【経済考】先進国とは何か?

経済

おはようございます。今朝は、強い風が吹いてますね、ビュービューと田んぼの上空を吹き抜ける風は、まさに「空っ風」。

「北風小僧がやってくる」という言葉が頭に浮かびました。おーさむっ。
《(;´Д`)》ブルブル

ニュースを読んでましたら、「日本は韓国に追い抜かれた」とか「日本は先進国から脱落する」とかが目に入りました。

はてさて、ホントにそうなの? ホントだったら、うそ寒さのブルブルは今朝の北風どころじゃないよなーと思い、ちょっと調べてみました。

1.日本は「韓国に抜かれた」の?

下記の表はウイキペディアに載っている「国際通貨基金」「世界銀行」「国際連合」の「一人当たり名目GDP」のデータです。

日本が27位、27位、28位に対して、韓国は32位、31位、31位。かろうじて日本が上ですね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BA%BA%E5%BD%93%E3%81%9F%E3%82%8A%E5%90%8D%E7%9B%AEGDP%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「各国の一人当たり名目GDPリスト」最終更新 2022年9月22日 (木) 04:19 

それでは次に「一人当たり実質GDP」を見てみましょう。

下記の表が「一人当たり実質GDP」のランキングですが、日本は、35位、29位、30位に対し、韓国は、30位、30位、32位と、一部は韓国が上位になっています。

「名目」と「実質」とどう違うかというと、「名目」はモノの価格をそのまま足し合わせた数字で、「実質」は名目の数字に物価の上昇・下落分を取り除いた値になります。

「実質」のほうが、皆さんの生活実感に合うかと思われますから、これらの数字からは、日本は韓国に追い越されつつあるのは事実のようです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BA%BA%E5%BD%93%E3%81%9F%E3%82%8A%E5%AE%9F%E8%B3%AAGDP%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「各国の一人当たり実質GDPリスト」最終更新 2022年5月23日 (月) 13:14

また、日本経済研究センターは「アジア経済中期予測」を発表していますが、それによると「日本の1人当たり名目GDPは、2022年に台湾、23年には韓国に抜かれることがわかった」としています。

平均給与ランキングでも、経済協力開発機構(OECD)が「加盟国中、日本は22位と韓国(19位)より下位」と発表しているもようです。

いろいろな集計をみても、どうやら日本は、世界ランキングで韓国に追い越されつつあることがはっきりしてきたようです。

2.先進国とは?

コロちゃんも、「先進国」の正確な定義は知りませんでしたので、ちょうどよい機会だと思ってポチポチ調べてみました。

そうしましたら、「先進国」の定義には単一のものがあるわけではなく、いろいろな機関がそれぞれ勝手に定義していました。

経済協力開発機構(OECD)加盟国

先進国の定義のひとつとしては、経済協力開発機構(OECD)加盟国を、先進国として扱うというものがあります。

しかし、OECDにはコスタリカ・コロンビアとかも加盟していますので、ちょっと首をかしげてしまいます。

そこでOECD(経済開発協力機構)が発表している「ODA(政府開発援助)受け取り国リスト」を参考とします。リストにのっているのは、下の2つの基準のどちらかに当てはまる国々です。

①世界銀行によって「高所得国」以外に分類される国々(2016年時点の一人当たり国民所得(GNI)が12,235米ドル以下の国々)

②国連によって後発開発途上国に分類される国々(人的資源指数、経済脆弱性指数によって判断される)

この「ODA(政府開発援助)受け取り国リスト」に載っている国は先進国ではないと定義する考え方ですね。

この基準を読むとなんとなく「一人当たりGDP」が12000㌦(約150万円)以上が「先進国」ととらえてよいように思えてきますね。

世界銀行分類

世界銀行による分類では、発展途上国は「低所得国」「下位中所得国」「上位中所得国」の3つに分かれています。

低所得国はGNIが1,005米ドル(約13万円)以下の国

下位中所得国は1,006米ドルから3,955米ドル(約51万円)までの国

上位中所得国は3,996米ドルから12,235米ドル(約159万円)までの国

国連によって「後発開発途上国」に分類される国のほとんどは、世界銀行の分類では「低所得国」となります。

この分類にしたがうと、2018-2020年については「発展途上国と先進国の境界線は一人当たりGNIでみて12,235米ドル(約159万円)」となるそうです。

(1ドル130円で計算しました)

先進国コロちゃん分類

「先進国」に統一的な基準がないのなら、ざっくり言って「一人当たり名目GDP」が12000㌦(約156万円)を超えるのが「先進国」と言っていいかなと、コロちゃんは思いました。

今、中国がそこらあたりに到達しつつあるといわれています。上記のウイキペディアの「一人当たり名目GDP」の表ですと、中国は64位(14096㌦)、68位(10262㌦)、69位(10004㌦)ですね。

その基準ですと、世界200ヵ国強のうち「先進国」は、約60~70ヵ国ぐらいになります。ちょっと、あまあまの基準です。

世界200ヵ国のうちの、1/3の国が先進国と考えるのですからね。

現在の日本の「一人当たり名目GDP」は40000㌦(約520万円)程度とされています。

ですから今後、いくら低迷しても先進国コロちゃん基準の12000㌦(約156万円)まで落ちることはないだろうなと、コロちゃんは考えています。

ちょっと安心しました。

3.日本は下り坂なの、それとも周りが昇ってきているの?

下記の表は、ちょっと古いデータですが、この表をみると、日本は一人当たりGDPの金額が下落しているわけではないですよね。

成長できていないから国際順位が落ちて来ているように見えるのですが、いかがでしょうか。

日本ウサギがお昼寝をしている間に、勤勉なカメが追い越していく構造のように見えます。

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc123110.html
出典:総務省 平成26年版 情報通信白書 我が国における国際競争力の評価.(1月14日利用)

4.高齢化は、先進国になれば必ず進むもの

それでは、日本ウサギがお昼寝から覚められるかどうかなのですが、日本の高齢化は世界の先頭を走っています。

日本は、コロちゃんと同じおじいちゃんなので、若い時のように寝ないで走ることはもうできなくなっているのだと思うんです。

高齢化というものは、いきなり目覚めたり、若返ったりして、乗り越えられるものではないと思うのです。

しかし、高齢化は日本だけの問題ではありません。

下記の表をみても「アジア」では、いずれ中国が日本を追い越しますし、欧米の各国も高齢化率のペースはやや遅れても、必ず進行します。

そう考えると、高齢化は先進国文明に付きまとうスタンダードな現象と考えるべきではないでしょうか。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_2.html
出典:内閣府 令和4年版高齢社会白書  2 高齢化の国際的動向(2月2日利用)

5.日本は現在世界でナンバー1・・・中央年齢ランキングです

最近では、日本の世界でのランキングがどんどん落ちていることばかりが取りざたされます。

上記で見るように「GDPランキング」は20位台となっていて、今後もさらに低下しそうです。

しかし、現在日本がダントツの一位の世界ランキングがあります。それは「国民の中央年齢」です。

WHOが世界183ヵ国の国と地域の「国民中央年齢ランキング」を発表しています。

それによると、日本の国民中央年齢は45.9歳で世界一位です。

ちなみに韓国は、39.4歳で世界ランキングは28位。まだ若いですね。

過去の日本の平均年齢を見てみましょう。

日本の高度成長が始まった時の1960年の、国民平均年齢は29歳でした。実に若々しいですね。

日本がGDPランキングで、アメリカに次ぐ世界2位となった1980年の、平均年齢は34歳です。まだまだ元気です。

日本がリーマン危機に呻吟した2008年の、国民平均年齢は44歳となってました。そろそろ息切れが出てきそうな年ですね。

そして、現在日本の国民平均年齢45.9歳へと至るわけです。

この数値をみると、日本はコロちゃんと同じく「老いた」のですね。

「高齢化」において世界の先頭を走っている日本は、過去と同じ成長ができるわけはないとコロちゃんは考えています。

6.石橋湛山を思い起こす

コロちゃんは、ここまで考察を進めてきた時に「石橋湛山」という人の名を思い起こしました。

石橋湛山は、1920年代以降に日本が満州に進出していく中で、「植民地を捨てよ」と「小日本主義」を提唱した人物です。

現在でも存在している東洋経済新報社の記者・編集長・社長を務めて、戦後は総理大臣にもなりましたが、病いですぐに辞職しています。

石橋湛山は、膨張する日本に警鐘を鳴らし続けたのです。

コロちゃんは、現在の日本が無限の成長を進められるとは思っていません。

日本は、人口だけは1億人以上いる資源のない国なんです。それが高度成長で一時は世界2位まで上り詰めました。ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたひと時もありました。

しかし、先進国となった以上は、どの国も高齢化と成長力の鈍化は避けられません。その時には、上手に戦略的に縮小すべきだと、コロちゃんは考えています。

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

7.恐れず、嘆かず、冷静に

上記のように「一人当たりGDP」と「先進国」「高齢化」について考えてみました。このように考察すると、韓国にいくつかの数値で抜かれたのは決して嘆くようなことではないと思います。

日本の高齢化が、世界に先駆けて進行したから、問題もまた世界に先駆けて顕在化しただけだと思うんです。

もちろん、だからと言って「成長」をまったく目指さなくてよいわけではありませんが、人口は減るのですから、多くの部門が縮小するのは当たり前です。賢く縮小するで良いじゃないですか。

日本は、大きな成長を前提として「社会システム」を構築しています。それを作り替える必要があると思います。

「改革」は必ず、痛みと軋轢を生みます。そしてそれは多くの場合、社会の下層に集中します。そこへの目配りをきちんとして頂きたいと痛切にコロちゃんは思っています。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に触りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

myeongae limによるPixabayからの画像
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