おはようございます。今朝は、どんよりとした気候でしたね。
ワンコとの散歩は、天気が快晴だとポコポコと歩くんですけど、雨が降りそうな天気だと、あちこちクンクン臭いをかいでいて、なかなか進めませんでした。
いよいよ「梅雨入り」間近な雰囲気が漂っていますね。気が重いです。
今日は、先日の「G7広島サミット」の、お話の続きをポチポチします。
1.前回ブログで書いていたこと
コロちゃんは、先日5月19~21日に開かれた「G7広島サミット」には、注目していました。
ウクライナ戦争以降、アジアの台湾海峡をめぐる米中の軋轢に、日本がどのようにかかわるのかが、ある程度明らかになると思ったからです。
そこで、このブログでも2回にわたって、「G7広島サミット」の話題を取り上げています。
①5月23日のブログ記事「やっぱり静かな方がいいよね」
その時の記事をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。
上記のブログ記事では、「G7首脳宣言」の内容に、「中ロ威圧に対抗」として以下のような内容が書き込まれていたことを書いています。
「法の支配による国際秩序を維持・強化」
「世界のいかなる場所でも武力や強制力での一方的な試みに反対」
また、「中国」に関しても、東・南シナ海の状況ヘの「深刻な懸念」の表明と、「力や威圧による一方的な現状変更にも強く反対する」とありました。
それに対し、コロちゃんは、元シンガポール国連大使のキショール・マブバニ氏の「静かな現状維持が半世紀以上にわたり台湾海峡の平和を守ってきた」という署名記事を引用しています。
そしてこの署名記事の、「あなた方の大きな声によって乱さないでもらいたい」との結論を、コロちゃんも、まったく同感すると書いているのです。
②5月24日のブログ記事「それなりに気を使っているのね?」
上記のブログ記事の翌日に、G7サミットの詳細が伝えられてきました。
その中に、「G7サミット首脳宣言」の中には、「中国」に対し、なかなか気を配って工夫した内容が含まれていることを知り、その感想をブログで書いています。
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この記事では、「G7首脳宣言」の内容の「中国と率直にかかわり、…国際的な課題で中国と協力する必要がある」と、中国を排除する考えがないとの文章をとりあげています。
そして、そこには「中国に危害を加える意図はない。デカップリング(経済的切り離し)をせず、内向きになることはない」という文言をわざわざ付け加える配慮までしています。
そのあとには「重要なサプライチェーン(供給網)における過度な依存を減らす」と、中国と決定的には決裂しないとのシグナルを出しています。
そして、この宣言文には、「デカップリング(分断)」ではなく、「デリスキング(リスク低減)」という文言が出てきます。
コロちゃんは、この「デリスキング」という文言はこの時に初めて見ました。
よほど頭の良い方が思いつき、この文案を作ったのでしょう。
コロちゃんは、この「首脳宣言」の中に、G7が一体となって行動しながら、「中国」への厳しい姿勢を「デリスキング(リスク低減)」という文言にして、G7全体をきれいにまとめ上げた知恵者に感嘆する思いを持ったんです。
このサミットは、日本が議長国ですから、当然この首脳宣言の下案も日本が準備したもので、その知恵者は、日本の官僚のだれかだろうと、コロちゃんは思っていたのです。
その時には、頭いいやつが、日本の官僚にもいるもんだなーと、コロちゃんは感心したのです。
ところが・・・。
2.あらら、文言を主導したのはEU(欧州連合)だって
そうしましたら、その文言を主導したのは、EU(欧州連合)だという記事が、5月30日に報道で伝えられました。
その記事をお読みになりたい方は、以下のリンクのクリックをお願いします。
5月20日、G7広島サミットの「首脳宣言」において、中国をめぐる新表現が採択されています。
「我々は『de-coupling-デカップリング(切り離し)』や内向き志向にはならない。『de-risking-デリスキングー(リスク低減』と多様化が必要だ」
この表現に、この記事は「安全保障面で中国を抑止するが、自国の経済的利益も追及していく。書きぶりから浮かび上がるのは各国のこんな思惑だ」と書いています。
そして、その後に「日本政府関係者によると、文言を主導したのはウクライナ侵攻後、脱ロシア依存で苦しむ欧州連合(EU)だという」を書かれているのです。
コロちゃんは、中国の隣国であり経済依存度も高い日本が、各国を説得したのかと、日本の官僚を見直した気分だったので、この報道には、驚くとともに、ちょっとがっかりしました。
3.「中国」は経済的には、デカップリング(切り離し)できない国
コロちゃんは、以前から日本が「中国」とのデカップリング(切り離し)を、できるはずはないと考えていました。
調査によると「中国」に進出する日本企業は、1万2706社(2022年6月現在)と言われています。そして、日本の年間輸出入の双方で、第1位なのが中国です。
下記のグラフをご覧ください。
「経済産業省 日本の輸出入相手国・地域 上位5か国」より
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2021/2021honbun/i1240000.html
参照:経済産業省 通商白書2021 第Ⅰ部 第2章 第4節 激変する世界情勢の中での日本の貿易投資動向 より(5月30日)
上記のグラフを見てもわかるように、「中国」向けの輸出額は15兆819億円と輸出額全体の22.0%を占めます。
そして、「中国」からの輸入額は17兆4,931億円と輸入額全体の25.8%を占めています。(2021年通商白書より)
当然にして、「中国」は、輸出入とも、国別では第1位の貿易相手国です。
これをどこかの国に代替えしようとするには、「中国」と同じ規模の14憶人の人口の国を求めるしかないのですが、そのような国は、地球上にありません。
日本にとって「中国」という国は、好き嫌いは別として、切り離して生きていけない国なのです。「デカップリング」などは、到底できない相手国です。
それでは、今回のサミットでの「de-risking-デリスキングー(リスク低減)」を主導したとされるEU(欧州連合)ですが、「中国」との経済関係はどのようになっているのでしょうか。
コロちゃんは、EUの貿易を調べてみました。下記の二つのグラフをご覧ください。
「経済産業省 通商白書 ユーロ圏の輸入相手国別割合と伸び率」より
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2018/2018honbun/i1220000.html
参照:経済産業省 通商白書2018 第1部 第2章 第2節 欧州 ユーロ圏の通商相手国別割合と伸び率 より(5月30日利用)
上記のグラフ(↑)が、「ユーロ圏の輸入相手国別割合」です。
下記のグラフ(↓)が、「ユーロ圏の輸出相手国別割合」です。
「経済産業省 通商白書 ユーロ圏の輸出先別割合と伸び率」より
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2018/2018honbun/i1220000.html
参照:経済産業省 通商白書2018 第1部 第2章 第2節 欧州 ユーロ圏の通商相手国別割合と伸び率 より(5月30日利用)
上記の二つのグラフは、2017年のものですが、このグラフを見ると、「ユーロ圏」の輸出入相手国別でのランキングは、以下の通りです。
「ユーロ圏」の輸入における相手国別割合で、「中国」は第1位。
「ユーロ圏」の輸出先別割合で、「中国」は第3位。
この数字を見ると、「日本」も「中国」とはデカップリングはできませんが、「EU」もデカップリングをしない方向に進まざるを得ない事情が透けて見えます。
とりわけ「EU」は、現在ウクライナ戦争の影響でロシアと手切れになり、安いロシア産のエネルギーが手に入らなくなっています。
その結果として「EU」は、現在高いインフレ率に苦しんでいますから、なおさら、今「中国」を手を切るわけにはいかないのでしょう。
4.だったら、日本が先導できなかったのか
この「デリスキング」との文言はEUが主導したとする新聞記事は、最後の方に「7年ぶりの日本開催のサミット最大のテーマはアジア情勢ー関係者こう口をそろえる」と書いています。
「日本」が議長国で主導し、テーマが「アジア情勢」なのに、「対中国への戦略的対処方針」を主導したのが、なぜ「日本」ではなく、「EU」だったのかと、コロちゃんは疑問と腹立たしさを感じました。
「日本」が安全保障の面で、アメリカに追従せざるを得ないのは、わからないでもないのですが、それは「EU」でも同じはずです。
このサミットで、岸田総理の支持率は上昇したと言われていますが、このG7サミットの内幕を知ると、「もっと日本はしっかりしろよ」と、コロちゃんは思いました。
コロちゃんは、「日本」は、アメリカ追従が身に沁みついているのかと、ちょっとがっかりしましたね。
最初に、「デカップリングからデリスキングに日本が知恵を絞った」と評価しただけに、落胆は大きいですね。
「日本」は、「中国」の隣から引っ越すわけにはいかないんです。
防衛費を倍増して、緊張感を高めるのではなく、もっと知恵を絞って、アジア情勢を安定させていただきたいと、コロちゃんは痛切に思っています。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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