【経済考】「骨太の方針」は骨太か?

経済

おはようございます。今朝は「梅雨入り」したにもかかわらず、朝のワンコとの散歩時には気持ちの良い「青空」が空一杯に拡がっていました。

コロちゃんがお空を見上げると、目に染みるような心地良い気分でしたよ。「梅雨入り」したばかりなのに、もう「中休み」でしょうか。

しかし天気予報を見ると、今夜からは雨の予報ですから、洗濯日和は今日の日中のみとなるみたいですよ。

コロちゃんは「束の間の梅雨休み」を、ワンコとともに味わいながら歩いてきましたよ。下にこの「青空と日の出」のフォトを添付しておきますね。

「目に染みる青空」をご鑑賞ください。

今日は「骨太の方針は骨太か?」をカキコキしますね。

0.「今日の記事のポイント」

by<br><span class="bold-blue">コロちゃん</span>
by
コロちゃん

今日の記事は、下記のような内容になっていますよ。どうぞ最後まで楽しみながらお読みください。

☆「骨太の方針が閣議決定されましたと、千載一遇のチャンスだって」

☆「賃上げ定着へ6ヶ年計画と、成長は実現できるのか?」

☆「骨太の方針を書いた官僚さんは何を考えていたのかと、コロちゃんの読書論」

1.「骨太の方針が閣議決定されました」

先日の6月21日に「政府」は、「2024年の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる『骨太の方針』を閣議決定」しました。

コロちゃんは、この「骨太の方針」については「原案」段階から、簡単にご紹介をしてきていますので、この本命の『骨太の方針』を取り上げないわけにはいきません。

しかし、やたら小難しい言葉が沢山出てきますので、そのごく1部のみをご紹介しますね。

まず最初にこの「骨太の方針」の評価ですが、6月22日付の「日経新聞の社説」で論評していますね。

その中では「骨太の名にふさわしい戦略を描けたとは言い難い」と、厳しく指摘しています。具体的には「日本版ライドシェアの先送り」ですね。

しかし「国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス:PB)※」を2025年度に黒字化する目標を3年ぶりに復活させた」ことは評価していますから、硬軟取り混ぜた評価でしょうか。

(※プライマリーバランス:社会保障や公共事業などの経費を、税収等で賄えているか どうかを示す指標:2022年度のPBは130兆円の赤字)

コロちゃんは、さっそくこの「骨太の方針」をざっと見てみました。

いやいや、こんなに読めないよ。

官僚さんが書いているんだろうけど、全部で57ページもあるんですよ。これを全部読んでいる人は、役所の人と新聞記者ぐらいじゃないのかな?

しょうがありませんから、コロちゃんが気になった点だけを下記に書いてみますね。

2.「千載一遇のチャンスだって」

まずは、現状の基本認識ですが、一番冒頭の書き出しが以下のように書かれています。

「我が国経済は、現在、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている」

いやいや、カッコいいですよね。なにしろ「千載一遇の歴史的チャンス」ですよ。

コロちゃんなんかは、疑い深いですからこんな「前のめりな言葉」を聞くと、思わず「ホントかな?」と思っちゃいますね。

ただ、この言葉は、上記でご紹介した「日経新聞の社説」でも「千載一遇のチャンスとの認識に異論はない」と書いていますね。

そして、もう「総花的」にずらーっと、いろいろな政策が並んでいます。「賃上げ・iDeCo・人手不足対応・DX・スタートアップ支援などなど」ですね。

ここでは、コロちゃんが気になった所だけを下記にご紹介しますね。

3.「賃上げ定着へ6ヶ年計画」

コロちゃんが目をとめたのが「経済・財政新生計画(6ヶ年計画)」です。

まず「現状の認識」は、「デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている」としています。

そして今後は「賃金上昇を構造的な賃上げに結び付け・・・デフレからの完全脱却、そして、これまでの延長線上にない新たなステージへの移行へと導く」としています。

その為に「人口減少が本格化する2030年度までの6年間に・・・『生産性向上、労働参加拡大、出生率の向上』を通じて潜在成長率を高める」というものでした。

やはり「中長期的な経済成長」は「潜在成長率」を上げて行かないと望めないから順当な考えですけど、内容を踏み込んで見ていくと、相当無理ある計画だとコロちゃんには思えましたよ。

まずは、直近の推計では「日本経済の潜在成長率」は「0.6~0.7%程度※」と言われていますね。

(※白井さゆり慶応大学教授:日経新聞:有識者に聞くより)

そもそも「GDP成長率」は、中長期的には必ず「潜在成長率」の数値に収れんすると言われているのです。

だけどその「潜在成長率」は、ここ30年間に渡って大きな成長は出来ていないのですよ。

それを頭に於いて、下記をお読みください。

➀「成長実現コースは難しいと思いますよ」

まずは、この「骨太の方針」に添付された資料から、「日本経済の将来推計の3つのコース」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。内容は下に書き出します。

「内閣府 少子高齢化・人口減少の克服 / 豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会」より


https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/shiryo_04.pdf
出典:内閣府 経済財政運営と改革の基本方針2024経済財政諮問会議より(6月22日利用)

上記は「内閣府」の発表した「骨太の方針」に添付されたグラフです。

このグラフでは、人口減少が本格化した後の「日本経済の実質成長率の推移予測」です。以下の三つのコースを予測しています。

◎「実質経済成長率予測」

➀「成長実現コース」(赤色)
➁「長期安定コース」(青色)
③「現状投影コース」(灰色)

はてさて、果たして「日本経済」は上記➀~③のどこに着地するのでしょうか。もちろん「岸田総理」の頭には「成長実現コース(赤色)」が浮かんでいることと思われます。

しかし、上記のグラフにはくわしい説明やデータが記載されていません。

実は、この図は今年の2月に「内閣府」で開催された「財政諮問会議」で発表された「2060年までの長期財政試算」で発表された「資料5」を元に作成されたものなのです(※)。

(※グラフ欄外に:備考:図表は令和6年第3回経済財政諮問会議資料5をもとに作成との記載あり)

コロちゃんは、さっそくこのグラフの元データを探してみました。

そちらの「2060年までの財政長期試算:資料」には、このグラフのもとになったと思われる数値が記載されていました。

下記の表をご覧ください。内容は下に書き出します。

「内閣府 将来の経済成⾧の姿」より

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/shiryo_04.pdf
出典:内閣府 経済財政諮問会議 中長期的に持続可能な経済社会の検討にむけて より(6月22日利用)

上記のようにこちらの表には「実質成長率」の、下記の3パターンで作成されています。

◎「将来の経済成長の姿:実質経済成長率」

❶「ベースラインケースを延伸:0.2%程度」

❷「参考ケースを延伸:1.2%程度」

❸「成長実現コースを延伸:1.7%程度」

そして、このグラフの「実質経済成長率の試算の前提」には、以下の3要素が記載されていました。

◎「実質経済成長率の試算の前提要素」

➀「出生率」
➁「労働参加率」
③「TFP上昇率※」

(※TFP:全要素生産性:一般にはイノベーションと言われる)

そこで、上記の「❶ベースラインケース・❷参考ケース・❸成長実現ケース」の構成要素を見てみると、到底達成が不可能と思われるような数値が中に並んでいたのです。

ここでは「➀出生率」だけを見ておきましょう。

◎「出生率の数値」

❶「ベースラインケース:1.36程度」
❷「参考ケース    :1.64程度」
❸「成長実現ケース  :1.80程度」

昨年2023年の「合計特殊出生率は1.20※」ですよ。もちろん過去最低の数値です。

(※厚生労働省:人口動態統計より)

それを、これからの「日本」」で「成長実現ケース:合計特殊出生率1.80」まで持ち上げることが実現できるとは、到底コロちゃんには思えませんよ。

それよりも一番低い数値の「❶ベースラインケース:1.36程度」でも危ういのではないでしょうか。

➁「高齢者はもっと働けるか?」

この「骨太の方針」に添付された資料から、もう一つ「高齢層の労働参加率の推移」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。内容は下に書き出します。

「内閣府 高齢層の労働参加率の推移」より

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/shiryo_04.pdf
出典:内閣府 経済財政諮問会議 中長期的に持続可能な経済社会の検討にむけて より(6月22日利用)

上記は「内閣府」の発表した「骨太の方針」に添付されたグラフです。この中には「過去20年で5歳分若返り」との記載があります。

この「5歳分若返り」の意味は、「労働参加率が若返った時点の数値に増えていく」と言っているのです。

しかし、それは今までの数値です。過去に「5歳若返った」としても、これから先も更に上積みして「5歳分若返る」とは思えないですよね。

このグラフも、上記の「実質GDP成長率」と同じに、今年の2月の「財政諮問会議」で発表された「2060年までの長期財政試算」で発表された「資料5」の中に同じグラフが載っています。

下記のグラフをご覧ください。内容は下に書き出します。

「内閣府 高齢層の労働参加率の推移」より

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/shiryo_04.pdf
出典:内閣府 経済財政諮問会議 中長期的に持続可能な経済社会の検討にむけて より(6月22日利用)

上記のグラフは、今回の「骨太の方針」に添付されたものではありません。

よく見ると右側に点線が伸びていて、将来「2040年代半ば」の「高齢者の労働参加率予測?」が記載されています。

このグラフによれば、「2040年代半ば」には高齢者の労働参加率が大きく伸びることを予測しています。

下記に書いてみますね。

◎「高齢者の労働参加率:2023年⇒2040年半ば」

➀「55~59歳:85%⇒90%程度」(5㌽増)

➁「60~64歳:76%⇒80%台」(4㌽増)

③「65~69歳:53%⇒70%台」(17㌽増)

➃「70~74歳:34%⇒50%台」(16㌽増)

おいおい、コロちゃんはもう「こらいまれ」年代だけど働いていませんよ。それが、この「内閣府」の予測だと「70~74歳:50%台」も働けっていうの?

コロちゃんは、もう40年以上も働いてきたんだから、そろそろいいでしょうに。「ゆっくりのんびりの老後」を過ごさせてくれないのでしょうか。

確かに世の中を見ていると、高齢になっても「年金受給額」が少なくて、働かなければ生活できない「高齢者」が増えているけど、それをゼロにしていくのが「政治の役割」じゃないんでしょうか。

それを、自己責任で働いて何とかしろって、あっそうか、これが「自助・共助・公助」ですか?

なんだかなー? ちょっとコロちゃんは気分が悪くなりましたよ。

なお、この「骨太の方針」の本文には「高齢者の労働参加率の上昇ペース継続や女性の正規化促進など、我が国の成長力を高める取組が必要である」との記載がありましたね。

この「高齢者の労働参加率の上昇ペース継続」というのが、上記でコロちゃんが指摘した部分(70~74歳:50%台)となっていますね。

この上記でご紹介した「骨太の方針」は、全部で57ページもありますから、論点は多岐にわたっています。

コロちゃんがご紹介した部分は、あくまでもコロちゃんが目をとめた項目だけになりますから、「骨太の方針全文」をお読みになりたい方は、下記のリンクをクリックお願いします。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/2024_basicpolicies_ja.pdf

4.「経済成長は実現できるのか?」

日本の「実質GDP成長率」は、コロナ禍の落ち込みからの反動増があった2021年度は2.6%で、2022年度は1.2%、また昨年の2023年度も1.2%だったとされています。

しかし上記でも書きましたが、「GDPの供給面の指標の潜在成長率」は、「0.6~0.7%程度※」と言われています。

(※白井さゆり慶応大学教授:日経新聞:有識者に聞くより)

この「GDP成長率」は、中長期的には「潜在成長率」の範囲内に収れんしていくとされていますから、普通に考えれば「将来の大きな成長」は望めないとなります。

そこで「普通に考えないことにした」のが、今回の「骨太の方針の中の将来の成長予測」ではないかと、コロちゃんには思えましたね。

その指摘は、上記の二つ(合計特殊出生率と高齢者の労働動員)を上げるだけで充分でしょう。

これからの「日本」で「合計特殊出生率」が「1.8」になるなど、まず考えられません。

過去の日本で、「合計特殊出生率」が1.8だった年は1977年です。高度成長で「一億総中流」だった1970年代のことですよ。

今後の日本があの時代に戻ることはないでしょう。

更に「高齢者の労働参加率予測」です。

これからの「日本」で、「③65~69歳:53%⇒70%台(17㌽増)」、「➃70~74歳:34%⇒50%台(16㌽増)」も伸ばせますか?

そりゃ、「高齢者」は食べられなかったら働かざるを得ませんよ。だけど「健康寿命※」というのがありますよ。以下をご覧ください。

(※健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)

◎「健康寿命」

➀「男性:72.68歳」
➁「女性:75.38歳」
(2023年)

この方たちを更に「労働に動員する」というのは、可哀想というか、酷というか、早く死ねとなりかねませんよ。

コロちゃんは、このような理由で「骨太の方針の中に記載されている経済成長の見通し」は、達成不可能というか「絵にかいた餅」だと思いましたよ。

5.「骨太の方針を書いた官僚さんは何を考えていたのか?」

コロちゃんは、この「骨太の方針」を読んで首を傾げたんですよね。

上記でコロちゃんが指摘した「合計特殊出生率と高齢者の労働動員」なんて、誰が見ても無理があることがわかると思うんですよね。

しかし、堂々と発表されているし、新聞報道でもその点はどこにも書かれていません。

この様なことは「素人のおじいちゃんのコロちゃん」でも気が付くことなのですから、「専門家」の皆さんが誰も気が付かないはずはありませんよね。

そうなると、コロちゃんの「理解不足・勘ちがい」か、それでなかったら今の「政治情勢」では「明らかに無理だとわかっている成長戦略でも出さざるを得ないのか」が考えられますね。

まあこの問題は、これからの日本の「GDP成長率」のことですから、時間が経てば誰が正しかったのかはいずれハッキリします。

コロちゃんは、今後の「日本」ではもう「大きな経済成長は出来ない」と見ていますから、将来を見ることが出来れば楽しみが増えますよ。

6.「コロちゃんの読書論」

コロちゃんは時々「日本経済の動向」を調べたり、「一般向けの経済書」を読んだりしていますけれど、その目的は「知識を得るのが楽しい」からです。

だって、いろいろな知識を得られると、世の中を見る視線が拡がるのがわかるんです。

コロちゃんは、本を読むことを「山を登る」ことに似ていると思っています。高い山を登ると、今までに見ることが出来なかった下界の様子がよく見えますよね。

平地にいる時には、視線はさほど高くないですから、目の前の「田んぼ」の先にあるのが「畑」なのか「空き地」なのかは見えません。

さらにその先に「川」が流れているのか、「谷」になっているのかも見えません。それが近くの「小高い山」に登ると、一目で拡がっている「風景」の全体がみえるようになります。

コロちゃんは、「本を読む」という行為は、この「山に登る」と同じ効果があると思っています。「知識を得る」ことによって、「広い世界」を見ることが出来るようになると思っているのです。

だから「楽しい」のですよね。いろいろな本には、多くの方の「知恵」が詰まっています。

それを自分が経験して会得するのは大変ですが、「図書館」から本を借りて読むだけで、その「知恵」を分けてもらえるのですから、やらなきゃ損ですよ。

これがコロちゃんの「読書論」ですし、今日の「骨太の方針」を読んだのも、自分の知らない知識を得たくて読んだのですよ。

ただ、その読んだ結果はどうやら「骨太」とは名前倒れの「プラスチックのレプリカの骨」じゃなかったのかと、ちょっと首を傾げる結果となりましたよ。

今後もコロちゃんは、この「経済対策」の先行きを興味を持ってウオッチしていきたいと考えていますよ。

新しい情報がわかりましたら、またこのブログでご紹介しますから、また是非お立ち寄りくださいね。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Marna BuysによるPixabayからの画像

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