【社会考】これが「新しい資本主義」なの?

社会

おはようございます。いよいよ入梅でしょうか。コロちゃんは、ワンコとの散歩を考えて、いつも空模様に気を配っています。

天気が良いと、コロちゃんの気分も良いですし、ワンコも気持ちよさそうに歩くんですけど、なかなかそんな日ばかりとはいきませんね。

さて、今日は最近の天気と同じ、曇り空のような新聞記事についてポチポチします。岸田総理の「新しい資本主義」についてです。

1.「新しい資本主義」が出てきたよ

コロちゃんが、いつものようにコーヒーを飲みながら、新聞バサバサをやっていますと、一面トップに「転職・起業で成長底上げ 新しい資本主義 労働市場改革」という見出しが目につきました。

その記事をお読みなりたい方は、以下のリンクのクリックをお願いします。

新しい資本主義、転職・起業で成長底上げ 労働市場改革 - 日本経済新聞
政府は6日、「新しい資本主義」の実行計画改定案を公表した。転職しやすい労働市場改革やスタートアップ支援に重点を置いた。賃上げを持続しつつ、成長産業への移動を促して成長力を底上げする狙いだ。転職時に同じ年金制度を使い続けられる改善策などは手つかずで、規制の緩和には踏み込んでいない。新しい資本主義は岸田文雄政権の経済政策で...

この記事では、政府は6日に「新しい資本主義」の実行計画改定案を公表したとあります。

そして一面記事では以下の項目を挙げています。

〇リスキリング(学びなおし)による能力向上と市場の円滑化、職務給の導入を三位一体で進める。
〇市場円滑化の柱として失業給付を早める。
〇終身雇用を前提とした退職金の課税制度も改める。

また、実行計画案の主なポイントとして、次の課題を表にしています。

「人への投資や労働市場改革」
「企業の参入・退出とスタートアップ」
「脱炭素・デジタル化などへの投資」
「社会的課題の解決」
「資産所得倍増とぶ厚い中間層」

コロちゃんは、これを読んで、びっくりしました。それは、岸田総理が総裁選挙に出馬して以来語っていた、「成長と分配」の「分配」にあたる政策が出てきていないのです。

コロちゃんは、思わずつぶやいてしまいました「どこが新しいの?」と・・・。

2.岸田総理の「新しい資本主義」

岸田総理は、就任前の2021年9月の自民党総裁選挙の時に、「政策集」を発表しています。

その中で『「成長」と「分配」の好循環に向けた政策を総動員』の項に、「■金融所得課税の見直しなど『1億円の壁』の打破」と、ハッキリと宣言しているのです。

この「政策集」は、「衆議院議員 岸田文雄 公式サイト」で、現在でもご覧になれます。お読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://kishida.gr.jp/activity/7758 

岸田総理は、その後の2021年10月4日の総理就任直後の記者会見でも、「金融所得課税」を見直すことを言及しています。以下のように語っています。

「選択肢の一つとして(自民党総裁選で)挙げさせてもらった」

「『成長と分配』の好循環を実現する。分配を具体的にする際には様々な政策が求められる」

「その一つとして『1億円の壁』を念頭に金融所得課税についても考えていく必要があるのではないか」

現在の「金融所得課税」は、一律20%です。岸田総理は、これを引き上げて税収を増やし、中間層や低所得層に分配する意向を語っていたのです。

そして、「新しい資本主義実現会議」を新設し、議論を進める考えを示していました。

3.なにをどうしたいのかが、よくわからないよね

それがその後の、2021年10月10日のフジテレビでの討論番組で、「当面は金融所得課税に触ることは考えていない」と発言して、早くも軌道修正しているのですね。

このTVでの発言については、コロちゃんも知りませんでした。今回ブログをポチポチするにあたって、調べていて知りましたね。

その後、2023年2月25日の参院予算委員会で、金融所得課税の見直しについて、以下のように答弁しています。

「与党税調でも議論されており、高所得層の所得税負担率が低下する状況を是正し、税負担の公平性を確保する観点から検討の必要がある」

「総合的に検討を行い、引き続き議論を行っていきたい」

そして岸田首相は、つい先日の5月27日に、衆院予算委員会で、金融所得課税に関し以下のように答弁しています。

「決して(議論が)終わったわけではない」

「与党や自民党の税制調査会でも一つの課題として議論が続いている」

「金融所得課税がどうあるべきか、しっかり結論を出していきたい」

これは、やる気はあるけど、「当面議論だけ」ってことでしょうか。ただ「議論」するだけでは、いつまでたっても・・・。
┓(´д`;)┏ 

4.岸田総理は第4派閥

なぜ、このように岸田総理の言動が一貫していないのかというと、その一因に自民党という政党の構造があります。

現在の日本の総理大臣は、政党のトップが就任することになっていますから、現在の最大政党である「自由民主党」の総裁が就任しています。

しかし、その総裁になるためには、国会議員と党員との党内選挙で勝たなければなりません。

そのために党内で多数派を握らなければならいないのです。

現在の自民党には、「主要な派閥」が6つあります。以下をご覧ください。

①安倍派(清和政策研究会)101人
②茂木派(平成研究会)   55人
③麻生派(志公会)    55人
④岸田派(宏池会)     45人
⑤二階派(志帥派)  41人
⑥森山派(近未来政治研究会)8人
石破グループ        9人
旧谷垣グループ       12人
菅グループ          19人
無派閥           37人

たくさんありますね。「派閥」は、それぞれ過去の歴史を背負って、現在の姿になっているのです。

今日のブログの主人公である岸田総理は、上記の一覧を見てもわかるように第4派閥のトップです。まあ多数派閥ではありません。

このような状況ですと、岸田総理も、政府のトップだからと言って、何もかも好きにできるわけではありません。

まず、党内第1派閥である「安倍派」(101名)の意向は無視できませんから、「アベノミクス」を否定するような政策は進めにくくなりますね。

マスコミによりますと、岸田政権の主流派は、岸田派・茂木派・麻生派とされています。

また、岸田派と麻生派と谷垣グループは、池田隼人元首相が立ちあげた「宏池会」を源流とします。これを合わせた総数ですと、安倍派を超える109名になるとの報道もありましたね。

コロちゃんは、岸田総理があっちこっちに気を使いすぎて、結果的に何もできなくなることを恐れています。

5.どこで決まったの?

以下の引用をご覧ください。

「内閣官房 > 新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議」より

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html
参照:内閣府 新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議より(6月7日利用)

 上記のように、「新しい資本主義」を実現するために、内閣に「新しい資本主義実現本部」を設置しています。

組織の目標は、その名前のまんまですね、「新しい資本主義」です。

有識者構成員は16名です。

有名な方ばかりですが、よく知られているのは、十倉 雅和 (経団連会長)、新浪 剛史(経済同友会代表幹事)、芳野 友子(連合会長)などの方がいらっしゃいます。

このような審議会・会議の構成員の選任には、当然、招集した総理や大臣の意向が反映されます。

大方のメンバーは、総理や大臣の意見をわきまえた学者や学界の大御所が入ります。そして、必ず反対派からも少人数選択されます。

当然のことですが、賛成派が数多く選ばれていて、落としどころはだいたい事前に決まっていることが多いです。

6.そこで何が決まったの?

上記の「新しい資本主義」の第19回会議が、先日6月6日に開かれました。

その中で「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版案等」が議論され、その後決定されました。

その内容が、本ブログで冒頭に記載しました、「転職・起業で成長底上げ 新しい資本主義 労働市場改革」の新聞記事になったものです。

その全文をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai19/shiryou1.pdf

この「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版案等」は、本文だけでも68ページもあります。

コロちゃんは、このような面白みのない官僚文書は、とても読みこなせないのですが、簡単に横目で眺めてみたところ、関心が持てそうなところは2ヶ所だけでした。

一つは、「新自由主義」の台頭の中で、世界経済が大きく成長し、成長の原動力を果たしたと評価しています。

そして、その一方で経済的格差の拡大や、市場の失敗による多くの弊害を生んだとも指摘しているのです。

もう一つは、「新しい資本主義を実現する上での考え方」として、「分配の目詰まり」を解消し、更なる成長を実現するとしています。

「新しい資本主義においても、徹底して成長を追求していく。しかし、成長の果実が適切に分配され、それが次の成長への投資に回らなければ、更なる成長は生まれない。分配はコストではなく、持続可能な成長への投資である」

「我が国においては、成長の果実が、地方や取引先に適切に分配されていない・・・「目詰まり」が長い間存在してきた。その「目詰まり」が次なる成長を阻害してきた」

「分厚い中間層の形成は、民主主義の健全な発展にとって重要であり・・・中間層が潤うことで、格差の拡大と固定化による社会の分断を回避し、サステナブルな経済社会を実現できる」

コロちゃんは、そんな専門家ではないですから、あまり詳しい事は、この文書から読み取れないのですが、それでも「金融所得課税」は出てきていないですね。

それに、分配戦略も「分配の目詰まり解消し」との表現にとどまっているように思いました。「分配の目詰まり」をどう解消するのかが出てきていません。

これで日本経済の「失われた30年」が転換できるのでしょうか。

7.「新しい資本主義」像が見えてこない

コロちゃんは、「政治」は、賛成者も反対者も、それなりに正しいことを言っていると思っています。どちらの選択にしても、かなり長い将来にならなければ結果がわからないことが多いからです。

しかし、「ピジョン」は違います。聞くだけで見えてくるか見えてこないかで決まると思います。

岸田総理は、ご自分のサイトで、次のように語っています。

「日本だけでなく、欧米やアジアなど、世界的に「格差拡大」が広がり、さらに国同士の分断も進む。この「分断の時代」に、求められていることこそ「協調の精神」ではないか。具体的には、高額の金融所得に対する課税率の見直し、中間層の教育、住宅費に対する支援、社会人に対する再教育支援、中小企業、小規模事業者に対する支援などである」(岸田ビジョン 分断から協調へ より)

この素晴らしいピジョンを読んでも、上記で読むような昨今の「新しい資本主義像」では、違和感が増すばかりです。

どうか、現状を変えられるような政治を心からお願いしますよ、岸田総理様、お願いしますね。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

NoName_13によるPixabayからの画像
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