【経済考】6月15日は、年金支給日です。

経済

おはようございます。今朝は朝から青空が一面に広がっていました。梅雨の中休みでしょうか。

今日は一日暑くなりそうです。皆さんも、熱中症にお気を付けください。

今日は、つい先日の6月15日の「年金支給日」のことをポチポチします。コロちゃんは、年金生活者ですので、このような話題には、特に敏感に反応してしまうのです。

1.6月15日は何の日でしょう

6月15日というと、1970年代に青春を謳歌したコロちゃんは、樺智子さんが亡くなった日を思い起こしました。

樺智子さんは、1960年6月15日に、当時の安保闘争で国会前で亡くなった東京大学の女子学生です。

今の若い方は、当然ご存じないかと思いますけど、コロちゃんよりも少し上の世代の方には、よく知られた話かと思います。合掌。

話がそれましたが、現在6月15日というと「年金の支給日」なのです。

年金は、「偶数月の15日に2ヶ月分を支給する」となっていますので、つい先日の6月15日には、郵便局や多くの銀行で、お年寄りが朝から行列をつくって並んでいたかと思われます。

最近では、この「偶数月の15日」の金融機関の行列が、すっかり街の風景になってきていますね。

2.六月から年金が上がってます

この6月から、日本全国の年金生活者の受け取る年金額が上がっています。

日本の大手企業の「春闘」での「賃上げ」は3.66%(連合6/5第6回集計結果)と30年ぶりの大幅賃上げとなっていますが、お年寄りの「年金」の「賃上げ」(増額)は、「連合」の「賃上げ」を大幅に下回ります。

下記のグラフをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf
出典:厚生労働省 令和5年度の年金金額改定について より(6月16日利用)

上記のグラフでは、「年金改定」は、2種類に分かれています。68歳以上の「既裁定者」と、67歳以下の「新規裁定者」です。

「新規裁定者」とは、67歳以下で新たに年金を受け取る方を表します。

「既裁定者」とは、68歳以上で既に年金を受け取っている方を表します。

コロちゃんは、もうすぐ70歳になりますから「既裁定者」になりますので、年金改定額は「プラス1.9%」となります。

おお、年金が上がっているから、うれしいね!
⸜(*ˊᗜˋ*)⸝ワーイ

とはなりません。
L(゚□゚)」オーマイガ!

3.物価はもっと上がってる

なぜ、「うれしいね」とならないかというと、物価はもっと上がっているからです。

下記の引用をご覧ください。

「総務省 統計局 消費者物価指数」より

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/index-z.html
参照:総務省 統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)平均 より(6月16日利用)

上記の引用を見てもわかるように、昨年2022年の物価上昇率は、2.5%です。年金が1.9%上がっても、実質支給額は下がってしまっているのです。

これでは、全国の「年金生活者」が生活防衛に走るのも無理はないですね。

4.高齢者の暮らし向きはどうなってるの?

それでは、現在の高齢者の生活はどうなっているのでしょう。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 令和2年版高齢社会白書」より

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_3_1_1.html#:~:text=%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%81%AE60%E6%AD%B3%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%AE%E7%94%B7%E5%A5%B3%E3%81%AB%E3%80%81%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%81%AE,%E5%BF%83%E9%85%8D%E3%81%AA%E3%81%8F%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
参照:内閣府 内閣府の政策 令和2年版高齢社会白書  1 経済生活全般の状況 第1章 高齢化の状況(第3節 1-1)(6月16日利用)

上記の引用は、内閣府が行なった「高齢者の経済生活に関する調査」です。全国1755名のアンケート調査になります。

コロちゃんと同年代を見てみると、男性の65~69歳の区分になります。

その方たちの「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」14.8%(ピンク)と、「家計にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」51.9%(ブルー)を合計すると、66.7%になります。

また「家計にゆとりがなく、多少心配である」23.5%(エンジ色)と、「家計が苦しく、常に心配である」6.0%(薄緑色)を合わせると、29.5%となります。

そう考えると、コロちゃんと同年代の男性の生活は「心配ない」が7割弱、「心配だ」が3割というところなのでしょう。

この数字をどう読み取るか、人それぞれで違うと思います。60歳以上の人口は4000万人を超えています。

ざっくりした計算では、「生活に心配ない」方が2800万人弱で、「生活が心配だ」が1200万人ということになります。

これをどう見たらよいのでしょうか。7割弱の方が「心配ない」のだから、現状をよしとするべきか、3割の方が「心配だ」だから、もっと支援すべきなのか、どちらなのでしょうか。

5.「年金」は生活の柱

それでは、高齢者が生活を維持するための所得と「年金」の関係を見てみましょう。コロちゃんは、所得は「年金」のみですが、他の方はどうなのでしょうか。

以下のグラフをご覧ください。

「内閣府 高齢社会白書(全体版)」より

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2013/zenbun/s1_2_2_02.html
参照:内閣府  平成25年版 高齢社会白書(全体版)より(6月16日利用)

上記の円グラフを見ると、コロちゃんと同じく所得が「年金」のみの方は、56.5%いらっしゃいます。80%以上の方を合わせると、全体の7割の方の所得がほぼ「年金」が中心となります。

このような方たちにとって、年金の改定(支給額アップ)は、生活上の重大事です。

今回の年金改定は、物価上昇の中で、マクロ経済スライドの調整でマイナス0.6%と減額されました。これは所得を年金のみに頼っているコロちゃんたちにとってみれば、大きな減額です。

6.マクロ経済スライドによる減額の中身

今回の「マクロ経済スライド」における減額は、3種類の減額の合わせ技です。

①令和5年度のマクロ経済スライドの調整率 マイナス0.3%
②令和4年度のマクロ経済スライドの調整率 マイナス0.2%
③令和3年度のマクロ経済スライドの調整率 マイナス0.1%

合計 マイナス0.6%

上記のようになっていて、②と③は「キャリーオーバー分」です。

よりによって、この物価上昇で生活の負担が大きくなっている時に、上記の3年分の「マクロ経済スライド」の0.6%が、一気に調整されてその分の「年金」が減額されたのです。

その分のしわ寄せは、高齢者の「生活」に押し寄せてきています。

7.「マクロ経済スライド」はやり方を考えるべき

上記で見てきたように、生活に心配ない高齢者は、全体の7割いらっしゃいます。この方たちは、現状に不満は少ないでしょう。

そこだけを見れば、選挙で与党は安心かと思われます。

しかし、3割の高齢者は「生活が心配」なのです。

ただでさえ生活が苦しい中で、キャリーオーバーで一気に「マクロ経済スライド」を翌年に繰り越すやり方は、高齢者の生活を顧みないやり方だと思います。

もう一度、「マクロ経済スライド」について、見てみましょう。

8.「マクロ経済スライド」とは

「マクロ経済スライド」とは、現役人口の減少率と平均余命の伸びから調整率をはじき、物価や賃金の動向を反映させる毎年度の年金改定率から、差し引く制度です。

ただし、年金額がマイナスになる改定は行なわずに、翌年度以降に繰り越すルールがあります。

下記のグラフをご覧ください。

「日本年金機構 マクロ経済スライド」より

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/kaitei/20150401-02.html
出典:日本年金機構より

上記のグラフのように、物価と賃金の両方が上がっている時には、「現役人口の減少率と平均余命の伸びからの調整率」=「マクロ経済スライド」分が、年金改定率から差し引かれます。

下記のグラフを、ご覧ください。

「日本年金機構 マクロ経済スライドz」より

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/kaitei/20150401-02.html
出典:日本年金機構より

上記のグラフを見てわかるように、賃金と物価の上昇が小さい場合には、マクロ経済スライドによる年金額の改定を行うと、年金額がマイナスになってしまうため、改定は行われません。

その代わりに、その分は次の年にキャリーオーバーで繰り越されます

下記のグラフをご覧ください。

「日本年金機構 マクロ経済スライド」より

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/kaitei/20150401-02.html
出典:日本年金機構より

上記のグラフを見てもわかる通り、賃金・物価が下落した場合は、年金額は、賃金・物価の下落した分のみ引き下げられます。

このような、一度聞いただけでは、とても分かりにくい複雑な制度になっているのです。

今回2023年度の「マクロ経済スライドによる調整率」は、上記の理由で、過去2年分の繰越額が累積していました。

それを、今回一気に解消したために、マイナス0.6%と大きなものになってしまいました。。

何度も書きましたが、この「マクロ経済スライドによる調整率」は、金額がマイナスになる改定は行わずに、翌年度以降に繰り越すルールがあります

これは、制度創設時の想定で、通常の経済状態であれば、賃金の伸びが物価上昇を上回ると見ていたことによります。

上記の「日本年金機構 マクロ経済スライド」のグラフの、一番上の「賃金・物価の上昇率の大きい場合」の状態が毎年行なわれると想定していたのですね。

ところが、実際には、賃金の伸びが物価上昇を下回ったり、マイナスとなっていたのが実態でした。

現実に起きたことは、上記の「日本年金機構 マクロ経済スライド」のグラフの、下の二つのグラフだったということだと思います。

「賃金・物価の上昇率が小さい場合」と「賃金・物価が下落した場合」が、過去に起きてしまっていたのです。

9.年金改定は慎重に

このように見てくると、「マクロ経済スライド」という制度に盲点があったことがよくわかります。

確かに、システムとしては論理的でよくできているのですが、物価上昇で、一番年金生活者が苦しい時期に、まとめてキャリーオーバーが発動されるようになってしまっているのです。

これならば、物価や賃金が下がった時には、年金もキャリーオーバーさせずに、年ごとに下がった方が、まだマシです。

上記で見てきたように、年金生活者の3割の方は、経済的に「生活が心配」なのです。この社会的弱者に配慮した制度の運営をしていただきたいと思います。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

dae jeung kimによるPixabayからの画像
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