【経済考】日本は経済成長できるかなぁ

経済

おはようございます。今朝のワンコとの散歩は、まだ寒いですけど日差しが暖かく感じられました。北風も吹いていませんでしたしね。そろそろ、春の兆しが訪れてきましたね。

日本経済も、これから春に向かってくれればいいんだけどなー。なんて、コロちゃんは散歩しながら、大それたことを考えていました。

笑っちゃいますよね、コロちゃんはリタイアのおじいちゃんなんですから。少しそのあたりをポチポチ語りますので、よろしければお付き合いください。

1.日本でおこっている就業者数の変化

日本で少子高齢化が進行していることは、誰もが知ってていることですよね。

下記の表を見てもわかる通り、2008年(平成20年)に1億2808万人をピークとして、現在では、2022年9月確定値で1億2463万人と発表されています。

https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1191.html#:~:text=
出典:総務省統計局 統計トピックスNo.119 統計が語る平成のあゆみ より(2月26日利用)

この表のピークの2008年(平成20年)から現在までに、人口が14年間で345万人も減少しています。一年平均にすると24万人強が減少している計算ですね。

ちょうど愛知県が23万人の県ですから、毎年愛知県分の人口が減っていることになります。

結構すごいスピードで、社会は変化しているんですけど、少しずつですからなかなか気が付きにくいんですよね。

2.就業者数は減っていない…今まではね

人口が減っている割には、あまり皆さんが気にされていません。それは、実際に働いている人の数が減っていないからです。

総務省の「労働力調査」によれば、生産年齢人口(15~64歳)は、1995年から2022年にかけて1284万人も減少しています。

しかし、その期間中に高齢者と女性の就労者が、減少分をカバーするように増えて、なんと就業者数は逆に266万人もふえていたのです。

下記の表をご覧ください。男性も女性も60歳以上の高齢者の就労率は、右肩上がりに上昇してきていました。

https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1292.html
出典:総務省統計局 統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者 2高齢者の就業 より(2月26日)

コロちゃんは腰痛でリタイヤしてますけど、この表でいうと65~69歳の枠に入りますから、同じお年ごろの方は60%が就業していることになります。

この増え続けた高齢者の就労者が、人口の減少を補って労働に従事したのです。

それが、いよいよ限界に来ました。

また、日本がここ30年にわたって、平均所得が増えていなかった理由の一つには、この増えた就業者が、主に低賃金の非正規雇用だったことにあります。

3.これから来るのは「労働力希少社会」

上記で、日本の就労人口が減り続ける中で、女性と高齢者が主に非正規労働者として、労働市場に新たに参入してきたことを見てきました。

しかし、これからはそうはなりません。下記の表は5年ごとに行われる国勢調査の資料からですので、2020年以降は推計値になっていますが、65~74歳を示すブルーの枠はすでに減り始めています。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_1.html
出典:内閣府 平成29年版高齢社会白書(概要版) 第1節 高齢化の状況 より(2月26日利用)

女性も老人も、もうこれ以上の労働供給は期待できない時代に入ったのです。

これからの日本は「労働力希少社会」となっていくと思います。

そうなると、次に来るのは賃金の高騰となるでしょう。産業構造が変化するほどの規模になると思われます。

4.ルイスの転換点に到達

このような、安価な労働力の移動と枯渇によって、成長が停滞する現象を経済学で「ルイスの転換点」というそうです。

「ルイスの転換点」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E7%82%B9
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「ルイスの転換点」 最終更新 2023年2月22日 (水) 13:34 

一般的には、後進国がキャッチアップで成長する過程で、田舎から若い安価な労働者が都市部に移動して就労する経済モデルが、人的資源の枯渇から限界に達する点をそう呼びます。

現在の中国が、農村の安価な労働力が枯渇してきて、この「ルイスの転換点」に到達したといわれていますね。

日本では、高度成長期はとっくに終わっているのですが、今回安価な非正規労働力の高齢者と女性の就労動員が限界に達したことで、この「ルイスの転換点」という概念が再び出てきたのです。

安価な労働力を、謳歌できた時代の終焉となると思われます。

現在、安価な労働力のビジネスモデルの下で事業を展開している「飲食事業」や「小売り事業」などからは、レントシーキング(保護された権益の確保)の声が上がるでしょう。

しかし、政治はそれに答えてはいけないと思います。すでに「時代」は変化してきているのですから。

5.ゾンビ企業が終焉する

2013年の黒田日銀の発足以来、「異次元の金融緩和」が進められてきました。

日本のデフレ経済からの脱出には一定の成果があったとされていますが、同時に副作用も甚大に起こしてしまっています。

多くの非生産的な実質赤字企業が生き延びているのです。

いわゆる「ゾンビ企業」(低収益企業)です。

調査会社による報告によると、「ゾンビ企業」は約18.8万社で、前年度から一段と増加しています。

ゾンビ企業率は12.9%で、なんと全企業の1割強が該当するとありました。

今後4月には、新日銀総裁が就任して、現在の「異次元の金融緩和」の修正に入るでしょう。

長い目で見ると金利上昇は避けられません。金利が上昇すれば、ゾンビ企業は息の根を止められます。

多くのゾンビ企業からは、「弱者を守れ」との声が上がるでしょう。

しかし、それに答えてはならないのです。日本が成長するためには効率的な配分が必要となるのです。

6.巨額の政府債務が経済低迷の原因か?

現在のように、物価上昇が進み、生活不安がかきたてられると、国への多くの要求が出てきます。

そのなかで政治の世界には、お金をばらまいても、それに答えようとする不断の圧力がかかります。

しかし、日本政府は巨額の借金を抱えています。

この借金が経済に与えている影響について、現在どのような考え方がなされているのでしょうか。

福田愼一東大経済学部教授は、以下の知見を新聞で発表しています。

「巨額の政府債務を抱える国では経済成長が低迷する傾向があることは確認されている」

その内容は、米ハーバード大学のカーメン・ラインハート教授とケネス・ロゴフ教授の実証分析です。

この論文では「政府債務のGDP比率が90%を超えると、経済成長が大きく減速することが示された」とあります。

その後この研究結果をめぐって異論が出たそうですが、先進国に限定すれば、結論はおおむね成立することが確認されたそうです。

「政府債務が増大すれば、民間投資に向かう資金はおのずと減少する」との考え方からくるようです。

日本の政府債務は、現在では1255兆円(2022年6月時点)にも達するとされていますが、GDP比ではゆうに2倍以上に達しています。とっくに90%を超えているのです。

https://www.mof.go.jp/zaisei/current-situation/situation-comparison.html
出典:財務省 日本の財政を考える 4 日本の借金の状況(2月19日利用)

これが、経済成長の足を引っ張っているかもしれない思うと、ため息がでてきます。

現在では、財政のバラマキは将来の需要を先食いするだけで、一時的な効果しかないことの知見は広く広がっています。

これからもバラマキを続けようとする政治家たちの頭を、後ろからスリッパでひっぱたきたくなりますね。

7.生産性の高い分野への人の移動

最近は、解雇規制を緩和して、生産性の高い分野へ人を移動しやすくしようという議論も耳にします。しかし、その内容をくわしくみると的外れな論理が横行しています。

解雇の金銭解決の法制化

そもそもの最初は、2013年の安倍内閣の時の産業競争力会議で出た「日本の解雇規制は厳しすぎ緩和が必要」との意見がきっかけだったとされます。

しかし、現実を調べると「審理が3回で済む労働審判が金銭解決実務として定着している」とし、新制度は必要ないとの意見が強いようです。

OECDの調査報告では、日本の解雇規制は緩い方から12番目だそうですから、「日本の解雇規制は厳しい」という説は、どこの国の話ですかという疑問を持ちましたね。

ジョブ型とメンバーシップ型

西欧の「ジョブ型」では、職務を限定して雇用するため、職務の数がなくなったりすれば、一定の手続きを経た上で雇用契約を解除するというのが自然な流れになります。

世界では、職務の違う会社内の他の部門には移動できない制度がスタンダードです。

当然、離職して他の会社へ行くこととなります。「ジョブ型」とは労働力移動が前提の制度なんです。

しかし、日本で行われている「メンバーシップ型」は、社内で特定の職務がなくなったとしても、他の職務に異動させることができます。

日本企業の「メンバーシップ型」では、何の具体的な職務スキルも持っていない新卒を職務を限定せずに採用し、入社後、職務が変わるたびに上司・先輩が職場OJTで鍛えていきます。

会社側が好き勝手に職務を変えられるというのが、世界の常識とは違う、「日本的経営」の特徴です。

このように見ていくと、日本は「解雇規制が厳しい」のではなく、「メンバーシップ型」雇用だから社内移動ができ、解雇の必要が少ないということではないかと思います。

ちょっと調べただけで、解雇規制緩和で「生産性の高い分野へ人を移動する」という議論には違和感を持ちます。

たとえ「解雇規制」を緩和したとしても、「生産性向上」ヘは何の貢献もしないと思いますがいかがでしょうか。

8.産業構造による制約を脱出するには?

岡崎哲司東大経済学部教授の新聞記事からですが、日米間の生産性格差を産業別に区分した推計を発表しています。

日本の産業で、アメリカと比べて著しく生産性が低い産業として、卸売り・小売り(0.32倍)、不動産(0.32倍)などのサービス産業を上げています。

さらにこうした産業には、中小企業が多いとされてます。

従業員30人未満の事業所のシェアは、卸売り・小売業では61.9%、不動産業では60.3%であるそうです。

この業種の中小企業の、生産性上昇のための選択肢は二つあるといいます。

①これを構成する中小企業の生産性を上昇させる。
②そこから、資源が生産性の高い分野に移動する。

このように主張されていますけれど、これ、後者は「淘汰されてね」ってことですよね。

やはり、生産性の低い中小企業を淘汰するしかないのでしょうか。

「弱者を守れ」の大合唱の声がこちらでも聞こえてきそうですけど、これも苦い薬ですね。飲み下さなければ、日本経済の成長は望めないでしょう。

9.日本の進む道はナローパス(狭い道)

上記で、少子高齢化、労働力希少社会、ルイスの転換点、ゾンビ企業、巨額の政府債務、生産性の高い分野への人の移動、産業構造の制約とみてきました。

現在コロちゃんが、新聞で世の中を見て、「日本が再生するために留意するポイント」を勝手に妄想したものです。

どれ一つとっても、どこかを変えるには相当な困難が待ち受けていると思います。しかし、いずれか必ず目の前にこれらから引き起こされる厳しい事象が表れてくると思っています。

コロちゃんの、経済を見る基準は「ただ飯はない」ということです。

安易な道を進むと必ずどこからか「請求書」が発生してきます。それは外国資本の国債売りかもしれませんし、国内の物価高騰かもしれません。

しかし、打つ手がないわけではありません。

コロちゃんがちょっと考えただけでも、以下のように方法はいくらでもあります。

「非正規雇用者の同一労働同一賃金の徹底化による賃上げ」
「政府債務の縮小への道のりの明確化」
「政労使会議の日常化や法制化での強化」

お偉い方なら、もっと豊富な実現可能なアイデアをお持ちでしょう。

今日、このように見てみると、日本が進む道をソフトランディングさせることは、相当なナローパス(狭い道 )かと思われます。

しかし、それをやり遂げて、みんなが笑って過ごせる未来を造っていただきたいと痛切に思います

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Jill WellingtonによるPixabayからの画像

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