【社会考】やっぱり財源は「社会保険料」だって

社会

おはようございます。先日、新聞をバサバサ広げていたら、小子化対策の財源は「社会保険料の引き上げ」が出てきていました。

やっぱりですよね。「増税は考えていない」って言ってるんだから、他に持ってこれるところで「安定財源」となると、比較的反対が少なそうなところは限られてきます。

今日は、その少子化対策財源の、社会保険料引き上げの中身をちょっと覗いてみます。

1.まだ決まっていませんよ

岸田総理は4月7日に「子ども未来戦略会議」を開きました。そこでは、まだ財源についてはっきりとは言われていません。

今後6月の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)までに、大枠を示すそうです。

社会保険料に言及したのは、茂木敏光幹事長です。以下のようにご発言をされています。

「社会全体で支えるとなると様々な保険料も拠出は検討しなくてはならない」

増税や国債は考えていないともおっしゃっていますから、やはり財源の出どころは社会保険料なのでしょう。

2.社会保険料とは何か

社会保険料とは何でしょうか。その種類を見てみます。

「年金」「健康保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」と、このような種類があります。

皆さんご存じの通り、給与明細でよく見ますよね。税込み給与から、この「社会保険料」と税金が引かれて「手取り額」になります。

ここから、どうやら「少子化対策」への財源を出すようですね。ただ、どこの保険も余裕はありませんから、当然「保険料アップ」になるのは確実です。

3.どのくらい必要なのかな

現在検討されている案で、多額の予算が必要とされているのは「児童手当の所得制限の撤廃」です。

今は、高所得者には所得によって、「制限・支給されない」となっていますが、これを撤廃すると、千数百億円が必要です。

支給を、さらに高校生まで延長すると4000億円程度かかると言われています。

第2子以降の手当の増額には、2兆円かかると言われています。

現在の児童手当は、2兆円規模ですから、その倍額以上が必要になってくるようです。

4.どこから財源を持ってくるのか?

与党自民党が、増税のターゲットとしているのは、社会保険料のようです。

もう一度社会保険料を見てみましょう。「年金」「健康保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」。

この五つですが、「介護保険」は、40歳以上の方が負担する保険ですから、取りにくいでしょうね。

その方たちは、お子さんがいらっしゃっても、もう恩恵を得る年ではないでしょうから、負担に反発は強いでしょう。

では「雇用保険」「労災保険」はどうでしょうか。保険の趣旨からして、「少子化対策」への支出はなじまないかと思います。

それに、この二つは規模が小さいのです。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 社会保障給付の推移等」より

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/2030tf/281020/shiryou1_2.pdf
出典:内閣府 社会保障給付費の推移等 より(4月8日利用)

上記のグラフをみても、保険の金額の大きさからして、今回の「少子化対策」の2兆円規模の財源を引っ張ってくるところは限られてくると思います。

そうすると、残るのは「年金」と「健康保険」のみです。

国民年金は60歳未満の方、厚生年金は、70歳未満の方が、保険料を納めています。ここに上乗せすれば、現役世代の負担が増します。

また、この保険料は、年金制度改正できっちり決められていますから、上げることは難しいでしょう。

そうすると、残るのは「健康保険」しかありません。

「健康保険」ですと、自営業者は全額負担となり、会社員は、会社と雇用者の折半となります。

この方たちの「可処分所得」(収入のうち、税金や社会保険料などを除いた所得)が、また減りますね。

5.全所得層から、中・高所得層への贈与にならないか

このまま「社会保険料」から、「少子化対策」への供出が決まると、受益者はお子さんのいらっしゃる方々です。

その方たちの多くは「中間所得層」と「高所得層」の方たちでしょう。

そして、負担を負うのは、社会保険に加入している方たち全員です。

勤労者もお年寄りも、必ずどれかの健康保険に加入していますから、結婚して、小さなお子さんがいる方たち以外の方は、負担が増えますね。

一番ダメージを受けるのは、結婚できない「低所得層」の方たちになるのではないでしょうか。

この方たちの貧困化がさらに進み、より結婚できない層を増やすのではないかと懸念します。

6.「低所得層」とは?

「低所得層」という言葉はよく聞きますよね。 コロちゃんは「清貧」ライフですから、自ら「低所得」だとは思っていますが、ちゃんとした基準があるんです。

いろいろな区分法があるようですが、「五分位階級」というのがあります。

「五分位階級」とは、全ての世帯を毎月の実収入を、収入の低い方から順番に並べ、五等分して収入の低い方から、第I、第II、第III、第IV、第V五分位階級と名付けたものです。

第I階級が「低所得層」、第V階級が「高所得層」ですね。まあ、これはいくつかある区分法のうちの一つのようですけど。

この分類での「低所得層」の年収の上限は以下の通りです。

2019年のデータです。コロちゃんがあちこち調べてきた数値ですので、間違っていましたら、ご容赦ください。

第I階級「低所得層」は、   ~239万円
第III階級「中所得層」は、354~502万円
第V階級「高所得層」は、 741万円~

あー、コロちゃんは、間違いなく「低所得層」ですわー。 
( ´△`)アァ-

7.「所得階級」と「婚姻率」

この「低所得層」の若者の結婚率が低いことは、すでに何回もこのブログでお伝えしたところです。

下記のグラフをご覧ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
出典:内閣府 平成28年版少子化対策白書  第1部 少子化対策の現状(第1章 3)より(3月28日利用)

上記でご説明しました「五分位階級」分類では、第I階級「低所得層」は、239万円未満ですから、上記のグラフで近いのは「200~249万円」以下の方たちになります。

配偶者のいらっしゃる方の割合は、10~40%です。

第III階級「中所得層」は、354~502万円ですから、上記のグラフで近いのは「300~399万円」「400~499万円」の方たちになります。

この方たちの配偶者のいらっしゃる割合は、30~70%です。

第V階級「高所得層」は、 741万円以上ですから、上記のグラフで近いのは「700万円以上」となります。

この方たちの配偶者のいらっしゃる割合は、60~90%です。

このように、婚姻率と所得は密接な関係があります。「低所得層」の婚姻率は、「高所得層」に比べて著しく低くなってしまうのです。

8.独身の単身勤労者から取るの?

日本では、増税を嫌う世論が多いですから、政治としては「取りやすいところ」から取ろうというのでしょうが、「社会保険料」はそれぞれの趣旨があります。

やはり、「少子化対策」に対する支出は、社会保険料を流用するのではなく、正直に「税財源』を生み出して、堂々と支出するべきではないでしょうか。

この「ステルス増税」については、先日のこのブログで取り上げています。その内容をお読みになりたい方は、以下のリンクをクリックお願います。

【社会考】やっと出ました「たたき台」

この中の「単身勤労者世帯の可処分所得」の項を、またここに取り上げます。

下記のグラフをご覧ください。

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2018/0125nk/n18_2_1.html
出典:内閣府 経済財政政策 白書等 日本経済2-18-2019  第1節 家計の所得・資産面の変化 より(4月2日利用)

上記のグラフは、「単身勤労者世帯」の「可処分所得」の推移です。

この「可処分所得」は、給与の総額から、社会保険料と税金を引いた「手取り額」です。

「少子化対策」の財源は、この「社会保険料」を増額することによって一部を賄う模様です。

当然、皆さんの受け取る「可処分所得」はその分低くなります。

せっかく「賃上げ」で、給料が上がっても、「手取り額」はあまり変わらないか、下がることだってあるかもしれません。

そのようなことがあれば、上記のグラフの単身高齢者は、結婚と子どもに、ますます手が届かなくなるのではないかと、コロちゃんは心から心配します。

9.社会保険料を財源するのは「格差拡大」になりそう

このように見ていくと、社会保険料から、少子化対策財源を確保しようとすることは、独身の「低所得層」から、結婚し子どものいらっしゃる「中所得層」「高所得層」への、所得移転になるのではないかと思います。

最終的にこれが決まるのは、6月の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)だそうですから、興味を持って注視したいと思います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

anncaによるPixabayからの画像
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