おはようございます。いつものように、今朝ワンコと散歩をしていましたら、真っ青な青空にうっすらと白い雲が、筆でサーッと書いたように浮かんでいました。
一目見ても空の高い所に雲が流れているんですよね。
「天高く…隣りは何をする人ぞ」ん? 違ったかな?
(・・。)…ん?
とにかく、空の様子はもう「秋」ですね。あとは日中の暑さが、もう少し和らいでくれれば本格的な「秋」の到来となるのですけどね。コロちゃんは「秋」が待ち遠しいです。
今日は「最低賃金¥1500円」をポチポチします。
1.「最低賃金」30年代半ば¥1500円
9月1日の報道によりますと、岸田総理は8月31日に開かれた「新しい資本主義実現会議」で、最低賃金について「2030年代半ばまでに全国平均が1500円を目指す」と表明したと報じられています。
また「内需主導の経済成長を実現していくためには、賃上げが当たり前となる経済と投資促進」と述べたとあります。
2023年度の「最低賃金」は、先月の8月18日に全国都道府県の「最低賃金額」が出そろい、厚生労働省が取りまとめて発表しています。
その内容は、全国の加重平均で、前年比43円増の1004円となっていました。
この2023年度の全国加重平均1004円を、今回の岸田総理発言は、2030年代半ばに1500円にするというのです。
コロちゃんは、ホントにできるのかなー? と感じて、あちこちをポチポチと調べてみました。
2.「新しい資本主義実現会議」とは?
この岸田総理が発言したという「新しい資本主義実現会議」とは、政府のどんな組織なのでしょうか。
以下の引用をご覧ください。
「内閣官房 > 新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議」より
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html
参照:内閣府 新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議より(9月1日利用)
上記のように、岸田総理は「新しい資本主義」を実現するために、内閣に「新しい資本主義実現本部」を設置しています。
この会議の目標は、その名前のまんまですね、「新しい資本主義実現」です。
この会議の有識者構成員は16名です。
有名な方ばかりですが、よく知られているのは、十倉 雅和 (経団連会長)、新浪 剛史(経済同友会代表幹事)、芳野 友子(連合会長)などの方がいらっしゃいます。
このような審議会・会議の構成員の選任には、当然、招集した総理や大臣の意向が反映されます。
大方のメンバーは、総理や大臣の意見をわきまえた学者や学界の大御所が入ります。そして、必ず反対派からも少人数選択されます。
当然のことですが、賛成派が数多く選ばれていて、落としどころはだいたい事前に決まっていることが多いです。
今回は、第21回となっていますから、結構回数を積み重ねているんですよね。さっそく内容を見てみましょう。
3.今回の会議の「論点案」
8月31日に開かれた「新しい資本主義実現会議」には、16点の「論点案」が出されています。その中から、コロちゃんが気になったところを書き出してみます。番号はコロちゃんが付けました。
①「春闘及び構造的賃上げによる実質雇用者報酬の改善の継続と、これによる消費拡大を見込む民間設備投資の向上を中心とした民需主導の経済への移行」
上記では、はっきりと日本経済の方向性として、「賃上げ」と「消費の拡大」による「内需主導型の成長」を明記しています。
以前の日本では「輸出の拡大による成長(円安が有利)」を語られることが多かったのですが、ここでは、はっきりと「内需主導型」に転換していますね。
②「労働力については、第一に、人口減少による労働供給の不足が日本経済の成長を制約しつつあるのではないか。・・・我が国の労働生産性人への投資を促進」
ここでも、今までの甘い人口推計を否定して、「人口減少」を前提としています。
③「消費を回復させるためには低迷してきた我が国の実質賃金水準を引き上げていく必要があるのではないか」
そして「賃上げ」を政策課題として、明確に打ち出しています。
④「最低賃金については、・・・国際的な水準等にも鑑み、更なる引上げを行っていく必要があるのではないか。」
これを岸田総理は、さらに踏み込んで「最低賃金1500円」と表明したわけですね。
一番の目玉の「最低賃金1500円」は岸田総理が記者会見で表明するなど、やり方がうまいですね。新聞の1面に取り上げられることを意識したのだと思いますね。
⑤「物価上昇の中で、特に処遇水準が低い方々のため、非正規雇用労働者の正規化促進を図る」
「非正規雇用」から「正規雇用」への転換は、努力義務などでは無理だとコロちゃんは考えています。
強制力を持った「法規制」まで、踏み込んで欲しいのですが、それはなかなか難しいでしょうね。
上記のように「論点案」16論点の内の、コロちゃんが気になったところの5点を、簡単に取り上げてみました。
内容としては、低迷する日本経済を「賃上げ」から「消費拡大」へと進めて「内需主導型経済」で「成長」するという、意欲的なものとなっています。
この「論点案」をお読みになってみたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/shiryou2.pdf
ただ、うまく行くのでしょうか? やってみなければわからないことなのですが、コロちゃんは難しいのではないかとの印象を持ちましたね。
4.1500円が実現しても・・・
「最低賃金」の2023年の現状は、上記しましたように全国加重平均で1004円です。これを2030年代半ばに50%アップの1500円にしようというのですから、意欲的ではあります。
しかし、2030年代半ばを仮に2035年とすると、今から12年後です。
今年の最低賃金の対前年比は43円アップですから、今後毎年43円にアップしていれば(43円×12年=516円)1004円に加えて、1520円となります。計算上は、1500円を超えてくるのです。
問題は、その時の物価です。物価が現在のように毎月3%以上、上昇しているならば、賃上げも最低賃金アップも「消費の拡大」にはつながらないとコロちゃんは考えますね。
そのようなことから、この「新しい資本主義」の経済政策は、うまく行かない可能性が高いと、コロちゃんには感じられました。
5.「賃上げ」「消費者物価」「雇用者報酬」
上記で「賃上げ」や「最低賃金アップ」があっても、「消費の拡大」にはつながらないとコロちゃんの考えを書きました。
その理由は下記のグラフで見ればご理解できるのではないかと思います。
下記のグラフは、今回の「新しい資本主義実現会議」で配布された「基礎資料」です、
下記のグラフをご覧ください。
「内閣官房 新しい資本主義実現会議」より
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/shiryou1.pdf
出典:内閣官房 新しい資本主義実現会議(第21回) 基礎資料 賃上げ率推移1(連合調査)より(9月1日利用)
上記のグラフは、2013~2023年の「賃上げ率」の推移です。このグラフは「連合調査」ですが、「基礎資料」には「経団連調査」と「厚生労働省調査」のグラフも掲載されています。
上記のグラフを見ると、今年2023年は、全体の賃上げ率が3.58%で、中小企業の賃上げ率が3.23%と30年ぶりの高水準の賃上げとなっています。
しかし、昨年から今年にかけては「消費者物価」も大幅に上昇しています。
下記のグラフをご覧ください。
「内閣官房 新しい資本主義実現会議」より
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/shiryou1.pdf
出典:内閣官房 新しい資本主義実現会議(第21回) 基礎資料 消費者物価の動向 より(9月1日利用)
上記のグラフも、「新しい資本主義実現会議」で配布された「基礎資料」です。
昨年2022年から一気に「消費者物価指数」が上昇しています。これだけ「消費者物価指数」が上昇していると、いくら「賃上げ」があっても、実質的には「賃下げ」となってしまいます。
下記のグラフをご覧ください。
「内閣官房 新しい資本主義実現会議」より
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/shiryou1.pdf
出典:内閣官房 新しい資本主義実現会議(第21回) 基礎資料 雇用者報酬の推移 より(9月1日利用)
上記のグラフは、「名目雇用者報酬」と「実質雇用者報酬」の推移のグラフです。
「名目雇用者報酬」は、実際に皆さんが受け取った給料です。上記のグラフの薄い橙色の線です。
「実質雇用者報酬」は、赤い線です。2019年から上下しつつも2022年にかけて低下してしまっています。
皆さんの、給料の明細に記載されている金額は上がっていても、物価がそれ以上に上昇していますから、「実質の雇用者報酬」は下がってしまっているのです。
この「実質雇用者報酬」が上昇しない限り、「消費の拡大」は起こらず、「経済の好循環」には至らないと、コロちゃんは考えています。
なお、この「新しい資本主義実現会議」に提出された「基礎資料」を見たい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/shiryou1.pdf
6.「最低賃金」の国際比較
ここまで、日本国内の「最低賃金」や「賃上げ」「消費者物価指数」と「実質雇用者報酬」を見てきました。
それでは、国際的には「最低賃金」はどのような数値になっているのでしょうか。
下記のグラフをご覧ください。
「内閣官房 新しい資本主義実現会議」より
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai21/shiryou1.pdf
出典:内閣官房 新しい資本主義実現会議(第21回) 基礎資料 最低賃金の国際比較 より(9月1日利用)
上記のグラフは、昨年2022年までの「最低賃金」の国際比較ですが、日本より下はアメリカしかないという、お寒い比較グラフとなっています。
特に、同じアジアの国である「韓国」に追い抜かれたのはショックですね。なんとも、情けない話ですね。
岸田総理もがんばっているのでしょうけど、低い「最低賃金」には「非正規雇用」の拡大が背景にあると思います。
「非正規雇用」の拡大は、もう20年以上にわたって続いています。
それを今回の「最低賃金」のちょっとした上昇で埋め合わせようというのは、そもそも無理があると、コロちゃんは考えています。
7.最低賃金1500円よりも「非正規雇用」を減らすのが本道
「最低賃金」に近い低賃金で働く人の割合が最近10年ほどで倍増していることが、賃金に詳しい都留文科大の後藤道夫名誉教授の試算で分かったと報道されています。
それによると、「最低賃金」の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14.2%となり、2009年の7.5%から倍増したと報じられています。
「最低賃金」を1500円に上げることは、この方たちに一定の「所得増」をもたらしてくれるかとは思いますが、その所得増が「物価上昇率」を上回るかどうかは不透明です。
「最低賃金」を上げることはもちろん、「非正規雇用」を法律で制限することこそが政策の「本道」なのではないでしょうか。
かつての日本に「非正規雇用」は、さほど多くはなかったのです。
それでは、いつごろから「非正規雇用」が増えてきたのか見てみましょう。
下記の引用をご覧ください。
「ウィキペディア 非正規雇用」より
「労働者数の推移をみると、1980年代(第2次オイルショック後)から雇用者に占める非正規雇用の比率は少しずつ増加し、1990年に初めて20%を超えた。」
「以降は、ほぼ横這いで推移していたが、1990年代後半(アジア金融危機後)になると増加傾向が著しくなり、1990年に25%、2003年に30%、世界金融危機後の、2011年に35%を超え、2013年には過去最高の36.7%を記録している」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E9%9B%87%E7%94%A8
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「非正規雇用」最終更新 2023年5月24日 (水) 15:28
上記のように、日本経済として考えると「非正規雇用」は昔からの雇用形態ではないのです。増え始めたのは1980年代から徐々に増えてきているのですから、高々40年ほど前からです。
下記のグラフをご覧ください。
「厚生労働省 非正規雇用の現状と課題」より
https://www.mhlw.go.jp/content/001078285.pdf
出典:厚生労働省 非正規雇用の現状と課題 より(9月1日利用)
上記のグラフを見てもわかるように、「非正規雇用者」は1984年には、604万人と2022年(2102万人)の1/3以下しかいなかったのです。
それが、繰り返される「労働規制の緩和」によって「非正規雇用」は年々増えてきました。
その政策を逆回転させて、「労働規制の強化」によって「非正規雇用」を削減することが、「経済の好循環」への道だとコロちゃんは考えます。
コロちゃんは「最低賃金1500円」よりも、「非正規雇用」の縮小を進めるべきだと考えます。
皆さんは、どのようにお考えでしょうか。時々はこういうお話を考えてみると、社会を見る目が変わってきますよ。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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