【経済考】「高齢者と女性の就業」経済財政白書2023②

経済

おはようございます。今朝はいつものようにワンコと散歩してきたのですが、このワンコが昨日はエサをぜんぜん食べないのですよ。

以前は、エサを食べなくとも、おやつのジャーキーは喜んで食べていたのですが、昨日はそれも見向きもしないで、寝てばかりでした。

このワンコは、もう14歳になりますから、犬としては「老犬」です。ちょっと心配ですね。この分ではコロちゃんよりも先に・・・あーやだやだ。

そのようなことは考えずに、しっかりとブログをポチポチしましょう。

今日は、昨日の続きの「経済財政白書2023②」をポチポチします。

1.「経済財政白書」の続きです

政府は、先月の8月30日に「令和5年度(2023年度)年次経済財政報告」を発表しています。

この「報告」は、「経済・財政」の1年間の動きを分析し、問題点や展望、政策の方向などについてまとめたもので、通称を「経済財政白書」といいます。

この「経済財政白書」は、全部で500ページもありますから、すべてをご紹介することはできません。

ですから、コロちゃんが目を止めたところを、何点かポチポチしてみました。

その昨日のブログ記事をまだお読みになっていない方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

【経済考】「物価高とその背景」経済財政白書2023①

2.第2章「家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題」

「白書」の第2章では「家計の所得向上と少子化」を取り上げています。

まず「家計の所得向上は・・・最重要課題の一つである」とした上で、「少子化は我が国が直面する、最大の危機」と冒頭で危機感をあらわにしています。

①「労働供給の推移」

この「白書」では、「2010年代は・・・労働供給面をみると、女性・高齢者のパートタイム労働者など相対的に賃金の低い労働者の参入を伴っ」ったとしています。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 労働供給の推移」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

日本の総人口は2008年をピークに減少に転じていますが、「就業者数」は上記のグラフを見てもわかるように2013~2019年にわたって逆に増加しているのです。

上記のグラフの赤線を見ると、2013年頃から上昇し始め、2020年はコロナ禍の影響で落ち込んでいますが、それ以降はほぼ横ばいでジグザグしています。

この2010年代の増加を、「白書」では「女性や高齢者の労働参加が推進され、相対的に労働時間が短く賃金の低いパート・アルバイトの雇用形態の増加につながった」としています。

要するに、2010年代は、「女性とお年寄りの非正規雇用が増えたよ」と言っているのですね。

〇女性・現役世代(64歳以下)

下記のグラフを、ご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 労働供給の推移」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記のグラフは、「女性・現役世代(64歳以下)の雇用形態別雇用者数」です。

「現役世代」は、2014~2023年にかけて、右肩上がりに増加しています。そしてその就労形態は「正規雇用(薄緑色)」がほとんどを占めているのです。

〇高齢者(65歳以上)

次に「高齢者(65歳以上)」を見てみましょう。下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 労働供給の推移」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記の「高齢者(65歳以上)の雇用者」を見ると、2014~2023年にかけて、右肩上がりに増加していますが、その中身は「パート・アルバイト(エンジ色)」が大半を占めています。

上記で見た「女性・現役世代(64歳以下)」がほとんど「正規雇用(薄緑色)」だったのと対照的になっています。

これを「白書」では「女性・高齢者のパートタイム労働者など相対的に賃金の低い労働者の参入を伴ったことから、賃金の伸びは需給の引き締まりにも関わらず、緩やかとなった」と書いています。

そして、この状況の結論としては、「人数の多い団塊の世代が75歳超の後期高齢者となり、継続就業が難しくなること・・・今後は追加的な労働供給余地が低下」としています。

また、「こうした労働供給余地の低下は・・・賃金の上昇率が高まりやすい状態へと移行することを示唆している」と締めています。

ホントに、お役所の文章はくどくてわかりにくいですね。

要するに、ここ10年程度は「高齢者と女性」が働き始めたから「賃上げ」をしないですんだけど、これからはもう人がいなくなるから、「賃金は上がる」だろうと言っているのですよね。

まあ、この辺りはコロちゃんも周りを見ていて、そうだろうなと納得する思いですね。

どこに買い物に行っても、高齢者の店員は多いですし、道路工事の現場を見ても交通指導員は高齢者がほとんどです。

しかし、「団塊の世代」は2023年で74~76歳になりますから、いつまでも働き続けることはできないでしょう。

ですから、今後の日本では「人手不足」になってお給料も上がるとだろうと、コロちゃんも思いまいすね。

②「高齢者の就業」

上記で、「高齢者」の「雇用形態」が「パート・アルバイト」が多い点を見てきましたが、「白書」ではさらに詳しい内容を突っ込んで調べています。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 高齢者の就業動向」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記のグラフは、「高齢者の就業動向」の「60歳以上の年齢層別割合の推移」です。

この「各年齢層の割合の推移」では、「高齢者」の全年齢で緩やかな増加が続いているように見えます。

「白書」では、「高齢者の年齢階級別にみた就業率でみると目立った増勢鈍化はみられておらず」と、まだ増勢は続いているとしています。

しかし、次のグラフで今後に警鐘を鳴らしていますね。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 高齢者の就業動向」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記は、「60歳以上に占める各年齢層の就業者の割合の推移」のグラフです。

これを見ると、「高齢就業者」は、75歳以上が45%と半分近くになっているのです。

コロちゃんは、一目見て「団塊の世代」を思い出しました。1947~1949年生まれの「団塊の世代」は、上記の2022年で74~76歳です。

この「団塊の世代」の就業者は、今後近いうちに順次労働市場から退出していくでしょう。

そして、その穴埋めをするはずの「65~69歳」と「60~64歳」の高齢者の、60歳以上人口に占める数は、グラフで見るように20%に満たない数でしかないのです。

この「白書」では、このグラフについて、下記のように記載しています。

「高齢者の中での65歳以上や70歳以上の割合が高まるなど、就業率の低い年齢階層に人口の重心が移動することにより、全体の労働供給ペースが鈍化している」

何といおうかこれも「お役所言葉」というのでしょうか。

はっきりと「高齢者の就業者はこれからは増えないよ」といえばよい所を、「就業率の低い年齢階層に人口の重心が移動」したとの書き方では、一度読んだぐらいでは意味がつかめないじゃないですか。

しかし、日本の「高齢者」は、なぜこんなに働き続けるようになってしまったのでしょうね。

かつては「定年退職後」には、「悠々自適のリタイヤ生活」が当たり前でしたけれど、今は逆に「働くのが当たり前」になってきています。

正に「生涯現役」「死ぬまで働け」の世界です。

「働かなければ生活できない」のか「社会参加として望んで働く」のか、コロちゃんは前者の方が増えたように思えるのですが、いかがでしょうか。

とにかくコロちゃんは、どんどん皆さんのお給料が上がって、「高齢」となったら安心して「リタイヤ生活」をおくれるようにしててほしいです。

③「男女賃金格差是正」

次に「男女間の賃金格差是正」について見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 年齢別男女賃金格差是正」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記は、「正社員の年齢階級別年収」のグラフです。一目見ても男女の「格差」が良くわかりますね。

「白書」では、「最も差が小さい20~29歳の年齢階級でみても、女性の年収は男性対比で約22%低く、この差は年齢が上がると拡大する傾向にあり、30~39歳では約36%、50~59歳では約43%低くなっている」と書いています。

この大きな差が「男女差別」でないと言ったら、何を「差別」といってよいのかわからなくなりますね。

そしてこの「白書」には男女別の「正規雇用の割合」も載っています。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 年齢別男女賃金格差是正」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記のグラフは「男女別の正規雇用割合」です。

「白書」では「女性の方が正規雇用の割合が低く、特に年齢階級が上がるにつれてこの差が広がる傾向がある」と書き込んでいます。

この「男女の年収の差」について、「白書」では、以下の点を指摘しています。

〇女性の方が労働時間が短い
〇女性の方が時給が低い
〇管理職割合に大きな男女差がある
〇男女に勤続年数に差がある
〇管理職割合に差がある

そして、そのまとめとして「白書」では、以下の様に書いています。

「男女間賃金格差は、女性の正規雇用者が増加傾向にある中で徐々に縮小傾向にあるとみられ、縮小の動きを後押ししていくことが重要である。」

「また、2022年から男女間の賃金の差異に関する情報の開示が義務化されたことも、男女間賃金格差の是正を加速させることが期待される」

コロちゃんが、読んだ限りでは、全く甘い見通しだと感じました。企業は利益が第一ですから、法規制がない限り、男女格差は縮まることはないと思います。

④「出生年代別の賃金カーブ」

コロちゃんが、この「白書」をチラチラと流し読みをしていましたら、「出生年代別の賃金カーブ」というグラフを見つけました。

〇男性の賃金カーブ

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 出生年代別の賃金カーブ」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記のグラフは、「男性」の「出生年代別の賃金カーブ」です。

折れ線は、以下の年代を指します。( )かっこ内は「25~29歳時点の賃金額」です。

〇朱線 1956~60年生まれ(262万円)
〇青線 1961~65年生まれ(289万円)
〇緑線 1966~70年生まれ(308万円)
〇赤線 1971~75年生まれ(304万円)
〇橙線 1976~80年生まれ(306万円)
〇水線 1981~85年生まれ(304万円)

これを見ると、25~29歳時点の賃金は、1966~1970年生まれ(308万円)が、一番高いのですが、グラフの賃金カーブを見ると、出生年が早いほど(年齢が高いほど)50代の賃金カーブが高くなっています。

この賃金カーブは、「25~29歳時点を100」としていますから、1956~60年生まれ(朱色)の方の40代の賃金は(262万円×2)で520万円をこえるでしょう。

それと対照的に、1971~75年生まれの方は(304万円×1.5)で、450万円程度にとどまるでしょう。

生まれ年が後になるほど、「賃金カーブ」の頂上が低くフラット化が進行しているのです。全く不公平・不平等なことですね。

どうぞ、これを見て、ご自分の出生年と照らし合わせてみてください。

コロちゃんは、このグラフの「〇朱線 1956~60年生まれ(262万円)」よりも、以前の生まれですので、コロちゃんと同世代の方は、50代の年収が、グラフの方たちよりさらに高い山になっていたと思います。

それでも、男性の50代といえば子どもの進学費用や、老後の準備で出費がかさむ年齢です。

それが、後の世代では賃金カーブがフラット化していますから、更に苦しい生活になっていると思いましたね。

〇女性の賃金カーブ

それでは、次に「女性」の「賃金カーブ」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 年次経済財政報告 出生年代別の賃金カーブ」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je23/pdf/p020001.pdf
出典:内閣府 年次経済財政報告 令和5年度-動き始めた物価と賃金- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題 より(9月6日利用)

上記のグラフは、「女性」の「出生年代別の賃金カーブ」です。

折れ線は、以下の年代を指します。( )かっこ内は「25~29歳時点の賃金額」です。

〇朱線 1956~60年生まれ(212万円)
〇青線 1961~65年生まれ(236万円)
〇緑線 1966~70年生まれ(259万円)
〇赤線 1971~75年生まれ(262万円)
〇橙線 1976~80年生まれ(269万円)
〇水線 1981~85年生まれ(276万円)

女性の「賃金カーブ」は、男性と比較するとカーブが潰れてフラット化して低くなっています。日本においては現在に至るまで、女性の賃金は低いですから、予想通りとも言えます。

だけど女性の「25~29歳時点の賃金額」が、どの年の生まれでも300万円にも満たないとは、コロちゃんは思わず「やっすい!」とつぶやいてしまいました。

上記の男女のグラフを比べてみると、男性の1956~60年生まれは40代に「25~29歳時点」の2倍(200%)の賃金を受け取っていましたが、女性の1956~60年生まれの方は、1.5倍(150%)にとどまっています。

日本の男女の賃金差別が、はっきり見て取れます。

また、女性の25~29歳時点の賃金は、男性よりは低いですが、年代が後になるほど高くなっています。

しかし、賃金カーブの山で、男性のような高い山は女性の全世代においてみられません。全く不公平・不平等なことですね。

「白書」では、下記のようにまとめています。

「年功型賃金制度の下で、若年期の賃金は本来の生産性よりも低く抑えられ、年齢が上がるにつれて賃金も徐々に上昇するという賃金カーブが観察される。」

「ただし、出生年が後の世代ほど賃金カーブのフラット化が観察されている。」

そして、興味深い事には、この「白書」では「賃金カーブのフラット化」を批判的に取り上げていないのです。

この「白書」では、下記のようにまとめています。

「過去と比較すると年齢とともに賃金が上昇しにくくなっている中で、若年層の所得面での将来不安が高まっている」

「若年層の貯蓄理由をみても、老後の生活不安を理由とする割合が近年急速に高まっている・・・賃金カーブのフラット化とライフサイクルの早い段階での資産形成は親和性が高いと言える」

この稿の小見出しは「●若年期からの資産形成が将来不安の軽減に結び付くことに期待」です。

コロちゃんは、このフラット化した賃金カーブを見て、以前のような山に戻すか、それとも若い時から高い賃金にすることを考えたのですが、この「白書」の主張は違っています。

年をとっても賃金は上がらないから、若い時から資産形成して老後の不安を無くそうとの結論なのです。

コロちゃんは、思わず「それは違うだろ!」と突っ込んでしまいました。

だいたい、賃金カーブの山がフラット化することによって浮いた「人件費」は、どこに行ったのでしょうか。

雇用者に「賃金」として配られていないのですから、その浮いた「人件費」の行く先は、企業の「内部留保」と「株主配当」でしょう。

このお金を、再び賃金として雇用者に配ればよいと考えるのは、コロちゃんだけではないと思いますよ。

3.「少子化傾向の反転に向けた課題」は明日に

今日は、「第2章 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題」で、この「経済財政白書2023」(その2)を書き終わろうと思っていたのですが、ちょっと長くなりすぎました。

上記したような、興味深い点と内容が多くて、思ったより筆が進んでしまいました。

特に最後の「賃金カーブ」と「資産形成」を結びつけた論調は、官僚の方が問題提起をするために強引に滑り込ませたのかもしれないと思いましたね。

とにかく、この「白書」の内容は、精密・緻密に組み上げられています。さすが日本の官僚さんは優秀ですね。

コロちゃんは、ざっと読んでとても興味深く思いました。明日にまわした「少子化の反転に向けた課題」もいろいろと知ることができると楽しみです。

皆さんも、興味がありましたら、ぜひこの「令和5年度年次経済財政報告」をお読みください。

下記のリンクからお読みいただけますよ。

令和5年度 年次経済財政報告 - 内閣府
内閣府の政策(経済財政)、白書・年次報告...

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

JohnによるPixabayからの画像
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