ネアンデルタール人は私たちと交配した(スヴァンテ・ペーボ 著 文芸春秋)
2022年のノーベル生理学賞・医学賞を、DNA考古学者のスヴァンテ・ペーボ博士が受賞したことはコロちゃんもよく覚えていました。興味あるジャンルでしたから。
①ネアンデルタール人とDNA
ペーボ博士はネアンデルタール人の化石のDNAを解析することにより、ホモサピエンスと交配していたことを証明したのです。
古人類学にまったく新しい知見をもたらすことによって、古人類学の世界に大きな貢献をしたとしてノーベル賞を受賞しました。
コロちゃんが古人類学に興味をもったのは、1991年に発行された「サル学の現在」(立花隆 著)を読んでからです。
まだ、化石の研究しかできない時代に、ヒトの誕生をめぐる科学的な知見は、宗教や民族の根幹を揺るがすようなパワーを持っていると感じ、のめり込みました。
その後も古人類学の一般向けの本は、できるだけ読んできましたが、2000年ごろから新しいDNA解析の技術がすごい勢いで開発されてきました。
それまで主流だった人類の他地域進化説がくつがえされる動きがおきたことなどは、実に刺激的でした。
本書のペーボ博士は、その怒涛の時代を大学院生から一流研究者へと駆け上ったいわばヒーローです。その研究の内容が、リアルに詳細に拡げられているのです。
すでにマスコミで、ホモサポエンスとネアンデルタール人との交配の証拠が発見された事は聞いていました。すごく興奮する思いを持ちながら読みました。
その内容を本書で順々に読むと、その困難さを知るとともに、DNA考古学の進歩は、ヒト発生の神秘を解き明かしつつあると感じます。
②成功物語は読んで楽しい
ヒトの発生は神の御業ではなかったのか、それともこれこそが神の御業なのかと、嘆息する思いです。
DNA解析の具体的な叙述は、わからないことばかりですが、その苦闘ぶりと雰囲気は伝わってきます。
やはり、成功物語は読んで楽しく夢があります。
2010年に「サイエンス」に提出した論文は174ページの電子補助資料付きで発表され、ある古生物学者はそれを「科学論文というより本に近い」と評したとされています。
ヒトがどこから来て、どこへ行くのかを探求したペーボ博士の研究は、まるで大団円を迎えたドラマのようで、読んで楽しい時間を過ごせました。次の章の扉もまた、何年か後には開くことでしょう。
ぜひ、この本を読むことをおすすめします。楽しい時間が過ごせますよ。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に触りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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