おはようございます。皆さん、連日の暑さの中ご苦労様です。
コロちゃんは、早朝のまだ涼しいうちにワンコの散歩を終えるようにしていますが、最近は早朝でも暑い日が多くなっていますね。
まさに連日の「酷暑」ですね。皆さん水分をどんどん取ってくださいね。コロちゃんも、麦茶を喉が渇いてなくともガブガブ飲むようにしていますよ。
今日は、「最低賃金」のお話をポチポチします。
1.「最低賃金」全国平均で1002円
先日の7月28日に「中央最低賃金審議会」が、2023年度の「最低賃金」の目安を全国平均で時給1002円にすると決めたと報道されました。
日本における「最低賃金」の決め方は、まず「中央最低賃金審議会」(メンバーは「公益代表委員」「労働代表委員」「使用者代表委員」の各6名)が討議します。
そして、その「中央最低賃金審議会」で、全国をABCの3つのランクに分けて目安の金額を示します。
次は、その目安をそれぞれの都道府県の「地方最低賃金審議会」が議論し決定するシステムとなっています。
その「地方最低賃金審議会」のメンバーは「公益代表」「労働者代表」「使用者代表」の各5名の委員で構成されています。
現在までの「最低賃金」の全国平均は、961円です。最高額は東京都の1072円、最低額は沖縄県の853円となっています。
そして、最初に書きましたように、全国平均の「最低賃金」の目安を1002円に上げることとしたわけです。
それで今後は、東京や大阪などのAクラスは41円、Bクラスは40円、Cクラスは39円上がることとなりました。
報道によりますと、対象外の公務員などを除くと、日本全体で適用される人の5割超にあたる2500万人を超えるひとが1000円以上となるとしています。
確かに「最低賃金」が上がれば、適用されている方々の生活はその分楽になりますから、良いことなのですが、ホントに楽になるのかどうか、ちょっと調べてみましょう。
2.「最低賃金」の推移
それでは、過去の最低賃金がどのように上がってきたのかを見て見ましょう。
下記のグラフをご覧ください。
「労働政策研究・研修機構 最低賃金」より
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0403.html
出典:労働政策研究・研修機構 早わかり グラフでみる長期労働統計 最低賃金(7月29日利用)
上記のグラフは、1975~2022年までの「最低賃金の推移」です。1975~2001年までは「日額」で、その後の2002~2022年は「時間額」が記録されています。
この表の「最低賃金」の金額の推移からは、毎年順調に増額されているように見えます。しかし、下記のグラフをご覧ください。
「厚生労働省 厚生労働白書」より
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-03-02-25.html
出典:厚生労働省 平成29年版 厚生労働白書ー社会保障と経済成長 図表3-2-25 最低賃金の年次推移(2016年)より(7月29日利用)
上記のグラフは、2000~2016年の「最低賃金」ですが、「最低賃金額」だけではなく、「引き上げ額」(ピンクの棒)も記載されています。
このグラフを見ると、「最低賃金」の上昇額は小さくてほとんど横ばいに見えますね。
このグラフの「最低賃金引き上げ額」(ピンクの棒)を見ると、2000~2005年はほとんど上がっていません。これが「就職氷河期」の時代です。
そしてピンクの棒が一段と落ち込んでいる2011年が東日本大震災の年です。
このように「最低賃金」には、その時の時代状況が色濃く反映されているのです。
総じて2000年代の前半は、「最低賃金」はほとんど上がっていないですね。
3.「最低賃金」と韓国との比較
コロちゃんは、以前にこのブログで「日本」と「韓国」の最低賃金との比較のお話をしたことがあります。
その内容は、2024年の韓国の「最低賃金」が、9860㌆(1080円)に決まったと報じられたことについてです。
そうなると「日本の最低賃金(東京1072円)」が「韓国の最低賃金(1080円)」に追い越されたということになっており、日本は情けないとブログで書きました。
そのブログ記事をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。
このブログ記事時点の報道では、2024年の韓国の「最低賃金」が、9860㌆(1080円)と報じてられています。
ですから、今回の日本における「中央最低賃金審議会」の2023年度の「最低賃金」の目安である全国平均の時給1002円では、「韓国」の「最低賃金」を下回ったままということになります。
「韓国」は「日本」と同じく、東アジアの「資本主義国家」です。
日本でもせめて「韓国に負けない最低賃金を」となって欲しいと、コロちゃんは思っていたのですが、今年もかなえられずにとても残念ですね。
お隣の同じ資本主義国の「韓国」に追い越されるのは、情けないことだとコロちゃんは考えています。
4.「最低賃金」と岸田総理
岸田総理は、3月15日に政府・経済界・労働団体の代表者で構成される「政労使会議」で、以下のように発言をなさっています。
「今年は1000円を達成することを含め最低賃金審議会で明確な根拠のもと、しっかり議論いただきたい」
また、岸田総理は、6月13日の記者会見でも、以下のようにご発言をしています。
「1000円の達成を含め、審議会でしっかりと議論していただきたい」
これらの報道を見る限り、岸田総理も「最低賃金1000円」を望んでいたと思われます。
あまりにもピッタリすぎる
そして、今回7月28日に「中央最低賃金審議会」が決めた「最低賃金」の目安は、全国平均で「1002円」です。
中央最低審議会のお偉いさんたちは、どのようなやり取りでこの1002円を決めたんでしょうね。
「1000円を下回っちゃうと総理の顔を潰すよね」
(コロちゃんの想像です)
「1005円を超えちゃうと社長さんたちがいい顔しないよね」
(コロちゃんの邪推です)
「1000円ちょうどだと、見え見えになっちゃうよね」
(コロちゃんの偏見です)
「中央最低賃金審議会」でどういう話し合いがあったのかは、コロちゃんは全く知りませんが、先日の7月28日に新しく決まった日本の最低賃金の全国平均は1002円でした。
コロちゃんが、この決定の過程について、邪な想像をしたり、邪推したり、偏見を持ったりしたことは、一切ありません。
(心の声が少し漏れていたみたいですが、お気になさらないでください)
5.「最低賃金」で生活できるのか?
上記で、報道によりますと、日本全体で(最低賃金が)適用される人の5割超にあたる2500万人を超えるひとが1000円以上となると報じられていました。
もちろん、この2500万人の方たちの全員が、この「最低賃金」のお仕事だけで生活しているとは限りませんし、ご家族がいらっしゃる方も数多くいらっしゃると思います。
しかし、中にはこの「最低賃金のお仕事」が生活の中心である方や、一人暮らしの方も数多くいらっしゃることと思います。
そこで今回改定となる「時給1002円で、1日8時間、週5日間働くとすれば、月の収入は、1002円×8時間×5日×4週=月収16.03万円となります。
月収16.03万円ですと年収は192.4万円です。年収200万円に満たない金額なのです。
もし単身生活だとすると、この金額で生活が成り立つのでしょうか。
以下の表をご覧ください。
「総務省統計局 家計調査報告 」より
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2022.pdf
出典:総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要より(7月29日利用)
上記の表は、総務省統計局の2022年の「家計調査」です。
これを見れば、2022年の「単身世帯」の「消費支出」がわかります。
表の一番右側「単身世帯」の枠の、右から三番目の数字が「単身世帯の消費支出」の金額です。
一番下の2022年の数字は「161753円」となっています。
約16.2万円ですね。これが現在の「単身者世帯」の消費支出の平均です。
しかし、この約16.2万円という数字は「消費支出」です。この中には「社会保険料」や「税金」などの「非消費支出」は含まれていません。
低所得の方の「税金」は非課税の場合もありますが、「社会保険料」は支払わなければなりません。
「社会保険」である「国民年金」は月16250円で、「国民健康保険料」は年収200万円ですと月約12000円となります。
上記で見てきました「最低賃金の月収16.03万円」から、「国民年金(月約1.6万円)」と「国民健康保険(月約1.2万円)」の「非消費支出」を引いてみましょう。
そうすると残りの生活費は、「約13.2万円」となります。
しかし、上記で見た「単身者世帯」の消費支出の平均は「約16.2万円」です。これでは毎月3万円の赤字となってしまいます。
コロちゃんの目には、今度の岸田総理の肝いりで決まった「最低賃金1002円」では、単身者では食べていけないと映ります。
その食べていけない方は、ダブルワークをするなり、あるいは同居している方の収入を頼りにすることにならざるを得ないと思いますね。
6.「最低賃金」と物価上昇
今回の全国平均1002円の「最低賃金」の前年よりの伸び率は4.3%です。この伸び率は1991年度以来の30年ぶりの水準だそうです。
この数字は、景気の良いお話のように聞こえますが、ちょっと待ってください。
昨年よりの「物価上昇」で、実質賃金は目減りしているのです。「最低賃金」の時給41円アップ(4.3%)ぐらいの伸び率でこの「物価上昇」を乗り切ることができるのでしょうか。
7.「日本銀行」の刈り込み平均値
先日の7月25日に、「日本銀行」が6月の「消費者物価指数」から変動の大きな品目を除いた「刈り込み平均値」を発表しました。
わかり易いように1~6月の数値をまとめて、以下にご紹介します。
「刈り込み平均値」とは、上昇率と下落率の上位10%の品目を除いて計算した数値です。
価格が極端に変動している品目を除外して計算されていますので、「基調的なインフレ率」を判断しやすい数値とされています。
また、「刈り込み平均値」は、変動が大きな品目を除外するために、数値が低くなる傾向があります。
以下に今年の「刈り込み平均値」を記載します。
1月 プラス3.1%上昇
2月 プラス2.7%上昇
3月 プラス2.9%上昇
4月 プラス3.0%上昇
5月 プラス3.1%上昇
6月 プラス3.0%上昇
上記の「刈り込み平均値」の2月の数値が下がっていますが、これは政府の「電気・ガス価格抑制策」の影響で、やや低い数値が出たものと思われます。
「刈り込み平均値」は、統計が遡れる2001~2022年3月までは、マイナス1.2%からプラス1.1%で推移していましたので、今年の1~6月の「プラス2.0%超え」はとても大きな数値となります。
特に5月の「プラス3.1%上昇」は、2001年1月以降の過去最高の数値となっています。
また4~6月は「プラス3.0%」を上回り、幅広い品目で物価上昇が続いていることがわかります。
この物価上昇の勢いを見ていると、最低賃金の時給41円アップ(4.3%)ぐらいの伸び率でこの「物価上昇」を乗り切ることができるのでしょうか。
8.「最低賃金」の大幅アップを
このように「最低賃金」の改定額の41円増額(4.3%)と、物価上昇3%越えの推移を見ていくと、多くの方の生活が今まで以上に圧迫される光景しか思い浮かびません。
現在の「最低賃金金額」で、すでに日本を上回っている「韓国」は、文在寅前政権時代に「最低賃金」を2018年に16.4%、2019年に10.4%と大幅に上げたと聞きます。
日本は、今回の4.3%程度ではなく、もっと大胆に大幅に「最低賃金」を上げても良いと思います。
日本は世界に対して、今年の「最低賃金」が「1000円を超えて1002円(4.3%)になった」と胸を張って言えるのでしょうか。
それよりも「1002円(4.3%)にしかならなかった」と厳しい評価をすべきだと、コロちゃんは思いました。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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