【経済考】9月の「消費」と「賃金」とコロちゃん

経済

おはようございます。今朝のワンコとの散歩は、まだ薄暗い時間に歩いてきました。

コロちゃんちの辺りの、日の出の時間を調べてみると6時15分でしたが、今朝の出発時間は5時45分。それでは薄暗いのも当たり前ですね。

だけど、東の空はうっすらと明るくなってきましたから、散歩を続けていると心地よい気持ちになってきましたよ。

下記のフォトは、その東の空の様子です。「爽やかさ」のおすそ分けです。ご堪能下さい。

0.「今日の記事のポイント」

by<br><span class="bold-blue">コロちゃん</span>
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コロちゃん

今日の記事は、下記のような内容になっていますよ。どうぞ最後まで楽しみながらお読みください。

☆「3~9月の消費支出はマイナスが続いてる。過去30年間を見ると消費支出の浅い谷・深い谷があり、本格的な消費増加の大きな山は一度もない(失われた30年)」

☆「実質賃金は、今年1~9月まで全てマイナス。1947~2022年の75年間に「給与額」が最高だったのは、今から25年前の1997年。この結果を見ると過去30年間の経済対策は全て失敗だった」

☆「コロちゃんの消費支出と賃上げ。二人暮らしよりも一人暮らしの方が貧しくなる」
⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄ハズカシーィ

☆「日銀・政府に物価上昇を止める気がないから、現在の物価上昇は長く続く」

1.「消費支出が減った」

総務省統計局は、毎月皆さんが生活するために使ったお金の額を調べて「家計調査」として発表しています。

先日11月7日に発表になった「二人以上の世帯」の消費支出は、1世帯当たり28万2969円で、実質では、前年同月比2.8%の減少でした。

下記のグラフをご覧ください。

「総務省統計局 家計調査報告」より

https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
出典:総務省統計局 家計調査報告 -2023年(令和5年)9月分-より(11月7日利用)

上記のグラフは、「二人以上の世帯の家計調査報告」です。3月以降の「消費支出」がマイナス圏に沈んでいることが見て取れます。

それでは、今年に入ってからの「二人以上の世帯の家計調査」を見てみましょう。

1月 ー0.3%
2月  +1.6%
3月 ー1.9%
4月 ー4.4%
5月 ー4.0%
6月 ー4.2%
7月 ー5.6%
8月 ー2.5%
9月 ー2.8%(この数値が今回発表されました)

「消費支出」が回復している様子は見受けられませんね。

むしろ消費の低下が、先月8月(ー2.5%)よりも9月(ー2.8%)が拡大してしまっています。

この表の「消費支出とその内訳」を見ると、下記の項目の減少が目立ちます。

①「食料 ー3.7% 野菜・海藻・肉類など 12ヶ月連続実質減少」

②「被覆及び履物 ー18.3% 洋服・シャツ・セーター類など 2ヶ月連続実質減少」

やはり、多くの皆さんの「生活防衛」でしょうか。

このように毎月の「消費支出」の数字を見ていると、ジワジワと真綿で首を絞めるように生活が圧迫されてくるところを、必死に消費支出を抑えて生活している方たちの姿がみえるようですね。

○「家計消費の長期推移」

上記は2023年になってからの「家計消費」ですが、ちょっと視点を変えて「家計消費の長期推移を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 個人消費の推移」より

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2018/0125nk/n18_2_2.html
出典:内閣府 家計の消費行動の変化 より(11月9日利用)

上記のグラフは「個人消費の長期推移」です。

1990年の直前の大きな山が「バブル期」です。個人消費が大きく盛り上がっています。

それ以降は、深い谷と小さな山を築きつつも、全体的には低迷しています。

二つの深い谷は、1998年の「金融危機」と2008年の「リーマン危機」です。

上記のグラフの、1980年以降の「消費動向」を通して見ると、1990年までは高い伸びで推移し、1991年のバブル崩壊後は消費の伸びが急減し、2000年以降はデフレで消費の伸びが弱くなっています。

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コロちゃん

コロちゃんは、上記のグラフの1980年代以降の全期間をリアルタイムに目にしてきましたが、結局「バブル期(1987~1989年」以降の「消費活動」は、小さな山はあっても本格的な上昇は一度もありません。

大きな落ち込みは1990年代末の「金融危機」と、2008年の「リーマン危機」ですが、それ以外にも、消費税の増税が下記の通りありました。

①「1997年 (5%)」

②「2014 年(8%)」

③「2019 年(10%)

増税直前の「買いだめ」と増税後の「買い控え」が、上記のグラフでの「消費」の山・谷を描いていますね。

この小さな山は「消費の本格的な増加」とは言えないでしょうね。

要するに「消費」においても「日本経済」は「失われた30年」となっていたと、コロちゃんは思いますよ。

2.「実質賃金が下がった」

上記で見ましたように、現在の「個人消費」が増えるどころか、右下さがりに減少している原因は、やはり「実質賃金」の減少があると思われます。

先日の11月7日に、厚生労働省が9月の「毎月勤労統計調査」を発表しました。

その内容によると、9月の一人当たりの「実質賃金」は、前年同月比でマイナス2.4%と、18ヶ月連続の減少となっています。

以下のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 毎月勤労統計調査」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2306p/dl/pdf2306p.pdf
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年6月分結果速報  より(8月8日利用)

上記のグラフの上の「太い黒の実線」は、実際に支給された「名目賃金」です。

こちらは、プラス圏にあるのですが、物価上昇率を加味した「実質賃金」(下の細い黒の実線)は、依然としてマイナス圏にあります。

今年2023年の1月以降の「実質賃金」の数値を見てみましょう。下記をご覧ください。

1月 ー4.1%
2月 ー2.6%
3月 ー2.9%
4月 ー3.0%
5月 ー1.2%
6月 ー1.6%
7月 ー2.7%
8月 ー2.5%
9月 ー2.4%(この数値が今回発表されした)

9月の物価上昇率は、-2.4%と、18ヵ月連続で前年割れとなっています。

ここまで「実質賃金」の低下が続いていると、当然にして「家計消費支出」は伸びるわけがありません。

今年の春闘では、岸田総理も十倉経団連会長も、そろって「賃上げを叫び」ました。その結果、30年ぶりという大幅な賃上げがなされました。その結果は下記のとおりです。

①「連合最終集計」 3.58%アップ
②「経団連集計」  3.99%アップ
③「厚生労働省推計」3.60%アップ

しかし、これらの「賃上げ」にもかかわらず、上記で見てきたように、「実質賃金」は一向に上がっていません。

まだまだ「賃上げ額」がすくないのか、それとも「物価上昇率」が高すぎるのかのどちらなのでしょうね。

○「長期の月間現金支給額の推移」

コロちゃんは、「実質賃金の長期推移」のわかり易いグラフを探してみましたが、ピッタリのグラフがなかったので、下記のグラフを引用します。

「独立行政法人 労働政策研究・研修機構 1人平均月間現金給与額 」より

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0401.html出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 早わかり グラフで見る長期労働統計 より(11月9日利用)

上記のグラフは、1947年から2022年までの「1人平均月間現金給与額」です。

この「月間現金給与額」は、皆さんが「会社から受け取った給与額」の推移なので、わかり易いと思います。

このグラフを見ると、終戦後(1945年)から2年後の1947年からグラフが始まっています。

この1947~2022年までの間で「月給」が最高額だったのは、なんと現在から25年も前の1997年なのです。

日本経済のバブル崩壊が1991年ですが、その後も「平均月間現金給与額」は上昇し続けています。

日本企業では、「バブル崩壊」となってもなかなか人員削減には進まずに、給与の削減もできなかったことを示唆しますね。

そして、1998年の「日本長期信用銀行」「日本債券信用銀行」の破綻と、大手銀行21行へ「公的資金注入(合計1.8兆円)」を目の当たりにしてから、ようやく「賃金削減」が始まったのだと思われます。

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コロちゃん

コロちゃんは、上記の「一人当たりの月間現金給与額」の推移をみて、月給が下がり始めた1997年以降の「若い方の嘆き」が聞こえるような気がしました。

なにしろ、その後は25年間も「現金給与額」が下がり続けたのです。

もちろん個別には上がった方も多いのでしょうけど、全体が下がる中では、それ以前の時期に比べて上昇額は小さなものになったでしょう。

よく「失われた30年」と言われますが、このグラフの右下さがりを見ると、これは避けられないものだったのか、それとも当時の経済対策を策定した方が無能だったのか、なんとも判断がつかない思いを持ちますね。

少なくとも、この1990年代半ば以降から現在までに行なわれた「経済対策」は、全て失敗だったことは、このグラフから読み取れると、コロちゃんは思いました。

3.「コロちゃんの生活」

上記で「消費支出」と「実質賃金」の現在の動向を見てきました。日本経済の全体の光景ですね。

それでは、ここで打って変わって「コロちゃんの生活」を見てみます。鷲さんの目からアリさんの目への転換ですね。

①「コロちゃんの消費支出」

まずは「消費支出」です。

コロちゃんの、最近の「消費支出」は以下の通りでした。

①「9月消費支出 10.9万円」
②「10月消費支出 9.7万円」
③「前月比増減   ー11%」

(消費支出とは、税金や社会保険料の支出を除いた、会社員では手取り額にあたる金額です)

この数字が単月だけなのかを、昨年の収支で見てみましょう。

コロちゃんの昨年2022年の「消費支出」を調べてみると、「月平均で9.0万円」でした。

(これは「消費支出」です。このほかに「税金や社会保険(国民健康保険料・介護保険料)」の「非消費支出」の出費があります)

そうするとコロちゃんの、「対前年比」の「消費支出」は以下の通りとなります。

○「前年比消費支出」

①「9月消費支出10.9万円 +20%」
②「10月消費支出9.7万円  +8%」

やはり、コロちゃんの今年の生活費は、対前年比で8~20%程度増えているようです。

②「コロちゃんの賃上げ?」

コロちゃんは、もう「こらいまれ」のおじいちゃんですから、「年金清貧生活」を心がけています。

収入は「お国」から頂戴する「年金のみ」です。

「年金」の場合「賃上げ」とは言わずに「改定額」と呼びます。その「年金額の改定」は毎年4月に行なわれ、「年金受給額」に反映されるのが6月からとなっています。

今年2023年の68歳以上の年金改定額は、「1.9%増」となりました。コロちゃんの場合は、大体3千円弱が「改定額(賃上げ)」となりました。

上記で見たように、コロちゃんの毎月の「消費支出」は、対前年比で8~20%程度増えています。

この「年金改定額」の3000円弱では、現在の物価上昇の中では、とうてい生活費の増加分を賄えません。おそらく、多くの「年金生活者」も同じ思いを持っているでしょう。

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コロちゃん

皆さん、老人1人暮らしと老夫婦では、どちらが生活がしやすいと思いますか?

もちろん、長年連れ添った相方がいた方が、人生と生活は豊かになるでしょう。

そうではなくて、あくまでも「経済的に」です。

答えは、二人暮らしの方が断然「経済的」に暮らしやすいのです。

老夫婦二人暮らしから、いずれはどちらかが先に旅立ちます。

その後は1人暮らしになるわけですが、1人になったからと言って、食費や光熱費は半分にはなりません。家賃もそうですよね。1/2にはならないのです。

今の社会の年金制度は、「モデル世帯」として「夫婦の生活」を前提に作られています。

その後の「老人一人暮らし」が長く(場合によっては10年・20年と)続くことを想定していません。

老夫婦が老人1人暮らしになったとたんに、生活苦となってしまう例は数多いのです。

4.「物価上昇を誰も止める気がない」

スーパーでの食料品などの多くは輸入品です。「食料自給率」が低い日本(カロリーベースで38%)は、世界中から食料品を輸入しています。

また、肉類や乳製品などの畜産物も、育成は日本で行なっていても、その飼料(エサ)はほとんど輸入に頼っています。

現在の「円安」の下では、それらの「食料品」の値上げは避けられません。

しかし、円安の原因となっている「日本銀行」の「金融政策」は、「デフレに逆戻り」を懸念して「金融緩和」を継続する方針を崩していません。

①「日銀は物価上昇を止める気がない」

「日本銀行」の植田総裁は、先日の11月6日に、名古屋市で講演と記者会見を行なって、次の発言をしたと伝えられています。

(物価目標の達成を見通せる時期について)「入ってくるデータや情報次第で、理論的にはどの会合でもあり得る」

(年内の)「可能性がゼロと現時点で言ってしまうことは無理だ」

(しかし)「もう2カ月弱になったし、ここまでの情報については、先週の決定会合で分かる限りでチェックした上での判断だ」

何ともわかりにくい発言なのですが、経済の専門家に聞くと、「植田総裁」は、今年の年内に「2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を見通せる可能性は低い」とみていることを示唆したとなっています。

「2%の物価安定目標」が実現しなければ、現在の「金融緩和」は修正されませんから、「物価上昇」はそのまま続くこととなります。

「物価上昇」を止めることができるのは、「日銀」と「政府」しかないんです。

②「政府も物価上昇を止める気がない」

その「政府」ですが、自民党の福田達夫元総務会長が以下のような発言をしていました。

政府の経済対策について「インフレの局面をしっかりと力に変えてデフレを脱却する経済構造対策だ」

「インフレに立ち向かう最大の武器が賃金の上昇だ」

この発言は、要するに「インフレ」を抑える気はないのです。「賃上げで対抗する」だけです。

「政府」も、「物価上昇」は止める気がないのです。

「物価上昇」を抑えるには、「政府」は「緊縮財政」をしなければなりませんが、全くその様子はうかがえません。

「日銀」と「政府」のお二方共に、「物価上昇」を止める気がなければ、この「物価上昇」はまだ当分の間続くと考えなければならないと思いますね。

果たして、政府や日銀が躍起になって叫んでいる「物価上昇を超える賃上げ」が、来年に広く日本中に広がるでしょうか?

コロちゃんは、難しいのではないかと考えていますが、これだけは断言はできません。

来年4月ごろには「2024年春闘」の結果が出始めます。その時まで見つめ続けるしかありませんね。

多くの「年金生活者」は、それまではじっと「物価上昇」の流れに耐えて、身を縮めて生活を縮小して過ごすしかないと思います。

コロちゃんも、その一人となって広く世の中を見渡すことを続けたいと思います。皆さん、物価上昇はまだ続きますよ。その覚悟をお持ちくださいね。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

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