別雇用者構成」を見てみましょう。

①「20代の若者」の所得

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 若い世代の所得の伸び悩み」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27pdfgaiyoh/pdf/s1-1-2.pdf
出典:内閣府 若い世代などの所得の伸び悩み より(8月10日利用)

上記のグラフは、「20代の雇用者の収入階級別グラフ」です。

1997年(赤線)には、ボリュームゾーンは「300~399万円」のところにあります。

それが2012年(青線)になると、ボリュームゾーンが二つになります。より所得が低い「200~299万円」と「300~399万円」の二つになったのです。

しかも、画面の右半分(高所得)全体が低下して、左半分(低所得)全体が増加しているのが見て取れます。

20代の若者の所得は、「1997~2012年」の15年間に、大きく下振れしたのです。これでは「婚姻率」が下がっても不思議はありません。

次に30代の若者の「収入階級別雇用者構成」を見てみましょう。

②「30代の若者」の所得

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 若い世代の所得の伸び悩み」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27pdfgaiyoh/pdf/s1-1-2.pdf
出典:内閣府 若い世代などの所得の伸び悩み より(8月10日利用)

上記の30代の「収入階級別雇用者構成」では、1997年(赤線)には、所得が「500~699万円」が一番多かったのですが、2012年(青線)には、「300~399万円」が一番多くなっています。

この30代の若者も、1997~2012年の15年間に大きく所得を下げています。

これでは、婚姻率が大きく下がるのも当たり前です。

7.日本はどこで間違ったのだろう?

どうしてこのように、多くの若者たちの所得が下がってしまったのでしょうか。

コロちゃんは、その出発点は、1995年にあったと思っています。

日経連(日本経済団体連合会、その後経団連と統合)が、今から28年前の1995年に「新時代の日本的経営」というレポートを発表しました。

その内容は、今後の「日本の経営形態」を以下のように分けなければならないというものでした。

①「長期蓄積能力活用型グループ」
②「高度専門能力活用型グループ」
③「雇用柔軟型グループ」

旧来の「日本的経営」を転換させて、雇用者を「正社員」と「非正規社員」に分けることを、経済界の重鎮が最初に提案したのがこの1995年の「新時代の日本的経営」だったのです。

当時は、何を言っているのかよくわからない方がほとんどだったのです。コロちゃんも新聞で読んだ記憶がありません。おそらく読んでいてもスルーしたのでしょうね。

けれども、今ならその意味が良くわかります。日本企業の「家族主義的経営」から、雇用者を「非正規雇用」に追い出していくプランだったのです。

7.こんなはずじゃなかった

その1995年の日経連の「新時代の日本的経営」の発表から、28年が経過し、1995年に1001万人(20.9%)だった「非正規雇用」は、2022年現在で2101万人(36.9%)と倍増しました。

当時「日経連」で常務理事を務めた成瀬健生さん(89)は、今年2023年に東京新聞のインタビューで、「非正規雇用」が4割を占めている現状に対し、以下のように証言したと報じられています。

「今ほど増えるとは思わなかった」

そして、経営者に対しては「人間を育てることを忘れてしまった」と語ったそうです。

この方にしても、当時は真剣に日本の将来を憂いて提起したのだと思います。

1995年といえば、バブル崩壊が1991年で、その後も日本経済は「バランスシート不況」が長く続いていました。そのただ中で、日本の将来を憂いての提案だったのでしょう。

しかしその結果は、当時ではだれも考えなかった「非正規雇用」が4割近くを占める社会が出現したのです。

今日のブログの冒頭の記載を、もう一度見てみしょう。

「生涯にわたって子どもを持たない人が、2005年生まれの女性(2023年に18歳)の場合で、最大42%に達すると推計される」

これは、どう考えても、おかしい社会でしょう。

コロちゃんは、20代30代の若者が結婚ができないほど「非正規雇用」を増やしたり、「所得」を低下させることは、あってはならないことだと思っています。

今こそ、「非正規雇用」を増やし続ける流れを巻き戻して、20代30代の若者たちに、結婚できる「雇用形態」と、結婚できる「所得」があるようにしていただきたいと、コロちゃんは考えます。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Uschi DugulinによるPixabayからの画像

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