【社会考】女性が「非正規雇用」から「正規雇用」に?

社会

先日に、コロちゃんがバサバサと新聞をめくっていましたら、「女性の働き方 正規にシフト」という記事が目に入りました。

おーおー、これは、良い傾向だねって思って、ちょっとポチポチ調べてみることにしました。

1.女性が「アルバイト・パート」から「正社員」に

この記事の冒頭は、「女性の働き方がアルバイト・パートから正社員にシフトしている」と書かれています。

この記事は、日経新聞の4月15日の記事です。全文をお読みになりたい方は、下記のリンクをクリックして下さい。

女性の働き方、正規にシフト 19年比80万人増、非正規は50万人減 柔軟な人事戦略必要に - 日本経済新聞
女性の働き方がアルバイト・パートから正社員にシフトしている。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と22年を比べると正規雇用が80万人増え、非正規は50万人減った。人手を確保したい企業や医療分野で正社員の採用が広がる一方、飲食業などはアルバイト不足に悩む。企業は女性の働き方のニーズに応じた人事戦略の見直しを迫られる。...

この記事の内容は、以下のように伝えています。

「総務省の労働力調査で、22年の雇用者総数は6032万人となり、19年に比べて8万人ふえた」

「女性の正規雇用は80万人増」

「女性の非正規雇用は19年に比べて50万人減った」

コロちゃんは、「非正規雇用」は、できるだけ少ない方が良いと思っていますから、この報道は歓迎すべきことだなと思いました。

しかし、今まで、使い勝手の良い短期雇用者を増やしてきた企業が、今になって急に態度が変わるのも違和感があるなーと思って、ちょっと調べてみました。

2.日経の記事は、2022年と2019年の比較

日経新聞の記事は、「22年の雇用者数は、6032万人となり、19年に比べて8万人増えた」とあります。

コロちゃんは、なぜ「前年」と比べてではなく、3年も前の「19年」と比べるのだろうと思いましたが、「コロナ以前」と比べるということかと思いなおしました。

一般的にこのような数値の比較は、「前年と比べる」ことが多いと思います。

それでは、この記事のもとになると思われる、「総務省統計局の労働力調査」を見てみましょう。

3.総務省統計局の「労働力調査」

コロちゃんは、ポチポチとネットで雇用者数のデータを探しましたところ、以下のデータを見つけました。

総務省統計局の令和5年2月14日付けの「労働力調査(詳細集計)2022年(令和4年)平均」というデータです。

全文は、下記のリンクからお読みになれます。

https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/index1.pdf

①2022年の雇用者増

以下の引用をご覧ください。

「総務省統計局 労働力調査(詳細推計) 結果の概要」より

「正規の職員・従業員は3588万人と、前年に比べ1万人の増加。8年連続の増加。」

「非正規の職員・従業員は2101万人と、26万人の増加」

https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/index1.pdf
出典:総務省統計局 労働力調査(基本集計)」2022年(令和4年)平均 より(4月17日利用)

上記の引用は、総務省統計局の「労働力調査」による、2022年の前年比の雇用者数の増減です。

このデータには、2022年の就業者数は6032万人(役員を除く雇用者数は5689万人)、「前年」と比べて25万人増とあります。

その内訳は「正規雇用」が1万人増で、「非正規雇用」が25万人増と、「非正規雇用」が大幅に増えているのです。

あれれ、日経の記事と違うの? 「非正規雇用」が大きく増えていますね。

いやいや、日経の記事は2019年との比較です。総務省統計局の数字は昨年比です。

それに、日経新聞の記事のタイトルは、「女性の働き方 正規にシフト」。

そしてサブタイトルは「19年比80万人増、非正規は50万人減」とあります。

素直に読めば、昨年2022年は、「正規雇用」が80万人増えて、「非正規雇用」が50万人減ったように思ってしまいます。

しかし、そうではありません。あくまでも日経新聞の記事は、2019年と2022年を比較したものなのです。

②女性の「非正規雇用者数」は、減っているの?

日経新聞の記事では、以下のように「非正規雇用」→「正規雇用」の動きを指摘しています。

「女性の正規雇用は80万人増と改善が目立つ」

「女性の非正規雇用は22年に1432万人と、19年に比べて50万人減った」

この比較も、22年と19年とを比較していますが、上記の「総務省統計局労働力調査」には、以下のようなグラフがあります。

下記のグラフをご覧ください。「女性の非正規雇用者数」の推移です。

「総務省統計局 労働力調査(詳細推計) 結果の概要」より

<非正規の職員・従業員>ー女ー

https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/index1.pdf
出典:総務省統計局 労働力調査(基本集計)」2022年(令和4年)平均 より(4月17日利用)

上記のグラフは、「女性の非正規雇用者数」の推移です。

2019年の1482 万人と、2022年の1432万人を比較すれば、確かにマイナス50万人ですが、「非正規雇用者」は2020年のコロナ禍で一度大きく減少しています。

そして2022年の「非正規雇用者」は、前年よりも10万人増えているのです。

このグラフの推移をみると、2022年の数字は、非正規雇用が減ったというよりは、2020年を底として、元に戻る動きにあり、上昇しつつあるというのが現状ではないでしょうか。

このグラフの線では、非正規雇用が減少傾向とは思えません。

③女性の「正規雇用」は増えているの?

下記のグラフをご覧ください。

「総務省統計局 労働力調査(詳細推計) 結果の概要」より

<正規の職員・従業員>-女ー

https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/index1.pdf
出典:総務省統計局 労働力調査(基本集計)」2022年(令和4年)平均 より(4月17日利用)

上記のグラフは、女性の「正規雇用者数」の推移です。

日経新聞の記事では、「女性の正規雇用は80万人増と改善が目立つ」との記載がありました。

確かに、2019年の1169万人から2022年の1249万人と、80万人増加していることは間違いありません。

しかし、このグラフを見ると、女性の「正規雇用者」は、2014年以降、一貫して増加していて、その増加ペースも一定です。

女性の「正規雇用者」は、コロナ禍においても減少してはいません。

これは、女性の正規雇用の改善が目立つというよりは、女性の正規雇用は、一貫して増加傾向にあるということなのではないのでしょうか。

4.「女性の働き方が正社員にシフトしている」といいなぁ

コロちゃんは、「非正規雇用」を否定するものではありません。高齢者や主婦で、短時間勤務がぜひやりたい方もいらっしゃいますからね。

ただ、現在の雇用者の4割近くが非正規雇用で、安いお給料で働いている現状は、いくらなんでもひどいでしょうと思うのです。

その時に、「女性の働き方が正規にシフト」という記事を読んで、やっと変革の兆しが出てきたのかと喜んだのです。

その嬉しさをもっと深めようと、ポチポチ調べましたら、上記の結果でした。

もちろん、新聞記者の方々は、幅広い情報と資料を入手していらっしゃると思いますから、上記のコロちゃんの見解が全くの間違いなのかもしれません。

コロちゃんは、できれば、上記の見解が間違いで、今後どんどんと、「非正規雇用」が「正社員」にシフトしてきて欲しいと思います。

ただ、上記の日経新聞の記事の執筆者の方は、マクロ経済がご専門の方のようですから、世の中を「非正規雇用」から「正規雇用」に進めようとして、この記事をお書きになったのかもしれません。

なんといっても、新聞は、世の中をリードして、引っ張っていく役目も持っていますからね。コロちゃんは、良い傾向だと思っていますよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

CouleurによるPixabayからの画像

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