【社会考】「国民生活基礎調査」から見た日本

社会

おはようございます。今朝は曇りでしたが、外気温は24度、ワンコとの散歩に向いた心地よい気温でした。

ワンコも気持ちよさそうにポコポコ歩いていました。このような日々ばかりだといいんですが、「梅雨明け」したら、今度は太陽がギラギラになりそうです。しっかり麦茶をガブガブ飲むことにしましょう。

今日は、「国民生活基礎調査」についてポチポチします。

1.「貧乏人の子沢山」って言うよね

この「貧乏人の子沢山」という言葉には、「本来の意味」と「近年の意味」とがあるとされています。

もともとの本来の意味は、「貧乏人はお金がないので子づくりに励むから、結果として子沢山の幸せになる」というものであったようです。

それが、近年には、「貧乏な世帯にもかかわらず、子どもが多いと生活が苦しくなる」という意味に変わって来たとされています。

なぜ、今日はこんな「貧乏人の子沢山」の話しをいきなり持ち出したのかというと、最近は「貧乏人は子ども無し」になってきたという新聞記事を読んだからです。

その記事をお読みになりたい方は下記のリンクのクリックをお願いします。

子育て世帯、所得多く 全世帯平均の1.4倍 - 日本経済新聞
厚生労働省が4日公表した国民生活基礎調査によると、子育て世帯の平均所得は2021年に785万円で、全世帯の平均所得(545.7万円)の1.4倍だった。収入が子供を持つかどうかの選択に影響する様子がうかがえる。65歳以上の高齢者世帯では318.3万円だった。高収入の家庭ほど子供を育てやすい、収入が少ないと子供を持ちにくい...

2.「貧乏人は子供が持てない」現実

厚生労働省が、7月4日に「国民生活基礎調査」を発表しました。

それには、「全世帯」と「子どもがいる世帯」等の所得金額の推移が載っています。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省  各種世帯の所得等の状況」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf
出典:厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 各種世帯の所得等の状況 図8 各種世帯の1世帯当たり平均所得金額の年次推移(7月5日利用)

上記のグラフの、2020年(令和2年)は調査を実施していないので線グラフが途切れています。

この線グラフを見ると、「児童のいる世帯の平均所得」は「全世帯の平均所得」を1985~2021年の全期間にわたり、大きく上回っているのです。

しかもその差は、年々広がっているのです。

これは、高収入の家庭ほど子どもを育てやすい。収入が少ないと子どもを持ちにくいということを示します。

2021年の「全世帯の平均所得(●実線)」は、545.7万円ですが、「児童のいる世帯の平均所得(▲実線)」は、785万円と前者の1.4倍となっているのです。

この数字を詳しくみてみると、1985年の「全世帯の平均所得493.3万円(●実線)」と「児童のいる世帯539.8万円(▲実線)」との差は46.5万円です。

それが2021年では「全世帯の平均所得545.7万円(●実線)」と「児童のいる世帯785万円(▲実線)」では、その差は239.3万円になってきているのです。

このグラフは「お金があるから結婚でき、子どもも持つ傾向にある」ことを裏付けているのです。

世の中は、「貧乏人の子沢山」から「貧乏人の子ども無し」へと、だんだんと進んでいっているのです。

3.「貧困率」は横ばいか

それでは次に、「国民基礎調査」での「貧困率」について見てみましょう。

①「相対的貧困率」とは

「相対的貧困率」という言葉があります。下記の引用をご覧ください。

「内閣府 コラム相対的貧困率」より

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2010/22pdfhonpen/pdf/column1.pdf
内閣府「子ども・子育てビジョン」の背景 コラム 相対的貧困率

上記の図を見ても、なかなか理解しにくいですよね。

まず、「等価可処分所得」というのがあります。これは、「手取り収入」を「世帯人員で調整」するために、次の計算式を使用します。

「等価可処分所得=総所得÷√世帯人員数」

ですから、例えば世帯年収が300万円で、3人家族でしたら、「等価可処分所得」は、300万円÷√3(1.73)=173万円になります。

√3は(ひとなみにおごれや)でしたね。覚えていらっしゃいますか。

世帯年収が300万円で、2人家族でしたら、「等価可処分所得」は、300万円÷√2(1.14)=263万円になります。

√2は(ひとよひとよにひとみごろ)でしたね。覚えていらっしゃいますか。

私たちは「世帯」単位で生活しますから、「手取り収入」を家族人数によって調整しないと、全体の比較ができないのです。

この「等価可処分所得」が貧困線(等価可処分所得の中央値の半分の金額)未満の者の割合を「相対的貧困率」と言います。

②「貧困率」の推移

上記で見ました「相対的貧困率」の年次推移のグラフがあります。

下記のグラフをご覧ください。

「厚生労働省 貧困率の状況」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf
出典:厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 貧困率の状況(7月5日利用)

上記のグラフは、1985~2021年間の「貧困率の年次推移」のグラフです。

上記のグラフをみると、2021年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は 127 万円となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は 15.4%です。

1985年の12.0%よりは、上昇していますが、2012年の16.1%よりは低下しています。グラフで見ると(●実線)、ほとんど横ばいに見えます。
(詳細な数字はリンクをクリックすると確認できます)

「子どもの貧困率(◯実線)」は、1985年に10.9%でしたが、2012年に16.3%まで上昇して、2021年には11.5%に低下しています。対策が進んだのでしょうか。

このように、「貧困率」の年次推移は、いったん上昇していますが、2021年にはやや低下しています。基本的は横ばいの動きと言えると思います。

しかし、「貧困率」の上がり下がりが大きいのは、「子どもがいて大人が一人世帯の貧困率(◆点線)」です。いわゆる「シングルマザー・シングルファーザー」ですね。

1985年に54.5%でしたが、1997年に63.1%に上昇し、その後2021年には44.5%に低下しています。

「ひとり親世帯」はよく半分が「貧困」と言われますが、現在でも44.5%の方が貧困にあるのです。

そして、「相対的貧困率」の15.4%という数値は決して低い数値ではありません。6人に1人が「貧困」ということになっているのです。この数値は2000年頃から、全く改善されていないのです。

4.「貯蓄無し」はどのくらいか

この「国民基礎調査」には、全世帯の「貯蓄」の状況も載っています。

下記の引用をご覧ください。

「厚生労働省 貯蓄、借入金の状況」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf
出典:厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 貯蓄、借入金の状況 各種世帯の貯蓄額階級別・借入金額階級別世帯数の構成割合(7月5日利用)

コロちゃんが興味を持つのは、コロちゃんと同じ「高齢者世帯」です。

①高齢者世帯

上記の表によりますと、「貯蓄無し」の「高齢者世帯」は11.3%です。しかし、「貯蓄の有無不詳」が8.0%あります。

ということは、「高齢者世帯」の「貯蓄無し」は、11.3~最大20%と考えても良いかと思われます。

現在「高齢者世帯」は、 1693.1 万 世帯(国民基礎調査)ですから、「貯蓄無し世帯数」が10%としても169万世帯あり、20%とすれば338万世帯にもなります。

コロちゃんは、生活していて「急な出費に対する備え」として、不安を感じない貯蓄額として、400万円程度を考えています。

そこで、この調査で「貯蓄額が400万円以下」と「貯蓄がない」の「高齢者世帯」を合計すると33.5%にもなります。

「貯蓄の有無不詳8.0%」までを考慮すると、「不安を感じる」貯蓄400万円以下の「高齢者世帯」は、4割近くとなり、世帯数は670万世帯にもなるのではないでしょうか。

詳細な数字はわかりませんが、100万の単位での「高齢者世帯」が不安を抱えて生活している現状を想像するだけで、恐ろしいですね。

②高齢世帯以外の世帯

なお、「高齢者世帯以外の世帯」の「貯蓄のない世帯」は10.8%で、「高齢者」の11.3%と、あまり変わりません。

そして、「高齢者世帯以外の世帯」の貯蓄額が400万円以下は22.2%ですから、「高齢者世帯」の33.5%よりは少ないものの、5世帯に1世帯とはかなり多い数です。

なお、この「国民生活基礎調査」をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf

5.「国民生活基礎調査」あれこれ

この「国民生活基礎調査」は、厚生労働省が「統計法」に基づいて1986年から実施しています。

この調査は、3年に一度大規模な調査を実施し、その間の年には簡易な調査を実施しているものです。

調査対象は、全国無作為抽出で、今回の2023調査では、約5.5万世帯を対象としています。調査内容は「世帯構成などに関する調査」と「世帯所得に関する調査」となっています。

コロちゃんは、いつも思うのですが、社会のあれこれを判断するのには、思い込みだけではなく、リアルなデータの裏付けが必要だと思うのです。

特に、コロちゃんのような70歳間近のおじいちゃんですと、かつての成長していた元気のよかった日本社会のイメージが、未だに残っています。

最近は、どんどん世の中が様変わりしています。どんどん変化は進んでいるのです。

コロちゃんは、常に新しいデータで、新しい視点を得て、考え判断することが、今後も大切だと思っています。気づいたことは、どんどんこのブログで発信していきたいと思います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい

bess.hamiti@gmail.comによるPixabayからの画像
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