コロちゃんは、毎朝新聞をバサバサ読んでいますが、先日ちょっと気になる論考を読みました。
それは、日経新聞の「経済教室」の1ページなのですが、日本の2030年代までの経済指標を予測しているんです。
今日は、このお話をポチポチいたします。
1.「日本経済研究センター中期経済予測」を読んで驚く
その論考は、4月7日の日経新聞の「経済教室」というページです。
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この「経済教室」の論考の執筆者は、「日本経済研究センター」の石井達也主任研究員です。ご専門は「経済財政」となっています。
論考のテーマは「事前主義脱し事業革新を」となっていますが、コロちゃんが驚き注目したのは、その「未来予測の内容」です。
この論考の中で、石井主任研究員は、「主な経済指標の予測」として、日本の将来の「実質成長率」「国・地方の債務残高」「貿易・サービス収支」の数字をそれぞれ予測しているのです。
それも、予測内容を「標準シナリオ」と「改革シナリオ」の二通りに分けているのです。
2.未来予測は、どちらも悪い
普通、未来予測のシナリオを出す場合には、「楽観シナリオ」「標準シナリオ」「悲観シナリオ」と三通り上げる例が多いのですが、、本稿の予測は違います。
「標準シナリオ」と「改革シナリオ」の二つです。
日経新聞の本稿には、「実質経済成長率」の他に、「国・地方の債務残高」と「貿易・サービス収支」の予測も載っていますが、このブログでは、「実質経済成長率」のみをとりあげます。
①標準シナリオ
まずは「標準シナリオ」です。抜き書きします。
実質成長率
16~20年度(実績) 標準 ▲0.5%
21~25 標準 1.3%
26~30 標準 0.4%
31~35 標準 ▲0.1%
上記の「標準シナリオ」の数値をみても、何ともため息しか出ません。今後の日本の将来は、現状を維持だけで、精いっぱいというように思われます。
「標準シナリオ」では、右肩下がりに推移して、31~35年ではマイナス成長に陥ります。
②改革シナリオ
次は「改革シナリオ」です。
実質成長率
16~20年度(実績) ▲0.5%
21~25 改革 1.3%
26~30 改革 0.9%
31~35 改革 0.6%
上記の数字をご覧の通り、「改革シナリオ」が成功しても、「21~25」年度は、コロナ禍からの反動で回復していますが、その後の26年度以降は右肩下がりに1%以下に減少しています。
日本経済の過去30年間の経過を見てみれば、今後「改革シナリオ」が今後成功できるとは、コロちゃんにはとても思えません。
どう考えても、「標準シナリオ」以下しか期待できないように思うのですが、皆さんはいかがでしょうか
3.天下の公器の「日経新聞」にこの論考が載った意味
もちろん、この論考は、コロちゃんが感じたような悲観的な内容の主張ではありません。
著者は「改革シナリオ」を、どのように進めればよいのかを、しっかりと論考の後段で提言しています。
「事前主義からの脱却」「経営マインド転換」「DXの地方浸透」等々です。
しかし、どれをも、読んでもコロちゃんにはピンときませんでした。
何か具体的でないんですよね。この提案で日本の改革が進むとは思えませんでした。
この論考を読んで、一番目に付くのは、やはり、極めて悲観的な未来予測だと思います。
それが、この影響力の大きい新聞に掲載されたということは、新聞社の経済専門家の中にも、同じ危機感を持っている方が、増えているんじゃないかと、コロちゃんは考えたんです。
新聞は影響力がとても大きなマスコミです。当然掲載されるまでには、多くの社内の方がかかわっているでしょう。
そのハードルを乗り越えて、この「未来予測」が掲載されたということは、社内の識者の中にも、同じ危機感を持った方が増えてきているんじゃないかと、コロちゃんは思ったんです。
何の根拠もないですよ。コロちゃんの妄想かもしれませんし、コロちゃんだって、できれば「改革シナリオ」が成功してもらいたいと思っています。
だけど、「改革シナリオ」がたとえ成功しても、あまり喜ばしい数値ではないんですよね。
上記で見た通り、「26~30年は 0.9%」「31~35年は0.6%」の成長が「改革シナリオ」ですから、これは、2000年代や2010年代の成長率よりも、低い数値です。
そのような目で、この未来予測を見ると、この「標準シナリオ」と「改革シナリオ」は、「良くない予測」と「もっと悪い予測」の二つなのではないでしょうか。
4.日本は、低い成長率のまま推移する・・と思います
コロちゃんは、素人のおじいちゃんですから、経済の未来予測のような専門的なことに、偉そうなことは言えません。
ただ、ちょっと将来を憂うるあまり、岡目八目であれこれポチポチしているだけです。間違っていることも多いと思いますけど、そのあたりはご容赦お願いします。
そんな目で、素人なりにいろいろ読んでいると、「国際収支発展段階説」という説が目に入りました。
この「国際収支発展段階説」は、1950年代にクローサーやキンドルバーガーによって提唱された説だそうです。
この説の骨子は、ライフサイクルに応じて家計の収入、借入、資産が変化するように、国も発展段階、とりわけ輸出産業の競争力によって国際収支構造が変化していくというものです。
その変化は、以下のように変わるとされています。
「未成熟債務国」→「成熟債務国→「債務返済国」→「未成熟債権国」→「成熟債権国」→「債権取崩国 」
コロちゃんは、この学説を次の本を読んで知りました。その本の【読書考】をこのブログに乗せていますので、ご興味のある方は下記のリンクをクリックお願いします。
この本の著者の三浦 有史先生は、この説に沿って日本の現段階を確認すると、日本は「4、未成熟債権国」から「5、成熟債権国」に移行しつつあると言えると書いています。
そして、今後も「成熟債権国」としての様相を強めていくとも書いています。
コロちゃんは、今後この説を調べて、自分の思考を深化してみたいと思っています。
しかしとりあえず、今後の日本が、「成熟債権国」として進んでいくならば、それに合わせた政策に、国のシステムを変えていけばよいのではないかと思っています。
コロちゃんは、学者さんでないので、よくわかりませんが「成熟債権国」は、高い成長はしないものなんではないでしょうか。
名前からして「成熟」ですもんね。
(´◡`)
5.「見果てぬ夢」を追う愚かさ
現在の日本は、多くの懸念事項が山積みとなっています。
「少子化対策」もそうですし、「財政問題」もあります。「防衛費倍増」もありますし、「非正規問題」も重要です。
しかし、これらの課題を乗り越えるための「国債(借金)」発行は、次世代へのツケのプレゼントになってしまいます。
「成長すれば返せる」と、おっしゃる方も多いのですが、その言葉は、もう30年間の間繰り返し聞いています。
成長は、目指しつつも、「成長しなくとも豊かな社会」を志向すべきなのではないかと、コロちゃんは考えています。
コロちゃんは、今回取り上げた「日本経済研究センター」の石井達也先生の、「未来予測」を信頼できる数値だと思っています。
それも、いろいろ知見を総合すると楽観的な「改革シナリオ」よりは、悲観的であるが常識的な「標準シナリオ」が発現してくる可能性が非常に高いと思います。
その「標準シナリオ」を前提とした社会政策の立案が望まれます。
日本の施政者と多くの有識者の皆さんが、その方向を模索していただきたいと、コロちゃんは心から願います。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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