おはようございます。コロちゃんは、最近腰の痛みが少し楽になってきたように感じています。
ペインクリニックでもらっている新しい「痛み止め」が、効果が出てきているのだと思います。この調子で、そのまま腰の痛みが少しでも抑えられるといいんですけどね。
今日は、「防衛費」の財源がだんだん明らかになってきたという、お話をポチポチしたいと思います。
1.「防衛費」財源は予備費から
昨年2022年度(令和4年度)の防衛関係予算は、5兆4005億円です。
岸田総理は、その「防衛費」を本年2023年度には倍増させるとおっしゃっていましたから、その財源をどうするかが話し合われて来ました。
政府は、国会での法案審議を通じて、5年間で43兆円の防衛予算を賄う財源案を説明したそうです。
その内容は、2023年~27年度の防衛力整備計画で、増加分にあたる14.6兆円の財源を以下のように説明したそうです。
①税外収入(4.6~5兆円強)
②決算剰余金(3.5兆円程度、年7000億円)
③歳出改革(3兆円強)
④増税(法人税、所得税、たばこ税)
この案で、問題となるのは、上記4項目の②の「決算剰余金」です。
2.「予備費」と「決算剰余金」
まず、災害などの予測しがたい突発的な事態に対処するための予算として「予備費」という項目があります。
この「予備費」で使われないで残った残額は「決算剰余金」となりますが、財政法では、決算剰余金の1/2以上を国債の返済財源に充てると規定しています。
その「決算剰余金」の、国債返済の後の残った1/2を「防衛費」の財源として流用しようというのが今回の案です。
しかし、「剰余金」は、コロナ対策で予備費を12兆円に積み増した2020年度を別にすると、通常は、国債の返済後に残る金額は、年5000億円程度にとどまると言います。
今回は、コロナ対策で積み増した20年度の使い残した4兆5000億円が含まれていますから充当できますが、例年どおり残額が年5000億円程度でしたら、年7000億円の拠出は困難となります。
このプランは、最初から予備費を、この防衛費拠出を前提として積み増しておかない限り、先行きの持続性が無い案だと思うのですが、いかがでしょうか。
そもそも、予備費とは、最初にご紹介したように、「災害などの予測しがたい突発的な事態に対処するための予算」です。
防衛費は、「災害などの予測しがたい突発的な事態」ではありません。
3.「防衛費増税」の世論調査
岸田総理が進める「防衛費倍増」は、上記のようにどんどん進められていますが、それでは、世論調査の「民意」は、どうなっているのでしょうか。
5月6日に「共同通信社の世論調査」が発表されています。
この調査では、防衛力強化のための増税を「支持する」19%で、「支持しない」80%となっています。
また、防衛予算を従来の1.5倍の43兆円に増やす方針は、「適切でない」が58%だったと報じています。
2月13日に、「NHKの世論調査」が発表されています。
防衛費の財源の一部を確保するために、増税を実施する政府の方針に「賛成」は23%で、「反対」は64%だったと報じています。
1月16日に、「読売新聞社の世論調査」が、発表されています。
防衛費増額の財源として、増税する政府方針について、「賛成」は28%、「反対」は63%だったと報じています。
やはり、国民の増税への忌避感は強いですね。どの調査でも「増税反対」が6割を超えています。
この結果をみると、日本の為政者は、「防衛費倍増」にしろ、「異次元の少子化対策」にしろ、予算をどこかから生み出すための「魔法の杖」を求めざるを得ないのでしょう。
その点、上記で見てきた「予備費」から引っ張ってくる方法は、法律や規則の精神には、思いっきり反していますけれど、「増税」でも「直接的な借金」でもないやり方です。
しかし、予算全体をみれば、このやり方は「借金」の付け替えでしかありません。
コロちゃんには、「魔法の杖」どころか、「姑息なやり方」だと思われますね。
4.「経済力こそ国防の基盤」
コロちゃんは、これまでの防衛費増額の議論を見てきて、少し考えたことがあります。
このような、予算と防衛力強化の相反する議論が行き詰った時には、少し視野を広げてみることも大切だと思うのです。
ちょっと前に、日経新聞の「経済教室」で読んだ論考が、今でもコロちゃんの頭に残っています。
その「経済教室」は、2月7日の日経新聞に掲載されていました。その稿の著者は鎮目雅人早稲田大学教授です。
「経済力こそ国防の基盤」とテーマがつけられていて、サブテーマは「財政政策と国債増発の行方」となっています。
その内容は、以下のように議論を整理しています。
「防衛費を国内総生産(GDP)2%に引き上げることは妥当か。その負担を増税で担うべきか、国債で賄うべきか。防衛費をめぐる議論について、日本の近現代史から学ぶことは多い」
そして、幕末開港後の日本の指導者が直面した課題を、次のように語っています。
「国力の源となる経済発展(富国)と、独立を維持するための国防充実(強兵)という2つの目標達成に向け、限られた人的・物的資源をどう配分するかという課題に直面した」
その後は、以下のように続きます。
「日露戦争の戦費は当時のGDPの6割に及んだ」
「戦後は多額の対外債務を抱え、元利返済負担が経済成長を制約した」
「東洋経済新報社の石橋湛山は・・いわゆる『小日本主義』を提唱したが・・当時の政府に受け入れられることはなかった」
そして、満州事変から2.26事件へと、日本の歴史は流れていきます。
本稿では、「国債発行・増税」と「国民負担」の関係を、次のように明確に言い切ります。
「高橋財政から太平洋戦争にかけての日本は、国防費の増加を基本的に国内における国債発行で調達したが、資金調達手段が増税であろうが国債発行であろうが、国防費を増やせばその分だけ国内の生産資源を費消するので、いずれにしても国民負担は発生する」
この考え方は、コロちゃんには胸にストンと落ちます。
防衛費増額は、安全保障上必要なのかもしれませんが、その負担分は必ず経済成長の足を引っ張ることになるのでしょう。
本稿は、結論部分を以下のように書いています。
「防衛費をめぐる議論に関して、日本の近現代史から得られる教訓は何か」
「第1に、経済力が国防の基盤であり、その逆ではない」
「第2に、国防費はあくまでもコストであり、財源を増税と国債発行のどちらかに求めるかにかかわらず、国民負担は発生する。防衛費の増額を国債発行で賄うことはむしろ経済成長を制約する可能性がある」
「第3に・・戦前戦時期の失敗を生かし、戦後は平和的通商国家として成功した日本の経験・・日本は自らの歴史を近隣諸国と共有し、アジア太平洋地域の緊張緩和に努めることが求められる」
以上のように、本稿を締めくくっています。
コロちゃんは、本稿を読んで深く同意の思いを持ちました。やはり「経済力こそ国防の基盤」なんですよね。
本稿の主張するように「経済成長しない日本は防衛費の負担が重く」なるばかりです。
もっとこの認識が広く知られるべきだとコロちゃんは思いました。
この鎮目雅人早稲田大学教授の「経済教室」の論考を、お読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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