【経済考】「物価と賃金の好循環」が難しいわけ

経済

おはようございます。コロちゃんはさっき午後のワンコの散歩に行ってきました。

午前中にシトシト降っている雨が、ついさっきになってようやく止んだので急いでワンコを急き立てながら、いつものコースを回ってきましたよ。

雨が降ろうが雪が降ろうが、ワンコは散歩しないわけにはいきませんから、コロちゃんは毎日1日3回の散歩を欠かしません。

その割にこのワンコは、コロちゃんに感謝の念がないですね。たまには「ありがとうワン!」とでも吠えてみろ!

ホントに怪しからんやつですよ。ただ、可愛いから許したる!
“”ヽ(^^ ) ヨシヨシ、ユルス

コロちゃんは、甘いのですよ、えへへ。
σ(,,´∀`,,)エヘヘ

毎日コロちゃんの相手をしてくれるのは、世の中でこのワンコだけですからね。だけど、夜中にコッソリ居間の片隅で💦をするのだけは止めてくれよー。

今日は「物価と賃金の好循環、道険し」をカキコキします。

0.「今日の記事のポイント」

by<br><span class="bold-blue">コロちゃん</span>
by
コロちゃん

今日の記事は、下記のような内容になっていますよ。どうぞ最後まで楽しみながらお読みください。

☆「物価と賃金の好循環とは何かと、それが難しい理由(わけ)」

☆「定期昇給とベースアップと、1990年代末~2000年代初頭に起きたこと」

☆「物価と賃金の好循環が起きにくくなっている可能性と、日本経済の構造的問題」

☆「コロちゃんの経験した昭和の会社」

1.「物価と経済の好循環とは何か?」

現在「岸田総理」と「植田日銀総裁」と「十倉経団連会長」が、口を揃えて「今春闘の賃上げ」を叫んでいます。

この理由は、もう皆さんも広くご存じの通り「経済の好循環」を起こそうとしているからです。

「経済の好循環」とは、もう何回もこのブログでも取り上げましたが、以下の構造になります。

①「賃金が上昇して消費が拡大する」⇒

③「企業の売り上げが増加すれば、企業の利益が上昇する」⇒

➃「企業の利益が上昇すれば、賃金が上昇する」⇒

一番上に戻り、そのループが繰り返される。

このような「経済の構造」」を「経済の好循環」と言っているのです。

しかし、昨年2023年の春闘では「賃上げ率3.99%(経団連発表)」と31年ぶりの高い結果となっていますが、「消費の拡大」には進んでいません。

それは「春闘賃上げ3.99%」にもかかわらず、昨年2023年の「実質賃金」は「マイナス2.5%」と減少していたのです。

その前年2022年の「実質賃金」は「マイナス1.0%」でしたから、昨年2023年の「実質賃金マイナス」は2年連続となり、その上「マイナス幅が拡大」したことになります。

これでは「消費の拡大」が起きるはずがありません。

どうやら「2023年春闘賃上げ率3.99%(経団連発表)」では、まだ「賃上げ幅」が足りないのか、それとも「中小零細企業での賃上げ」が足りないのでしょう。

そこでコロちゃんは、この「物価と賃金の好循環の道が険しい」という「経済教室」の考察をご紹介しようと思います。

2.「物価と賃金の好循環が難しい理由(わけ)」

今日皆さんにご紹介する「経済教室の論考」は、日経新聞の1月15日に掲載された「物価と賃金の好循環、道険し」です。

記載者は「鶴光太郎慶大教授」です。

この論考では「物価と賃金の好循環」が持続可能かどうかを考察しています。出来るだけ簡単にコロちゃんがまとめてみますね。

3.「定期昇給とベースアップ」

まず「物価と賃上げ」を論ずる前提として、「春闘の賃上げ」の中身を見ています。

普通「賃上げ」は、「毎年自動的に上がる定期昇給部分(定昇)」と「ベースアップ部分(ベア)」に分かれます。

ここで注意する点として、経済システムとしての「物価上昇」を決めるのは、この「定昇」と「ベア」の内の「ベアのみ」だと言う事です。

ここで、コロちゃんは「ん?」と思いました。
(๑˙―˙๑)ん?

しかし、この「鶴教授」はやさしく解説をして下さっています。

「定昇」とは勤続年数と賃金カーブでその金額が決まります。しかし「定昇」があっても、それが毎年同じ率ならば「企業の賃金支払い総額」は変わりません。

毎年高賃金のシニア層が退職し、低賃金の新卒と入れ替わりますから、企業から見た「賃金総額」は変わらないのです。

これを論考では「メンバーシップ型雇用では、追加負担なしに毎年個々の従業員の賃金を上げるマジックが可能になる」としています。

凄い「マジック」ですね。企業経営者の負担が変わらないのに、社員全員の賃上げが実現してるんですからね。

この点で「ベア」は違います。企業が「ベア」を実施すると企業が負担する「賃金総額自体」が上がるのです。

ここまで聞いて、コロちゃんは初めて「物価上昇」の為には「定昇」だけではダメという理由が理解できました。

「定昇」では「企業の支払う賃金総額」が増えないのですから、マクロの世界では「消費の拡大」も起きるはずはないし、需要が増えることによる「物価上昇」も起きるはずはないのです。

だから、今年2024年の春闘では多くの方たちが「ベア3%以上」と言われているのですね。

4.「1990年代末~2000年代初頭に起きたこと」

なぜ、日本経済が「物価が上がらず、消費も増えず、賃金も上がらないデフレに落ち込んだのか」については、この論考では以下のような指摘をしています。

1990年代~2000年代初頭に起きた環境変化に対し、大企業の労使は「中高年の正社員の雇用維持」と引き換えに「新卒採用の抑制・非正規雇用の増大・ベア抑制」に舵を切ったと言います。

「年功賃金(定昇)」は維持されていますから、物価が上がらなければ毎年賃金が上がる(定昇のみ)メンバーシップ型の正社員はそれほど困らなかったとしています。

「メンバーシップ型雇用」と「定昇」を組み合わせれば、企業の「賃金支払い総額」が増えないと言うのがミソですね。

この「正社員雇用重視」が、「賃上げ抑制(ベアゼロ)」の主因だと言うのです。

企業としては、「経済の先行きが読めない不透明な環境の下」では、将来まで人件費総額が増える「ベア」は到底実施できなかったと言う事なのでしょう。

ここで「鶴教授」は重大な指摘をしています。

昨年の「ベア2%達成」は、海外のエネルギー・食料価格高騰をいうショックによる物価上昇に起因しているとしています。

それが「一時的なショック」と経営層に認識されれば、「経済の先行きが読めない不透明な環境の下」という条件が変わらない以上、もとの「ベアゼロの世界」に戻るかもしれないというのです。

5.「物価と賃金の好循環が起きにくくなっている可能性」

「鶴教授」は、1970年代以来の分析で、そもそも「物価と賃上げの好循環」自体が起きにくくなっている可能性に言及しています。

1980年代以降は「物価と賃金の上昇率との間の相関関数」が年代を追うごとに小さくなっていることを確認していると言います。

これをコロちゃんが翻訳すれば「1980年代以降は物価が上がっても賃金が上がらなくなってきた」と言う事ですね。

その原因として「企業の価格設定行動」と「市場の競争環境」に着目している考え方があると言うのです。

「企業の価格設定行動」とは、「日本企業」は国内での競争環境が厳しいために、価格マークアップ率(利益)が2000年代以降低下してきているが、それを賃金を下げることで相殺して来たと言います。

これは「市場での競争(ベルトラン競争)」と言われる、ライバル企業との低価格競争ですね。

ライバルが値下げをしたら、より一層の値下げで市場のシェアを維持する不毛な競争ですが、当事者の企業は生死がかかります。

この「価格競争」が始まっていれば、「物価と賃金の好循環」は起こりません。むしろ「底辺への競争」となる「限りないデフレ構造」に進むと思われますね。

ざっと、コロちゃんが理解する限りでは「鶴教授の論考」はこのような趣旨でした。

さすが新聞に掲載されるだけあって、じっくり読めばコロちゃんでもある程度は理解できるような内容にしていますね。

最後の結論は次の通りでした。

6.「日本経済の構造的問題」

「鶴教授」は、このような論旨で「物価と賃金」の好循環は、上記の「構造的要因」が変化していないことから簡単なものではないと結論付けています。

(構造的要因:物価と賃金の上昇率との間の相関関数が年代を追うごとに小さくなっていること)

そして、たとえ「物価と賃金の好循環」が実現したとしても、実質賃金が上がる保証はないと言うのです。

たとえ「好循環」があっても、次に進むだけのボリュームが確保できるかはわからないと言うのでしょう。

そして最後の締めとして「日本経済の課題」を以下の2点を指摘しています。

①「メンバーシップ型雇用」
②「横並び・同質的な企業戦略の見直し」

コロちゃんは、この①②を変えるのは無理でしょうとしか言いようがないですね。

日本企業の「新卒一括採用」の「メンバーシップ型雇用」を変えようなんて出来るはずがないでしょう。

それに「横並び・同質的な企業戦略」も、日本の企業の歴史に根付いた企業文化ですから、政府の命令でも出来ないでしょう。

そう考えると「物価と賃金の好循環」を成功させることが、どれだけ困難なことかが良くわかりましたね。

なおこの「鶴教授の経済教室」をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

物価と賃金の好循環、道険し - 日本経済新聞
ポイント○春闘賃上げ率のベア部分のみ物価に影響○正社員雇用維持重視が賃上げ抑制の主因○価格転嫁は企業の横並び行動の打破が鍵日本経済の行方を占う試金石として、賃上げが大きな注目を集めている。政府・日銀も来る春季労使交渉(春闘)の先行きを固唾をのんで見守っている状況だ。長期のデフレの中で国民に浸透してきた「物価や賃金は上が...

今日のブログは、以前に読んで気になっていた新聞の「経済教室」を取り上げてみました。もっと早くカキコキするつもりでしたが、経済の話しをコロちゃんなりにかみ砕く自信がなかったのです。

上記の内容でもわかりにくいと思いますが、それはコロちゃんのような素人のおじいちゃんが、背伸びしてやっと「経済の話し」を書いていると言う事で、ご容赦くださいね。

7.「コロちゃんの経験した昭和の会社」

コロちゃんは、1970年代初頭に東京に出て来て、複数の会社に就職してきた体験を持っています。その当時の会社では、どこも会社自体が共同体のような雰囲気を持っていましたね。

会社や労働組合が主催する「温泉旅行」や「運動会」、地域の「祭りへの参加」や自主的な「慶弔費の積み立て」や「冠婚葬祭への人員出し」なども行なわれていました。

今では、業者に任せている冠婚葬祭ですら、会社の中の同僚が協力して自主的に行なっていたのです。

また「運動部サークル」や「登山・ハイキングクラブ」なども、会社内に作られていましたね。

今から考えれば、この様な「昭和の会社の在り方」は、すべて上記の「メンバーシップ型雇用」から派生した「在り方」だったとわかります。

「年功序列の終身雇用」が、この「家族主義的な会社の在り方」を担保していたのでしょう。

そして、現在ではこのような「昭和の会社の在り方」は、ほとんどなくなってはいても、その運命共同体としての「精神と雰囲気」はまだまだ残っているのではないでしょうか。

上記で「鶴教授」が指摘した「日本企業の新卒一括採用のメンバーシップ型雇用」と「横並び・同質的な企業戦略」を変えることは、とても難しい事だとコロちゃんは過去を振り返りつつ思いましたよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Manfred RichterによるPixabayからの画像
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