コロちゃんの周りには、「国家公務員」さんはいらっしゃいませんから、お知り合いはいません。
身近の公務員さんと言うと、ごくたまに市役所に行きますから、そこの窓口のおばさ・・・ゲフンゲフン・・・お姉さんですけど、あの方は「地方公務員」ですね。
知り合いはいませんが、ちょっと興味を持って、霞が関の「国家公務員」さんの世界をのぞいてみました。
1.「知らない世界」を覗けるのが、本を読む醍醐味
コロちゃんは、「読書」が好きです。いろんなジャンルの本を読みますが、その面白さの一つに、「知らない世界」を知ることができるということがあります。
小説では、貧乏な青年が刻苦奮闘して、だんだんと成功する物語がありますよね。
それは、その青年の内面の成長を読む楽しみもありますが、社会の制度の内実を具体的に知る楽しみも大きいのです。
知らない業界の実態などがリアルに描写されていると、より興味深いですね。
また、外国の文化や気候の違い、民族の歴史や社会システムの違いなども、多くの本の中で知ることができるんです。
コロちゃんにとっては、霞が関の「国家公務員」は、全く未知の人種です。
(日本人です)(^_^)
霞が関で、どのように生息していて、どのような生態なのか、興味津々で本書を読みました。
(国家公務員の皆さんゴメンナサイ)
m(_ _”m)ペコリ
2.「霞が関の人になって見た」(霞いちか 発行カンゼン 2023年)
本書はとにかく読みやすいです。
柔らかお笑い路線とでもいうのでしょうか。スルーっと簡単に面白く読めて、読後にはそれなりに、霞が関の「国家公務員」さんの世界が、なんとなく頭に残るのです。
そのような文体で、短い章の中で次々と「霞が関の国家公務員」の世界を描いています。
内容も「ドラマ」や「映画」を次々と引き合いにだして、読者がイメージしやすいように工夫されています。
コロちゃんは、ほとんど「ドラマ」や「映画」をみませんので、具体的な俳優さんや、筋書きはわからないものの、その雰囲気は何となくわかりました。
とにかく、本書は、一般の読者にわかりやすいイメージを伝えることがうまいのです。
3.「お仕事」
本書ではこのように書いています。
「私が入省したときに、最初におもったのは、『めっちゃ早口』」「(しょぼくれたオジサンかと思ったら)めっちゃ頭キレキレやん!」
いやいや、これ「つかみ」でしょ。
しかし、霞が関官僚のイメージが湧きますよね。そして親近感も持ちます。
そして、どんなお仕事をしているのかを教えてくれています。
①法律案を作って法案を通すまでの巨大プロジェクト(通称タコ部屋)
これは、一大ブラックプロジェクトチームだそうです。
なんか「タコ部屋」と書いてある時点で恐ろしいところだとわかります。ただ、あえてこの表現を使うと、何となく笑いが浮かびますが(当事者以外)。
②法律に則って、ルールブックを作るところ
いざ法律が出来上がってから、どう運用したらいいのかの「ガイドブック」の作成のようです。
③法律に従って運用しているか、管理監督をするところ
国が作ったルールを守っているか、現地に行って管理監督するお仕事だそうです。
④予算や人事など総務的な仕事や国会の調整など省庁全体を横断して取りまとめる仕事
この辺りは、どこの会社でもあるお仕事のように思えますね。
⑤その他訴訟などの対応
ある訴訟担当者は「自分が生まれる前の国の訴訟の裁判で、原告から責められると、自分が責められている気持ちになり、つらくなる」と精神的なつらさを語っていたそうです。
このように、霞が関のお仕事を、本書は、わかりやすく平易な文章で紹介してくれています。コロちゃんも、何となく全体のイメージがつかめました。
4.「政策のつくられ方」
政策のつくられ方には、大きく分けて二つあると言います。
トップダウンとボトムアップです。これは何となくわかりますね。
ボトムアップは、霞が関の人がじっくり温めて仕上げる政策です。やってて楽しいお仕事です。
トップダウンは、急転直下、上から降ってくる政策です。自分が大事だと思える内容であれば、やりがいを感じれます。
なるほど、霞が関の住人は、物事を作り上げるということでは、サラリーマンというよりも、職人のような感覚なんでしょうか。
①ボトムアップ
ボトムアップは、普段の仕事の中で、情報は嫌というほど集まってくるので、その中から自分の思うことを周囲にぶつけます。
それを、今日考えられたら、次は上司に説明していきます。
そして、実現できそうな案にしていき、数年かけて成長させていきます。
著者が、霞が関に来て間もない時に種まきに関わった政策案があったそうです。
それは、専門家の検討を経て、法律改正をし、モデル事業を行い、システム改修の予算をとって、とうとう全国展開として花開いたと書いています。
いやー、確かにこれはやりがいがありますね。だって、成果が目に見えるんですから。
こういうことばかりでしたら、「国家公務員」も悪くはないと思ってしまいます。
②トップダウン
トップダウンの政策は、、霞が関用語で「マル政(まるせい)」「政治マター」と呼ばれています。
鬼に金棒、怖いものなし、無理が通れば道理が引っ込む、キラーワードだそうです。
このキラーワードには、レベルがあるそうです。
「局長マター」基本服従
「大臣マター」かなり強め服従
「総理マター」最上級の強さ 絶対服従
ね、笑っちゃうでしょう。本書の書き方は、実に面白いのです。
そして、「局長マター」の案件なら、相手がいい人ならば意見ぐらいは言えるかも? と続きます。
しかし、この「トップダウン案件」には、「これは無理筋では・・・」とか「これ本当にニーズあるの?」と疑念が生まれても、ストップがかけられないというリスクがあると書いています。
ダメじゃん!(笑)
通常のボトムアップ案件なら、尖ったものは出にくいのですが、逆に「なんじゃこりゃ?」というものもできにくいとまとめています。
なるほど、一長一短なんですね。
コロちゃんたちが見聞きするのは、圧倒的にトップダウンの政策ですね。すぐにマスコミから流されて、目立ちますからね。
ん、ということは、最近の岸田総理の「少子化対策」は、この分類で行くと「トップダウン型」なのかなー。
そうだとすると、「無理筋・・・」「ニーズ・・・」。
違うよねー。たぶん?
( ̄‐ ̄)んー
5.「議員レク」
「レク」とは、霞が関用語で「レクチャー」のことだそうです。
ここで「レクレーションだと楽しいのですが」と書いてあるところが、本書を読んで楽しいところです。
本書は「議員レク」を、「鬼滅の刃」に託して説明しています。これはわかりやすい(コロちゃんは鬼滅の刃を読んだことがないので分かりませんが)。
「霞が関の人(官僚)=鬼殺隊」
「国会議員=鬼」
霞が関の人のレク技術(強さ)は、事務次官、局長級が柱に相当。
課長級はもうすぐ柱になれそうな中堅の鬼殺隊。課長補佐級、係長は雑魚の鬼殺隊。係員は鬼殺隊に入団前の研修生くらいの強さ。
国会議員の強さは、総理大臣が鬼舞辻無惨。各省庁の大臣やOBが十二鬼月の上弦の鬼。副大臣・政務官が下限の鬼に相当。
この配役で、国会の質問に対する「レク」(問取り)をバトルのように開陳しているのです。
この解説は、読んで楽しく、読後は様子がすっかり頭に入ります。
この最後には「こうして、いくつもの激しい戦いと修行を経験し、鬼殺隊研修生(係員)で生き残った数人がいつか柱(局長)になるのです」とストーリーが終わるのです。
霞が関の住人のお仕事の一つの「議員レク」が、よくわかる解説ですが、いやいや、なかなかハードな業務です。
議員も官僚もそれぞれの高度な専門家であることがわかりました。
国の官僚組織が、どのような仕事をしているのかがよくわかる描写だと思いましたね。
6.「国会答弁書完成までの道」
国会の議員さんの質問が、前日に通告され、その解答の準備のために、霞が関の住人が長時間労働を強いられるお話は、コロちゃんでも知っているぐらい、世の中に知れ渡っています。
その実態を知りたいとも思っていましたので、この章は、興味津々で読みました。
まず、国会議員の「質問要旨」という紙が国会連絡室からメールで送られてきます。これが午前中に来たとしますと、以下の流れになるそうです。
その後、官房から担当課に振り分けられます。
できるだけ当たらないように「割りモメ」(割り《担当》もめる《押し付けあう》)が起こることもあるようです。
担当課が決まるころには、午前は終了。
午後からは、質問を出した国会議員に「間取り」という質問の詳細を聞きに行きます。
帰ってくると「国会答弁書作成道場」の始まりです。
完成したら、どんど上の人に上げて、スタンプラリーのように了承をとっていきます。
予算がらみだと財務省の了承も必要となるのですが、その頃には終電間近となっています。
財務省もOKですと印刷して終了! となりますが、終電がない時はタクシー帰宅となります。
さらに、これで終わりではないというのです。
まだ大臣に説明してないのです。翌日早朝5~6時だったりもしますが、答弁作成者が説明しなければならない時には、睡眠時間は2~3時間だというのです。
なんという「非人間的職場」でしょう。「奴隷労働」でも、睡眠時間ぐらいはもっと取れていたのではないかと、コロちゃんは思ってしまいました。
コロちゃんは、本書でこの章が一番興味深かったですね。
7.国家公務員には、労働基準法の適用がない
本書には、上記で紹介した以外にも、多くの内容が盛りだくさんに書かれています。
国家公務員の「キャリアパス」(上級ポストとそれへのルート)や、「人事異動」、「サラ飯」、「省庁ごとのカラー」などなど。
お堅く思われている「国家公務員の世界」を、ちょっと垣間見られる本だと思いました。
しかし、著者も「出世目的なら見返りが少なすぎる」と書いていますが、仕事の内容にしては給料が安いのではないでしょうか。
また、上記であるような、非人間的な「長時間労働」を強いている点も、まともな業務のマネジメントができていないようにしか見えませんが、どうなんでしょうね。
国家公務員に「労働基準法」が適用されないことに、コロちゃんは本書で初めて知りました。
国家公務員には「労働基準法」が適用されず、「勤務時間法」が適用されるそうでが、そちらの方では、この長時間労働はどのように扱われているのでしょうか。
いずれにしろ、若い官僚が毎年何人も辞めていく状況は、改善すべきと思いました。
本書は興味深いですよ。ぜひ読むことをおすすめします。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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