おはようございます。
今日は「日銀と物価上昇」のお話しをポチポチします。
1.「日本銀行」の発表
報道によると、先日の8月22日に「日本銀行」が「物価」に関する三つの指標を発表しました。
「日銀」は、物価の基調を正確につかむために「刈り込み平均値」と「加重中央値」「最頻値」を算出して、毎月発表しているのです。
今回の発表では、それぞれの上昇率が統計で遡れる2001年1月以降で最高になったと報じられています。
①「刈り込み平均値」
「刈り込み平均値」とは、上昇率と下落率の上位10%の品目を除いて計算した数値です。
価格が極端に変動している品目を除外して計算されていますので、「基調的なインフレ率」を判断しやすい数値とされています。
わかり易いように1~7月の数値をまとめて、以下にご紹介します。
以下に今年の「刈り込み平均値」を記載します。
1月 3.1%上昇
2月 2.7%上昇
3月 2.9%上昇
4月 3.0%上昇
5月 3.1%上昇
6月 3.0%上昇
7月 3.3%上昇(この数値が今回発表されました)
「刈り込み平均値」は、統計が遡れる2001~2022年3月までは、マイナス1.2%からプラス1.1%で推移していましたので、今年の1~7月の「プラス2.0%超え」はとても大きな数値となります。
前年同月と比較して価格が上昇した品目の割合は8割を超えており、値上げの動きも食料品から日用品やサービスに広がっていると報じられています。
②「加重中央値」
「加重中央値」とは、上昇率の高い品目の順に並べ、上から品目のウエートを足していった時に50%近辺に位置する値です。
以下に今年の「加重中央値」を記載します。
1月 1.1%上昇
2月 0.8%上昇
3月 1.0%上昇
4月 1.2%上昇
5月 1.4%上昇
6月 1.4%上昇
7月 1.6%上昇(この数値が今回発表されました)
この数値は、一部品目の動きに左右されない数値とされており、過去20年は0%前後にとどまっていましたが、昨年後半から1%台に上昇してきています。
7月の1.6%上昇は、過去最高となっています。
③「最頻値」
「最頻値」は、品目の内で最も頻度が高い値(一番多く出現している値)を示します。
以下に今年の「最頻値」を記載します。
1月 1.6%上昇
2月 2.1%上昇
3月 2.7%上昇
4月 2.8%上昇
5月 2.9%上昇
6月 2.9%上昇
7月 3.0%上昇(この数値が今回発表されました)
この数値も「基調的インフレ率」を判断するには有用とされています。この「最頻値」は2月以降2%を超えましたが、7月の3.0%上昇は過去最高です。
④「物価の基調の2%」とは
日銀は「物価の基調の2%」を目標としています。「物価の基調が2%」に達すれば現在の「金融緩和政策」を転換することになります。
しかし、この「物価の基調2%」とは、「一時的な振れなどに左右されない値」とされています。そしてその「基調」を判断する「究極の指数はない」とされているのです。
それで、「日銀」は、上記の「刈り込み平均値」「加重中央値」「最頻値」などの数値を参考にして判断しているのです。
現在のところ「日銀」は、物価上昇率は今後徐々に低下に向かうと見ているようです。
コロちゃんは素人のおじいちゃんですから、こんな数字の推移をみても、その意味することまでは分かりませんが、現在「物価が上昇」していることぐらいは分かります。
「物価の上昇」は、庶民の生活を直撃しますから、「日銀」さんには、ぜひ「物価上昇」を抑える政策を進めてもらいたいと、コロちゃんは考えています。
2.「消費者物価指数」
8月18日に、総務省が「消費者物価指数」(CPI)を発表しています。
以下に今年の「消費者物価指数」(CPI)を記載します。「変動の大きい生鮮食品を除く総合指数」です。
1月 4.2%上昇
2月 3.1%上昇
3月 3.1%上昇
4月 3.4%上昇
5月 3.2%上昇
6月 3.3%上昇
7月 3.1% 上昇
この数値をみて、「物価上昇がまだまだ続く」と見るのか、それとも「1月の4.2%上昇から徐々に上昇率が低下している」と見ればよいのか、何ともコロちゃんには判断が付きません。
不遜な考えですが、ひょっとしたら「日銀」の専門家の方々も同じなのかもしれませんね。
3.「物価上昇」は「賃下げ」と同じ
上記したように、今年2023年に入ってからの「物価上昇率」は、1月の4.2%~7月の3.1%と、毎月3%以上の上昇を続けています。
(変動の大きい生鮮食品を除く総合指数)
「物価上昇」とは、逆から見ると「お金の価値が下がった」ことになります。
そう考えると、3%の物価上昇は、皆さんのお財布から3%分のお金を抜き取っているようなものです。
(コロちゃんの解釈です)
100万円入りの財布でしたら3万円、10万円入りの財布でしたら3千円が抜き取られたようなものです。
(コロちゃんの解釈です)
お給料でしたら、毎月3%の「賃下げ」が行なわれているのと同じです。
(コロちゃんの解釈です)
100万円の給料でしたら3万円の賃下げです。10万円の給料でしたら3千円の賃下げです。
(コロちゃんの解釈です)
逆に借金をしている方にとっては、「物価上昇」は実質的な返済額が減価する福音となります。
日本で一番大きな金額の借金をしている方は、皆さんもよくご存じの方です。
名前を「日本国クン」と言いまして、借金の総額は、2023年6月末時点で、1276兆3155億円と天文学的な金額を借りています。
この「日本国クン」にとっては、「物価上昇」はありがたい慈雨となっています。借金が「物価上昇」によって減価するのですからね。
しかし、コロちゃんのような庶民には何も良い事はありません。
4.いつまでも「物価上昇」を放置しないで
上記で見てきたように「物価上昇」は、お国にとって良いことですが、庶民にとって良いことは何もありません。
一応「経済の好循環」という「言い訳」があります。それはこのブログで何回もご紹介しましたが、もう一度見てみましょう。
①「賃金が上昇して消費が拡大する」→
②「消費が拡大すれば物価が上昇する」→
③「物価が上昇すれば、企業の売り上げが増加する」→
④「企業の売り上げが増加すれば、企業の利益が上昇する」→
⑤「企業の利益が上昇すれば、賃金が上昇する」→
一番上に戻り、そのループが繰り返される
コロちゃんは、この「経済の好循環」は、実現不可能な政策だと思っています。そもそも大手企業の賃金は上がっても(連合最終集計3.58%)、消費は一向に拡大していません。
下記のグラフをご覧ください。
「総務省統計局 家計調査報告」より
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
出典:総務省統計局 家計調査報告 ―月・四半期・年― より(8月24日利用)
上記のグラフは、総務省が8月6日に発表した「二人以上の世帯の家計調査報告」です。
「6月の家計調査」の「二人以上の世帯の消費支出」は、1世帯当たり275.545円で、実質では、前年同月比4.2%の減少でした。
今年に入ってからの「二人以上の世帯の家計調査」を見てみましょう。
1月 マイナス0.3%
2月 プラス1.6%
3月 マイナス1.9%
4月 マイナス4.4%
5月 マイナス4.0%
6月 マイナス4.2%
この数字を見ると、2月のみプラス1.6%となっているものの、他の月はすべてマイナス圏に沈んでいます。
「消費支出」が回復している様子は見受けられません。春闘での「賃上げ」の波及効果も見られません。
6月の数値(マイナス4.2%)は、5月の数値(マイナス4.0%)から、更にマイナス幅が拡大しています。
やはり、多くの皆さんは、物価高の中で消費支出を抑えて「生活防衛」に走っていると思われます。
コロちゃんたちの「年金生活者」は、基本的には収入はほとんど増えていませんから、多くの方は支出を切り詰めて「生活防衛」に勤しんでいると思います。
「日本銀行」は、本来のあり方に戻り「物価の安定」という任務を忠実に実行していただきたいと、コロちゃんは考えています。
5.物価上昇で苦しむ「貧困層」
日本経済で今回起きているような3%の「物価上昇」は、1991年8月以来の31年1ヵ月ぶりと言われています。
この歴史的ともいえる「物価上昇」で、一番困っているのは言うまでもなく「貧困層」の方たちです。その方たちは何人ぐらいいらっしゃるでしょうか。
「相対的貧困率」という言葉があります。下記の引用をご覧ください。
「厚生労働省 国民生活基礎調査(貧困率)」より
「国民生活基礎調査における相対的貧困率は、一定基準(貧困線)を下回る等価可処分所得しか得ていない者の割合をいいます。」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21a-01.pdf
「貧困線とは、等価可処分所得(世帯の可処分所得(収入から税金・社会保険料等を除いたいわゆる手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分の額をいいます」
出典:厚生労働省 国民生活基礎調査(貧困率)より(8月24日利用)
家族の人数を調整するために、ちょっとややこしい計算式がはいりますけど、ざっくりいうと「手取り収入」の半分が「貧困線」となります。
下記の図をご覧ください。
「厚生労働省 国民生活基礎調査(貧困率)」より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21a-01.pdf
出典:厚生労働省 国民生活基礎調査(貧困率)より(8月24日利用)
上記の図の、「収入」の中の「可処分所得」の半分以下の方が「貧困」とされている方々になります。
2021年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は127万円で、貧困線に満たない世帯員の割合を示す「相対的貧困率」は15.4%となっています。
(厚生労働省 国民生活基礎調査より)
この2021年の「年間所得」が127万円以下の方々が、日本で「貧困」とされている方々です。
下記のグラフをご覧ください。
「総務省統計局 2019年国民生活基礎調査の概況」より
https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/skenkyu/pdf/20210625_08.pdf
出典:総務省統計局 「2019年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)抜粋(参考2)より(8月24日利用)
上記の●の実線が「相対的貧困率の推移」で、2018年の数値では15.7%となっています。ということは、日本の人口の6人に1人、2000万人近い人々が「貧困層」となっているのです。
コロちゃんは、「清貧ライフ」をモットーに生きていますが、それでも日々の買い物の都度に「物価の上昇」をひしひしと感じています。
日本では、日々の生活をかつかつでしのいでいる方が数多くいらっしゃるのです。
「日本銀行」の方々には、現在の「物価上昇」をただ見守るだけではなく、積極的に「物価の沈静化」に取り組んでいただきたいと、コロちゃんは心から願います。
何しろ「日本銀行」の使命は「物価の安定」なのですから。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全なです。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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