【読書考】「中国超新星爆発とその行方」を読んで

読書

おはようございます。コロちゃんです。今日は、【読書考】で、読んですごーく興味深かった本をご紹介します。

中国に関する本なんですけど、読みどころが満載の、とても興奮する内容でした。

コロちゃんは、「中国」には興味がありますから、以前より「中国本」はよく読んでいるのですが、この本は、それらのどの本よりも魅力的で新しい知識・認識を得られたように思います。

1.最初は読むつもりはなかった

コロちゃんは、最初はこの本を読むつもりはなかったんですよね。

どうしてかっていうと、この本の著者は「朱建榮」さんですが、この方は、TVでもよくお見掛けする方です。

そして、その言説は、はっきり「中国共産党」寄りで、そのような立ち位置を堂々と主張なさる方なんです。

コロちゃんは、それを知っていたものですから、読んでもステレオタイプな本ではないかと思ってしまったのです。

だって「中国共産党」のヨイショ本じゃ、読んでもちょっとね。

それに、本書の表題が「中国超新星爆発とその行方」でしょ。何となく、「すごいぞ中国」」みたいな本かな、と思っちゃうじゃないですか。

しかし、コロちゃんは、以前10年以上前に「朱建榮」さんがお書きになった「毛沢東の朝鮮戦争」(朱健榮 岩波書店 1991年)という本を読んだことがあったんです。

この本は、朝鮮戦争前後の中国の動きを書いているのですが、中国共産党指導部の動きを、内部文書を使って緻密に追いかけていて、とても臨場感に満ちた迫力ある書だったのです。

それを、コロちゃんは思い出して、今回の「中国超新星爆発とその行方」を手に取ってみることにしたんです。

下記の本は、コロちゃんが、以前に読んだことのある朱建榮さんの著作です。今回の【読書考】の本ではありません。 この本は、興味深かったですよ。

2.「中国超新星爆発とその行方」(朱 建榮 青灯社 2022年)

そうしましたら、本書は、いやいや「中国礼賛書」なんかじゃありませんでした。

ある意味では「中国」を、持ちあげているところもありますけど、実に冷静に歴史的視野から、広く「中国の未来」を考察している本でした。

ミシュランでしたら「五つ星」を挙げたいくらいです。

3.超新星爆発が進行中という著者の認識

著者は冒頭にこう書いています。

中国は今や、国際関係、世界経済、ハイテク、宇宙開発、軍事力など国力を測るあらゆる領域において、中国の存在と影響力は急速に拡大していると。

そして、21年末時点で、中国のGDP(名目)は、ドルベースで17.73億㌦に達し、1980年より36.2倍増え、全世界に占めるシェアも、2.7%から18%に増えたと書いています。
(ちなみに日本の2022年の名目GDPは4.3兆ドル《約555兆円》)

しかし同時に、実は他の先進国にこんなに早く追いつくことを「中国自身」も想定していなかったというのです。

そして、本書の特徴なのですが、引用する資料が豊富なのです。

この場合は、中国の国家統計局の02年版白書を、以下のように引用しています。

「中国のGDPは21世紀の半ば頃、日本を追い抜いて世界二位経済大国になる可能性がある。ただ世紀末になっても、米国を超えて世界一の経済大国へ躍り出ることは考えにくい」

この白書の記載の2002年には、中国の政府も、おそらく指導部も、まさか自分の国が、こんなに急激に成長するなんて思っていなかったことを伺わせます。

このような公式発表文書だけでなく、ネットや報道資料、共産党の内部をうかがわせる資料なども、豊富に駆使して、いろいろ主張・紹介しているのです。

それが、実に説得力があるのです。

ですから、全てを紹介はできませんから、コロちゃんが気になったところだけをポチポチします。

4.日本を短時間で逆転

中国の経済規模は、21世紀最初の10年間で、イタリア、イギリス、フランス、ドイツ、日本を抜き去って世界2位の経済大国となりました。

このことを、本書はロレンス・サマーズ米国元財務長官の分析を、以下のように紹介しています。

「今日の中国では近代化の大波の中で、一人の中国人の生活水準は生命周期、すなわち一生のうちに、7倍上がる計算である」

そして、日本との関係においては、日本にとって中国との相対的位置の急変化はまさに「未曽有」のことだったと書いています。

1990年ごろの中国は、日本の9分の1だったのに、20年後の2010年には、日本は中国に追い抜かれ、更に10年後は、日本は中国の3分の1以下になったのです。

日本では、このような劇的変化に対し誰もがショックを感じ、にわかに受け入れられないものがあるというのです。

確かにそういう面はあるかもしれないとコロちゃんは思いました。

日本の、福沢諭吉の「脱亜論」は1885年(明治18年)の発表ですが、完全に「上から目線」ですものね。

明治以来、日本が親切にも教え導いてきた中国が、あっという間に追い付いて、さらに追い越されてしまったとなると、日本もなかなか状況を受け入れられない精神面があるのかもしれません。

5.習近平時代の評価と次の5年

本書は、内容が多岐にわたります。「歴史と文化からのアプローチ」や「崩壊からの視点」なども興味深いものがあります。

しかし、より目を引いたのは、本書が「米中対立が激化する中、習近平主席を核心とする体制の下で一致団結する以外に選択肢はない」と書いていることです。

中国では、近年、欧米への憧れ熱が急激に冷めており、西側流の民主化を導入すれば「万病を治す」という甘い考えを持つ人がぐっと減ったと書いています

そして、逆に西側流の民主化を導入すれば、中国は大混乱ないし分裂、内戦になると考える人が大幅に増えているというのです。

それで中国は、指導者の三選と「新時代の路線」に、ゴーサインを出した代わりに、それは一期5年という「期限付き」だったと言われていると書いているのです。

このことは、コロちゃんは初めて知りました。習近平総書記は、終身主席を考えているとばかり思っていたものですから。日本の報道はそういうものでしたね。

もとより中国共産党の奥の院など、覗けるわけではないですから、確実なことはわかりません。

しかし、本書は全編が資料の裏付けに満ち満ちているだけに、このような内容にも迫力を感じます。

6.反腐敗闘争

外部から見ていますと、習近平の権力闘争と、簡単に決めつけてしますことが多い「反腐敗闘争」ですが、本書はその「荒療治」の内容を深く掘り下げています。

もちろん、多くの資料やデータを駆使しているのですが、中国民衆が最も反発する問題としてアンケートの84%が「公務員の腐敗」を挙げているというのです。

習近平は、2012年に党の総書記に就任した直後に真っ先に、反腐敗闘争を優先課題として提示しました。

そして「腐敗問題がますます深刻化すれば、最終的には必ず党の滅亡、国の滅亡をもたらすこととなる」と警告したそうです。

反腐敗闘争が、その後、あのような規模で容赦なく行われたことは、中国でも大方の予想を超えていたと書いています。

21年の発表では、それまでの10年間で、省部級(高級役人)幹部392人、局長幹部級2.2万人、県と課長級幹部17万人あまり、郷鎮幹部61.6万人が取り調べの対象となり、併せて380万件余りが立件され、408.9万人が処罰されたとされています。

凄まじい規模です。その背景と理由を書いているのですが、本書は「権力闘争」で解釈できる程度のものではないとしています。

それでは、何が理由なのかを、著者は、先進国へ脱皮するまでの段階的・時限的対処措置と見ています。

政治家・役人の不正と腐敗を封じ込むには、権力のチェックとバランス、情報公開、国民の監督は不可欠です。

しかし、巨大中国は現段階で安易な「民主化」をすれば、体制崩壊、内戦ぼっ発、分裂といった危機も発生しうる。

それを見越した習近平指導部は、中国型の先進国が実現するまでの間に、民衆の反乱や体制崩壊を招く最大の諸問題(汚職腐敗)について、厳しい姿勢と措置を取っているというのです。

確かに、権力闘争にしては、上部から下部まで、余りにも規模が大きすぎるようにも思えますから、本書の見解も、一定の説得力があると、コロちゃんは思いました。

7.中国社会の深層

本書は、実は中国の「世論」の陣地がこの10年で、完全に引っ越しをしたと書いています。

どこに? 「ネット社会」にです。

中国は、今や世界最大のネット社会となっているそうです。最新の統計によると21年12月時点で「網民」数は10.3億人だそうです。

今や、中国国民の9割以上は、新聞やテレビから情報を入手していないで、ネットにこそ中国の「世論」が集中的に反映されていると言います。

その具体例として、本書はいくつもの例を挙げています。

役人の不正を暴く「網絡反腐」など、悪徳役人が次々と摘発される様子や、ネットの大炎上なども、日本をはるかに上回る凄まじいダイナミックなものとなっています。

このようなネットにより、広範な中国民衆の「知る権利」「参加する権利」の意識が高まっていると書いています。

事件の発生の後に、ネット世論に追及され、当局が調査と処罰に乗り出し、改善の施策と法律が出されるというパターンで、中国社会は確実に前進しているとしています。

まあ、これも本書のスタンスなのでしょうけど、中国の特殊事情を前面に出しています。その内容の開陳が、具体的かつ詳細なので、思わず引き込まれてしまいますね。

ただ一度、大衆が一つの方向に走り始めたら、指導部と言えどもなかなか制御できない様子は、何となくわかったように思いましたね。

8.産業政策と第二の改革開放

2021年の全人代で、新しい五か年計画に「双循環」が初めて盛り込まれました。

これまで「対外循環」すなわち「グローバル・サプライ・チェーン」の中で、発展させる戦略でした。

それが、「対外循環」は堅持しつつ、同時に米国からの締め付けに影響されない「内循環」の形成に取り組む方針が出されたのです。

このような、産業政策を、本書は詳細に紹介しています。

「双循環」については、コロちゃんは他の本でも読んで知っていました。ただ、最初に知った時は、それが可能なのかと思いましたが。

何しろ、エネルギーを食料は、中国といえども輸入に頼らざるを得ないのでしょうからね。

しかし、中国の強みは、やはりこのような「中・長期計画」が組める国家システムにあると、コロちゃんは思いながら、興味深く読みました。

中国銀行の元チーフエコノミスト曹得遠征は、21年の春のオンライン日中専門家会議で「中国は、日本の1億総中流を学び、35年までに14億総中流の国を目指す」と解説したそうです。

日本では、すでに「1億総中流」は遠い昔の話しになっていることを思うと、何ともやるせない気持ちをコロちゃんは抱きました。

また、コロちゃんが興味を引いたのは、21年6月に海南島を丸ごと「自由貿易港」にする法律が成立したという所です。

なんと、海南島と言いうところは、九州とほぼ同じ広さだというのです。世界最大の「無関税」の自由貿易区です。ちょっと、スケールが大きすぎて驚きますね。

本書によると、中国では「偉大なる復興」の夢を目指す長期的な戦略と中・長期的計画を実施に移していると言います。

これらの措置は「第二の改革開放時代」と言われているそうですが、果たして予定通り進行するものなのか、コロちゃんは、興味津々で読みました。

9.米中摩擦の行方

本書は、中国が米国から最大のライバルに「格上げ」されたことに、中国人の大半は複雑な心境であると書いています。

40年前の中国人にとって憧れる「三種の神器」は自転車、腕時計とミシンだった。一人当たり国民所得も世界最貧国の水準だったというのです。

それが、よくも今や米国から「経済や技術、軍事面で追い越される」と恐れられる存在になったというのです。

2018年以降、トランプ大統領の経済貿易戦争の中で、中国はひたすら守勢を取り、米中対立の激化に歯止めをかけようとしたと、本書は主張しています。

ところが「コロナ」で形勢が一変したというのです。

トランプ大統領は、「武漢ウイルス」「中国ウイルス」を連発し、中国批判を強めたというのです。

本書は、この形勢を、若いライオンを追い出す、「ジャングルの掟」にたとえています。

中国は、「大人のライオン」になった自覚のない「若いライオン」、アメリカは、将来ライバルになりそうな若いライオンを群れから追い出す「ボスライオン」だというのです。

このような、わかり易いたとえとともに、21年1月の米国国連代表部のクラフト国連大使の台湾訪問時に、あわや一触即発の危機だったことの裏話が記載されているのです。

もちろん、この内容が事実なのかどうかはわかりませんが、その内容が複数の証言と著書や、ニューヨークタイムスの記事等が裏付けとして紹介されているのです。

まあ、米中摩擦についての「中国側」の主張なのですが、とにかく資料・データを駆使して、一般的な日本人に受け入れられるような説得力のある内容です。

そして本書は、今後の米中関係が急速に和解、妥協に向かうというような甘い認識、期待を持つべきではないと書きます。

米中競争は10年続くとしているのです。そして以下の3つのシナリオを提示しています。

第一は、米国が猛烈に圧力を加えて、中国がついに屈するというシナリオ。

第二は、「9.11」シナリオ。米中双方が一時的休戦、ないし協力方法にシフトするシナリオ。

第三は、中国が米国に追いつき、G2の世界になるシナリオ。

はてさて、コロちゃんは、年齢的にこの争いの行きつく先をみれないかと思います。

しかし、現下の情勢を見ていると、世界は多極化へ向かうように思いますが、本書は、読んでいてそのようなことを考える楽しみもあると思いました。

果たして、今後の中国は上記のどのシナリオに着地するのでしょうか。10年後が見てみたいです。

10.まだまだ、刺激ある論考が続く

本書は、他にも「中国外交の再検証」や「軍事戦略」「台湾統一」など多くの興味深い論考が続きます。

一言で言うと「全面展開」ですね。

その中で、コロちゃんの注意を引いた点は、2021年の「歴史決議」が採択された際に「習近平主席」の主導的地位にほぼ全員一致で信任票を投じられたことへの、著者の捉え方です。

以下をお読みください。

「米中競争の局面は当面続き、米側からの揺さぶり、圧力が一段と強まる。それに対抗し、凌いでいくには現体制の下で団結する以外に選択肢がないというのが、現時点の中での最大公約数というものだ」

そして、思わずうなってしまったのは、以下の主張です。

「体制側として、国政選挙レベルの大改革は到底受け入れられないし・・・14憶人の国でどうやって総選挙を実施するか」

「通常、審議・質疑が行なえる国会の議員数は300から500人までだ・・・日本の衆議院議員は465名・・米国の下院議員435名・・イギリスの議員数は650名・・フランスの議員数577名」

「仮に中国で直接選挙による国会議員の総数が500人だとする。14億強の全人口から・・割り当てると、およそ3000万人近くで一人の議員を選ぶこととなる」

「全世界の大半の国の総人口は3000万人以内だ・・新疆、チベット、青海省という国土の3割強を占める西部地域の人口は3000万人で、一人しか国会議員を選出できない」

まあ、「中国」側の言い分なのですが、コロちゃんは一定の説得力はあると思ってしまいした。

本書は、小さな字で400ページもある分厚い本なのですが、上記のように思考を刺激する内容に満ちた本です。コロちゃんは、一気に読み終えました。

本書は興味深いですよ。ぜひ読むことをおすすめします。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Manfred RichterによるPixabayからの画像
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