おはようございます。今日は朝からいい天気で、ワンコとの散歩もぽかぽか暖かく歩くことができました。
しかし、新聞を読んでいると、「非消費支出」が増えるなどの、お寒い話が出ていました。今日は、そのお話をポチポチしてみます。
1.「非消費支出」って何?
皆さん「非消費支出」って何のことか知ってますか? 「消費支出」ならすぐ見当が付きますよね。
「消費支出」は、いわゆる生活費です。生活するにあたり、必要な食費や雑費などの全て、実際に支払った金額を言います。
「非消費支出」とは、税金(所得税、住民税)や社会保険料(健康保険料、 厚生年金保険料、雇用保険料 、介護保険料)のことなんです。
こちらは、給与から天引きされますので、あまり支払っている実感がないんですけど、いつの間にかこの金額が大きく増えてきているのです。
2.「非消費支出」が20年で1.4倍に
つい先日の5月9日に、総務省が「2022年度の家計調査」を発表しました。
その内容を、5月10日の日経新聞が紹介しているのです。記事の見出しは「保険料・税負担、20年で1.4倍」となっています。
その記事をお読みになりたい方は、以下のリンクのクリックをお願いします。
この記事に書かれていることは、勤労者世帯の実収入は1世帯当たり62万円で、20年前と比べて16%増えている。共働きが世帯の稼ぎを押し上げているとしています。
ところが、それにもかかわらず、家計の可処分所得は50万円で、10年前と比べて12%しか増えていないというのです。
その差は、「非消費支出」の増大によるとしています。
給与から天引きされている「社会保険料」が大幅に上がっているのです。
この記事では、社会保険料と税の国民負担率が、2002年度の35.0%から、2022年度の47.5%に高まっており、可処分所得の下押し効果で消費が伸び悩む懸念があると訴えています。
現在の岸田総理は、「少子化対策」の財源として、「社会保険料」から召し上げることを話しております。
ですから、今後はこの「非消費支出」がさらに上昇して、給与の手取り額が今まで以上に減る可能性が高いですね。
3.コロちゃんと同じ「単身高齢者」のデータ
上記の記事は、先日に総務省が発表した「2022年度家計調査」のデータをもとにしています。
この記事は「勤労者世帯」についての記事でしたが、この「20220年度家計調査」には、「65歳以上の高齢単身無職世帯」のデータも載っていました。
それでは、そのコロちゃんと同じ「65歳以上の単身無職高齢世帯」のデータを見てみましょう。
以下のグラフをご覧ください。
「総務省統計局 家計調査報告」より
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2022.pdf
出典:総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要より(5月11日利用)
上記のグラフを見ると、コロちゃんと同じ「65歳以上単身無職世帯」の実収入は134915円です。
税金と社会保険料である「非消費支出」12356円と、生活費である「消費支出」143139円を合計した支出は、155495円ですから、収支はマイナス20580円となります。
なんと、これをみるとコロちゃんと同じ「65歳以上単身無職世帯」の家計は、毎月2万円強の赤字なんですよ。
皆さん、貯蓄を取り崩して生活しているんでしょうね。
コロちゃんは、参考までに2年前の総務省統計局が発表した「家計収支」を引っ張り出して比較してみました。
下記のグラフをご覧ください。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2020.pdf
出典:総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2020年(令和2年)平均結果の概要より(4月14日利用)
上記の2020年の「実収入」と、最初に取り上げた2022年の「実収入」を比較すると、マイナス2049円です。
2年後の「実収入」は2千円減少しているのです。
同じく「消費支出」を比較すると、プラス9993円と増えています。2年後の「消費支出」は約1万円も増大しています。
そして、税金と社会保険料の「非消費支出」を比較すると、プラス815円と、こちらも増えているのです。
要するに、この2年間で「実収入」が減少しているのに、「消費支出」が増えていて、さらに税金等の「非消費支出」も増えているのです。
ですから、家計の赤字額も2020年の7723円から、2022年の20580円に増大してしまっているのです。
おーい、コロちゃんと同じ単身高齢者の皆さん、頑張ろうねー!
4.実質賃金も減少へ
先日5月10日の日経新聞には、厚生労働省が5月9日に発表した「3月の毎月勤労統計調査」についても記事が載っていました。
「実質賃金減少へ 給与増でも物価高補えず」との見出し記事です。その記事がお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。
この記事では、「3月の毎月勤労統計」によると、「一人当たりの実質賃金」は前年同月比2.9%減で、マイナスは12か月連続だったとあります。
それでは、ここでいう「実質賃金」とは「名目賃金」とどう違うのでしょうか。
下記の引用をご覧ください。
「ウィキペディア 実質賃金」より
「実質賃金とは、労働者が労働に応じて取った賃金が実際の社会においてどれだけの物品の購入に使えるかを示す値である。賃金から消費者物価指数を除することで求められる」
「このときの賃金、すなわち貨幣で受け取った賃金そのもののことを名目賃金という」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9F%E8%B3%AA%E8%B3%83%E9%87%91
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:「実質賃金」最終更新 2023年4月2日 (日) 15:52
上記の引用をみてもわかるように、「名目賃金」は実際に受け取った賃金そのもので、「実質賃金」は、その受け取った金額に消費者物価指数を加味したものです。
その結果、3月の勤労統計では、現金給与総額は0.8%増だったが、消費者物価が3.8%増加したために、実質賃金は低下したと報じているのです。
それでは日本では、この「実質賃金」の推移はどうなっているのでしょうか。
下記のグラフをご覧ください。
「内閣府 一人当り名目賃金・実質賃金の推移」より
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je22/h06_hz020105.html
参照:内閣府 内閣府の政策 令和4年度年次経済財政報告 第2-1-5図 一人当たり名目賃金・実質賃金の推移より(5月11日)
上記のグラフは、「一人当たり実質賃金」の推移のグラフです。一目見てわかるように、1990年以降30年にわたって横ばいでほとんど増えていません。
前記したように、「実質賃金」とは、労働者が実際に受け取った給与である「名目賃金」から、物価上昇率を差し引いた数値のことです。
「名目賃金」とは、現金で支給された給与そのものを言いますから、税金や社会保険料などの「非消費支出」を差し引く前の金額です。
ということは、社会保険料が増大している中では、実質の手取り額は横ばいよりも、実際には減少している可能性が高いですね。
とにかく、現在の社会の賃金動向は、名目金額では上がってはいても、物価上昇を加味した実質では減少となっています。
5.社会保険料の増額は、増税とどう違うの?
消費税は、日々のお買い物で値札やレシートに記載されますから、目につきますし、わかり易い税金です。
だから、特に反発が強いから、なかなか消費税増税はしにくいのでしょう。
しかし、いくら目立たないからと言っても、給与天引きの「非消費支出」である社会保険料がここまで上がってくると、さすがに歪みが大きくなってきます。
ある程度の賃上げがあっても、社会保険料の増額を考慮すると、手取り額はあまり上がらない。
そして、賃上げが少ない中小企業の方には、社会保険料の増額の痛みだけが残ります。
「少子化対策」だけでなく、「防衛費」にしろ「高齢化による医療費の増加」にしろ、今後の日本で、財政措置が必要な政策は数多くあります。
いくら目立たないからと言って、給与から天引きの社会保険料の増額を際限なく増やし続けることはできません。
きちんと丁寧な説明をしながら「増税」を考えた方が良いのではないかと、コロちゃんは考えますね。
コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。
このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)
おしまい。
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