【社会考】財源を決められない「少子化対策」とは・・・情けない

社会

おはようございます。今日は今朝から雨がしとしと降っています。ワンコの散歩も高架下で簡単に済ませました。いつものように歩けない日は、ちょっと物足りないですね。

その後、いつものように新聞をバサバサしますと、今朝の雨のような湿っぽい記事が出ていました。

「少子化対策の財源の先送り」の記事です。今日は、それをポチポチします。

1.「少子化対策」財源は2028年度までに

先日の6月1日に政府の「子ども未来戦略会議」が開かれて、その内容が6月2日の新聞で報道されました。

その報道の内容を、お読みになりたい方は下記のリンクのクリックをお願いします。

「児童手当・育休給付上げ 少子化対策素案 予算30年代に倍増」

児童手当・育休給付上げ - 日本経済新聞
政府は1日のこども未来戦略会議で少子化対策の拡充に向けた「こども未来戦略方針」の素案を示した。毎月支給する児童手当は所得制限を撤廃し、支給の期間を拡充する。2024年度中の実施をめざすと明記した。(関連記事経済・政策面に)必要な予算は24年度からの3年間に年3兆円台半ばとする。当初見込んだ3兆円ほどから上乗せした。予算...

「少子化対策、28年度までに安定財源 給付先行し歳出改革」

少子化対策、28年度までに安定財源 給付先行し歳出改革 - 日本経済新聞
政府が1日に示した「こども未来戦略方針」の素案は児童手当の増額など新たな少子化対策に向けた施策案の大枠を示した。出生減が続くなかで支援策を先行させたが、必要な費用を医療・介護の歳出改革や社会保険料への上乗せでどれぐらい確保するかは示さなかった。安定した財源確保策を詰めなければ、施策の持続性に疑問がでる。これから3年間の...

「国の少子化対策、何が変わる?」

国の少子化対策、何が変わる? - 日本経済新聞
2023年6月2日の日本経済新聞朝刊1面に「児童手当・育休給付上げ」という記事がありました。政府は1日、少子化対策の拡充に向けた「こども未来戦略方針」の素案を示しました。どのような内容でしょうか。ここが気になる児童手当は所得にかかわらず、子どもが高校を卒業するまで受け取れるようになります。3歳から高校生まで一律で月1万...

さすがに「少子化対策」は大きな問題だけに、新聞では3本もの記事でくわしく伝えています。

一目でわかるポイント解説が、一番下の記事「国の少子化対策、何が変わる?」の記事です。

この記事では、今回の議論以下のように三つにまとめて報じています。

①児童手当の所得制限撤廃
②男性の育休給付金を増額
③安定財源は、28年度までに確保

しかし、この記事で一番注目すべきなのは、「安定財源」が2028年度に先送りされていることだと、コロちゃんは思いました。

2.どこで決まったの?

今回の議論がなされたところは、「子ども未来戦略会議」という場所です。

下記の引用をご覧ください。

「内閣官房 子ども未来戦略会議」より

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/
参照:内閣官房 子ども未来戦略会議より(6月2日利用)

上記のリンクから、この会議の「議事録」や「戦略方針案」がご覧になれます。

上記の今回の報道内容は、上記のリンクからの「戦略方針案」で、詳細をよむことができます。

3.何が決まったの?

この会議で決まったことで、一番大きな影響と反響があると思われるのは、「児童手当」のことだと思います。

①児童手当の所得制限撤廃

それでは、現在の「児童手当」について見てみましょう。

「内閣府 児童手当制度のご案内」より

 https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html
参照:内閣府 子ども・子育て支援新制度 児童手当制度のご案内 より(6月2日利用)

現在は、上記の引用の通り、0~2歳に、一律月1万5千円。3歳から小学生までは、第1~2子が、1万円、第3子以降は、1万5千円で、中学生までが1万円となっています。

そして、現在では、「所得制限限度額」と「所得制限上限額」があり、その枠内の場合は「特例給付」で一律5千円支給となり、「所得制限上限額」を超えた場合は、支給されません。

夫婦と子供二人の場合、世帯主の年収が960万円以上なら、月5千円に減額され、1200万円を超えたら支給されていません。

この現行の制度が、以下のように変わるようです。

「内閣官房 第5回 こども未来戦略会議 こども未来戦略方針(案)」より

(1)児童手当の拡充 ~全てのこどもの育ちを支える制度へ~

「児童手当については、次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援としての位置付けを明確化する。このため、所得制限を撤廃し、全員を本則給付 とするとともに、支給期間について高校卒業まで延長する 」

「児童手当の多子加算については、こども3人以上の世帯数の割合が特に減少していることやこども3人以上の世帯はより経済的支援の必要性が高いと考えられること等を踏まえ、第三子以降3万円とする」

「これらについて、実施主体である地方自治体の事務負担も踏まえつつ、2024 年度中に実施できるよう検討する」

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/siryou1.pdf
参照:内閣官房 第5回 こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」案(6月2日利用)

上記の引用の通り、「所得制限」が無くなります。

「児童手当」は、親の所得にかかわらず、子どもが高校を卒業するまで受け取れるようになります。3歳から高校生まで一律1万円が支給されます。

3歳未満の1万5千円は、そのまま継続です。

第3子以降は、0歳から高校生まで3万円が支給されます。

この政策の実施は、上記には「2024年度中に実施できるように検討」となっていますから、来年中には実行されるようになるかと思います。

②安定財源、28年度までに

問題は、上記のような「大盤振る舞い」をするだけの「財源」をどうやって確保するかです。

なにしろ、わが日本国は「打ち出の小槌」は、持っていませんから、どこかからお金を引っ張ってこなくてはなりません。

上記の「こども未来戦略方針」案によると、この「少子化対策」に必要な予算は、24年度からの3年間で年3兆円台半ばとなるそうです。

その内訳は、以下のように、後藤茂之経済財政・再生担当大臣が記者会見で説明されています。

「経済支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取り組みで1.5~1.6兆円、子育て世代を対象としたサービスの拡充で0.7~0.8兆円、共働き・共育ての推進で0.7~0.8兆円」

下記の引用をご覧ください。

「内閣官房 第5回 こども未来戦略会議 こども未来戦略方針(案)」より

(財源の基本骨格)

「財源については、国民的な理解が重要である。このため、2028 年度までに徹底した歳出改革等を行い、それらによって得られる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」

「消費税などこども・子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わない」

「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み(「支援金制度(仮称)」)を構築することとし、その詳細について年末に結論を出す」

「「加速化プラン」の大宗を3年間(2026 年度まで)で実施し、「加速化プラン」の実施が完了する 2028 年度 までに安定財源を確保する」

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/siryou1.pdf
参照:内閣官房 第5回 こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」案(6月2日利用)

上記の引用を見ると、財源についてどのように手当てするのかは、まず「消費税増税」は、やらないと断言しています。

そして、肝心の「財源」については、「28年度までに安定財源を確保する」と、全て先送りされてしまっています。

「児童手当の拡充」は、2024年度中から始めるとされていますから、「財源」が決まる前に、先にお金を配ってしまうわけですね。

そして「消費税などの増税は行なわない」ならば、「財源」になりそうなところは限られてきます。

上記の引用にある「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み(「支援金制度(仮称)」)とは、何を指しているのでしょうか?

サラリーマンの給与から天引きされている「社会保険料」のことを言っているのでしょうね。

新聞報道では、「消去法で社会保険料」しかない、と書かれていますが、はてさて一番肝心な「財源」が先送りとは・・・。

それで「大盤振る舞い」が先に行なわれるとは、ちょっと残念過ぎてため息が出てきますね。

さて、下記のフォトは「宝箱」です。この中に財源がたくさん詰まっていれば、万事解決するのですけど。

③扶養控除の変更か?

最近の報道で注目を集めているのが、この「少子化対策」の「扶養控除」の扱いです。

「扶養控除」とは、所得税や住民税を計算する時に、扶養する親族がいる時に「課税所得」を減らすことができる制度です。

子どもがいる世帯では、その人数分の「扶養控除」が受けられて所得税や住民税が低く抑えられます。

ところが、今回の「少子化対策」では、この「扶養控除をなくす」というプランがあるそうです。

もしも、現行の扶養控除が無くなると、所得水準によっては、子ども一人当たり1万5千円の「児童手当」が支給されても、年間のトータルではマイナスになる所得水準の方が生じるかもしれません。

下記の引用をご覧ください。

「内閣官房 第5回 こども未来戦略会議 こども未来戦略方針(案)」より

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/siryou1.pdf
参照:内閣官房 第5回 こども未来戦略会議「こども未来戦略方針」案(6月2日利用

上記の引用の本文ではなく、一番下の小文字で書いている追記の部分です。最後の1行です。下記に書き出してみます。

「その際、中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する」とあります。

別に、目立たないように小さく書いているわけではないのでしょうけど、もともと、現在の扶養控除の扱いは、民主党政権時とその後の「児童手当」の変転の結果起きていることです。

新たな制度が入ったら、トータルで「減収」になるような制度だったら、その対象のご家族は「必要ない」と皆さんが怒ると思いますね。

この点は、「少子化対策」には、まったく役に立たないばかりか、逆効果だとしか言いようがないと思いました。

4.政治に責任感が無くなったの?

上記の引用にもありますが、この素案の中で、以下のように記載しています。

「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み(「支援金制度(仮称)」)を構築することとし、その詳細について年末に結論を出す」

この素案は、今月中に「骨太の方針」として閣議決定する予定だと思われますし、上記にあるように「少子化対策の支援金制度(仮称)」は、「年末に結論を出す」となっています。

まさか、結論を出す前に、選挙をやろうとしてるんじゃあないでしょうね。

「給付」を優先して、このように肝心の「財源」を先送りにすることは、為政者として無責任と言っても良いのではないかと、コロちゃんは考えます。

しかも、「安定財源の確保は2028年度までに」とは、5年後ですよ。

5年後には、総理大臣の地位に誰がついているのかもわかりません。今決められなければ、5年後だって決められないんじゃあないでしょうか。

なんと、政治が無責任になってしまったかと、コロちゃんは、ちょっとがっかりしましたね。

せめて、今後の議論で、もう少し「少子化対策」を練り直していただきたいと願いますね。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

JamesDeMersによるPixabayからの画像
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